石地みかん 特徴

甘さと濃厚さが際立つ果物、石地みかん。その名前を聞くだけで、口の中に広がるジューシーな甘みと思わず微笑んでしまうような濃厚な味わいが思い浮かびませんか?石地みかんは、一般的なみかんとは一線を画す独自の魅力を持ち、多くの人々に愛されています。ここでは、その特徴や美味しさの秘密に迫ります。石地みかんがどのようにしてその名を轟かせるようになったのか、その裏側にあるストーリーと共に、存分に楽しんでみましょう。

石地(いしじ)の歴史

「石地温州」は広島県安芸郡倉橋町の石地冨司清が1967年に自身の畑で「杉山温州」の苗木から発見した、成長力のある独自の樹種です。1991年から始まった「広島フルーツ優良系統育成事業」の調査によれば、浮皮が見られず、味も優れていたことから1997年には優良品種として登録出願され、2000年に登録されました。2000年の登録時には品種の権利は広島県果実農業協同組合連合会が保有していましたが、2011年には育成者権が消滅し、苗木は広く市場に出回っています。

石地(いしじ)の特色

「石地温州」の果実は、外見は一般的な温州みかんと似ていますが、扁球形で果皮が濃い橙色をしています。最大の特色は、浮皮がほとんど発生しない点であり、そのためじっくりと樹上で完熟させることが可能です。その結果、糖度が高くなりやすいという良さがあります。さらに、「石地温州」の糖組成はフラクトース(果糖)の割合が高く、シュークロース(蔗糖)の割合が低い特徴があります。これにより、食べた際にフラクトースはシュークロースよりも約1.7倍も甘く感じるため、同じ糖度であってもより甘みを強く感じることができます。果皮は濃橙色で、油胞の大きさと密度は中程度、凹凸は平滑、果面はやや滑らかで、果皮の厚みと果皮歩合も中程度、剥皮は容易です。じょうのう膜は柔らかく、さじょうの形と大きさは中、色は濃橙色です。果汁量は中程度、甘味はやや強く、酸味と香りのバランスも中程度、種子はなく、胚は多胚です。発芽期と開花期は早く、成熟期は中程度で、育成地では11月中旬から下旬です。隔年結果性はやや高く、浮き皮果の発生は非常に少なく、裂果は発生せず、貯蔵性は中程度です。

主要な生産地とその生産量と収穫時期

令和元年産特産果樹生産動態等調査によれば、2019年における「石地温州」の栽培規模は全国で736ヘクタールに達しました。これは全国の温州みかんの栽培面積の約2.4%を占めています。この品種の主要生産地は広島県で、国全体の3割以上に相当する271ヘクタールを占有しています。その後に続くのは愛媛県、和歌山県、佐賀県です。2011年には育成者権が消滅し、全国の様々なみかん生産地で広く栽培されています。「石地温州」の収穫は、早い地域では11月中旬から始まり、12月末まで続きます。出荷のピークは12月上旬から下旬にかけて訪れます。

石地みかん