太陽をたっぷり浴びて育った、旬の国産レモン。その鮮やかな黄色い果皮からは、爽やかな香りが弾けます。輸入レモンに比べ、まろやかな酸味と豊かな風味が特徴で、一度味わえばその違いに驚くはず。安心安全な国産レモンは、食卓を彩るだけでなく、美容や健康をサポートする強い味方です。知られざる国産レモンの魅力を紐解き、日々の食生活に取り入れる活用法をご紹介します。
国産レモンとは?
日本には数多くの魅力的な食材が存在しますが、レモンに関しては輸入ものが主流で、国産レモンはまだ広く知られているとは言えません。しかしながら近年、国産レモンはその格別な風味と卓越した品質で注目を集めており、多くの人々がその魅力に惹きつけられています。国産レモンは、輸入レモンとは一線を画す特性を持ち、日本の気候風土に最適な栽培方法で丁寧に育てられています。

外国産レモンと国産レモンの違い
輸入レモンは主にヨーロッパや南米などから輸入されていますが、国産レモンは広島県や和歌山県などの地域が主な産地です。輸入レモンは温暖な気候が不可欠なため、栽培や収穫時期が限られる傾向がありますが、国産レモンは日本の気候条件に合わせて品種改良が重ねられており、比較的安定した収穫が見込めます。さらに、輸入レモンは収穫後の防カビ剤の使用が認められている場合がありますが、国産レモンは収穫後の防カビ剤を使用していないものが多く、皮ごと安心して食せる点が大きな魅力です。
国産レモンの旬はいつ?
国産レモンの旬は、一般的に10月から翌年5月頃の秋から春にかけてとされています。露地栽培のレモンは、この時期に収穫の最盛期を迎えます。レモンといえば夏を連想する方も少なくないかもしれませんが、国産レモンが最も美味しくなるのは実は冬なのです。広島県では、レモン生産者、JA、県、市町村などが協力し、ハウス栽培や高度な貯蔵・保存技術を駆使することで、一年を通して高品質な広島県産レモンを安定供給できる体制を構築しています。
国産レモンの主な産地:広島県瀬戸田町
広島県は国産レモンの主要な産地であり、中でも尾道市瀬戸田町は「レモンの島」としてその名を知られています。瀬戸田町は生口島と高根島の二つの島からなる瀬戸内海に囲まれた地域で、レモンをはじめとする柑橘類の栽培が非常に盛んです。5月から6月にかけては、島全体がレモンの花の清々しくも甘い香りに包まれ、訪れる人々を魅了します。瀬戸田は昔から柑橘類の栽培が盛んな土地であり、昭和2年(1927年)には瀬戸田をレモンの名産地にするため、栽培面積を拡大するなどレモンの生産量増加に力が注がれました。「レモン谷」という地名が今も残る垂水地区は、戦後に瀬戸田レモンの基礎を築き、県内でも有数のレモン産地として知られるようになったのです。
(出典: 翔栄ファーム広島県田島圃場『農場便り』, URL: https://syouei-farm.net/nojo/20250221/, 2025-02-21)
瀬戸田町の地理的要因
瀬戸田町がレモン栽培に最適な地である理由は、その独特な地理的条件に起因します。レモンは柑橘類の中でも特に寒さに弱く、また、強風や大雨による葉や枝の損傷から感染する病害にも弱いため、温暖で降雨量が少なく、穏やかな気候が不可欠です。瀬戸田町の年間平均気温は約15.5℃と温暖であり、中国山地や四国山地に囲まれているため風の影響を受けにくく、これらの山々が雨を遮る役割も果たします。さらに、急峻な地形が多く、土壌の大部分が花崗岩質で水はけが良いという点も、レモン栽培にとって理想的な環境を形成しています。

国産レモンの種類と特徴
国内で栽培されているレモンには、様々な種類があります。一般的に見られる黄色のレモン(イエローレモン)は成熟したレモンで、まだ成熟していない緑色のレモン(グリーンレモン)は収穫時期が異なるものです。代表的な品種としては、リスボン種やユーレカ種などがあります。
皮ごと食べられるレモン:せとだエコレモン®
瀬戸田町では、食の安全性を最優先に考え、皮まで安心して食べられるレモンの生産に取り組んでいます。環境に配慮した農業で栽培され、収穫後の防カビ剤、防腐剤、ワックス処理を一切行わないレモンが「せとだエコレモン®」です。果肉はもちろんのこと、果皮までまるごと安心して食べられるのが特徴です。「せとだエコレモン®」は、2008年に広島県の「特別栽培農産物」として認証されました。特別栽培農産物とは、その地域における一般的な農薬や化学肥料の使用量と比較して、農薬の使用回数と化学肥料の窒素成分量を5割以上削減して栽培された農作物のことを指します。
国産レモンの選び方
国産レモンを選ぶ際には、以下の点に注目すると良いでしょう。まず、皮に張りがあり、つややかで、手に取った際にずっしりとした重みを感じるものを選びましょう。レモンの表面に傷や変色がないかを確認することも重要です。また、香りが強く、フレッシュな香りを持つものを選ぶと、より新鮮なレモンである可能性が高いです。農薬を使用せずに栽培されたレモンや特別栽培のレモンは、皮まで安心して食べられるため、特におすすめです。
旬のレモンの保存方法
せっかくの旬の国産レモン、美味しく長持ちさせるには、適切な保存方法が不可欠です。乾燥は大敵なので、レモンを一つずつ丁寧にラップで包むか、密閉性の高い保存袋に入れて冷蔵庫で保管しましょう。使いかけのカットレモンは、断面をラップで完全に覆い、冷蔵保存を。長期保存したい場合は冷凍も可能です。薄くスライスして冷凍したり、果汁を絞って製氷皿で凍らせておくと、使いたい時に必要な量だけ取り出せて便利です。
旬のレモンの栄養と効能
旬のレモンには、ビタミンCをはじめ、クエン酸やカリウムなど、体に嬉しい栄養素がたっぷり含まれています。ビタミンCは、抗酸化作用があり、健康維持をサポートすると言われています。クエン酸は、爽やかな酸味の元であり、カリウムは体内のナトリウムバランスに関与しています。これらの栄養成分が、美容と健康維持に役立つと考えられています。
旬のレモンの活用レシピ
レモンとハーブの塩麹グリルチキン
国産レモンの爽やかな香りと塩麹の旨味が絶妙にマッチした、シンプルで奥深い味わいの一品。鶏肉を漬け込んで焼くだけの手軽さも魅力です。
材料(2〜3人分)
-
鶏もも肉:2枚(約500g)
-
塩麹:大さじ2
-
国産レモンの輪切り:1個分
-
レモン果汁:大さじ1
-
にんにく(すりおろし):1片
-
オリーブオイル:大さじ1
-
お好みのハーブ(タイムやローズマリーなど):適量
-
黒こしょう:少々
作り方
-
鶏もも肉は余分な脂を取り除き、フォークで数カ所刺して味がしみやすいようにする。
-
ボウルに塩麹、レモン果汁、すりおろしにんにく、オリーブオイル、黒こしょう、ハーブを入れて混ぜる。
-
鶏肉を②の漬けだれに加え、レモンの輪切りも一緒に入れて全体をよく揉み込む。ラップをして冷蔵庫で1〜2時間漬け込む。
-
フライパンまたはグリルで皮目から焼き、両面に焼き色がついたら中火でじっくり火を通す。
-
仕上げにレモンの輪切りを上にのせ、香ばしく焼いて完成。
ポイント ・皮をパリッと仕上げるには、焼き始めにしっかり皮目を押しつけるのがコツ。 ・お弁当のおかずや、冷めても美味しい作り置きにもおすすめです。
旬のレモンの風味を活かした、香り豊かなグリルチキン。ぜひご家庭でお楽しみください。
国産レモン栽培の現状と課題
国内で生産されるレモンの量は、近年増加傾向にありますが、海外から輸入されるレモンに比べると、まだ少ないのが現状です。生産者の高齢化による減少や、異常気象などの気候変動が栽培に影響を与えるなど、解決すべき課題が多く存在します。しかし、消費者の間で国産品を求める意識が高まり、環境に配慮した栽培方法への関心も高まるなど、国産レモンを取り巻く環境は変化してきています。今後、より多くの人々が国産レモンの魅力に気づき、その需要が大きく広がっていくことが期待されています。
国産レモンの未来
国産レモンは、その卓越した品質と安全性が高く評価されており、今後ますます需要が拡大していくと予想されます。生産者は、これまで以上に高品質なレモンの栽培に励み、消費者との繋がりをより一層深めることで、国産レモンのブランド力をさらに高めていく必要があります。また、行政機関や研究機関は、国産レモンの栽培技術の向上や、新しい品種の開発を積極的に支援することで、国産レモン産業の発展に大きく貢献していくことが求められます。
結び
国産レモンは、その豊かな風味、高い安全性、そして環境への配慮など、数多くの魅力を持っています。旬の時期には、ぜひ国産レモンを手に取って、その格別な美味しさを存分に味わってみてください。そして、国産レモンを積極的に応援することで、日本の農業を活性化させ、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきましょう。
質問1:国産レモンと輸入レモンの違いは何ですか?
回答:日本の風土に合わせて改良された国産レモンは、安定供給が期待できます。さらに、収穫後の防カビ処理を極力控えているものが多く、皮ごと安心して口にできるのが魅力です。対照的に、輸入レモンは主に欧州や南米から輸入され、防カビ剤が使用されているケースが見られます。
質問2:国産レモンが最も美味しい時期はいつですか?
回答:国産レモンの旬は、おおむね10月~翌年5月頃の秋から春にかけて。この時期に、露地栽培されたレモンが収穫の最盛期を迎えます。
質問3:皮まで安心して食べられる国産レモンはありますか?
回答:もちろんあります。例えば、広島県瀬戸田町産の「せとだエコレモン®」は、環境に配慮した農法で栽培され、収穫後の防カビ剤、防腐剤、ワックス処理を一切行っていません。そのため、皮まで余すことなく味わうことができます。