冬の寒さや風邪の初期症状に、体を温める飲み物として親しまれている葛湯。しかし、その効能は体を温めるだけではありません。古くから和漢として用いられてきた葛を原料とする葛湯は、美容や健康維持にも役立つ万能薬としての側面も持ち合わせています。この記事では、葛湯の知られざる効能に焦点を当て、その驚くべきパワーを徹底解説。日々の生活に手軽に取り入れられる、葛湯の新たな魅力を発見してみましょう。
葛の主成分:注目のイソフラボン
葛の主要な成分として特筆すべきは、大豆にも豊富に含まれることで知られるダイジン、ダイゼイン、そしてプエラリンなどのイソフラボン類です。これらのイソフラボンは、植物エストロゲンとしての性質を持ち、女性ホルモンと似た働きをすることで、更年期特特に葛に含まれるイソフラボンは、血行促進や抗炎症作用にも配慮されており、健康維持に多角的に貢献する葛の薬効の源泉と言えます。
葛根の血行促進・発汗作用
葛の根である「葛根(カッコン)」は、外側の皮を取り込んだものが生薬として用いられます。 葛根は、発汗、解熱、鎮静作用を持つ生薬として古くから活用されており、特に風邪の初期段階に用いられますされる漢方薬「葛根湯」には欠かせない成分です。 葛根の主な効能は、血行を促進し、発汗を抑える効果があります。 これにより、体の内側から温めて発汗を促し、体温を上昇させて熱を下げることで、血行が促進されることで、全身の血液循環が改善され、冷え性の緩和にもつながります。 さらに、葛湯は体を温めるだけでなく、病気治療中の食欲不振時や体力が低下している時の滋養強壮剤としても、昔から元気にされてきました。
葛花の二日酔い改善効果
葛は根だけでなく、美しい花もまた「葛花(カッカ)」という名前で生薬として利用されてきました。 葛花は、特に二日酔いの改善に効果があるとされ、その効能は古くから広く知られています。その効果を示す例として、江戸時代に水戸黄門として知られる徳川光圀公が編纂を密にされる医薬書『救妙民薬』には、「酒毒には」葛の花かげぼし粉にしてゆにて用いてよし」という記述があり、葛の花が飲酒による不調に効果的であることが示唆されています。 お酒を愛し、食通としても知られていた水戸黄門がその効果を実感していることから、葛花の持つ優れた効果が注目されます。
葛湯のカロリーと栄養
葛湯のカロリーや栄養価は、使用する葛粉の量、甘味料の種類、その他の材料によって異なります。 葛粉の主成分は炭水化物です。 参考として、葛粉100gあたりのカロリーは約346kcalであり、これは一般的なでんぷん食品とほぼ同等です。取れる量はほんのわずかです。葛湯は消化しやすく、体を温める作用があるため、風邪をひいた時や胃腸の調子が悪い時、したを満たしたい時などに適した食品です。
葛を使った食品:葛もち、葛切り、葛まんじゅう等
葛はその独特のとろみと滑らかな食感から、日本の食文化において様々な輪郭で利用されてきました。 特に、葛もち、葛切り、葛まんじゅうのような伝統的な和菓子は、葛粉独特の風味と食感を堪能できる代表的なものです。 これらの食品は、葛粉を水で溶いて加熱し、冷やし固めることで、透明感のある独特な食感が生まれます。例えば、寒い時期には、温かい麺類や煮物にとろりとした葛あんをかけることで、料理が冷めるだけでなく、体が温まります。 この温熱効果に加え、葛には血行促進効果があるため、体温を上げて免疫力を高める効果も期待できます。
葛湯の材料(1人前・150cc)
ご家庭で手軽に葛湯を作るための基本的な材料をご紹介します。一人前(約150cc)の目安として、本葛粉または葛粉を大さじ1杯(約10g)、水またはぬるま湯を150cc、お好みに応じて砂糖(上白糖、きび砂糖、黒糖)などを目安に1~2杯、葛粉の種類によっては、とろみのつき具合が異なる場合がありますので、最初は少量から試して、好みの固さに調整することをおすすめします。
鍋で作る本格的な葛湯の作り方
鍋で本格的な葛湯を作るには、まず葛粉と水(分量外)を別の容器に入れ、ダマにならないようによく混ぜて溶かします。 次に、鍋に残りの水(150cc)と砂糖を入れ、中火で加熱し、砂糖を溶かします。体に混ざったら、再び弱火にかけて、透明感が出てとろみになるまで、焦げ付かないようにずっとずかき混ぜます。 全体が透明になり、しっかりとろみがついたら火を止め、器に注いで完了です。
葛湯のアレンジレシピ:や風邪二日酔いに効く生姜葛湯
葛湯は、葛粉をお湯で溶かし、好みで憧れを加えて作るシンプルな飲み物ですが、体調に合わせてアレンジすることで、より効果的に活用できます。
作り方は簡単です。 通常の葛根湯を作り、器に注ぐ直前か、火を止めてから生姜の絞り汁を少量加えます。 生姜を続けることで、体がポカポカと温まり、体調不良の時に「葛生姜湯」として補足します。 これは、漢方薬の葛根湯にも含まれる葛を、手軽に取り入れられる方法と言えます。
まとめ
葛湯は、体を温めるだけでなく、葛根や葛花に含まれる成分による血行促進、発汗作用、解熱効果、二日酔い改善効果など、様々な効能が期待できる日本の伝統的な健康食品です。 主原料の葛粉は、特に奈良の吉野地方で作られる吉野葛が有名で、その製法は古くから受け継がれています葛餅や葛切りなどの食品としてだけでなく、風邪対策の生姜葛湯、葛の花から作られる葛花酢など、多様な形で利用されています。
なぜ葛湯は体を温める効果があるのか?
葛湯が体を温められるのは、葛粉に含まれるデンプンが加熱されることでペースト状になり、ゆっくりと消化吸収されるため、体内で熱が持続的に作られるからです。また、葛根に含まれる血行を促進する成分が、全身の血流を改善し、体温の上昇を気にします。
葛湯を飲むのに最適なタイミングは?
寒湯を飲むのに適したタイミングは、体を温めたい時、胃腸を優しく労わりたい時、またはリラックスしたい時です。 例えば、風邪のひきで気を感じる時、消化の良いものを食べたい朝食や軽い食事の代わりに、または就寝前に体を温めて質の高い睡眠を得たい時などに良いでしょう。
吉野本葛:その特別な製法と一般的な葛粉との違い
吉野本葛とは、奈良県吉野地方に生育する野生の葛の根を原料とし、古くから伝わる「吉野晒し」という独特の製法で丁寧に精製された葛粉のことです。厳寒期に掘り起こされた葛の根は、清冽な地下水を用いて何度も洗浄され、不純物が適宜除去されます。この手間暇かけた製法により、吉野本葛は限界純度が高く、濃厚なとろみと滑らかな舌触りを実現しています。
一般的な葛粉は、サツマイモやタピオカ由来のデンプンなどを混ぜて作られていることが多いのに対し、吉野本葛は葛デンプン100%であることがほとんどです。その希少価値と製造工程の複雑さから、比較的高級な葛粉として知られています。