春爛漫の四月。街を彩る桜の便りに心躍る季節となりました。この時期ならではの楽しみといえば、やはり「和菓子」ではないでしょうか。桜の香りを閉じ込めた桜餅、お花見のお供に欠かせない花見だんご。そして、古都・京都では、雅な意匠を凝らした美しい和菓子たちが、訪れる人々を魅了します。この記事では、四月を彩る様々な和菓子を通して、日本の美しい春を感じていきましょう。
桜餅:春の香りを包んで
桜の葉に包まれた「桜餅」は、見た目にも香りにも春を感じさせてくれる代表的な和菓子です。関東では小麦粉を薄く焼いた生地でこし餡を包んだ「長命寺」、関西では道明寺粉を蒸した生地で粒餡を包んだ「道明寺」が一般的です。どちらも桜の葉の塩気とあんこの甘さが絶妙にマッチし、春の味覚を満喫できます。葉ごと食べるかどうかは好みによりますが、葉の香りが全体に移ることで、春の息吹を感じることができるでしょう。
花見だんご:三色の春を味わう
お花見には欠かせない「花見だんご」は、白・桃色・緑の三色が並ぶ可愛らしいお団子です。白は雪の名残、桃色は桜、緑は新緑を表しており、春の移ろいを象徴しています。もちもちとした食感にほんのりとした甘さが加わり、見た目だけでなく味も楽しめる和菓子です。屋外でのお花見だけでなく、家庭でも手軽に春気分を楽しめる一品です。

春の上生菓子
4月(卯月)の上生菓子は、春爛漫の季節を彩る花や風景、春の訪れを感じさせる意匠が多く見られます。代表的なものを以下にまとめます。
主な意匠・銘柄
春風(しゅんぷう):やわらかな春の風に花びらが舞う様子を表現したもの。
爛漫(らんまん):春の花が咲き誇る様子をイメージ。
吉野(よしの):桜の名所・吉野山をイメージした桜の意匠。
春野(はるの):春の野原を表現したもの。
すみれ草:春に咲くすみれの花を模したもの。
宴(うたげ):満開の桜の下での宴をイメージ。
水温む(みずぬるむ):春の水面のやわらかさを表現。
音羽の風:春の風を感じさせる意匠。
花吹雪:桜や春の花びらが舞い散る様子を三色のきんとんで表現。
山吹の里:黄色い山吹の花をイメージ。
出世鯉:端午の節句に向けた鯉の意匠(4月~5月初旬)。
薔薇:春に咲くバラの花を模したもの。
野辺の春:春の野原の風景を表現。
つつじ:4月に咲くツツジの花をイメージ。
和菓子で感じる日本の春
春の和菓子は、ただ甘いだけではなく、視覚・嗅覚・味覚といった五感すべてで「春」を感じさせてくれる存在です。それぞれの地域に根付いた和菓子や、老舗のこだわりが詰まった逸品は、日本の季節文化の豊かさを物語っています。四月はぜひ、和菓子を通して日本の春をじっくり味わってみてはいかがでしょうか。
質問:桜餅は地域によってどのように違うのですか?
回答:関東地方では、薄く焼いた小麦粉の生地で餡を包み、桜の葉で巻いた長命寺桜餅が一般的です。関西地方では、道明寺粉を使用したもちもちとした生地で餡を包み、桜の葉で包むのが一般的です。
質問:花見だんごの三色にはどんな意味があるのでしょうか?
回答:花見だんごの赤(桃色)、白、緑の三色には、四季を表す(秋がないことから「飽きない」に通じる)説や、桜の成長過程(つぼみ、花、葉)を表す説など、様々な解釈があります。
質問:京都で4月におすすめの和菓子はありますか?
回答:はい、ございます。茶寮 宝泉の「古都の春」、紫野源水の「ひとひら」、鶴屋吉信の「春の水」、御菓子司 聚洸の「余花」、亀屋重久の「木の芽」、鍵善良房の「山吹」など、それぞれのお店が工夫を凝らした美しい和菓子がおすすめです。
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