鏡餅の橙(だいだい)に込められた意味とは?飾りとその由来を徹底解説
お正月の飾りとしてお馴染みの鏡餅。その丸い形や白い餅には意味があることを知っていても、上に乗っている橙(だいだい)について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか? 実はミカンに似た橙には、家族の繁栄や長寿への願いが込められているのです。この記事では、鏡餅の飾りである橙に込められた意味や由来を徹底解説します。飾りの意味を知ることで、お正月飾りへの理解が深まり、より一層お正月を豊かな気持ちで迎えられるでしょう。

お正月のギモンを解明!鏡餅と飾りの知られざる意味

新年を迎える日本において、鏡餅は欠かせない存在です。お正月の風物詩として、多くの人々の記憶に深く刻まれています。家族で鏡餅を飾り、新年を祝うのは楽しい行事であり、鏡開きでいただくお餅は、新年の始まりを実感させてくれます。ところで、鏡餅の上に飾られている果物は、ミカンだと思っていませんか? 実は違うのです。ここでは、鏡餅の基本的な意味から、飾られている果物の正体、そしてお正月の伝統に込められた願いを紐解きます。古くから伝わる日本の風習には、先人たちの想いが込められており、それを知ることで、お正月をより深く理解し、日本の文化の奥深さを感じることができるでしょう。

鏡餅とは?年神様を迎える神聖な依り代とその役割

鏡餅は、単なる飾りではありません。新年に幸福をもたらす神様「年神様」を迎えるための、神聖な依り代(よりしろ)なのです。お正月行事の根本は、年神様を自宅にお迎えし、心を込めておもてなしをし、見送ることです。その際、年神様が御魂を留める場所として、鏡餅は不可欠なのです。鏡開きでいただくことで、私たちは年神様から新しい年を生きるための力、つまり魂をいただくという意味があります。この儀式を通して、家族は新たな力を得て、一年の健康と繁栄を願うのです。

鏡餅の「鏡」に込められた意味と歴史的背景

二段に重なった鏡餅は、現代の鏡とは異なり、「鏡」の要素が見当たりません。しかし、その名の由来は、古代の日本で用いられた丸い銅鏡にあります。丸い鏡は、太陽の光を受けて輝く姿から、太陽の神様「天照大神」に見立てられ、神様が宿る神聖な場所として、「三種の神器」の一つにも数えられてきました。つまり、鏡餅は、豊穣の象徴である稲の霊が宿ったお餅を、神様が宿る鏡に見立てて作られたものなのです。丸い形は円満を象徴し、家庭円満の願いが込められています。二段重ねであることにも意味があり、下段と上段のお餅を重ねることで、「福を重ねる」「円満に年を重ねる」といった願いが込められています。大小のお餅は、太陽と月を表し、「夫婦和合」の象徴としても大切にされてきました。鏡餅の形一つ一つに、家族の幸福と繁栄を願う想いが込められているのです。

鏡餅の上に飾る果物の真実:ミカンではなく「だいだい」である理由

鏡餅の上に飾られている果物は、ミカンと思われがちですが、古くからの習わしでは「橙(だいだい)」が用いられます。橙には、深い意味が込められています。橙は、冬に実が熟した後も、春になっても枝から落ちず、何年も木についたままになるという珍しい特徴があります。「実が落ちない」こと、そして名前が「代々」に通じることから、「家族が代々引き継がれ、長く繁栄する」「長寿である」といった願いが込められ、お正月には欠かせない縁起物として用いられてきました。普段あまり目にしない橙は、ポン酢やマーマレードなどの加工品に使われることが多いため、ミカンだと思っている方もいるかもしれません。しかし、家の永続的な繁栄と家族の長寿を願う想いが、この橙に込められているのです。

なぜ「だいだい」の代わりに「ミカン」が使われるようになったのか?その普及の背景

本来、鏡餅を飾る際に用いられるのは、特別な意味合いを持つ「だいだい」ですが、今日では、見た目が似ている「ミカン」が広く使われています。この変化には、いくつかの現実的な理由と時代の流れが影響しています。まず、「だいだい」はミカン科の果実ですが、主にポン酢やジャムなどの加工品として利用され、そのまま食べるには酸味が強すぎるという特徴があります。一方、「ミカン」は甘くて皮もむきやすく、誰もが気軽に楽しめる国民的な果物として親しまれています。さらに、「だいだい」と「ミカン」は色合いが似ており、鏡餅の上に飾るのにちょうど良い大きさであることも、「ミカン」が代替品として選ばれ、広まった大きな要因と考えられます。また、「だいだい色」という色の名前の由来となったのが橙であるにも関わらず、実際の果物としての「だいだい」を目にする機会が少ないことも、「ミカン」への置き換えが進んだ理由の一つかもしれません。このように、伝統的な縁起担ぎの意味は「だいだい」に根ざしていますが、入手しやすさや実用性を考慮して「ミカン」が広く普及し、現代のお正月の風物詩となりました。どちらの果物を使うにしても、その奥には家族の幸せと健康を願う、日本の美しい風習と深い愛情が込められています。また、暖冬の時期に、こたつで温まりながら甘いミカンを味わうという日本ならではの文化も、お正月をさらに豊かなものにしています。

まとめ

鏡餅は、新年の神様をお迎えするための大切な飾りであり、日本の伝統文化が息づいています。一般的にミカンを飾るイメージがありますが、本来は「橙(だいだい)」を用い、「代々」続く繁栄を願う意味が込められています。現代ではミカンで代用されることもありますが、家族の幸せを願う気持ちは変わりません。また、余ったお餅は、きなこ餅のように様々なアレンジで美味しく食べることができます。鏡餅の由来や意味を知った上で、鏡開きには今回ご紹介したレシピを参考に、お餅を様々なアレンジで美味しく味わってみてください。日本の伝統文化に触れ、家族みんなで健やかな一年を過ごしましょう。今年の正月は、鏡餅を飾り、お餅料理を囲んで、日本の文化を感じてみてはいかがでしょうか。

鏡餅の上にミカンではなく橙を飾る理由

鏡餅の上に飾る果物としてよく知られているのはミカンですが、伝統的には「橙(だいだい)」が用いられます。橙は、実が数年にわたって木から落ちないという特性を持ち、「代々」家が繁栄するように、そして長寿を願うという意味が込められています。縁起物としての願いが込められているのです。

鏡餅が二段重ねであることの意義

鏡餅が二段に重ねられているのは、「めでたさを重ねる」という意味合いがあります。また、上の餅は太陽、下の餅は月を表し、陰陽を表すことで「夫婦円満」を願う意味も込められています。家族の幸せを願う、奥深い意味が込められているのです。

鏡餅における「鏡」の意義とは?

鏡餅の名称にある「鏡」は、古来の丸い形をした銅鏡を意味しています。この丸い鏡が太陽の光を反射して輝く様子から、太陽神である天照大御神の象徴とされ、神聖な力が宿るものと考えられてきました。つまり、鏡餅とは、神様へのお供えであるお餅を、神様が宿る神聖な「鏡」に見立てたものなのです。

鏡餅を飾るのに適した時期は?

鏡餅を飾る時期として、一般的には12月28日が吉日とされています。「八」という数字が末広がりで縁起が良いとされるためです。12月29日は「二重苦」を連想させるため避けられ、12月31日に飾る「一夜飾り」は、年神様をお迎えするにあたり失礼にあたると考えられています。

鏡餅の飾り終え、食す時期はいつが良い?

鏡餅は、通常、松の内(1月7日、または地域によっては1月15日)まで飾り、その後「鏡開き」を行い、割って食します。鏡開きは、年神様が宿ったお餅をいただくことで、その一年の無病息災や幸福を祈願する重要な儀式です。刃物で切ることは縁起が悪いとされるため、伝統的には木槌などを用いて割ります。

鏡餅を食すことの意義とは?

鏡餅は、年神様が一時的に宿る場所と考えられています。鏡開きの際にそのお餅をいただくことで、年神様から新たな一年を生きるための生命力や活力を分けてもらう、すなわち「魂をいただく」という意味合いが込められています。


鏡餅 橙