わらびの塩漬け:保存方法とレシピ

春の訪れを告げる山菜、わらび。その独特な風味を長く楽しむための知恵、それが塩漬けです。この記事では、わらびの塩漬け保存方法を徹底解説。新鮮なワラビの選び方から、最適な塩の量、長期保存のコツまで、失敗しないための秘訣を伝授します。さらに、塩漬けわらびを使った絶品レシピもご紹介。旬の味覚を最大限に活かし、一年中食卓を豊かに彩る方法を学びましょう。

ワラビの塩漬けに必要な材料材料 【作りやすい分量(約400g)】

ワラビの塩漬けを作る上で欠かせないのが、新鮮なワラビと塩です。

  • わらび[生]500g
  • 150g

保存には、密閉できるタッパーや、脱気可能な保存袋(ポリ袋でも可)を用意しましょう。さらに、ワラビからしっかりと水分を抜くために、重石も必要です。重石には、水を入れたペットボトル、清潔な皿や小石を乗せたビニール袋など、ご家庭にあるもので代用できます。もちろん、漬物石があれば最適です。これらのシンプルな材料を揃えるだけで、旬の味覚を長く楽しめる塩漬けワラビ作りの準備が完了です。

1. ワラビの下処理:鮮度を保つための下準備

ワラビの塩漬けを始めるにあたり、下処理は仕上がりの品質を左右する重要な工程です。

  • まず、採取したワラビには泥などが付着している可能性があるため、丁寧に水洗いします。ワラビの表面だけでなく、細かい部分の汚れもしっかりと落としましょう。
  • 次に、ワラビの根元の硬い部分を切り落とします。
  • その後、根元を処理したワラビ全体を、たっぷりの水に約1時間浸けておきます。この水に浸す作業は、ワラビのアク抜きを目的としています。

これにより、塩漬けの成功率を高め、長期保存に適した状態を作り出すための土台を作ります。

2. 塩漬け工程の開始:ワラビと塩を丁寧に重ねる

下処理を終えたワラビを、いよいよ塩漬けにしていきます。ここでは、ワラビ全体にむらなく塩を浸透させることがポイントです。タッパーなどの密閉容器、または厚手のポリ袋やジッパー付き保存袋を用意しましょう。空気をしっかり抜いて密閉することが重要です。を用意します。

  1.  容器の底に、用意した塩の1/4量を均一に敷き詰めます。
  2. その上に、下処理したワラビの1/3量を隙間なく並べます。
  3. ワラビの上に、再び塩の1/4量を振りかけます。
  4. 手順2と3をあと2回繰り返します。
  5. 最後に、残った塩(1/4量)を一番上のワラビ全体に振りかけて蓋をします。保存袋を使う場合は、空気をしっかりと抜いて口を閉じ、平らなバットなどに乗せてください。

このように丁寧に層状に重ねることで、ワラビ全体に塩分が均一に行き渡り、長期保存に適した状態を作り出すことができます。

3. 重石による圧搾:初期の水分除去とアク抜きを促進

ワラビと塩を交互に重ね終えたら、重石を使ってワラビから水分を絞り出す作業に移ります。この工程は、塩漬けの品質を向上させ、長期保存を可能にするために非常に重要です。

  1. まず、ワラビを詰めた容器の上にラップを敷き、その上から一回り小さい皿やバットなどで蓋をします。その上に、重石となるものを乗せます。重石には、水を入れたペットボトル、ワラビと同じくらいの重さの砂糖、漬物石など、安定して重さをかけられるものを使用します。
  2. 重石を乗せたら、容器ごと冷暗所で保管します。少なくとも1日は、この状態で置いておくことをおすすめします。
  3. 1日後には、重石の圧力によってワラビから大量の水分が出て、ワラビ全体が塩水に浸かっている状態になります。この工程でしっかりと水分を抜くことで、ワラビの組織が引き締まり、塩分が効率的に浸透し、腐敗の原因となる水分を減らすことができます。

重石による圧搾は、ワラビを長期保存するための基本であり、初期の水分を取り除くことがアク抜きにもつながります。

4. 長期保存と熟成:最適な状態を維持するために

重石を乗せて一日後、ワラビから十分な水分が出てきたら、次の段階へ進みます。この水分はワラビを塩水に浸す役割を果たし、保存性を高める上で欠かせません。

  1. 水分が十分に出ているのを確認したら、最初に置いた重石を取り除きます。
  2. 次に、ワラビと一緒に滲み出た水分を、清潔で密閉できる保存容器に移し替えます。保存容器に入れることで、ワラビをより長く、良い状態で保つことができます。ここからが、ワラビを長期間保存するための重要な期間となります。
  3. 塩漬けにしたワラビを日の当たらない涼しい場所に置き、およそ一ヶ月かけてアクが抜けるのを待ちます。この長期間の漬け込みによって、生のままでは強いアクがあるワラビのえぐみが自然に消え、まろやかな風味へと変わります。特に夏場など、気温が高い時期には、漬け汁が茶色く変わることがあります。これはワラビのアクが強く出ているか、傷んでいる可能性があるサインです。もし漬け汁の色がひどく変わった場合は、ためらわずにその漬け汁を捨て、ワラビを水で洗い、再度新しい塩で塩漬けし直して、品質を維持しましょう。

この丁寧な管理を行うことで、ワラビの塩漬けは数ヶ月から半年、場合によっては一年以上もの長期保存が可能になり、一年中旬の味を楽しむことができます。

調理前の下処理:塩抜きとアク抜き、二つの方法

塩漬けしたワラビを調理する際は、必ず「塩抜き」と「アク抜き」が必要です。これらの下処理を適切に行うことで、ワラビ本来の風味を活かし、美味しくいただくことができます。塩抜き・アク抜きには、主に二つの方法があります。

一つ目は、時間をかけて行う「水に浸す方法」です。使う分のワラビを取り出し、たっぷりの水に浸して戻します。通常は半日ほど浸け、その間に2〜3回水を替えるのがおすすめです。こうすることで、ワラビに含まれる余分な塩分とアクがゆっくりと水に溶け出し、ワラビ本来の繊細な味を楽しむことができます。この方法は、ワラビの食感を柔らかく仕上げたい場合や、じっくりと下処理をする時間がある時に適しています。

二つ目は、より早く塩抜き・アク抜きをしたい時に便利な「茹でる方法」です。この方法では、まず鍋にたっぷりの湯を沸かします。沸騰したお湯の中に、軽く水洗いした塩漬けワラビを入れ、10〜15分ほど茹でます。茹で上がったらすぐにザルにあげて水気を切り、冷水にさらして冷まします。冷水にさらすことで、ワラビの色を鮮やかに保つと同時に、残りのアクと塩分を効果的に抜くことができます。その後、水気をしっかりと絞り、お好みの大きさに切って調理に使ってください。茹でる方法は、短時間でしっかりと塩分とアクを取り除くことができるため、急いで調理したい時や、シャキッとした食感を残したい時に特におすすめです。

どちらの方法を選ぶ場合でも、調理前に味見をして、塩加減やアクの残り具合を確認することが、美味しいワラビ料理を作る上で重要なポイントです。

まとめ

ワラビの塩漬け保存は、春の短い期間にしか味わえない旬の山菜を、一年を通して楽しめるようにする、非常に有効な昔ながらの方法です。適切な下処理から始まり、塩とワラビを丁寧に重ねて漬け込み、重石で初期の水分を取り除き、さらに約一ヶ月間の長期熟成でアクを抜き、保存容器に移し替えるまでの一連の工程を行うことで、ワラビ特有の風味とシャキシャキとした食感を長い間保つことができます。このガイドで紹介した手順とコツを参考に、皆さんの食卓に一年中ワラビの恵みをもたらし、日本の豊かな食文化を味わう手助けとなれば幸いです。

ワラビを塩漬けにする理由は何ですか?

ワラビを塩漬けにする主な理由は、旬が短い山菜であるワラビを長期保存するためです。塩分がワラビから水分を抜き、腐敗の原因となる菌の繁殖を抑えることで、一年を通して美味しいワラビを味わうことが可能になります。また、長期間塩漬けにすることで、ワラビ本来の強いアクが自然に抜けていくという利点もあります。

塩漬けワラビはどのくらい日持ちする?

きちんと塩漬け処理を行い、気密性の高い容器に入れて日の当たらない涼しい場所で保管すれば、大体数か月~半年、状態が良ければ一年くらいは保存できます。ただし、保存環境、塩の濃度、漬け込み中の手入れによって保存期間は変わります。

塩抜き(アク抜き)の方法を教えて!

塩漬けワラビの塩抜き・アク抜きには、主に2つのやり方があります。1つ目は、必要な量のワラビを真水に約12時間浸し、その間2、3回水を替える方法です。2つ目は、より手軽な方法で、鍋でお湯を沸騰させ、軽く水洗いしたワラビを入れ、10~15分ほど茹でて水気を切り、冷水に浸す方法です。どちらの方法でも、調理する前に味を確認し、塩気が強すぎないか確認してください。

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