タルト型外し方
手作りタルトの最大の難関、それは型からの取り外し。せっかく丁寧に作ったタルト生地が、型にくっついて崩れてしまうのは、誰しもが経験したことがあるはず。見た目が損なわれるだけでなく、その後のデコレーションにも影響が出てしまいますよね。でも、もう大丈夫!この記事では、プロのパティシエも実践する、タルト型から生地を綺麗に外すための裏技を伝授します。コツさえ掴めば、あなたも美しいタルト作りを成功させることができますよ。
タルト作りの壁:型外しがうまくいかない!
自家製タルトは特別な味わいですが、多くの人が苦労するのが、焼き上がったタルト生地を型からきれいに取り出すことです。力任せに外そうとすると、生地が壊れてしまったり、自慢の焼き色が損なわれてしまったりします。この記事では、そんな悩みを解決するために、タルト生地を型から美しく外すための極意を詳しくご紹介します。
タルト型:種類と特性を理解する
タルト作りを成功させるには、まずタルト型について深く知ることが大切です。タルト型には様々な種類があり、それぞれに合った使い方があります。ここでは、タルト型の種類、サイズ、素材、そして側面の加工について詳しく解説します。
タルト型の種類:底が取れるタイプ、固定タイプ、タルトリング
タルト型は大きく分けて、底取れ式、底固定式、そしてタルトリングの3種類があります。
- 底取れ式タルト型:底の部分が取り外せる構造で、焼き上がったタルトを型から簡単に取り出せるため、初心者の方にもおすすめです。
- 底固定式タルト型:型全体が一体となっているため、頑丈で安定感があります。しかし、取り出すには少しコツが必要です。
- タルトリング:底のない枠だけのタイプで、焼く際は天板に生地を直接置いて使います。側面を均等に焼き上げやすく、プロのパティシエにもよく使われています。
タルト型のサイズ:目的に合わせた選び方
タルト型のサイズは、作りたいタルトの量や目的に応じて選ぶことが大切です。一般的には、直径18cmから24cmの型が家庭用として使いやすいでしょう。少人数で食べるなら、20cmくらいの型がおすすめですが、大人数で楽しむ場合は26cmの型を使うと良いでしょう。また、深さも考慮しましょう。深めの型は、フィリングをたっぷり入れたいときに最適です。
タルト型の大きさは直径や号数で示され、四号は約12センチ、五号は約15センチ、六号は約18センチと、約3センチ刻みで大きくなります。
タルト型の材質:金属、シリコン、陶器
タルト型の材質は、熱の伝わり方や焼き上がりの状態に大きく影響します。それぞれの材質が持つ特性を理解し、作りたいタルトに最適な型を選びましょう。
金属製タルト型:
- アルミニウム:熱伝導率が高く、均一な焼き上がりを実現します。軽くて扱いやすいのが特徴ですが、酸性の強い材料を使うタルトには不向きです。
- スチール:耐久性に優れており、長く愛用できます。アルミニウムに比べると熱伝導は劣りますが、ムラのない焼き色に仕上がります。
- ブリキ:使い込むほどに油なじみが良くなり、型離れが向上します。プロにも人気の素材ですが、錆びやすいので、使用後のお手入れは念入りに行いましょう。
シリコン製タルト型:柔軟性があるため、タルト生地を簡単に取り外すことができます。オーブンでの使用はもちろん、冷凍庫にも対応しているので、冷たいタルトを作る際にも重宝します。ただし、金属製に比べて熱伝導が低いため、焼きムラができる可能性があります。
陶器製タルト型:焼き上がったタルトをそのまま食卓に出せる、おしゃれなデザインが魅力です。オーブンだけでなく、電子レンジや食洗機に対応しているものもあります。金属製に比べて熱の伝わり方が穏やかなため、焼き時間が長くなる傾向があります。
側面の形状:波型とストレート
タルト型の側面の形状は、タルトの見た目の印象を左右するだけでなく、生地の扱いやすさにも関わってきます。
- 波型:焼き上がりが華やかで、まるで器のような美しいシルエットになります。生地を均一に敷き込みやすいというメリットもあります。
- ストレート:シンプルで洗練された印象に仕上がります。火の通りが良いので、タルト生地をサクサクに焼き上げたい場合に適しています。
型からスムーズに取り出すための下準備:タルト作り成功の鍵
タルト生地を型から美しく取り出すためには、事前の準備が非常に大切です。ここでは、型に生地を敷き込む前の下準備と、生地を扱う際の注意点について詳しく説明します。
型の準備:油脂を塗る、打ち粉をする、シートを敷く
タルト型に生地がくっついてしまうのを防ぎ、スムーズに取り外せるように、以下のいずれかの方法で下準備を行いましょう。
- 油脂を塗る:型の内側に、溶かしバターやショートニングなどの油脂を薄く、均一に塗ります。特に、波型の部分は塗り残しがないように丁寧に塗りましょう。
- 打ち粉をする:油脂を塗った後、薄力粉を全体にまんべんなく振りかけ、余分な粉はしっかりと払い落とします。こうすることで、生地が型に必要以上に密着するのを防ぎます。
- クッキングシートを敷く:型の底のサイズに合わせてカットしたクッキングシートを敷き込みます。さらに、側面に沿って細長くカットしたシートを貼り付けると、より効果的です。
生地の扱い方:冷やす、均一に敷き込む、ピケをする
生地の扱い方も、タルトを型からスムーズに取り出すためには大切なポイントです。
- 冷やす:タルト生地は、冷蔵庫でしっかりと冷やしてから使いましょう。冷やすことで生地が引き締まり、扱いやすくなるだけでなく、焼き上がりの縮みを抑える効果も期待できます。
- 均一に敷き込む:生地を型に敷き込む際は、厚みが均一になるように意識しましょう。厚さにばらつきがあると、焼き上がりにムラができ、型から外しにくくなる原因になります。
- ピケをする:生地を型に敷き込んだ後、フォークなどで底面に数カ所穴を開けます。これはピケと呼ばれる作業で、焼成中に生地が膨らむのを防ぎ、均等な焼き上がりを促します。
焼き上げた後の取り外し方:美しく外す秘訣
いよいよタルトを型から外す段階です。ここでは、タルトを傷つけずに美しく取り外すための秘訣をご紹介します。
粗熱を取る:適切な冷却時間
焼き上がったタルトは、まず粗熱を取ることが肝心です。熱い状態では生地が非常にデリケートで崩れやすいため、室温で30分から1時間程度を目安に冷ましましょう。ケーキクーラーなどの網の上に置いて冷ますと、底面が蒸れるのを防ぎ、より綺麗に仕上がります。
再度温める:取り外しを助ける裏技
粗熱が取れたら、型全体を再度軽く温めることで、タルト生地が型から剥がれやすくなります。以下のいずれかの方法で温めましょう。
- 温かいタオルで包む:温かいタオルをタルト型の側面に巻き付け、10秒ほど温めます。
- 直火で軽く炙る:この方法は、型の材質によっては推奨できません。特にフッ素樹脂加工された調理器具を直火で使用した場合、樹脂の分解によりテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン、パーフルオロシクロブタンなどの有害なフッ素化合物が検出されることがあります。
型を反転させる:取り出し方の基本
焼き上がり後、粗熱を取ってから型をひっくり返し、タルトを取り出しましょう。底が抜けるタイプの型であれば、底板を押し上げることでスムーズに取り出せます。底が固定されている型の場合は、次の方法を試してみてください。
- 軽く打ち付ける:型を逆さにした状態で、型の底を優しく叩いてみましょう。
- 軽く揺する:型を逆さまに持ち、軽く揺さぶってみてください。
- ナイフを滑り込ませる:型のふちに沿ってナイフを入れ、生地と型の間に空間を作ります。
これらの方法でも取り出せない場合は、無理に剥がそうとせず、もう一度型を少し温めてから再度試してみてください。
どうしても外れない場合の最終手段:道具を活用した取り外し方
上記の方法を試してもタルトが型から離れないときは、以下の道具を使って丁寧に外していきましょう。
パレットナイフやスパチュラを使う
パレットナイフやスパチュラをタルトと型の間に慎重に差し込み、少しずつ剥がしていきます。力を加えすぎるとタルト生地が崩れてしまう可能性があるため、注意深く作業を進めてください。
冷凍庫で冷却する
どうしても外れない場合は、タルトを冷凍庫で30分ほど冷やし固めてみてください。冷やすことでタルト生地が硬くなり、型から剥がしやすくなることがあります。ただし、冷やしすぎると生地が非常に硬くなるため、冷却時間には注意が必要です。
外しやすいタルト型の選び方:購入時の重要ポイント
タルト作りをよりスムーズにするには、最初に使いやすいタルト型を選ぶことが大切です。ここでは、購入時に注目すべきポイントを解説します。
底抜けタイプを選ぶ
タルト型を選ぶなら、底抜けタイプが断然おすすめです。底が取り外せるため、焼き上がったタルトを容易に取り出せます。特に初めてタルトを作る方や、デリケートなタルトを作る際には、底抜けタイプを選ぶと失敗しにくいでしょう。
ノンスティック加工を選ぶ
ノンスティック加工が施されたタルト型は、生地がくっつきにくく、型離れが良いのがメリットです。お手入れも楽で、長く使用できます。ただし、使用状況や手入れの方法によっては、加工が劣化することがあるので、注意が必要です。
シリコン製を選ぶ
シリコン製のタルト型は、柔らかく、型抜きがとても簡単です。特に、小さなタルトを作る際には、シリコン型が重宝します。ただし、金属製と比べて熱の伝わり方が弱いため、焼きムラができやすいという欠点もあります。
まとめ
タルト型からタルトを綺麗に取り出すためには、いくつかのポイントがあります。まず、焼きあがったタルトは粗熱を取ることが重要です。完全に冷めてしまうと生地が硬くなり、型から外しにくくなるため、人肌程度に温かさが残っている状態がベストです。次に、型の底が外れるタイプであれば、そっと押し上げて外します。もし底が外れないタイプであれば、パレットナイフや細いナイフなどをタルトと型の間に差し込み、少しずつ剥がしていくようにすると綺麗に外せます。この際、力を入れすぎるとタルトが割れてしまう可能性があるため、慎重に行うことが大切です。また、タルトを冷やす際に冷蔵庫に入れると、生地が締まって外しやすくなる場合もあります。型抜きに自信がない場合は、タルト型にクッキングシートを敷いてから生地を流し込むと、より簡単に取り出すことができます。
よくある質問
質問1:タルト生地が型に張り付いて取れません。何か良い方法はありますか?
まずは完全に冷ますことが重要です。その後、型の底を軽く温めて、ナイフなどで縁を少しずつ剥がしてみてください。それでも難しい場合は、冷凍庫で30分程度冷やしてから、再度試してみるのがおすすめです。
質問2:底が外れないタルト型でも、綺麗に取り出す方法はありますか?
底が固定されているタルト型を使う場合は、クッキングシートを型に敷いてから生地を流し込むと良いでしょう。また、型を温めてからひっくり返し、軽く叩いたり振ったりすることで、取り出しやすくなります。
質問3:タルト生地を綺麗に取り出すのに適した型はありますか?
底取れタイプのタルト型や、フッ素樹脂加工がされているものがおすすめです。これらの型は生地がくっつきにくいため、スムーズに取り出すことができます。