みずみずしい桃を切った瞬間、あの芳醇な香りが広がる至福の時。しかし、時間が経つにつれて色が変わり、美味しさが半減してしまう経験はありませんか?せっかくの桃、できることなら美しい状態を保ちたいもの。そこで今回は、桃の変色を防ぐためのプロ直伝テクニックと、美味しさを長持ちさせる保存方法をご紹介します。簡単な工夫で、いつでも最高の桃を味わいましょう!
褐変とは?桃が変色するメカニズムを解説
桃の切り口が変色する理由は、「褐変(かっぺん)」という現象が関係しています。褐変は、桃に含まれる「ポリフェノール」と「酸化酵素」が反応することで起こります。ポリフェノールは、ワインやチョコレートにも含まれる成分で、果物にも豊富です。抗酸化作用がある一方で、苦味や色の原因にもなります。桃に含まれる酸化酵素が、空気に触れるとポリフェノールと化学反応を起こし、断面が茶色く変色してしまうのです。バナナやリンゴも同様に褐変しやすい果物です。
桃の変色を防ぐ効果的な3つの方法

桃の変色は、切り口が酸素に触れることで起こる化学反応の結果です。変色を防ぐには、この反応を抑制するか、切り口を酸素から遮断する必要があります。ここでは、手軽にできる3つの方法をご紹介します。
レモン水で変色を防ぐ方法とその仕組み
カットした桃をレモン水に浸すことで、変色を効果的に防ぐことができます。レモンに含まれるビタミンCが、ポリフェノールよりも先に酸化酵素と反応し、褐変を抑制します。レモン水の目安は、水200ccに対して小さじ1杯のレモン汁です。10分程度浸すと効果的ですが、お好みで調整可能です。ただし、レモン汁を入れすぎると桃が酸っぱくなるので注意しましょう。
塩水で変色を防ぐ方法とその効果
塩水もレモン水と同様に、桃の変色を防ぐ効果があります。これは、ポリフェノールが酵素と反応して起こる「酵素的褐変」を、塩化ナトリウム(食塩)が抑える働きによるものです。
たとえば、Yildiz(2018)の研究では、塩化ナトリウムを使用することで、バナナのスライスに含まれる酵素活性が695 U/mlから288 U/mlにまで減少することが報告されています。また、Liら(2015)の研究では、リンゴのスライスの変色防止において、塩化物の効果はリン酸塩>硫酸塩>硝酸塩の順に強く、使用するイオンがカリウム・ナトリウム・カルシウムであっても効果に大きな差はないと示されています【出典:PMC7374678】。
塩水の濃度が高いほど変色防止効果は強くなりますが、風味への影響が出やすいため注意が必要です。特に桃のように繊細な風味を持つ果物では、レモン水よりも風味が変化しやすい傾向があります。
作り方の目安
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水:200ml
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食塩:1〜2g(約0.5〜1%)
このくらいの濃度でも十分に効果があるため、風味が気になる場合は塩の量を調整してみてください。
砂糖水で変色を防ぐ方法とその効果
砂糖水は、桃の表面を糖分の膜で覆い、空気との接触を遮断することで酸化を防ぎます。この方法は、他の方法と比較して桃の味への影響が少ないのが利点ですが、変色防止効果の持続時間は短めです。そのため、食後すぐに食べるなど、短時間(1時間程度)の保存に適しています。目安として、水200mlに大さじ1杯程度の砂糖を溶かして使用します。
変色防止策の持続時間と効果的な活用法
レモン水や塩水、砂糖水などの変色防止策は、永続的な効果を持つわけではありません。味への影響を考慮した濃度で使用する場合、一般的に変色を抑制できるのは最大で3時間程度です。桃を美味しく食べるためには、できる限り食べる直前にカットするのが理想的です。
変色した桃は食べても大丈夫?傷んだ桃の見分け方
桃の変色する理由が分かっていても、見た目が茶色くなった桃を食べることに抵抗がある方もいるかもしれません。結論として、変色した桃を食べても基本的に問題はありません。ただし、長時間放置された桃は、見た目だけでなく果肉の水分が失われ、食感が悪くなるなど、本来の風味を損なう可能性があります。カットした桃は、変色の有無にかかわらず、できるだけ早く食べきるのがおすすめです。また、カットする前から変色している桃には注意が必要です。桃は非常にデリケートで、わずかな衝撃でも傷つきやすく、そこから劣化が進むことがあります。変色部分から異臭がしたり、カビが生えていたり、異常な液体が出ている場合は、傷んでいるサインです。桃の状態をよく確認し、少しでも異変を感じたら食べるのを控えましょう。
美味しさ長持ち!桃の正しい冷凍保存方法
冷凍保存の基本とメリット
桃はデリケートな果物で、傷みやすいのが難点です。もし、桃をたくさん買いすぎて食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。冷凍することで、美味しさをキープしたまま後日楽しむことができます。
丸ごと冷凍で手軽に保存
桃は、皮を剥かずに丸ごと冷凍できます。まず、流水で桃の表面を優しく洗い、産毛を落とします。その後、キッチンペーパーなどで丁寧に水気を拭き取り、ラップで包んでください。ジッパー付き保存袋に入れ、冷凍庫で保存します。食べる際は、冷凍状態のまま皮を剥くと、つるんと綺麗に剥けます。お子様でも簡単に皮むきができるので、一緒に楽しむのもおすすめです。ただし、冷凍された桃は非常に冷たいので、お子様が扱う際は注意が必要です。
カット後色止めして冷凍する応用術
桃をカットして冷凍する場合は、変色を防ぐためにレモン汁などを軽くまぶしてから、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍しましょう。こうすることで、冷凍フルーツとして手軽に食べられるだけでなく、スムージーの材料としても便利に使えます。そのまま食べるのはもちろん、お菓子作りや料理の材料としても活用できるので、少しずつ使いたい方におすすめです。
冷凍桃の美味しい解凍方法と食べ方
冷凍した桃を解凍する際は、全解凍してしまうと果肉が柔らかくなりすぎて食感が損なわれてしまいます。おすすめは、凍ったままフローズンフルーツとして楽しむか、冷蔵庫で半解凍してシャーベットのような食感を楽しむ方法です。桃は冷凍状態でも比較的カットしやすいので、お好みの大きさに切ってから解凍するのも良いでしょう。解凍中はこまめに状態を確認し、最適なタイミングで味わってください。

まとめ
ピンク色の美しい果皮と、とろけるようなクリーム色の果肉が魅力の桃。その美味しさは、見た目や香りといった五感で楽しむことで、さらに引き立ちます。購入後に少し手を加えるだけで、旬の味わいをより一層楽しめるはず。 今年の夏は、ほんのひと手間をかけて、もっと美味しい桃を味わってみませんか?
桃が色が変わってしまうのはなぜ?
桃の変色は「褐変」という現象で、桃に含まれるポリフェノール類と酸化酵素が、空気中の酸素と反応することで起こります。この化学反応の結果、メラニン色素が生成され、桃の切り口などが茶色く変色してしまうのです。
変色した桃を食べても大丈夫?
はい、変色した桃でも、基本的には問題なく食べられます。ただし、時間が経つにつれて水分が失われ、食感が悪くなったり、風味が落ちたりすることがあります。カットする前から変色している場合や、異臭がする場合、カビが生えている場合、異常な汁が出ている場合は、傷んでいる可能性があるので、食べるのを避けてください。
桃の変色を防ぐにはどうすれば良いですか?
桃が変色するのを抑えるには、主に3つの方法が効果的です。一つはレモン水に浸ける方法、二つ目は塩水に浸ける方法、そして三つ目は砂糖水に浸ける方法です。レモン水はビタミンCの力で酸化を防ぎ、塩水は塩分が保護膜を作り、砂糖水は糖分の粘り気で空気を遮断することで、それぞれ変色を食い止めます。
レモン水、塩水、砂糖水の濃度と浸ける時間の目安は?
レモン水の場合、水200ccに対してレモン汁小さじ1杯程度を混ぜ、10分ほど浸けてください。塩水は、水200mlに対して塩1~2g(約1%の濃度)を溶かし、同様に浸します。砂糖水は水200mlに砂糖大さじ1杯程度を溶かして使用します。どの方法も、風味が損なわれないよう濃度に気を配り、食べる直前にカットして手早く処理することが大切です。
桃を長期保存するための良い方法はありますか?
はい、桃は冷凍保存することで長持ちさせることができます。丸ごと冷凍する場合は皮を剥かずにそのまま冷凍庫へ。カットした桃は、レモン汁などを軽くかけて変色を防いでから冷凍するのがおすすめです。冷凍した桃は、完全に解凍すると食感が悪くなるため、凍ったままフローズンデザートとして楽しむか、半解凍の状態で食べるのがおすすめです。スムージーや焼き菓子の材料としても活用できます。