家庭菜園で長ネギを育てて、食卓を豊かにしませんか？長ネギは、薬味や鍋物など様々な料理に使える万能野菜です。この記事では、初心者でも安心して挑戦できるよう、苗の植え方から収穫までを徹底解説します。土作りから始まり、苗の選び方、植え付けのコツ、日々の管理、そして収穫のタイミングまで分かりやすくご紹介。家庭菜園で自家製長ネギを収穫する喜びを、ぜひ味わってみてください。さあ、あなたも長ネギ栽培にチャレンジしましょう！
長ねぎの歴史と分類
長ねぎは、古くから日本で栽培されてきた歴史ある野菜です。奈良時代にはすでに朝鮮半島から伝わっていたとされ、各地で様々な品種が生まれました。かつてはネギ科やユリ科に分類されていましたが、近年では植物分類の見直しにより、ヒガンバナ科に分類されるようになりました。長ねぎは多年草ですが、毎年植え替えることで品質の良いねぎを収穫できます。
長ねぎと葉ねぎの違い
長ねぎと葉ねぎは、育て方や食べる部分が異なります。長ねぎは、白い部分を長くするために「土寄せ」という作業を行います。土寄せによって日光を遮ることで、白い葉鞘が柔らかく甘くなります。一方、葉ねぎは土寄せをせず、緑の葉の部分を食べます。長ねぎ栽培の最大のポイントは、この白い部分をいかに長く育てられるかです。土寄せのタイミングや方法が、長ねぎの品質を大きく左右します。どちらのねぎを育てるかによって、栽培方法も変わってくることを覚えておきましょう。
長ねぎ栽培の難易度とポイント
長ねぎ栽培は、他の野菜に比べて栽培期間が長く、土寄せなどの手間がかかるため、初心者には難しいと感じられるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえれば、家庭菜園でも美味しい長ねぎを育てることができます。重要なのは、水はけの良い土作り、適切な時期の植え付け、そして丁寧な土寄せと追肥です。これらの管理をしっかりと行うことで、白い部分が長く、風味豊かな長ねぎを収穫できます。最初は難しいかもしれませんが、挑戦する価値は十分にあります。この記事を参考に、長ねぎ栽培にチャレンジしてみてください。
長ネギを育てるのに最適な場所とは
長ネギは、育てる場所の環境がとても大切です。良い環境を整えることが、栽培を成功させるための最初のステップとなります。特に重要なのは、日当たりが良く、風通しが良く、水はけの良い場所を選ぶことです。長ネギは日当たりが悪い場所を嫌うため、日陰だと上手く育たなかったり、枯れてしまうことがあります。そのため、一年を通してたっぷりと日光が当たる場所で育てることが大切です。また、水はけが悪い場所や湿気が多い場所は、根腐れの原因になるので避けましょう。長ネギは乾燥した環境を好むため、水のやりすぎには注意が必要です。さらに、土が酸性だと上手く育ちません。日本の畑の土は酸性になっていることが多いので、植え付ける前に土のpHを調整して、中性（pH6.0～7.0くらい）に近づけることが大切です。これらの環境条件を確認して、必要であれば改善することで、長ネギが健康に育つための準備ができます。
土作りのポイントと酸度調整
長ネギの土作りは、他の野菜とは少し違ったポイントがあります。一般的に野菜を植えるときは土を深く耕しますが、長ネギの場合は植え付け前に深く耕す必要はありません。もし深く耕してしまったら、足でしっかりと踏み固めて、長ネギが好む硬さの土に近づけましょう。長ネギの土作りで特に大切なのが、土の酸度調整です。長ネギは酸性の土を嫌うため、植え付けの2週間くらい前に苦土石灰をまいて、土を中和する必要があります。目安としては、1平方メートルあたり約100gの苦土石灰を均一にまき、土の表面と軽く混ぜ合わせます。こうすることで、土のpHが長ネギの生育に適した範囲になり、病気のリスクも減らすことができます。また、長ネギを植えるときは、基本的に肥料は必要ありません。肥料が直接根や苗の茎に触れると、苗が傷んでしまうことがあるためです。追肥は、苗の育ち具合を見ながら後から与えるのがおすすめです。
長ネギ栽培における畝（うね）の作り方
長ネギ栽培では、他の野菜とは違って、苗を植える場所に「溝」を作るのが特徴的な畝の作り方です。この溝は、長ネギの白い部分を長く育てるためにとても重要です。溝を掘る作業は、植え付けの2～3日前までに済ませておくと、土が落ち着いて苗を植えやすくなります。溝の深さや幅は、育てる品種や目標とする白い部分の長さによって変わりますが、一般的には深さ20〜30cm、幅15〜20cmくらいの溝を掘ります。掘った土は、後で土寄せ作業で使うので、溝の片側または両側にきれいに盛っておきましょう。この溝に苗を立てて植え、成長に合わせて周りの土を溝に落とし込んでいくことで、長ネギの白い部分が日に当たらず、長く伸びていきます。畝作りは、長ネギ栽培の最初に行う大切な準備で、その後の生育や収穫する長ネギの品質を左右します。特に、長ネギの根は酸素を好むため、溝の底にワラや枯れ草などを敷くのもおすすめです。こうすることで、根の周りに空気の層ができ、苗が根付きやすくなり、元気に育つことが期待できます。
長ネギの苗を自分で育てる方法とポイント
長ネギの苗は、正しい方法で育てれば家庭でも比較的簡単に育てることができます。ただし、種から育てるのは初心者には少し難しいかもしれません。まず、土をよく耕して苗床を用意するか、畑の空いている場所に苗床を作ります。種をまく時期は年に2回あり、7月に植え付けたい場合は3月下旬頃に種をまいて育て始めます。翌年の春に植え付けたい場合は、9月下旬頃に種をまき、冬を越して育てます。種をまくときは、厚さ6～8mmくらいの板を使って、間隔を約15cm空けて溝を作り、その溝に1～2cm間隔で種を落としていきます。長ネギの種は光を嫌うため、土を約1cmくらいの厚さでしっかりと被せることが大切です。芽が出てきたら、その後の管理が大切になります。溝に生えてくる雑草はこまめに取り除き、月に一度、水で薄めた液体肥料を水やりの代わりに与えて、必要な栄養を補給しましょう。苗の茎が鉛筆くらいの太さになったら、植え付けに適した大きさになったサインです。植え付けるときは、スコップなどで苗の根を傷つけないように丁寧に掘り起こして、苗を取り出しましょう。
苗の選び方：購入と自家栽培のポイント
ネギ栽培の初心者にとって、種から育てるのはハードルが高いかもしれません。そんな時は、園芸店などで販売されている苗からスタートするのがおすすめです。苗を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておきましょう。まず、茎がしっかりとしていて太く、葉の色つやが良く、全体的に活き活きとした苗を選びましょう。このような苗は、植え付け後の根付きが良く、順調に生育する可能性が高いです。また、ネギには「分けつしやすい品種」と「一本ネギ」があります。どちらの品種なのかを購入時に確認しておくと良いでしょう。分けつしやすい品種は、一本の苗から複数のネギが育つため、植え付けの際に株間を広めに取る必要があります。自家育苗をする場合は、「干しネギ栽培」という方法もあります。これは、ある程度育った苗を定植前に乾燥させることで、発根を促進し、生育を良くするというものです。ただし、家庭菜園では必須ではありません。苗を自分で育てる場合も、購入した苗を使用する場合も、植え付け前に苗を太さごとに分けておくことが大切です。太さの異なる苗を一緒に植えると、生育に差が出てしまうことがあるため、同じくらいの太さの苗を隣り合わせに植えるようにしましょう。
植え付け時期と植え方のコツ
ネギ苗の植え付け時期は、品種や地域によって異なりますが、一般的には、夏植えの場合は7月頃、春植えの場合は3月中旬から4月頃が適しています。夏植えの場合は、7月上旬から8月中旬頃に植え付けるのが一般的です。植え付けが遅れると収穫量が減ってしまうことがあるので、適期を逃さないように注意しましょう。植え付け作業では、事前に溝を掘っておき、その溝の壁に沿って苗を5cm間隔で並べていきます。この時、苗のサイズを分けておき、同じサイズの苗をまとめて植えるようにすると、生育が揃いやすくなります。苗を並べたら、根が隠れる程度に土をかけ、株元にワラや枯れ草を敷きます。ワラや枯れ草は、ネギの根が好む空気の層を作り、活着を促す効果があるだけでなく、苗が倒れるのを防ぐ役割も果たします。ネギは、ある程度密集させて植えた方が生育が良くなるとも言われています。葉がしっかりと立ち上がってきたら、根付いたサインです。その後は、葉の分岐点が土に埋まらないように注意しながら、ネギの成長に合わせて少しずつ土を被せていくことで、白い部分を長く育てることができます。植え付け時に葉の分岐点まで土を被せてしまうと、成長が止まってしまうことがあるので注意が必要です。また、品種によっては、数本の苗をまとめて植えることで、より柔らかいネギを収穫できる場合もあります。
水やりのコツ
ネギの水やりは、地植えの場合、基本的には雨水だけで十分です。ネギは乾燥に強い性質を持っているため、頻繁な水やりは根腐れの原因になることがあります。ただし、夏場など、雨が降らない日が長く続く場合は、土の状態を確認し、必要に応じて水を与えましょう。水やりのタイミングは、土が乾いていることを確認してから、朝か夕方の涼しい時間帯に行うのがおすすめです。日中の暑い時間帯に水やりをすると、土の中で蒸れて根が傷んでしまうことがあるので避けましょう。特に、植え付け直後や肥料を与えた後は、土の湿り具合に注意し、適度な水分を保つように心がけましょう。水はけの良い土壌を整えることが、過湿によるトラブルを防ぐ上で重要です。ネギは乾燥を好むことを念頭に置き、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにすれば、健全な生育を促すことができます。
肥料の与え方
ネギ栽培では、植え付け前に肥料を与える必要はありません。肥料が直接根に触れると、苗を傷めてしまう可能性があるためです。追肥は、植え付けから約1ヶ月後を目安に開始し、その後は土寄せの作業と並行して定期的に行いましょう。少しずつ肥料を与えながら土寄せを繰り返すことで、白い部分を長く伸ばし、ネギ全体の生育を促進することができます。肥料には、化成肥料の他に、有機栽培を目指す場合は、完熟した鶏糞を使用することもできます。鶏糞は、ネギの生育に必要な栄養素をバランス良く含み、土壌の微生物を活性化させる効果も期待できます。肥料を与える際は、ネギの株元に直接かけずに、畝の側面に少量ずつ施し、土と混ぜ合わせるか、土寄せと同時に行うようにしましょう。こうすることで、肥料焼けを防ぎ、効率的に栄養を供給することができます。土寄せの際に追肥をすることを忘れないようにしましょう。
土寄せの目的、時期、頻度
長ネギを育てる上で欠かせない「土寄せ」は、丈夫な根を育て、品質の良い白い部分を長く伸ばすために行います。苗の成長に合わせて土寄せを続ける必要があり、その頻度は品種や育てる環境によって変わりますが、大体1ヶ月ごとに4～5回行うのが一般的です。ただし、3回程度で十分とする意見もあるため、ネギの成長具合や目標とする白い部分の長さに合わせて調整しましょう。この作業の主な狙いは、ネギの白い部分（軟白部）を土で覆い、光を遮断することで、葉緑素を作らせず、白くて柔らかい部分を増やすことです。さらに、長ネギの根は空気を好むため、株元に土を寄せて盛ることで、根が新しく盛られた土の中へと伸び、より効率的に栄養や水分を吸収できるようになります。栽培の初期段階、特に植え溝がまだ深い間は、鍬などの道具で丁寧に溝に土を入れていく作業が中心となります。この手作業による土入れがほぼ終わり、植え溝が埋まって畝が平らになったところが、その後の効率的な作業への切り替えポイントです。土寄せの最終的な時期は、長ネギが収穫目標とするサイズより少し短い程度になったらを目安とし、その後は収穫の準備に入ります。土寄せと同時に肥料を与えることで、ネギの成長をさらに促すことができるので、この2つの作業は一緒に行うようにしましょう。
効率的な土寄せ作業と調整のポイント
土寄せを効率良く、そして大規模に行うためには、特に畝が平らになった中盤以降に専用の機械を使うのがとても効果的です。具体的には、長ネギの畝の横に培土器を取り付けた耕うん機を使うことで、土を耕して雑草を取り除く作業と同時に土寄せができるため、作業時間を大幅に短縮できます。この機械作業では、培土器の角度や耕うんの深さを丁寧に調整することが非常に大切で、葉の分かれ目が埋まらないように土を寄せることが重要です。特に、ネギの葉の分かれ目が土に埋まりすぎると、成長に悪い影響を与える可能性があるため、注意が必要です。また、機械で土寄せをする際、一度に畝の両側から行うと長ネギの株に負担がかかりすぎる恐れがあるため、片側の土寄せを行った後、数日から1週間ほど間を空けてから反対側の土寄せを行うように、段階的に進めるのがおすすめです。こうすることで、ネギへの負担を最小限に抑えながら、効率的に土寄せを進めることができます。機械での土寄せが終わった後も、土が均一でなかったり、株元に土が十分でない部分があれば、鍬などの道具を使って土の量を細かく調整することが大切です。これにより、ネギの株元に適切な量の土が確実に寄せられ、白い部分の成長と根の発達が最大限に促進され、最終的に品質の良い長ネギの収穫につながります。
長ネギの植え替えの必要性と「スパルタ栽培」について
長ネギの栽培では、苗の段階で植え替えが必要になる場合と、そうでない場合があります。種からネギを育てている場合は、苗が30cm〜40cmくらいに成長した時に、育苗床から畑に植え替えるのが一般的です。この植え替えによって、ネギは広い場所で根を張り、大きく成長するための準備をします。一方で、お店で売られている苗を買って育てる場合は、すでに植え付けに適したサイズになっていることが多いため、基本的に植え替えは必要ありません。ただし、ネギの種類によっては、成長をさらに促すために真夏に一度植え替える「スパルタ栽培」という方法もあります。これは、植え替えの際に根が切れることで、ネギが新しい根をより強く張ろうとし、結果的に株が太く育つという効果を狙ったものです。家庭菜園で長ネギを育てる場合は、必ずしもこのスパルタ栽培をする必要はありませんが、ネギの生命力を活かした面白い栽培方法として知られています。植え替えは、ネギの成長をリフレッシュさせ、さらなる成長を促すための重要な作業となることがあります。
美味しい長ネギの見分け方と収穫方法
長ネギの収穫は、本格的な秋が始まる頃からするのが一般的ですが、だいたい12月上旬から翌年の3月中旬までが目安です。最後の土寄せから3週間ほど経つと、ネギは収穫に適した時期を迎えることが多いです。収穫する際は、畑に植わっている長ネギの中から、大きく育って食べ頃になったものから順番に、必要な分だけを選んで抜きます。この方法なら、一度に全てのネギを収穫するのではなく、熟したものから順に使えるため、家庭菜園などでは長い期間、常に新鮮な長ネギを楽しむことができます。また、まだ小さい長ネギでも、薬味として使うなど、早めに抜いて活用することもおすすめです。このように一部を収穫することで、隣に残ったネギには根が広がるスペースができ、残されたネギはさらに大きく成長する機会を得られます。長ネギはとても生命力が強く、翌年の春に花芽（ネギ坊主）が出るまで、畑に植えたまま収穫を楽しむことができます。収穫する時は、よく育ったものから順番に、株元の土を払って引き抜きましょう。もし土が硬くて抜きにくい場合は、根を傷つけないように畝の片側を鍬などで掘ってから収穫すると良いでしょう。長ネギは、寒い時期に霜に当たると甘みが増して美味しくなります。しかし、春になるとネギ坊主が出てきて芯が固くなったり味が落ちてしまうため、3月上旬までに収穫を終えるのが、美味しいネギを味わうためのコツです。
収穫後の長ネギ、鮮度を保つ秘訣
長ネギを収穫した後、いかに新鮮さを維持するかが重要です。長持ちさせるためには、適切な保存方法を実践しましょう。収穫後すぐに泥を洗い流すのではなく、土がついたままにしておくのがポイントです。土がついていることで、ネギは土から水分と栄養を吸収し続け、鮮度を保てます。保存場所は冷暗所が最適で、立てて保存するのが理想的です。新聞紙で包み、風通しの良い場所に立てかけておくと良いでしょう。冷蔵庫に入れる場合は、使いやすい長さにカットし、湿らせた新聞紙で包んでポリ袋に入れ、野菜室で立てて保存します。カットしたネギは冷凍保存も可能です。小口切りや斜め切りにして冷凍用保存袋に入れ、平らにならして冷凍すれば、必要な時に必要な量だけ使えます。冷凍ネギは、汁物や炒め物、薬味など、幅広い料理に活用できます。適切な管理で、新鮮な長ネギを長く楽しみましょう。
長ネギを脅かす病気とその予防策
長ネギ栽培は比較的容易ですが、病害虫対策が成功の鍵となります。特に注意すべき病気は、「べと病」と「さび病」です。べと病は、葉に黄白色の斑点が広がるのが特徴で、湿気の多い時期に発生しやすく、放置すると葉が枯れてしまいます。予防のためには、株間を適切に確保し、風通しを良くし、水はけの良い土壌を維持することが大切です。予防剤の散布も効果的です。発症した場合は、感染した葉を速やかに取り除きましょう。さび病は、葉に褐～黒色の斑点が点々とつくのが特徴で、こちらも湿度が高い環境で発生しやすいため、事前の予防が重要です。これらの病気を防ぐには、日当たりと風通しを良くし、水はけの悪い場所や酸性の土壌を避けること、そして高温多湿の環境を作らないように注意することが大切です。病気の兆候が見られたら、早期発見・早期対処が重要です。
長ネギを狙う害虫とその対策方法
長ネギの栽培では、病気だけでなく、害虫にも注意が必要です。主な害虫としては、ナメクジ、アブラムシ、ネギコガの幼虫などが挙げられます。ナメクジは、雨上がりや夜間に葉を食害し、独特の食痕を残します。対策としては、ビールトラップの設置や、木酢液の散布が効果的です。アブラムシは、葉の汁を吸ってネギを弱らせるだけでなく、ウイルス病を媒介することもあるため、厄介な害虫です。初期であれば指で潰すか、水で洗い流すのが有効です。大量発生した場合は、「油石鹸水」を噴きつけるのが効果的です。油石鹸水は、植物油と無香料の食器用洗剤を混ぜて作る簡単な天然殺虫剤です。ネギコガの幼虫は、葉の内部に潜り込んで食害するため、発見が遅れがちです。被害が見られた場合は、早めに捕殺するか、適用のある殺虫剤を使用することを検討しましょう。これらの害虫対策は、定期的な観察と早期の対応が重要です。畑の周囲の雑草を適切に管理することも、害虫の発生源を減らす上で有効です。総合的な病害虫管理（IPM）を取り入れ、環境に配慮した栽培を目指しましょう。
栽培環境におけるトラブルと注意点
長ネギ栽培を成功させるためには、病害虫対策に加え、栽培環境にも注意が必要です。ネギは乾燥には比較的強いですが、水はけの悪い場所や酸性の土壌、高温多湿の環境には弱いという特性があります。水はけが悪いと、根が常に湿った状態になり、根腐れやべと病などの病気が発生しやすくなります。植え付け前の土づくりで、有機物を十分に混ぜ込むなどして土壌の物理性を改善し、高畝にするなどの工夫で水はけを良くすることが重要です。ネギはpH6.0〜7.0程度の弱酸性から中性の土壌を好むため、酸性が強い土壌では生育不良を起こします。植え付け2週間前には苦土石灰を散布して土壌の酸度を調整しておきましょう。高温多湿の環境も、病気の発生や生育不良の原因となります。夏場の長雨や高湿度の日が続く場合は、風通しを良くするために適切な株間を保ち、必要に応じて余分な葉を取り除くなどの管理を行いましょう。これらの環境要因に注意を払い、ネギが健全に育つための最適な条件を維持することが大切です。
まとめ
美味しい長ネギを育てるためには、適切な苗選び、最適な時期での植え付け、そして何よりも重要な土寄せが不可欠です。種から苗を育てる場合も、市販の苗を利用する場合も、それぞれの段階で注意すべき点があります。特に、苗のサイズ分けやネギの種子が光を嫌う性質を理解しておくことが成功の鍵となります。市販の苗を選ぶ際には、茎が太く、活き活きとしたものを選びましょう。長ネギは、日当たりが良く、水はけと風通しの良い場所を好みます。また、酸性の土壌を嫌うため、植え付け前に苦土石灰で土壌を中和することが大切です。植え付け直後の肥料は不要ですが、その後は追肥と土寄せを繰り返すことで、白く柔らかい部分が長く育ちます。土寄せは、ネギの根が空気を好む性質を利用し、軟白部を日光から遮断する重要な作業です。適切な頻度と方法で土寄せを行うことで、ネギは大きく成長します。秋から冬にかけて、順次収穫を楽しめます。収穫時期は12月上旬から3月中旬が目安で、霜に当たると甘みが増しますが、花が咲く前に収穫を終えるのが理想的です。病害虫対策も忘れずに行い、適切な栽培環境を保つことが豊作につながります。これらのポイントをしっかりと押さえれば、家庭菜園でも美味しい長ネギを育てることが可能です。
長ネギの苗はいつ植えればいいですか？
長ネギの苗の植え付け適期は、一般的に夏植えで7月、春植えで3月中旬から4月です。特に夏植えの場合は、7月上旬から8月中旬頃が最適とされています。苗を育てる期間を考慮して、これらの時期に合わせて種まきや苗の購入を計画しましょう。植え付けが遅れると、収穫量が減少する可能性があるため、適切な時期を逃さないように注意しましょう。
長ネギの苗を植える際のポイントは何ですか？
苗を植える前に、太さごとに分けておきましょう。植え付けの際は、溝の壁に沿って約5cm間隔で苗を並べます。根が隠れる程度に軽く土をかけ、株元にワラや枯れ草を敷いておくと、根が好む空気の層を保ち、活着を促進します。葉の分かれ目が土に埋まらないように注意し、成長に合わせて少しずつ土を被せていくことが、軟白部を長く育てるための重要なポイントです。また、ネギは密集して植えることで互いに成長を助け合うため、株間を狭めて植えるのも有効な方法です。
長ネギの苗は自分で作れますか？
はい、長ネギの苗はご自宅でも比較的簡単に育てられます。ただし、初心者の方には少し難しいかもしれません。種まきは、春植えの場合は3月下旬（7月定植予定）、秋植えの場合は9月下旬（翌春定植予定）に行います。6～8mm程度の板を使って種をまくための溝を作り、1～2cm間隔で種を落とし、約1cmの厚さで土を被せます。ネギの種は光を嫌うため、土はしっかりと被せましょう。育苗中は、雑草をこまめに取り除き、月に一度薄めた液体肥料を与えると良いでしょう。苗の茎が鉛筆ほどの太さになったら、植え付けに適したサイズです。
長ネギ栽培における土寄せの重要性とは？
長ネギ特有の白い部分、いわゆる軟白部を長く、そして柔らかく育成するためには、土寄せという作業が欠かせません。土を被せることで日光を遮断し、葉緑素が生成されるのを抑え、結果として軟白部が白く伸びていくのです。加えて、ネギの根は酸素を好む性質を持つため、土寄せによって根の生育が促進され、養分や水分を効率良く吸収できるようになります。これらの効果が合わさることで、高品質で風味豊かな長ネギの収穫に繋がるのです。
長ネギへの土寄せ、その適切な頻度は？
土寄せの頻度は、苗の成長速度、品種、そして栽培環境によって変わりますが、一般的にはおよそ1ヶ月間隔で、4～5回程度行うのが目安とされています。ただし、3回程度の土寄せでも十分な場合もあるため、ネギの生育状況や、目標とする軟白部の長さを考慮して調整してください。初期段階では、鍬などの手作業で溝を埋め、ある程度成長したら、培土器を装着した耕うん機を使用すると効率的です。収穫目標とするサイズまで、あと4～5cm程度になったら土寄せは終了します。土寄せを行う際には、忘れずに追肥も施しましょう。
ネギ坊主ができてしまった長ネギは食べられる？
ネギ坊主（花芽）ができてしまった長ネギは、通常、中心部分が硬くなり、風味も落ちてしまうため、食用にはあまり適していません。美味しい長ネギを収穫するには、ネギ坊主ができる前に収穫を終えるのがポイントです。しかし、花が完全に開く前の蕾の状態であれば、ネギ坊主自体を収穫して、天ぷらなどで美味しくいただくことも可能です。
長ネギの葉に異変？黄白色や褐色の斑点の原因とは？
長ネギの葉に、黄白色の斑点が広範囲に広がっている場合、「べと病」の可能性があります。湿度が高い時期に発生しやすく、そのまま放置すると葉全体が枯れてしまうことがあります。一方、褐色から黒色の細かい斑点が多数見られる場合は、「さび病」が疑われます。これらの病気は、予防が最も重要です。風通しを良くし、水はけの良い状態を保ち、必要に応じて予防剤を散布しましょう。もし発症してしまった場合は、病変が拡大しないように、速やかに患部を取り除くことが大切です。