秋の恵みとして親しまれる木の実。実は、私たちの身近な場所にも食べられる木の実がたくさん存在します。庭先で育てられる果樹はもちろん、道端や公園で見かける木にも、美味しく食べられる実がなっているかもしれません。この記事では、知っておくと役立つ、食べられる木の実の種類と、その活用方法をご紹介します。安全に楽しむための注意点も解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
春から初夏に楽しめる食べられる木の実
春の終わりから夏の始まりにかけては、甘酸っぱいベリー類や個性的な木の実が実りの時期を迎えます。これらの実は、そのまま食べるのはもちろんのこと、ジャムや果実酒といった加工品としても楽しまれ、その時期ならではの自然の恵みを堪能できます。
マルベリー(桑の実)
マルベリー、別名桑の実は、クワ科クワ属の落葉樹に実る果実です。4月中旬頃から白い実をつけ始め、徐々に赤みを増し、十分に熟した6月頃が食べ頃となります。かつて日本で養蚕が盛んだった頃、桑の木は広く栽培されており、その名残で現在でも桑の並木道を見かけることがあります。養蚕とは、蚕を育て、桑の葉を与えて繭を作らせ、その繭から絹糸を生産する産業です。マルベリーが旬を迎える頃には、子供たちが実を摘むのを楽しみにしている家庭も少なくありません。ジャムやソース作りのために熱心に摘んだり、子供たちが夢中でそのまま食べたりする風景が見られます。マルベリーの果汁は非常に濃く、衣服や手に付着すると鮮やかな赤紫色に染まってしまうため、摘む際には注意が必要です。
クサイチゴ
クサイチゴは、日当たりの良い、または半日陰の環境を好む、日本各地の山野に自生する野生のイチゴです。草丈は低いものの、愛らしい白い花を咲かせ、その後、鮮やかな赤色の実をつけます。口に含むと、甘くてみずみずしく、種子のプチプチとした食感が特徴的です。摘み取ってそのまま生で食べるのが一番のおすすめです。
ナワシロイチゴ
ナワシロイチゴは、稲作の準備段階である苗代を作る時期に実を結ぶことが名前の由来となっています。鮮やかな赤色に熟した果実は、口に含むと甘みが広がり、プチプチとした食感が楽しめます。家庭の庭にも植えられており、初夏の訪れを告げる果樹として親しまれています。
ナツグミ
ナツグミも、田植えの時期に実が赤くなることから名付けられました。特有の甘酸っぱさを持つ果実で、そのまま食べるのはもちろん、ジャムや果実酒に加工するのもおすすめです。日本の自然に自生していることが多く、比較的容易に育てられる庭木としても知られています。
ジューンベリー
ジューンベリーは、その名の通り6月頃に実が熟します。初夏には白い可愛らしい花を咲かせ、その後、濃い赤色から黒色に近い色へと変化する美しい実をつけます。生でそのまま食べられる他、甘酸っぱい風味を活かして、果実酒やジャム、パイの材料など、多様な用途で楽しむことができます。庭のシンボルツリーとしても人気があり、鳥たちが実を啄ばみに来る姿も見られます。
ユスラウメ
ユスラウメは、直径1cmほどの小さなサクランボのようなかわいらしい実が特徴です。赤く熟した実は見た目にも美しく、口に含むと甘くてみずみずしい味わいが広がります。初夏のデザートとして楽しまれています。庭木としても育てやすく、観賞用としても食用としてもその魅力が発揮されます。
ラズベリー
フランボワーズの名でも知られるラズベリーは、バラ科キイチゴ属の果実です。鮮やかな赤色に熟した果肉は、甘さとみずみずしさを兼ね備え、特有の芳醇な香りが特徴です。そのまま食べるのはもちろん、ジャムやムース、タルトなどの材料としても重宝され、お菓子作りの幅を広げてくれます。比較的育てやすいことから、家庭菜園でも親しまれています。
ブラックベリー
ブラックベリーは、熟すと黒色になるキイチゴの一種です。その見た目とは裏腹に、果実はみずみずしく甘く、程よい酸味がアクセントになっています。ラズベリーと同様に、生食、ジャム、ジュース、デザートなど、様々な用途で利用されています。また、アントシアニンを豊富に含んでいることから、健康食品としても注目を集めています。
ヤマモモ
ヤマモモは、日本各地の山地に自生する常緑高木です。初夏に実る赤い果実は、甘酸っぱい味が特徴ですが、大きな種が含まれているため、食べる際には注意が必要です。生で食べるだけでなく、果実酒やジュース、ジャムなどに加工することで、独特の風味を楽しむことができます。美しい樹姿から、庭木や公園木としても利用されています。
フサスグリ
レッドカラントとも呼ばれるフサスグリは、小さな赤い実が房状に連なるベリーです。強い酸味が特徴で、生食には向きませんが、ジャムやゼリー、果実酒、ソースなどに加工することで、その酸味が料理やお菓子に奥深さと彩りを添えます。特にフランス料理では、ソースやデザートの材料としてよく用いられています。
ブルーベリー
ブルーベリーは、ツツジ科の植物で、特徴的な青紫色の実をつけます。アントシアニンという成分が豊富に含まれており、目の健康に良いとされ、健康志向の高い方々に広く支持されています。実は甘酸っぱく、そのまま食べるのはもちろん、ジャムや焼き菓子、ヨーグルトの彩りとしても最適です。ブルーベリーを栽培する際は、異なる品種を рядомに植えることで、受粉が促進され、収穫量が増えることが期待できます。酸性の土壌を好む性質があります。
秋に楽しめる食べられる木の実
秋は収穫のシーズンであり、様々な木の実が旬を迎えます。栄養価が高く、風味豊かな木の実や果物が豊富に出回り、食生活を豊かにしてくれます。日本ならではの秋の味覚から、健康に良いとされる海外の果物まで、秋に味わえる様々な木の実をご紹介します。
ザクロ
ザクロは、秋に実る果実が宝石のように美しい落葉高木です。硬い皮の中に、ルビー色をした果肉が詰まっており、その見た目も楽しめます。果肉はジューシーで甘く、独特の香りが楽しめます。生で食べるだけでなく、ジュースやリキュールなどにも加工されます。古くから健康や多産のシンボルとして親しまれてきた歴史があります。
ヤマボウシ
ヤマボウシは、初夏に白い花を咲かせ、秋になると赤い実をつけます。その実は見た目にも可愛らしく、食用としても楽しむことができます。果肉はシャリシャリとした食感が特徴で、強い甘みがあります。生食はもちろん、ジャムや果実酒にしても美味しくいただけます。庭木としても人気があり、四季折々の変化を楽しむことができるでしょう。
栗(クリ)
秋の味覚として広く親しまれている栗(クリ)は、日本人にとって馴染み深い存在です。硬い殻に包まれた中には、ほっくりとした甘みを持つ果肉があり、蒸したり焼いたり、栗ご飯やモンブランなど、様々な料理やスイーツに用いられます。栗の薄皮を剥くのは少し大変な作業ですが、その苦労の末に味わう栗(クリ)の美味しさは格別です。家庭菜園での栽培も可能で、秋には収穫の喜びを味わえます。
クランベリー
湿地を好むクランベリーは、つる性の植物で、細長い茎の先に小さな赤い実をつけます。その鮮やかな色味が特徴ですが、強い酸味があるため、そのまま食べるのには向きません。一般的には、ジャムやジュース、乾燥クランベリー、ソースなどに加工して食されます。特に北米では、感謝祭の七面鳥料理に添えられるソースとして有名です。また、利尿作用や膀胱炎の予防効果があると言われており、健康食品としても注目されています。
キウイフルーツ
キウイフルーツは、表面を覆う産毛と独特な形が印象的な果物です。皮をむくと、鮮やかな緑色の果肉が現れ、甘さと酸っぱさのバランスが絶妙で、さっぱりとした味わいが楽しめます。ビタミンCや食物繊維が豊富で、健康的な果物としても人気があります。収穫後、時間を置いて熟成させることで、より甘く美味しくなります。家庭では、棚やフェンスに這わせて育てることもできます。
ガマズミ
ガマズミは、秋になると赤い小さな実をたくさんつける美しい木です。その赤い実は見た目にも楽しめますが、強い酸味があるため、生で食べるのは難しいです。しかし、その酸味を利用して、ジュースや果実酒に加工すると、他にはない風味と美しい色合いが堪能できます。鳥たちが実をついばみにやって来ることも多く、庭に自然の趣をもたらしてくれます。
ムベ
ムベは、アケビ科のつる性常緑樹です。アケビとの大きな違いは、実が熟しても自然に裂けないこと、そして葉が一年を通して緑色を保つことです。かつては不老長寿の果実として重宝されたという伝説も残っており、その歴史的背景も魅力的な植物です。熟した果肉は甘く、独特の風味を楽しむことができます。
クコ
クコの実は、秋になると鮮やかな赤色に色づきます。昔から漢方薬や薬膳の材料として用いられており、滋養強壮や目の健康に良いとされています。一般的には乾燥した状態で販売されており、お粥やスープ、お菓子、お茶など、様々な料理に活用されます。家庭菜園でも育てやすく、健康志向の方々に親しまれています。
初夏から夏にかけて楽しめる実のなる木
緑が生い茂る季節、庭先を彩るのは色とりどりの実をつけた木々です。ここでは、食用には適さないものの、その美しい実の姿で涼やかさと活力を添えてくれる観賞用の実のなる木をご紹介します。庭のシンボルツリーやアクセントとして親しまれている木々をご覧ください。
アオハダ
夏になると、枝いっぱいに鮮やかな赤色の実をつけるアオハダは落葉高木です。葉が落ちた後も赤い実が長く残るため、冬の庭に彩りを添えてくれます。雌株にのみ実がなり、その緑色の樹皮が名前の由来となっています。庭木としてはもちろん、自然な雑木林を再現する樹木としても人気です。
サンゴジュ
サンゴジュは、名前が示す通り、まるでサンゴのような鮮やかな赤い実をブドウのようにたくさん実らせる常緑低木です。その特徴的な実の色と形から名付けられました。夏から秋にかけて、鮮烈な赤色の実が庭や公園の風景を美しく彩ります。防火樹としても利用されることがあります。
サネカズラ(ビナンカズラ)
秋から冬にかけて、赤い粒状の果実をたくさんつけるサネカズラ(ビナンカズラ)はつる性の植物です。かつて男性が整髪料として利用したことから「美男葛(ビナンカズラ)」という別名があります。落葉後も実が残り、冬の庭のアクセントになります。パーゴラやフェンスに絡ませることで、趣のある景観を作り出すことができます。
秋を彩る実のなる木々
秋といえば、紅葉の美しさはもちろんのこと、庭や自然の中で見かける様々な色の実もまた、この季節ならではの楽しみです。観賞用として、その美しい姿で私たちを楽しませてくれる実のなる木々。その実は食用には適さないものの、鮮やかな色彩や、鳥たちの食料となることで、自然の営みを感じさせてくれます。ピンク、紫、黒、赤といった多種多様な色の実が、秋の景色に奥行きと彩りを添えてくれるでしょう。
シロヤマブキ
シロヤマブキは、春から初夏にかけて可憐な白い花を咲かせ、秋には趣深い黒色の実をつけます。この黒い実は、その落ち着いた風情から茶花としても愛され、日本の美意識を感じさせます。ひっそりと咲く姿は、日本の庭にしっとりとした雰囲気を添える落葉低木として親しまれています。落葉後も実が比較的長く残るため、秋冬の季節にも観賞価値が高いのが魅力です。
コムラサキ
コムラサキは、秋になると枝いっぱいに小さな薄紫色の実をつける落葉低木です。一粒一粒は小さいながらも、群生して実ることで、ひときわ目を引く華やかさがあります。ムラサキシキブとよく似ていますが、コムラサキの方が実の付き方が密で、枝に沿ってびっしりと実をつけるのが特徴です。庭木や盆栽としても人気が高く、秋の庭を優雅に彩ります。
ムラサキシキブ
ムラサキシキブは、秋に紫色の小さな実を付ける落葉低木です。その名前は、平安時代の女流作家、紫式部に由来するとも言われ、その上品な色合いが魅力です。コムラサキに比べると実の付き方はやや控えめですが、それが自然な風情を感じさせます。庭に植えれば、秋の庭に落ち着いた美しさと、洗練された和の趣をもたらしてくれるでしょう。
マユミ
秋の庭を彩るマユミは、ピンク色の果実が四つに分かれ、中から現れる鮮やかな朱色の種子が印象的な落葉高木です。その独特な実の形状と鮮やかな色彩は、見る人々を魅了します。かつて弓の材料として重宝されたことから、その名が付けられました。美しい紅葉も楽しめるため、秋の庭園において主役級の存在感を放ちます。
ツリバナ
ツリバナは、まるで吊り下げられたように果実を実らせる落葉低木です。秋が深まると、ピンク色の果皮が裂け、中から顔を出すオレンジ色の種子が、愛らしいアクセントを加えます。その姿は、まるで小さな提灯が揺れているかのようで、秋の庭に独特の美しさと遊び心をもたらします。
ツルウメモドキ
ツルウメモドキは、他の樹木や建造物に絡みつきながら成長し、鮮やかな実を付けるつる性の植物です。秋になると、黄色い果皮が弾け、中から現れる赤い種子のコントラストは、息をのむほどの美しさです。リースやフラワーアレンジメントの素材としても人気があり、秋の室内装飾に自然の彩りを添えます。その野性味あふれる姿が魅力です。
ゴンズイ
ゴンズイは、個性的な実をつける落葉高木です。秋には、赤く熟した果皮が裂け、中から光沢のある黒い種子が顔を出す様子が目を引きます。比較的背の高い木なので、山野を散策する際には、少し上を見上げて探してみると良いでしょう。葉や樹皮にも特徴があり、自然観察の面白さを広げてくれる存在です。
クサギ
クサギは、その名の通り、葉や枝を傷つけると独特のにおいを放つことから名付けられました。しかし、秋に実る果実は、目を奪われるような鮮やかな青紫色で、それを包む赤い萼との美しいコントラストは、まるで宝石のようです。この意外性こそがクサギの魅力であり、観賞樹として親しまれています。
コナラ
コナラといえば、子どもたちにも馴染み深いドングリの一種です。秋が深まり、葉が落ち始める頃になると、たくさんのドングリを実らせます。ドングリは、多くの野生動物にとって貴重な食料となり、自然界の生態系を維持する上で重要な役割を果たしています。庭木として植えれば、里山のような自然な風景を演出し、四季折々の変化を楽しむことができます。
サンキライ(サルトリイバラ)
サンキライ、別名サルトリイバラは、秋から冬にかけて赤い実をつけるつる性の植物で、その愛らしい姿が特徴です。葉の形も個性的で、昔から生け花やクリスマスのリースなどにも使われてきました。名前が示すように、茎には鋭いトゲがあるので、扱う際には注意が必要です。自然な美しさが魅力の植物です。
シキミ
シキミの実は、香辛料として知られるスターアニス(八角)とよく似た形をしています。外見は似ていますが、シキミの果実には有毒な成分が含まれており、誤って口にすると中毒症状を引き起こす危険性があります。そのため、絶対に食べないように注意してください。日本では古くから仏事で使用される植物ですが、その毒性については十分に理解しておく必要があります。
ノイバラ
野原や道端でよく見かけるノイバラは、秋になると小さな赤い実をたくさんつけます。原種のバラであり、その実は目立つほど大きくはありませんが、まとまって実る姿は愛らしいものです。自然な風情があり、生け花やドライフラワーの材料としても親しまれています。
オトコヨウゾメ
秋の庭を鮮やかに彩るオトコヨウゾメは、赤い実が特徴的な落葉低木です。葉が落ちた後も赤い実は枝に残り、冬の庭に彩りを添えます。その実は野鳥にも人気があり、庭に植えることでバードウォッチングも楽しめるかもしれません。自然な雰囲気の庭づくりにも適しています。
カクレミノ
独特な葉の形と黒い実が印象的なカクレミノは、一年を通して緑を保つ常緑高木です。幼木の時は葉に切れ込みがありますが、成長するにつれて切れ込みのない葉へと変化します。一年中葉が生い茂るため、目隠しや生垣として利用されることもあります。秋から冬にかけて熟す黒い実は、庭に落ち着いた雰囲気をもたらします。
シルバープリペット
春に芳香のある白い花を咲かせ、秋には黒い実をつけるシルバープリペットは、半常緑の低木です。銀色がかった緑色の葉が特徴で、庭を明るく見せる効果があります。黒い実は白い葉との美しいコントラストを生み出し、観賞用としても高く評価されています。生垣や他の低木との寄せ植えにも適しています。
冬を彩る実のなる木々
冬の庭は、多くの植物が葉を落とし、彩りが乏しくなりがちです。しかし、そんな中でも鮮やかな実をつけ、冬の寒さに負けずに庭を美しく飾ってくれる木々が存在します。赤や黒など、力強い生命力を感じさせてくれる冬の観賞用の実のなる木々をご紹介します。これらは、お正月の飾りやクリスマスの装飾にも用いられ、冬景色に暖かさを添えてくれます。
ソヨゴ
ソヨゴは、晩秋から冬にかけて鮮やかな赤色の実をつける常緑高木です。その名前は、葉が風にそよぐ様子に由来します。光沢のある葉は冬でも緑を保ち、その中に輝く赤い実がひときわ美しく映えます。シンボルツリーや庭木として人気があり、現代的な庭にも和風の庭にも調和します。
クロガネモチ
クロガネモチは、冬に枝の上部に赤い小さな実を豊富につける常緑高木です。光沢のある濃い緑色の葉も美しく、一年を通して観賞価値があります。「クロガネ」という名前が「金持ち」を連想させることから、縁起の良い木として庭木や公園樹としてよく植えられています。赤い実は、冬の鳥たちの貴重な食料源となります。
ネズミモチ
ネズミモチは、光沢のある濃緑色の葉と、冬に熟す黒色の実が印象的な常緑低木・高木です。その実はネズミの糞に似ていることが名前の由来とされています。丈夫で育てやすく、生垣や目隠し、公園樹として幅広く利用されています。黒い実は、冬枯れの景色の中でその存在感を際立たせます。
ピラカンサ
秋が深まると、ピラカンサは枝先に鮮やかな赤色の実をたくさんつけ、冬の庭を美しく彩ります。常緑低木であるピラカンサは、その実の豊富さと鮮やかな色彩で、見る人の目を楽しませてくれます。また、鋭いトゲを持つため、生垣や防犯対策としても利用されています。実を求めて様々な鳥が集まるため、冬の庭は活気に満ち溢れます。
ヤブコウジ
ヤブコウジは、高さが10~30cmほどの小さな常緑低木で、秋から冬にかけて、葉の陰に隠れるように可愛らしい赤い実をつけます。マンリョウやセンリョウと比べて、控えめに葉の下に実をつけるのが特徴です。日陰を好む性質から、庭のグランドカバーや日陰の庭に最適です。また、正月の飾りとしても使われることがあります。
セイヨウヒイラギ
セイヨウヒイラギは、クリスマスシーズンに赤い実をつけることで広く知られる常緑低木です。光沢のある濃い緑色の葉は、縁にトゲがあり、クリスマスの飾りとして親しまれています。赤い実と緑の葉のコントラストが非常に美しく、冬の庭を華やかに演出します。
センリョウ(千両)
センリョウは、正月の飾りとして親しまれている、冬に赤い実をつける常緑低木です。葉の上に実がつく独特の姿をしており、「千両」という縁起の良い名前から、昔から庭木や正月の飾りとして愛されてきました。日陰でも比較的育てやすく、日本の庭によく似合います。静かな冬の庭に、鮮やかな彩りと華やかさを添えてくれます。
ナンテン(南天)
ナンテンは、「難を転ずる」という語呂合わせから、縁起の良い植物として親しまれている常緑性の低木です。冬には、鮮やかな赤色の実を豊富に実らせ、雪景色の中でひときわ目を引きます。古くから、魔除けや厄除けの効果があると信じられ、庭に植えられることが多くありました。日本の伝統的な庭園によく似合い、お正月の飾りとしても重宝されています。
マンリョウ(万両)
マンリョウは、お正月の飾りとしてよく用いられる植物で、「万両」という名前の縁起の良さから、幸運を招くとされています。常緑性の低木で、葉の下に隠れるように赤い実をたくさんつけるのが特徴です。日陰でも育ちやすく、手入れが簡単なため、庭木や鉢植えとして人気を集めています。同じく縁起物とされる千両とともに、冬の庭を鮮やかに彩り、新しい年を迎える喜びを象徴します。
まとめ
実をつける木々や野草は、甘美な果実を私たちに与えてくれるだけでなく、美しい景観を創り出し、季節の移り変わりを教えてくれるなど、さまざまな魅力にあふれています。食用となる実や野草を実らせる木々は、収穫の喜びや手作りの味覚を味わう機会を与えてくれ、食育にも貢献します。一方で、観賞用の実をつける木々は、特に花の少ない冬の時期に鮮やかな色彩を添え、庭や公園の風景を豊かにしてくれます。さらに、鳥たちにとって大切な食料源となり、自然の生態系を身近に感じさせてくれる存在でもあります。この記事でご紹介した多様な実のなる木々や野草の中から、あなたの庭やライフスタイルに合ったお気に入りの植物は見つかりましたでしょうか。食べられるもの、見て美しいもの、それぞれに個性があります。一年を通して実のなる木々や野草を探したり、育てたりする楽しみが広がることを願っています。散歩をしながら、身近な自然の中に隠された魅力を発見する喜びをぜひ体験してみてください。
食べられる実のなる木や野草と、観賞用植物の見分け方は?
一般的に、スーパーなどで販売されている果物として広く流通しているものは、安心して食べることができます。しかし、自然に生えている木の実や野草には、毒性を持つものが少なくありません。外見だけで判断することは非常に危険です。特に、野山で見かける植物については、安易に口にしないようにしてください。専門家や植物図鑑などを参照し、種類をしっかりと特定し、食用として安全であることを確認することが不可欠です。シキミのように食用と間違えやすい有毒植物や、ツツジのように一部の種に強い毒性を持つものも存在します。確かな知識がない状態で口にすることは絶対に避けてください。
実のなる木や山菜を庭に植えたり、採取する時の注意点は?
実のなる木を庭に植える際には、その木が成長した後の高さや幅、根の張り具合を考えて、十分なスペースを確保することが大切です。また、日当たりや土の性質、水はけなど、それぞれの木に適した環境を整える必要があります。病気や害虫への対策、剪定の必要性、葉や実が落ちることによる掃除の手間も考慮しておくと良いでしょう。特に、ブルーベリーのように、受粉のために複数の品種を植える必要がある場合もあります。山菜を採取する際は、食べられる種類であることをしっかりと確認し、農薬が使われている可能性のある場所や、交通量の多い道路の近くは避けてください。自然を守るために、根こそぎ採らず、来年も楽しめるように少し残すことも大切です。また、マルベリーのように果汁が服や手につくと落ちにくいものもあるので、汚れても良い服装で行きましょう。土地の所有者に許可を取ることも忘れないようにしましょう。
季節ごとに味わえる、実のなる木や山菜はありますか?
春には、ツクシ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、スイバ、ミツバなどの山菜や、クサイチゴ、ユスラウメ、マルベリーなどが楽しめます。初夏から夏にかけては、ジューンベリー、ヤマモモ、ブルーベリー、カボスなどが旬を迎え、秋には、栗、ザクロ、キウイフルーツ、ユズなどが収穫できます。観賞用としては、初夏から夏にはアオハダやサンゴジュ、秋にはムラサキシキブやマユミ、冬にはソヨゴやナンテン、マンリョウなどが美しい実をつけ、一年を通して庭を彩ってくれます。
毒を持つ実や植物はありますか?食べられるツツジと有毒なツツジの見分け方は?
はい、シキミのように、見た目は綺麗でも毒性のある実をつける木や植物は存在します。シキミの実は、香辛料のスターアニスに似ていますが、食べると危険です。また、一般的に食べられるとされている木の実や植物でも、まだ熟していない状態や特定の場所に毒がある場合もあります。特にツツジは、よく見かける薄ピンクの品種の花の蜜は甘くて安全に食べられますが、鮮やかなオレンジ色のレンゲツツジや白くて可愛らしいホツツジなど、強い毒性を持つ種類があります。見た目だけで判断するのは大変危険なので、確実に食用だと確認できない植物、特に山で見かけるものは絶対に口にしないようにしてください。
ブルーベリーなどの果樹を育てるコツはありますか?
ブルーベリーは、酸性の土壌を好むため、ピートモスなどを混ぜて土壌を調整することが大切です。また、一般的に一つの品種だけでは実がつきにくいことが多いので、違う種類のものを2品種以上近くに植えることで、受粉を促進し、たくさん収穫できるようになります。適切な水やり、肥料、剪定も、豊作のためには欠かせません。日当たりの良い場所を選び、風通しを良くすることも、健康な生育につながります。