甘酸っぱくてジューシーなキウイフルーツは、ビタミンCや食物繊維が豊富で、美容と健康をサポートしてくれる人気のフルーツです。この記事では、キウイフルーツの特徴や栽培方法、収穫時期など解説します。旬のキウイフルーツを味わい尽くしましょう!
キウイフルーツとは
キウイフルーツは、その独特な風味で親しまれている果物です。原産地は中国で、日本においては「キウイ」という名称で広く知られています。そのルーツは中国に自生するサルナシにあり、ニュージーランドで品種改良が行われた結果、現在のようなキウイフルーツへと進化しました。多種多様な品種が存在するキウイフルーツの中でも、特に人気が高いのは、鮮やかな緑色の果肉を持つ「ヘイワード」です。近年では、果肉が黄金色の「ゴールデンキウイ」や、赤みがかった「レインボーレッド」など、バラエティ豊かな品種が市場に出回っています。生物学的には、キウイフルーツはマタタビ科マタタビ属に分類され、オニマタタビやシマサルナシといった別名も持っています。
キウイフルーツの品種
キウイフルーツには様々な品種が存在しますが、果肉の色によって大きく緑系、黄色系、赤系の3つに分類できます。品種ごとに甘さや酸味のバランスが異なるため、ご自身の好みに合った品種を選んで栽培を楽しむことができます。
緑系:ヘイワード
世界で最も広く栽培されている緑色の果肉を持つキウイフルーツの代表的な品種です。果実のサイズが大きく、貯蔵性に優れているため、収穫後すぐに冷蔵庫に入れれば、およそ半年間もの長期保存が可能です。また、病気に対する抵抗力も高く、比較的育てやすい品種として知られています。メス木のヘイワードを栽培する際には、受粉樹としてオス木の「トリム」を近くに植えるのがおすすめです。
黄色系:ゼスプリゴールド
黄色系キウイ(ゴールドキウイ)の主な品種は『ゼスプリゴールド(ホート16A)』です。果肉は鮮やかな黄色で、甘さと酸味のバランスがとれています。受粉樹としては、「孫悟空」や「ロッキー」といった雄木が推奨されます。
赤系:レインボーレッド(紅妃:こうひ)
果肉が美しい赤色を帯びた、生産量が非常に少ない希少価値の高い品種です。静岡県富士市でキウイフルーツを栽培している小林利夫氏によって開発され、現在は主に静岡県と福岡県で栽培されています。レインボーレッドは、通常のキウイフルーツと比較して小ぶりで、表面に産毛がないのが特徴です。糖度は17度前後と非常に高く、酸味が少ないため、お子様にも食べやすいと評判です。赤色系品種を代表するレインボーレッドは、開花時期が早いため、極早生の雄木を受粉樹として選ぶのが最適です。
キウイフルーツの育て方のポイント:栽培環境
キウイフルーツは太陽光を好むため、庭植えする場所や鉢植えを設置する場所は、日当たりが良く、風通しの良い場所を選びましょう。用土は水はけの良いものであれば特に選ぶ必要はありませんが、土壌のpHは弱酸性から中性が適しています。
キウイフルーツの苗の選び方
キウイフルーツは、雄株と雌株が別々の木であるため、受粉させるには両方の木を用意する必要があります。また、雄株と雌株の開花時期が合わないと受粉できないため、苗木の組み合わせは非常に重要です。相性の良い組み合わせをいくつかご紹介しますので、苗を選ぶ際の参考にしてください。
キウイフルーツを育てるための土作り
キウイフルーツの生育に適した土作りの方法を、庭植えと鉢植えの場合に分けて解説します。
庭植え(地植え)の土作り
キウイフルーツを庭や畑に地植えする場合は、植え付けの2週間ほど前から土作りを開始します。まず、耕した土1平方メートルあたりに苦土石灰を200g混ぜ込み、2週間ほど寝かせます。植え付けの際には、腐葉土と堆肥を混ぜ合わせ、さらに、効果が約2年間持続する緩効性肥料を元肥として土に混ぜ込んでください。これで土作りは完了です。
鉢植えの用土準備
キウイを鉢で育てる際は、水捌けの良い土壌を選ぶことが大切です。手軽に入手できる市販の果樹専用培養土や園芸用土が便利でしょう。オリジナルブレンドに挑戦する場合は、小粒の赤玉土と腐葉土を7対3の割合で混ぜ合わせるのがおすすめです。植え付け時には、効果が約2年間続く緩効性肥料を元肥として土に混ぜ込んでください。
キウイの苗の植え付け
キウイの植え付けに適した時期は、一般的に10月から12月頃です。ただし、寒さが厳しい地域では、4月以降の植え付けが良いでしょう。キウイは雌雄異株であるため、実を収穫するにはオス木とメス木をセットで植える必要があります。そのため、2本分の栽培スペースを確保しておくことが重要です。
庭植えの方法
庭にキウイを植える場合は、オス木とメス木の間隔を3mから10m程度空けて植え付けます。必ずしも隣接して植える必要はありませんが、間隔が10mを超えると受粉が難しくなる可能性があるため、注意が必要です。
鉢植えの方法
鉢植えの場合は、オス木とメス木をそれぞれ別の鉢やプランターに植え、受粉を考慮して3mから10mの範囲内に配置しましょう。
誘引
キウイフルーツは、その生育特性から、つるの伸びる方向を整える誘引作業が欠かせません。誘引とは、つるや枝を支柱や棚などに固定し、生育をサポートする作業です。庭植え、鉢植えに関わらず、苗木の植え付け後に行いましょう。庭植えでは、一本の幹を高く伸ばす「棚仕立て」、鉢植えではリング状の支柱を用いる「あんどん仕立て」が一般的です。あんどん仕立ては、ある程度成長してから移行するため、植え付け直後は仮の支柱を立てておくと良いでしょう。
キウイフルーツの水やり
キウイフルーツは乾燥を嫌うため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることが大切です。庭植えの場合、通常は自然の降雨で十分ですが、乾燥が続く際は水やりを検討しましょう。
庭植えの水やりのポイント
庭植えの場合、土中の水分を吸収できるため、基本的に水やりは不要です。ただし、晴天が続く場合は、土壌の乾燥具合を見て適宜水を与えてください。新しく伸びた枝が垂れ下がっている場合は、水不足のサインかもしれません。
鉢植えの水やりのポイント
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。特に夏季は乾燥しやすいため、朝夕2回程度の水やりが必要です。日中の水やりは土中の温度を上昇させる可能性があるため、涼しい時間帯に行うのがおすすめです。
キウイフルーツの施肥
キウイフルーツの生育をサポートする肥料を与えるタイミングは、露地栽培と鉢植えで若干異なります。それぞれの栽培方法に最適な時期に肥料を施すことが大切です。
露地栽培での施肥
庭などにキウイフルーツを植えている場合は、冬の始まりから終わりにかけて、寒肥として堆肥などの有機質肥料を施します。有機質肥料は、土壌改良効果と肥料効果を兼ね備え、土中の微生物の活動を活発にします。土を軽く耕しながら肥料を混ぜ込み、土と肥料がよく混ざるようにしましょう。追肥は、夏の盛りと秋の始まりの頃に、有機成分を配合した肥料を与えます。このような肥料は、即効性のある成分と緩効性の有機質をバランス良く含み、安定した効果が長期間持続します。
鉢植えでの施肥
春の始まりから梅雨入り前までの期間に、キウイフルーツの生育が思わしくない場合は、初期の栄養補給として緩効性肥料を土に混ぜ込みます。秋の深まりを感じる頃になったら、追肥として置き肥を施しましょう。
キウイフルーツの剪定と仕立て
キウイフルーツは、つるをどんどん伸ばして成長するため、枝が密集しすぎたり、無駄に伸びすぎたりした場合は剪定が必要です。さらに、伸びたツルや枝を支柱に固定し、棚仕立てにすることで、より効率的な栽培を目指しましょう。
整枝・剪定
キウイフルーツは非常に生育旺盛で、一年で5~6メートルも枝が伸びることがあります。そのままにしておくと、棚全体が蔓で覆われ、日当たりや風通しが悪化してしまいます。そのため、伸びすぎた枝を中心に剪定を行うことが重要です。剪定の適期は1~2月頃で、徒長枝や、日光を遮るような枝を選んで切り落とします。枝が密集している箇所は、風通しを良くするために間引き剪定を行いましょう。剪定後の理想的な状態は、棚の側面から木漏れ日が差し込む程度です。
庭植えにおける仕立て方
庭植えの場合は、伸びてきた蔓や枝を誘引し、棚仕立てにしていきます。棚に誘引した後、主枝と第二主枝から新たな枝が生えてきますが、棚の下から出てくる枝はすべて根元から切り取ってください。生育が進むにつれて棚全体が込み合ってくるため、風通しを維持できるよう、適宜剪定を行いましょう。
鉢植えにおける仕立て方
植え付け時に使用した仮支柱を取り外し、あんどん仕立て用のリング支柱に交換します。支柱を交換するタイミングは、植え付けの翌年3月頃が目安となります。
キウイフルーツの増やし方
キウイフルーツは挿し木で増やすことができます。元気の良い枝を選んで切り取り、育苗トレイなどで育成します。
挿し木
キウイフルーツの苗を増やす方法として、挿し木があります。挿し木には、休眠している前年の枝を使う「休眠枝挿し」と、その年に伸びたばかりの若い枝を使う「緑枝挿し」の2種類があります。一般的に、緑枝挿しのほうが成功しやすいと言われていますので、初めてキウイフルーツの挿し木に挑戦する方には緑枝挿しをおすすめします。
キウイフルーツ栽培の管理
美味しいキウイフルーツを収穫するためには、果実にしっかりと栄養を届けるための手入れが不可欠です。ここでは、キウイフルーツ栽培に必要な作業と、具体的な管理方法について解説します。
摘芯
キウイフルーツは生育が旺盛で、枝や蔓がどんどん伸びていきます。そのため、花や果実に養分を集中させるために摘芯という作業が必要になります。摘芯の方法は、1つの枝につきおよそ15節を残し、それより先の部分の枝や成長点を切り詰めます。また、込み合っている部分や、勢いよく伸びすぎている徒長枝があれば、一緒に切り取っておくと、後の剪定作業が楽になります。
人工授粉
キウイフルーツは、通常5月頃に開花を迎えます。より確実な結実を促すために、人工授粉を行うのがおすすめです。雌花の開花後3日間が受粉に最適な時期とされています。この期間中に、雄花から採取した花粉を、筆などを使用して丁寧に雌花の柱頭へ付けてください。もし、雌木と雄木の開花時期がずれてしまった場合は、市販されているキウイフルーツ専用の受粉用花粉を利用することも可能です。
摘果・摘蕾
キウイフルーツは自然に落果する量が少ないため、全ての果実をそのままにしておくと、小ぶりな果実ばかりになってしまうことがあります。そのため、蕾の段階で摘蕾を行い、1本の枝につける蕾の数を2~4個程度に減らすことが重要です。キウイフルーツは開花後に急速に果実が成長するため、果実の数を調整するには、摘果よりも摘蕾の方が効果的です。その後、果実が成長し始めたら、生育の悪い果実や傷のある果実を取り除く摘果を行います。目安として、1本の枝につき1~3個程度まで数を減らし、残った果実の確実な成長を促しましょう。
キウイフルーツの収穫適期
キウイフルーツの収穫に最適な時期は、おおよそ11月中旬頃です。12月に入ると霜が降りる可能性もあるため、できる限り11月中に収穫を終えるように計画しましょう。収穫する際には、果実を傷つけないように注意し、ハサミなどを使用して丁寧に茎から切り離してください。果実に傷がつくと、そこから熟成が進み、長期保存が難しくなる原因となります。
キウイフルーツの追熟の方法
キウイフルーツは収穫後すぐに食べられるわけではなく、一定期間の追熟が必要です。木に実ったままの状態では、熟成が完了する前に萎れてしまうことがあるため、収穫後に適切な追熟を行うことが大切です。追熟の方法としては、ビニール袋の中にキウイフルーツとリンゴやバナナを一緒に入れ、袋の口をしっかりと閉じておきます。リンゴやバナナは、果物の熟成を促進するエチレンガスを豊富に放出するため、キウイフルーツの追熟に非常に効果的です。キウイフルーツ10個に対し、リンゴまたはバナナを1個入れ、1~2週間ほどかけて追熟させます。キウイフルーツを触ってみて、少し柔らかくなってきたら食べ頃です。
キウイフルーツの病害虫
キウイフルーツは、果実に繊毛があるため、比較的害虫の被害を受けにくいとされています。しかし、葉が吸汁されると生育に影響を及ぼす可能性があるため、病害虫を発見したら速やかに対応することが重要です。
カメムシ
カメムシは、特有の臭いを放つことで知られ、植物の汁を吸って害を与える虫です。キウイフルーツの若い芽がカメムシに吸汁されると、茎や葉の健全な成長が阻害されることがあります。また、果実が吸汁されると変形したり、落下するリスクもあるため、カメムシを見つけたらすぐに駆除することが大切です。カメムシの姿が見えなくても、軽く木を揺らすと落ちてくることがあるので試してみましょう。
カイガラムシ
カイガラムシは、植物の汁を吸い、生育に悪影響を与える害虫です。大量に発生するとキウイフルーツが枯れてしまうこともありますので、発見次第、迅速な駆除が必要です。ただし、カイガラムシは硬い殻に覆われているため、殺虫剤の効果が出にくい場合があります。歯ブラシなどでこすり落とすなど、物理的な方法で確実に除去することが推奨されます。
まとめ
キウイフルーツの栽培は、正しい知識と適切な管理を行うことで、初心者の方でも十分に楽しむことが可能です。この記事を参考にして、ぜひご自宅で美味しいキウイフルーツを育ててみてください。健康にも美容にも良いキウイフルーツを、自分の庭で収穫する喜びを体験しましょう。栽培を通して、自然とのつながりを感じ、豊かな実りを享受してください。
質問1:キウイフルーツ栽培で2本の木が必要なのはなぜですか?
回答:キウイフルーツは、雄株と雌株が別々の木に存在する植物です。そのため、果実を収穫するためには、花粉を出す雄株と、受粉して実を結ぶ雌株の両方を植える必要があります。雄株の花粉がなければ、雌株は実をつけることができません。
質問2:キウイフルーツの剪定に適した時期はいつですか?
回答:キウイフルーツの剪定は、植物が休眠状態に入る冬、具体的には1月から2月頃に行うのが理想的です。この時期の剪定は、キウイフルーツへの負担を軽減し、春からの生育をより良くする効果が期待できます。
質問3:キウイフルーツがなかなか熟さない時の対処法は?
回答:キウイフルーツを早く熟させるためには、エチレンガスを発生させるリンゴやバナナと一緒に、ビニール袋などに入れて密封するのが効果的です。さらに、温度が高いほど追熟が早まるため、暖房の入った部屋などに置いておくと、より早く熟すでしょう。