「女性の果実」とも呼ばれるザクロ。鮮やかな赤色の果肉は、見た目にも美しく、甘酸っぱい味わいが魅力です。美容や健康に良いとされる栄養も豊富で、近年ますます注目を集めています。そんなザクロを庭で育てて、収穫の喜びを味わってみませんか?この記事では、ザクロが実をつけるまでの年数や、栽培方法、収穫までの道のりを詳しく解説します。初心者の方でも安心して育てられるように、わかりやすく丁寧に解説していきますので、ぜひ挑戦してみてください。
ザクロとはどんな植物?
ザクロは、ミソハギ科ザクロ属(学名:Punica granatum)に属する落葉性の小高木です。一般的に樹高は2メートル以上に成長し、生育環境が良ければ5メートル、さらに大きく7メートルを超えることもあります。原産地は地中海沿岸からヒマラヤにかけての地域で、寒さにも暑さにも強いため、日本の様々な気候条件下で栽培することが可能です。日本には平安時代に中国から伝わったとされ、長い歴史の中で文化的な意味合いも持つようになりました。「紅一点」という言葉は、緑の葉の中に咲くザクロの鮮やかな赤い花に由来すると言われています。

ザクロの開花と結実のサイクル
ザクロは春に新しい枝を伸ばし始め、夏には翌年のための花芽を形成します。これらの花芽は、主に太くて短い枝の先端から2~3節付近につくのが特徴です。花芽の先が割れて開き、中からオレンジ色や赤色の鮮やかな花びらが姿を現します。ザクロの花は5月下旬から6月頃の初夏に開花し、独特な形状がエキゾチックな雰囲気を醸し出します。夏に形成された花芽が開花するのは、およそ1年後になります。開花が終わると花びらは散り、花芽が裂けた部分がまるでヒトデのような形になって残ります。その後、この芽の根元が徐々に丸く膨らみ、果実として成長していきます。ヒトデのように裂けた部分よりも実の方が大きく成長し、やがて赤く色づいて収穫期を迎えます。冬に剪定を行う際は、翌年の花や実の収穫に大きく影響する花芽を誤って切り落とさないように注意が必要です。
ザクロの花言葉
ザクロは、その美しい姿と豊かな実りから、様々な花言葉を持っています。ザクロの花には「成熟した美しさ」という花言葉があり、初夏に咲く鮮やかな色彩と形が、まさにその言葉を象徴しているかのようです。また、ザクロの果実には「結合」という意味が込められています。これは、一つの果皮の中に無数の小さな粒が詰まっている様子から連想されたものです。ザクロの木全体としては「互いを思う」という花言葉があり、全体の花言葉としては「子孫の守護」が挙げられます。これは、ザクロが古くから子孫繁栄の象徴として親しまれてきた歴史的背景に基づいています。
ザクロの栽培スケジュール
ザクロの年間栽培スケジュールは以下の通りです。このサイクルを把握することで、適切なタイミングで適切な管理を行うことができ、豊かな実りを期待できます。
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開花時期:5月下旬~6月
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収穫時期:10月上旬~11月上旬
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植え付け:12月~2月
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肥料(地植え):3月・10月
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肥料(鉢植え):3月・7月・10月
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剪定:12月~2月
ザクロの生命力と順応性
ザクロは、夏の暑さや冬の寒さにも耐性を持つ、非常に丈夫な果樹として知られています。冬には葉を落とし、休眠状態に入ることで寒さを乗り越えます。一般的な地域であれば特別な寒さ対策は必要ありませんが、特に寒冷地や霜が降りやすい地域では、若い木や株元をマルチングで保護することで、より確実に冬越しさせることができます。マルチングは地温を安定させ、霜による根へのダメージを軽減する効果が期待できます。日本の寒い地域、特に北海道や東北地方北部などでは栽培が難しい場合がありますが、関東以西の地域であれば比較的容易に栽培できます。ただし、根が十分に成長すれば、寒い地域でも冬越しが可能になるため、寒い地域で栽培する場合は鉢植えで育て、寒い日は室内に取り込むなどの工夫をすると良いでしょう。また、ザクロは根を深く張る性質があるため、日当たりが良く、十分なスペースを確保できるのであれば、庭などに直接植える地植えがおすすめです。
ザクロ栽培におけるポイント
ザクロの木には鋭いトゲがあるため、剪定や収穫などの手入れを行う際には、怪我をしないように十分注意が必要です。作業を行う際は、厚手のガーデニンググローブなどを着用することをおすすめします。ザクロは一本の木でも実をつける「自家結実性」を持つため、受粉のために複数の木を植える必要がなく、家庭菜園でも比較的簡単に栽培できます。しかし、ザクロの開花時期が梅雨の時期と重なることが多く、雨が続くと花が濡れて受粉がうまくいかず、実がつかないことがあります。このような場合は、晴れた日に人工授粉を試みると、実付きが良くなり、収穫の可能性を高めることができます。人工授粉は、筆や綿棒などで花の中を優しくなでるように行うと効果的です。また、ザクロは成長すると樹高が2mを超え、最大で7mほどの高さになることもあります。そのため、放置すると枝が四方八方に伸び、剪定作業が大変になることがあります。樹形を整え、管理しやすくするためには、幹の高さをある程度決めて、2~3本の主枝を横に広げるように仕立てるのが一般的です。そうすることで、見た目も美しく、管理しやすい樹形を維持しながら、効率的な収穫を目指すことができます。
ザクロの種類について
ザクロは、もともと果樹として栽培されてきましたが、品種改良が進んだ結果、食用として果実を収穫する「実ザクロ」と、花を観賞することを目的とした「花ザクロ」の2種類に大きく分けられるようになりました。実ザクロは、甘みと酸味のバランスが良く、ジューシーな果肉が特徴で、果実を収穫して食用とすることを主な目的として栽培されます。一方、花ザクロは、鮮やかな色の美しい花を観賞することに特化した品種で、庭やベランダを華やかに彩ります。花ザクロの実は、食用には適しておらず、実が硬かったり、酸味が強すぎたりすることが多いため、主に花の美しさを楽しむ目的で栽培されます。庭の広さや栽培の目的(果実の収穫をしたいのか、花の観賞をしたいのか)に合わせて、適切な品種を選ぶことが大切です。
ザクロの植え方と時期
ザクロの植え付けに最適な時期は、ザクロの木が休眠期に入る12月から2月頃です。この時期に植え付けることで、ザクロへの負担を最小限に抑え、根付きを良くすることができます。植え付けの際は、根を傷つけないように丁寧に行うことが重要です。地植えの場合は、苗木の根鉢よりも一回り大きい穴を掘り、根が十分に広がるスペースを確保して植え付けます。植え付けの際に、堆肥や腐葉土を混ぜて土壌を肥沃にし、水はけが悪い場合は川砂を混ぜて水はけを良くすると良いでしょう。鉢植えの場合は、苗の根鉢よりも一回りから二回りほど大きい鉢を選ぶのがおすすめです。適切なサイズの鉢を選ぶことで、根詰まりを防ぎ、ザクロの健全な生育をサポートします。鉢植えの場合も、植え付け時に緩効性肥料を土に混ぜ込み、たっぷりと水を与えることで、初期の生育を促進します。
日当たりと置き場所の条件
ザクロは太陽の光を非常に好む性質があるため、日当たりの良い場所で栽培することが、たくさんの花を咲かせ、実をたくさんつけるための重要なポイントです。十分な日光が当たる場所を選ぶことで、ザクロは光合成を盛んに行い、健康に成長します。ある程度の耐陰性もあるため、半日陰のような場所でも育てられますが、日光が不足すると花のつきが悪くなり、結果として収穫量が減ったり、実の品質が落ちたりする可能性があります。そのため、期待する収穫量や美しい姿を楽しむためには、できる限り日当たりの良い場所を選ぶことが大切です。庭植えでも鉢植えでも、日当たりの条件は同じように重要です。
ザクロに適した用土の選び方
ザクロは土の種類にあまりこだわらず、どんな土でも育つ丈夫な性質を持っています。しかし、より良い生育環境を作り、健康な成長を促すためには、水はけと水もちのバランスが取れた土が最適です。市販されている果樹用の培養土は、ザクロの栽培に必要な栄養分と土の性質を兼ね備えているため、手軽に使えるのでおすすめです。自分で土を混ぜる場合は、赤玉土小粒を6~7割、腐葉土を3~4割の割合で混ぜ合わせると、ザクロの育成に適した理想的な土になります。この配合によって、適度な保水性を保ちながら、根腐れの原因となる水のやりすぎを防ぐことができます。庭植えにする場合は、植え付けの際に堆肥や腐葉土を混ぜて土を改良し、水はけが悪い場合は、川砂を1割ほど混ぜて排水性を高めるのがおすすめです。
ザクロの効果的な肥料の与え方
ザクロに肥料を与える時期と種類は、庭植えと鉢植えで異なります。庭植えのザクロには、春に芽が出る3月と、実を収穫した後の10月の年2回、有機肥料または速効性肥料を与えるのが効果的です。一方、鉢植えのザクロは、限られた土から栄養を吸収するため、3月、開花後の7月、そして10月の年3回、速効性肥料を与えることをおすすめします。ザクロは肥料の吸収が良く、枝や葉がよく育つ性質があります。肥料を選ぶ際には、窒素成分の割合に注意が必要です。窒素は葉や茎の成長を促しますが、与えすぎると枝葉ばかりが茂ってしまい、花や実があまりつかない状態になることがあります。そのため、花や実の成長を促すリン酸とカリウムを多く含み、果樹に必要な栄養がバランスよく配合された肥料を選ぶようにしましょう。肥料を与える際は、株の根元に円を描くように均等にばらまき、その後、土の表面を軽く混ぜ込むことで、効率よく根に栄養を届けることができます。このようにバランスの取れた栄養を与え、適切な肥料管理を行うことで、たくさんの収穫につながります。
ザクロの水やり方法
ザクロの水やりは、栽培環境によって頻度と方法が変わります。庭植えのザクロの場合、一度根付いてしまえば、基本的に自然の雨だけで十分な水分が得られるため、毎日水やりをする必要はほとんどありません。ただし、植えたばかりの苗木や、雨が降らず乾燥が続く場合は、土が乾きすぎないように水やりをしましょう。鉢植えのザクロは、庭植えに比べて土の量が限られているため、乾燥しやすくなります。土の表面が乾いていることを確認したら、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えるのが基本です。こうすることで、土全体に水分が行き渡り、根が均一に水を吸えるようになります。水やり後は、受け皿に溜まった水を捨てることで、根腐れを防ぐことができます。土が湿った状態が長く続くと、根腐れの原因になるため注意が必要です。また、ザクロが休眠期に入る冬は水やりを控えめにし、暖かくなってきたら徐々に水やりの量を調節して回数を減らしていくのが良いでしょう。

夏越しと冬越しの管理
ザクロは、その優れた耐暑性と耐寒性により、夏場の管理は比較的容易です。生育期である夏は、特に手を加えることなく、ザクロは自然に成長していきます。冬越しに関しては、落葉樹である特性から、冬の寒さに耐える準備として葉を落とします。一般的な地域であれば、特別な防寒対策は必要ありません。しかし、寒冷地や霜が降りやすい地域では、若い木や株元をマルチングで保護することで、より確実に冬を越させることができます。マルチングは地温を安定させ、霜による根へのダメージを軽減する効果が期待できます。特に日本の寒冷地で栽培する場合は、鉢植えにして冬場は室内へ移動させるのも有効な手段です。
ザクロが注意すべき病気と害虫
ザクロは比較的病害虫に強い果樹として知られていますが、注意を怠ることはできません。特に、日当たりと風通しが悪い、湿度の高い環境下では病気が発生しやすくなります。注意すべき病気の一つに「うどんこ病」があり、葉や茎に白い粉状のカビが発生し、光合成を妨げます。また、害虫としては、植物の汁を吸う「カイガラムシ」や「アブラムシ」が発生することがあります。これらの害虫は、放置すると生育を阻害するだけでなく、すす病などの二次的な被害を引き起こす可能性もあります。これらの病害虫を防ぐためには、日頃から風通しの良い環境を心がけ、適切な湿度管理を行うことが重要です。定期的な剪定によって、木の内部まで日光が届くようにし、風通しを良くすることで、病害虫の発生を抑制できます。葉を定期的にチェックし、アブラムシやカイガラムシなどの害虫を見つけた場合は、早めに駆除することが大切です。さらに、果実が熟し始める時期に「袋かけ」を行うことで、害虫の侵入や雨による傷みを防ぐことができます。早期発見と適切な対策によって、ザクロの木を健康に保ち、豊かな実りを実現しましょう。
ザクロの植え替え時期と方法
鉢植えでザクロを育てている場合、成長に伴い根が鉢の中でいっぱいになり、根詰まりを起こすことがあります。根詰まりは、水分や栄養分の吸収を妨げ、生育不良の原因となるため、定期的な植え替えが不可欠です。ザクロの植え替えに最適な時期は、植え付けと同様に休眠期である12月から2月頃です。生育状況を観察しながら、2年に1回程度を目安に植え替えを行いましょう。植え替えを行う際は、現在使用している鉢よりも一回り大きな鉢を用意し、新しい用土を使って植え付けます。これにより、根が伸びるための十分なスペースを確保し、健全な成長を促すことができます。
ザクロの増やし方
ザクロは、挿し木、接ぎ木、取り木、種まきなど、様々な方法で増やすことができます。中でも、最も手軽で一般的な方法が「挿し木」です。どの方法を選ぶかは、容易さ、目的、そして期待する結果によって判断するのが良いでしょう。
挿し木
挿し木は、親株から切り取った枝を土に挿して発根させ、新たな株を育成する方法です。ザクロは挿し木によって比較的容易に増やすことが可能です。
種まき
ザクロは通常、苗を植え付けて育てることが一般的ですが、果実中の種子から育てることもできます。ザクロの果実の中の粒には種が入っており、これを採取して種まきを行います。種まきの時期は、収穫後すぐに種を採取して10月上旬~11月上旬頃に行うか、採取した種を冷蔵庫で保管し、翌年の2月中旬~4月上旬頃に行うことも可能です。ただし、種から育てた場合、結実までに3~5年以上の長い期間を要します。また、種から栽培すると親株とは異なる性質を持つ個体になることがあり、育成方法や果実の風味が変化する可能性がある点に注意が必要です。
ザクロの木の適切な剪定方法
ザクロの木の剪定に最適な時期は、落葉期の12月から2月にかけてです。この時期には翌年の花芽が既に形成されており、ザクロは主に前年に伸びた枝の先端から2~3節のあたりに花芽をつける性質があるため、過度な剪定は花や果実の収穫量に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、剪定は主に樹形を整える目的で、徒長枝(勢い良く上や横に伸びる不要な枝)、風通しを妨げる密集した枝、そして株元から生えるひこばえや幹から直接生じる「ヤゴ」と呼ばれる不要な枝などを中心に、根元から切り取る「間引き剪定」を施します。特に、上向きに伸びる枝は花芽がつきにくい傾向があるため、優先的に剪定します。また、枝をやや下垂させ、必要に応じて紐などで固定し、水平を保つように工夫することで、果実が安定して生育しやすくなります。ただし、ザクロの枝は放置すると横方向に大きく広がりやすく、樹高も高くなる傾向があります。そのため、樹形が乱れて管理が困難になったり、周囲の植物に影響を及ぼしたりするのを防ぐため、数年に一度、思い切って強めに剪定を行い、樹形を整え直す「強剪定」が必要となる場合があります。強剪定を行うとその年は収穫が見込めませんが、ザクロを適切に管理し、長期的に健康な状態を維持するためには不可欠な作業です。適切な剪定によって、樹木の健康を維持しつつ、より品質の高い果実の収穫を目指すことができます。
ザクロの収穫時期と食べ頃の見分け方
ザクロの果実の収穫時期は、一般的に10月から11月中旬頃です。美味しいザクロを収穫するためには、最適な食べ頃を見極めることが大切です。ザクロの果実が熟して食べ頃を迎えると、特徴的な兆候が見られます。それは、オレンジ色を帯びた果皮が自然に裂け、その隙間から赤く透明感のある果肉が覗く状態です。この状態になれば、糖度が十分に高まり、美味しく食べられる時期に達したサインと言えます。収穫を急がず、果実が示す自然な合図を注意深く観察しましょう。ただし、品種によっては果皮が割れにくいものも存在するため、収穫時期に入り、全体が鮮やかな赤色に染まっていれば、果皮が割れていなくても収穫しても問題ありません。家庭菜園で収穫したザクロを人に贈る場合や、市販のザクロを購入する際には、実が鮮やかに赤く色づいているかを重視しましょう。品種によっては完熟しても色が薄い場合があるため、そのような場合は皮が薄いものを選ぶのがおすすめです。皮に多少の傷があっても、ザクロは皮が厚いため、中身に影響することは少ないでしょう。また、手に取った際にずっしりと重みを感じるものは、水分や果肉が豊富に含まれている証拠です。果皮が裂けているものは完熟のサインなので、早めに食べきるように心がけましょう。
美味しい実を育てるための摘果と袋かけ
ザクロは、夏の時期に美しい花を咲かせた後、たくさんの実をつけ始めます。しかし、一つの木に実が過剰につきすぎると、それぞれの果実に十分な栄養が行き渡らなくなり、結果として小ぶりで風味の劣る果実になることがあります。さらに、株自体が弱ってしまい、翌年には花が咲かなくなることも考えられます。この状態を避けるためには、「摘果」という作業が不可欠です。摘果とは、良質な果実を育てるために、余分な実を間引く作業を指します。特に、夏に実がなり始めた初期段階で、子房の膨らみが小さいもの、形状が不揃いなもの、または病害虫に侵されている兆候が見られるものを早めに摘み取ることが推奨されます。理想としては、一箇所に一つの実を残すように調整します。果皮の膨らみが不十分なものを優先的に取り除くと良いでしょう。この作業により、残された果実に養分が集中し、大きく甘くて風味豊かなザクロを収穫することが可能になります。適切な摘果を行うことで、収穫量よりも品質を重視した栽培が実現できます。また、ザクロの果実は成熟が進むにつれて果皮が割れることがあり、その割れた部分から害虫や雨水が侵入し、果実が傷んだり食害を受けたりする原因となります。この問題を防ぐための対策として、「袋かけ」を実施します。雨水の浸透を防ぐために、透明なビニール袋が適しています。袋かけは、果実が肥大し始めた時期に行い、収穫予定日の約1週間前に袋を外すことで、果実の色づきを促進します。
ザクロの花や実がつかない場合の原因と対策
ザクロは自家結実性を持つため、一本の木だけでも実をつける性質がありますが、花が咲かなかったり、実がならない場合には、いくつかの原因が考えられます。これらの原因を特定し、適切な対策を講じることで、ザクロの健全な成長と豊かな収穫を促進することができます。
日当たり不足
ザクロは非常に太陽光を好む植物であり、日照不足は花や実がつきにくい主な原因の一つです。ザクロはある程度日陰でも生育できるため、日当たりの悪さに気づきにくいことがあります。植え付けを行う際には、十分に日光が当たる場所を選ぶことが非常に重要です。また、樹木が成長し、枝葉が過度に茂ると、内部まで日光が届かなくなることがあります。この場合は、適切な剪定を行い、木の内部まで日光が届くようにすることで、風通しも良くなり、花芽の形成を促す対策となります。
適切な肥料選びと管理不足
ザクロは肥料をよく吸収する植物ですが、与える肥料の種類や管理方法が適切でない場合、花や実のつきが悪くなることがあります。特に、窒素成分を過剰に含む肥料を与えすぎると、枝葉ばかりが繁茂し、花や実のつきが悪くなる「徒長」という状態を引き起こす可能性があります。ザクロの生育に適しているのは、リン酸やカリウムを多く含む肥料です。これらの成分は、花芽の形成や果実の成長を促進します。肥料を与える時期と量を守り、バランスの取れた成分の肥料を選択することで、健全な生育と結実をサポートできます。
木の老化
ザクロの木も、樹齢を重ねるにつれて活力が低下し、花付きが悪くなったり、実がならなくなったりすることがあります。特に老木では、新しい枝の成長が鈍くなり、全体的な樹勢が衰えます。このような場合は、適切な時期に思い切った剪定を行い、新しい枝の発生を促したり、有機肥料などを施して樹木の生育をサポートし、樹勢の回復を図ることが効果的な対策となります。
若木だった場合
ザクロの木がまだ若い場合は、十分に成長していないため、花芽を形成したり、実をつけるためのエネルギーが足りないことがあります。一般的に、ザクロは苗木を植えてから5~6年程度で実を結び始めます。したがって、植栽後まだ数年の場合は、開花が少なかったり、全く実がつかないこともよくあります。より早く収穫を望むのであれば、ある程度成長した3年ものの苗木を購入することで、結実までの期間を短縮できます。
まとめ
ザクロは、その丈夫さと育てやすさから、家庭菜園初心者にもおすすめの果樹です。庭植えはもちろん、鉢植えでも十分に収穫できるため、限られたスペースでも気軽に栽培を始められます。夏に咲く独特なオレンジや赤色の花、秋に実る鮮やかな果実は観賞価値が高く、庭やベランダを美しく彩ります。果実は美容や健康に良いとされるスーパーフードとしても注目され、生食はもちろん、ジュースやジャムなど様々な方法で楽しめます。さらに、ザクロの木は「紅一点」や「子孫の守護」といった花言葉を持ち、文化的な魅力も備えています。この記事でご紹介した育て方のポイント、特に日当たり、土壌、肥料、水やり、剪定、摘果、そして病害虫対策を参考に、ぜひご自宅でザクロ栽培に挑戦し、豊かな実りと四季折々の美しい変化を体験してください。適切な手入れをすれば、ザクロの木は長年にわたり、あなたのガーデニングライフに彩りと恵みをもたらしてくれるでしょう。

ザクロの木は何年で実がなる?
ザクロの木は、一般的に苗を植え付けてから5~6年ほどで実をつけるようになります。早く収穫を楽しみたい場合は、ある程度成長した3年生の苗を購入すると、結実までの期間を短縮することが可能です。
ザクロの実がならない原因は?
ザクロは一本の木でも実をつける性質を持っていますが、結実しない場合はいくつかの理由が考えられます。主な原因として、十分な日照時間の確保、適切な肥料の選択と管理、木の生育年数、そしてまだ若い木であることが挙げられます。ザクロの開花時期は梅雨と重なるため、雨天が続くと受粉がうまく行われないことがあります。そのような場合は、天気の良い日に人工授粉を試みることで、実のつきを良くし、収穫の可能性を高めることができます。また、栽培場所の日当たりや排水性が悪いと、木が十分に栄養を吸収できず、花や実の形成に影響を及ぼすことがあります。植え付け前にこれらの条件をよく確認し、鉢植えの場合は定期的な植え替えで根詰まりを防ぎ、生育環境を整えることが大切です。肥料はリン酸とカリウムを多く含んだものを適切な量で与え、窒素過多にならないように注意しましょう。木の樹齢が高い場合は、剪定によって木の活性化を促したり、肥料を与えて樹勢を回復させることが重要です。
ザクロは鉢植えでも育てられますか?
はい、ザクロは鉢植えでも問題なく育てることができ、実を収穫することも可能です。鉢植え栽培では、土の量が限られているため、地植えとは異なり、水やりや肥料の管理に注意が必要です。しかし、適切な大きさの鉢と、水はけと保水性のバランスが取れた用土を選び、定期的に植え替えを行うことで、ザクロは健全に成長します。特に、樹高が比較的低いヒメザクロなどは、鉢植えでの栽培に適しています。寒い地域では、鉢植えで育てることで、冬の時期に室内へ移動させ、寒さ対策を行うことも可能です。
ザクロはどんな場所に植えるのが良いですか?
ザクロは太陽光を好む植物であるため、日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶことが大切です。日陰でも育てることはできますが、花付きや実付きが悪くなることがあります。また、土壌は水はけと保水性のバランスがとれていることが理想的です。庭植えにする場合は、根が深く伸びることを考慮して、十分なスペースを確保できる場所を選び、植え付けの際に堆肥や腐葉土を混ぜて土壌を改良すると良いでしょう。
ザクロの果実はどのように利用できますか?
ザクロの果実は、熟して果皮が自然に裂けた頃が食べ頃のサインです。そのまま生で食べるのが一般的ですが、独特の食感と甘酸っぱい風味が特徴で、美容や健康に良いとされるスーパーフードとしても注目されています。その他、ジュースや果実酒、ジャム、シロップなどに加工して楽しむこともできます。特に、鮮やかな赤色の果汁は見た目にも美しく、ヨーグルトやサラダのトッピング、料理やお菓子作りのアクセントとしても利用されます。シロップとして活用すれば、お湯や炭酸水で割って、手軽にザクロドリンクとして味わうことができます。
ザクロを効率的に増やすには?
ザクロは、いくつかの方法で株を増やせます。例えば、挿し木、接ぎ木、取り木、種からの栽培などが挙げられます。中でも、枝の一部を切り取って土に挿し、根を生えさせる挿し木は、比較的簡単に行えるため広く用いられています。種から育てることもできますが、結実までに3年から5年以上の時間が必要となることが多く、また、親株とは異なる性質を持つ個体が育つ可能性もあるため、留意が必要です。
ザクロの木にトゲはありますか?
ザクロの木には、トゲを持つ品種が多く見られます。したがって、剪定や収穫など、ザクロの木の手入れを行う際には、怪我をしないように注意深く作業を行う必要があります。作業時には、厚手の園芸用手袋などを着用することを推奨します。