和菓子秋とは

秋といえば、紅に染まる木々、落ち葉を踏みしめるささやかな幸せ、そして何より美味しい食べ物が豊富になる季節ですよね。中でも日本らしさを感じることができるのが、秋の和菓子。鮮やかな楓葉や、実りの象徴である栗、さつまいもなど、その見た目からも秋を感じることが出来ます。この記事では、「和菓子秋」というテーマに着目し、季節の移り変わりとともに変化する和菓子の魅力をご紹介します。
和菓子の種類(秋)とは:栗きんとん
和菓子の種類(秋)とは:芋ようかん
芋ようかんは、蒸したさつま芋に砂糖を加えて練り上げた、素朴で優しい甘さの和菓子です。1902年、浅草の「舟和」の創業者が、高価だった練り羊羹の代わりに身近な材料で作ったのが始まりとされています。さつま芋そのものの甘味を生かして作られた芋ようかんは、自然な味わいが魅力で、年代を問わず幅広い世代に親しまれています。冷やして食べるとさらに美味しさが引き立ち、秋の定番として愛されています。

和菓子の種類(秋)とは:おはぎ
おはぎは、もち米に小豆餡を絡めた和菓子で、江戸時代から庶民に親しまれてきた歴史ある一品です。古来、日本では赤色に魔除けの力があるとされ、祝い事や儀式で小豆を用いる文化が根付いていました。このため、お彼岸におはぎを供える風習が広がりました。春には「ぼた餅」、秋には「おはぎ」と、季節の花にちなんだ名称で呼ばれるのが特徴です。きな粉や黒ごま、ずんだをまぶした地域バリエーションも楽しめます。
和菓子の種類(秋)とは:月見団子
月見団子は、月への感謝や祈りを込めて供えられる伝統的な和菓子です。旧暦の中秋の名月(十五夜)や十三夜に食べる習慣があります。関東では白い団子をピラミッド型に積み重ねるスタイルが一般的です。一方、関西では細長い団子に餡を包んだ「衣被(きぬかつぎ)」という形状が見られます。地方によって異なる形状や材料が用いられ、地域ごとの特色を楽しむことができます。
和菓子の種類(秋)とは:栗まんじゅう
栗まんじゅうは、栗を模した形が可愛らしい和菓子で、栗を使った白餡やゆで栗を包んで作られます。表面に卵黄を塗り、焼き上げることで、栗の色や艶を再現しています。この菓子の原型は明治時代に九州地方で生まれ、戦勝祈願の意味を込めた「勝ち栗」という縁起の良さから人気を集めました。現在では店舗ごとに独自のスタイルや味があり、食べ比べる楽しみも広がります。

和菓子の種類(秋)とは:練り切り
練り切りは、白餡に山芋やつなぎ粉、砂糖を加えて練り上げた、上品で繊細な和菓子です。五感を楽しむ芸術品とも言われ、季節の風物詩や自然をモチーフにした形が魅力です。秋には、もみじ、柿、桔梗、菊といった季節感あふれるデザインが多く見られます。お茶席や祝い事で用いられることが多く、格式高い上生菓子として日本の和菓子文化を象徴する存在です。
まとめ
和菓子秋は、秋特有の風味と色彩を巧みに活用し、素朴ながらも豊かな表現力で季節の移り変わりを物語る、まさに日本らしさの極致。一つ一つ手作りし、彩りを楽しみながら秋の恵みを味わう。そんな風情溢れる和菓子が、日本の秋をより一層深める、特別な存在であることでしょう。