太陽の恵みをたっぷり浴びた、甘くて美味しいみかん。スーパーで買うのも良いけれど、自分で育ててみませんか?この記事では、初心者さんでも安心!みかんの育て方を徹底解説します。苗選びから日々のケア、収穫のコツまで、写真やイラスト付きで分かりやすくご紹介。愛情込めて育てたみかんは、きっと格別な味わいになるはず。さあ、あなたもみかん栽培にチャレンジしてみましょう!
みかん栽培を始める前に
甘酸っぱくて美味しいみかんは、家庭の庭先でも手軽に育てられる人気の果樹です。この記事では、みかん栽培が初めての方でも安心して始められるように、基本的な情報から、具体的な育て方、病気や害虫への対策までを、丁寧に解説していきます。ご自宅で丹精込めて育てたみかんを収穫する、格別の喜びを体験してみませんか?
みかんの基本情報
みかんの起源はインドにあり、中国を経由して日本に伝わったとされています。現在、日本で「みかん」と言えば、一般的には「温州(うんしゅう)みかん」のことを指しますが、江戸時代には「紀州みかん(別名:小みかん)」の栽培が盛んに行われていました。
みかんの仲間には、「コウジ」や「ポンカン」など、さまざまな柑橘類が含まれます。その中でも温州みかんは、暑さに強く、寒さにも比較的耐性があるのが特徴です。
ただし、温州みかんの耐寒性は一定ではなく、栽培環境や気象条件、年ごとの気温変化によって変動します。特に異常暖冬の年には、十分な耐寒性が育ちにくく、低温による被害のリスクが高まる傾向があります。
中川(1982)の研究では、温州みかんの低温処理による枯死葉率の変化を観察し、品種や栽培条件が耐寒性に大きく影響することが示されました【出典:農業気象, 1983】。
みかんの主な品種
みかんには多種多様な品種が存在し、それぞれに独特の個性があります。栽培する場所の気候や、お好みの味などを考慮して品種を選ぶことが大切です。ここでは、代表的な温州みかんの系統と、初心者の方でも育てやすいおすすめの品種をご紹介します。
温州みかんの系統
温州みかんは、収穫時期の違いによって、大きく分けて3つの系統に分類することができます。それぞれの系統の特徴を把握して、ご自身の栽培計画に役立てましょう。
極早生温州
最も早い時期、9月中旬頃から収穫できるのが極早生温州です。果肉を包む内皮が柔らかく、食べやすさが際立ちます。「ゆら早生」や「日南の姫」などが代表的な品種として知られています。樹高が低く抑えられる矮性(わいせい)で育つ傾向があるため、省スペースでの栽培や鉢植えでの育成に適しています。外皮はまだ緑色が残るものの、じょうのうが薄く、さっぱりとした口当たりが特徴です。酸味がやや強めなので、甘酸っぱい味わいを好む方におすすめです。
早生温州
10月下旬から11月にかけて収穫時期を迎える早生温州は、寒さが本格化する前に収穫できるため、家庭菜園にも向いています。「宮川早生」や「興津早生」は、毎年安定して美味しい実をつける人気の品種です。極早生と同様に果肉が柔らかく、食べやすいのが魅力で、極早生よりも甘味が強い傾向があります。
中生温州(普通温州)
10月下旬から12月にかけて収穫される中生温州は、糖度の高い実をつけるのが特徴です。「南柑20号」や「大津4号」は、たくさんの実をつけることで知られています。ただし、隔年結果(かくねんけっか)を起こしやすく、毎年安定した収穫を得るのが難しいという側面もあります。一般的に「みかん」としてイメージされることが多いのはこのタイプで、早生と晩生の中間の性質を持ちます。じょうのう膜(薄皮)は早生品種よりやや厚めですが、糖度が高いのが特徴です。
晩生温州
12月下旬から3月にかけて収穫される晩生みかんは、濃い橙色の外皮と、程よい酸味が特徴です。収穫後、一定期間貯蔵することで水分を減らし、甘みを凝縮させてから出荷されることがあります。他の品種に比べて皮やじょうのう膜が硬めですが、濃厚な甘みが楽しめます。貯蔵により酸味が和らぎ、糖度が増すため、収穫後すぐではなく、貯蔵期間を経てから市場に出回ることが一般的です。例えば、12月に収穫したものを貯蔵し、1月から2月にかけて出荷するケースなどが見られます。
初心者におすすめの品種
みかんには様々な品種があり、どれを選んだら良いか迷ってしまう方もいるかもしれません。ここでは、栽培しやすい初心者向けの品種をご紹介します。
宮川早生
早生みかんの代表的な品種として知られています。大正時代から広く栽培されており、比較的育てやすく、収穫量が多いのが特徴です。収穫初期は酸味がやや強く、徐々に甘みが増していきます。甘みと酸味の調和がとれたみかんを求める方におすすめです。
南柑20号
中生品種のみかんで、まろやかな酸味と十分な甘さが特徴です。皮がむきやすく、じょうのう膜も薄いため、食べやすさも魅力の一つです。比較的日持ちがするため、長く楽しめるのも利点です。
ゆら早生
極早生品種の中でも、特に甘みが強いことで知られています。じょうのう膜が非常に薄く、袋ごと食べられるほど柔らかいのも特徴です。丸みを帯びた可愛らしい見た目も楽しめます。
みかん栽培に必要なもの

みかんを育てるにあたって、最初に準備しておきたいものをリストアップしました。
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みかんの苗木(1~2年生のものが育てやすいです)
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30cm以上の深さがある鉢(プランター栽培の場合)
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果樹専用の培養土
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鉢底石(水はけを良くするために使用)
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元肥となる緩効性肥料
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追肥用の柑橘類専用の有機肥料
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剪定に必要な剪定バサミ
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苗木を支えるための支柱
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作業時の保護に役立つ園芸用手袋
みかんを鉢植えで育てる際は、深さが30cm以上ある大きめの鉢を選びましょう。1~2年生の苗木を使用する場合は、根鉢よりも少し大きめの鉢(直径18~30cm程度)からスタートし、成長に合わせて徐々に大きな鉢に植え替えていくのがおすすめです。実がなってからは、根詰まりを防ぐために1年ごとに植え替えを行うと良いでしょう。鉢は扱いやすい重さのものを選ぶのがポイントです。市販の培養土を利用するのも手軽でおすすめです。
市販の培養土の中には、元肥として緩効性化成肥料(例:マグァンプKなど)があらかじめ配合されているものもあります。これなら、土や肥料を自分で混ぜる手間が省けるので便利です。もちろん、肥料の配合をご自身で行うことも可能ですが、慣れていない場合は市販の果樹用肥料を使うのが無難でしょう。特に、柑橘類専用の肥料は、みかんに必要な微量要素などがバランス良く配合されており、より大きく美味しい実をたくさん収穫するために役立ちます。
置き肥タイプの肥料なら、土の上に置くだけで効果が1~2ヶ月持続するので手軽に使えます。初心者の方にもおすすめです。
みかんの育て方:年間スケジュール
みかん栽培で美味しい実を収穫するためには、年間を通して適切な管理が欠かせません。ここでは、みかんの年間スケジュールと、各時期に行うべき作業について解説します。
春(3月〜5月)
春は植え付け、剪定、そして生育を促すための芽出し肥を行う大切な時期です。みかんの成長に大きく影響するため、丁寧な作業を心がけましょう。
植え付け
みかんの植え付けに適しているのは、寒さが和らいできた3月中旬~4月中旬頃です。温暖な地域では秋植えも可能ですが、初心者の方には春植えをおすすめします。鉢底石と培養土を入れた鉢に、丁寧に苗木を植え付けましょう。植え付け後は、たっぷりと水を与えて根と土をしっかりと密着させることが大切です。春植えの場合、梅雨入り前に株をしっかりと育てておくことが成功の秘訣です。また、株元に支柱を立てて苗木が倒れないようにすることも忘れずに行いましょう。庭植えの場合は、植え穴を大きめに掘ることが重要です。直径と深さが共に50cm程度になるように掘るのが目安です。接ぎ木苗を植える際は、根元の接ぎ木部分が土に埋まらないように、少し浅めに植え付けるのがポイントです。
剪定
みかんの剪定は、通常、新芽が活動を始める2月下旬から3月頃が最適です。若い木、つまり実がなり始めるまでの1〜3年目の間は、細い枝を整理し、樹の高さが不必要に大きくならないように形を整えます。実がなり始めたら、不要な枝を取り除きつつ、全体の形を整えていきます。ただし、鉢植えの場合は、夏や秋に伸びる枝があまり多くないので、間引き剪定を中心に行い、丈夫な枝を育てることが重要です。剪定は、新しい芽が出る直前の2〜3月に行うのが理想的です。剪定によって、枝が密集することなく、太陽光が十分に当たる環境を作り出せます。また、枝葉が過剰に茂らないようにすることで、風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。植え付けたばかりの1年目の苗木を剪定する主な目的は、成長を促し、木の高さのバランスを調整することです。木の高さが高くなりすぎると、実を収穫する際に手が届きにくくなるため、4〜5本の主要な枝を選び、それ以外の芽を取り除きます。植え付けて2年目、3年目には、主要な枝やそれに次ぐ枝とぶつかりそうな枝や、上向きに伸びている芽を取り除きます。伸びすぎている枝を切り戻すことで、樹形を美しく整えていきましょう。4年目以降の剪定は、不要な枝を切る「間引き剪定」が基本となりますが、みかんが豊作の年と不作の年を交互に繰り返す「隔年結果」を防ぐために、実がたくさんなった年には「切り戻し剪定」を、実があまりならなかった年には「間引き剪定」を行うか、あるいは剪定自体を控えることで、毎年安定して実を収穫できるようになります。優先的に切るべきは、木の内部に向かって伸びている枝や、下に向かって垂れ下がっている枝です。一度に多くの枝を切りすぎると木が弱ってしまう可能性があるため、必要最小限の剪定を心がけましょう。
芽出し肥
3月に行う施肥は、春肥とも呼ばれ、新しい枝葉の成長を促し、収穫後の樹の勢いを回復させる目的で行われます。植え付け時に元肥を施している場合は、この段階での施肥は不要です。春に新たに伸びる芽や枝に栄養を与えるために、肥料を施しましょう。鉢植えの場合は、生育が再び活発になる春に備えて肥料を与えてください。地植えの場合は、土壌改良を兼ねて有機肥料を施すのがおすすめです。肥料としては、油かすや鶏糞などの有機肥料が適しています。
夏(6月〜8月)
追肥、摘果、そして適切な水やりを行うことで、みかんの成長をサポートする時期です。また、病害虫の発生にも注意が必要です。
追肥
6月頃、果実の成長を促進するために、1回目の追肥を行います。柑橘類専用の有機肥料の使用が推奨されます。植え付け後、6月頃になると小さな果実が見え始めるでしょう。収穫に備えて、6月と9月から10月にかけて追肥として肥料を施してください。また、植物の生育が弱いと感じられる場合は、1週間から10日に1回、速効性のある液体肥料を与えると良いでしょう。6月の施肥は夏肥と呼ばれ、花が咲き、実がつき始めるこの時期に肥料を与えることで、実の成長を力強く促すことができます。ただし、肥料を与えすぎると、逆に果実が落ちてしまうことがあるため、適切な量を守ることが重要です。

摘果
みかんが実り始めたら、良質な実を選び大きく育てるために「摘果」を行います。温州みかんの場合、葉20~25枚に対して1果が目安です。残った実に養分を集中させ、美味しいみかんに育てましょう。摘果は、実の数を調整する作業です。みかんの木は生理落下によって自然に実を減らしますが、残った実を手作業で間引きます。摘果の目的は、果実を肥大化させ、養分を集中させて美味しくすること、そして「隔年結果」を防ぐことです。実が多いと木の体力が低下するため、7月~8月にかけて幼い実を間引きます(時期は地域によって異なります)。間引く数は葉の数を参考にします。温州みかんなら葉20~25枚に1果、レモンなら25枚に1果、ポンカンなら40~50枚に1果というように、種類によって葉と実の比率が決まっているので、育てている柑橘の種類に合わせて摘果しましょう。必要であれば収穫時期までの7月~8月に摘果を行い、実の数を調整します。摘蕾の後に続く作業が摘果です。摘蕾とは、生え始めた蕾を減らす作業のこと。1本の枝に蕾が多いと、実をつけるために養分が奪われ、樹勢が弱まるため、蕾の数を減らすことで新芽の成長を促します。また、摘蕾によって、年ごとの実の量の変動を抑える「隔年結果」を防ぐことも可能です。地域差はありますが、一般的には4月~5月にかけて摘蕾作業を行います。
水やり
みかんの根が定着するまでは、鉢底から水が流れ出るまで毎日水を与えます。根がつき、株が成長してきたら、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水を与えましょう。春に植えた場合は、梅雨に入るまでにしっかりとした株に育てることが大切です。秋から冬の休眠期には、水やりを控えめにして乾燥気味に育てると実が甘くなります。庭植えの場合、根が定着した後は基本的に水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続き、土が乾燥している場合は水を与えてください。庭植えの場合、水やりは基本的に不要です。ただし、7月~8月に10日以上雨が降らない場合は、水を与えましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いている時にたっぷりと水を与えるようにしましょう。一般的に、柑橘類は収穫の2か月前から水やりを控えめにすると実が甘くなると言われています。育てている柑橘の収穫時期から逆算して、水やりを調整しましょう。
秋(9月〜11月)
追肥、収穫、病害虫対策を行う時期です。実の熟し具合を観察し、最適なタイミングで収穫しましょう。
追肥
秋の枝の成長が止まる9~10月頃に、速効性の化成肥料を与えます。実をつけた後の株は弱っているため、秋の追肥は翌年の実を育てるための重要な栄養となります。9月~10月に追肥を施しましょう。10月の施肥は秋肥と呼ばれ、実がついて体力を消耗している時期に肥料を与えることで、耐寒性を高めたり、翌年の開花や春の枝の成長を促すことができます。施肥の時期が遅くなると、地温が下がり根からの肥料の吸収が遅くなるため、地温が12度以上ある時期に施肥を行いましょう。
収穫
気温が下がり始めると、みかんの実が鮮やかな色に変わり、いよいよ収穫の時期を迎えます。温州みかんであれば、実全体の約7割がオレンジ色に染まった頃合いを見て、収穫を始めましょう。果皮に緑色がほとんど残っておらず、全体が均一なオレンジ色になっていれば、甘みが十分に蓄えられているサインです。
冬(12月〜2月)
冬は、寒肥の施用と寒さ対策が重要な時期です。寒さに弱いみかんを厳しい寒さから守り、翌年の生育を促すための準備をしましょう。
寒肥
2月から3月にかけて、寒肥を施しましょう。これは、春に勢いよく伸びる新芽や枝のために、必要なエネルギーを供給する目的があります。庭植えの場合は、土壌改良を兼ねて有機肥料を使うのがおすすめです。肥料は、油かすなどが適しています。
寒冷対策
みかんは寒さに弱い性質を持つため、冬の寒さ対策は欠かせません。葉や芽が凍害を受けると、翌年の生育に大きな影響を及ぼす可能性があります。以下の方法を参考に、適切な寒冷対策を行いましょう。
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ビニールで覆う:庭植えの場合や、鉢植えで移動が難しい場合は、ビニールで覆う方法が手軽です。太陽光を通す透明なビニールを使用し、枝が折れないように注意しながら全体を覆います。
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室内や軒下へ移動:気温が氷点下を下回るような地域では、室内や霜が当たらない軒下など、より暖かい場所へ移動させて凍害を防ぎます。ただし、みかんは冬でも日光を好むため、日当たりの良い窓辺などに置くようにしましょう。
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鉢を土に埋める:鉢植えの場合、鉢の中の土が凍ってしまうと、根が凍害を受ける危険性があります。日当たりの良い場所を選び、鉢ごと土に埋めることで、土の温度変化を緩やかにし、凍害を予防することができます。
また、みかんは冬の1月から2月頃に花芽が形成されるため、収穫せずに実をつけたままにしておくと、花芽の形成に影響が出る可能性があります。寒さが厳しい地域では、早めに収穫できる極早生品種や早生品種を選び、寒さに備えるのが賢明です。
みかんの栽培場所
みかん栽培で重要なのは、日当たりの良さです。太陽光を好むため、十分に日光が当たる場所を選びましょう。また、風通しの良い場所を選ぶことで、病害虫のリスクを軽減できます。庭植えの場合は、特に水はけの良い場所を選ぶことが大切です。鉢植えであれば、日当たりの良い場所への移動も容易で、管理がしやすいという利点があります。理想としては、1日に6時間以上は直射日光が当たる場所が良いでしょう。生育に適した温度は15〜18℃程度で、冬場は-5℃を下回らないように注意が必要です。原産地が温暖な地域であるため、夏の暑さには比較的強いですが、冬の冷たい風には注意が必要です。美味しいみかんを実らせるためには、日当たり、水はけ、そして風通しの良い場所を選ぶことが大切です。鉢植えの場合、雨が直接当たらない場所に置くことで、病害虫の発生をある程度抑えることができます。
水やりのコツ
水やりは、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと与えるのが基本です。特に夏場は乾燥しやすいため、朝夕2回水やりが必要になることもあります。冬場は生育が緩やかになるため、水やりの頻度を減らしましょう。苗木を植えたばかりの頃は、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水を与えることが大切です。株が成長してきたら、土の表面の乾燥具合を見ながら水やりを行います。春に植え付けた場合は、梅雨入り前にしっかりと根を張らせ、株を育てておくことが成功の秘訣です。秋から冬にかけては、水やりを控えめにして乾燥気味に管理すると、実の甘みが増します。庭植えの場合、基本的に水やりは不要ですが、雨が降らない日が続いて土が乾燥している場合は、水を与えてください。一般的に、柑橘類は収穫の2ヶ月ほど前から水やりを控えることで、実が甘くなると言われています。収穫時期を考慮して、水やりを調整しましょう。
肥料の与え方
みかんの生育状況に合わせて、適切なタイミングで肥料を与えることが大切です。肥料には、元肥、追肥、寒肥の3種類があり、それぞれ異なる役割を持っています。
元肥
植え付けの際に与える肥料が元肥です。緩効性肥料を使用することで、効果がゆっくりと持続し、根の生育を促進します。植え付け前に、みかんが好む土に緩効性肥料を混ぜ込んで使用します。すでに緩効性肥料が配合された培養土を使用すれば、土や肥料を混ぜ合わせる手間が省けます。
追肥
みかんの成長をサポートする追肥は、即効性肥料が効果的です。果実を大きく育て、甘みを引き出す役割があります。植え付け後、6月頃に小さな実が確認できるようになれば、収穫に向けて6月と9月~10月に追肥を行いましょう。もし生育が弱々しいと感じたら、1週間~10日に一度、即効性の液体肥料を与えても良いでしょう。
寒肥
寒肥は冬に与える肥料で、有機肥料を使用するのがおすすめです。株の体力を回復させ、翌年の成長に備える目的があります。2~3月頃に施肥し、春に芽吹く新しい芽や枝にエネルギーを届けましょう。庭植えの場合は、土壌改良も兼ねて有機肥料を施します。肥料としては、油かすなどが適しています。鉢植えの場合は、春の活発な生育に備えて、有機肥料を与えましょう。
みかん栽培で重要なのは、適切な時期に肥料を与えることです。以下に肥料の与え方の目安をまとめました。
元肥
植え付け時には、効果がゆっくりと持続する緩効性肥料を土に混ぜ込みます。市販の元肥入りの果樹用培養土を利用するのも良いでしょう。
追肥(1回目)
6月頃、果実の成長を促進するために1回目の追肥を行います。柑橘類専用の有機肥料がおすすめです。
追肥(2回目)
秋に伸びる枝の成長が止まる9月から10月頃に、速効性のある化成肥料を施しましょう。収穫後の株は体力を消耗しているため、秋の追肥は翌年の実を大きくするための重要な栄養補給となります。
剪定のポイント
剪定は、みかんの木の形を整え、太陽光を十分に当て、風通しを良くするために欠かせない作業です。余分な枝を整理することで、栄養が効率的に実にいきわたり、美味しいみかんを育てることができます。みかんの剪定に適した時期は、新芽が出始める2月下旬から3月頃です。実がなるまでの1〜3年目は、細い枝を選んで剪定し、樹の高さが大きくならないように仕立てていきましょう。実がなり始めたら、不要な枝を整理しながら樹の形を整えます。ただし、鉢植えの場合は、夏枝や秋枝があまり伸びないため、間引き剪定を中心に、丈夫な枝を育てることが大切です。剪定は新芽が出る前の2〜3月に行いましょう。剪定によって枝が密集せず、十分に日光を浴びられるようになります。また、風通しが良くなることで、病害虫の予防にもつながります。植え付けたばかりの1年目の苗木を剪定する目的は、成長を促し、樹高を調整することです。樹高が高くなりすぎると、実をつけた時に収穫しにくくなるため、4〜5本の主枝候補を残して芽かきを行います。植え付けて2年目・3年目は、主枝や亜主枝と重なりそうな枝や、上向きに伸びている枝を芽かきします。伸びすぎている枝を切り戻すことで、樹形を整えていきましょう。4年目以降の剪定は、不要な枝を切る間引き剪定が基本となりますが、みかんは実がなる年と、ならない年を交互に繰り返す隔年結果を起こしやすいため、実がなった年は切り戻し剪定を、実がならなかった年は間引き剪定を行うか、剪定しないようにすると、毎年安定して実をつけさせることができます。優先的に剪定するのは、木の中心に向かって伸びている枝や、下に垂れ下がっている枝です。一度にたくさんの枝を切りすぎると弱ってしまうことがあるため、必要な箇所のみ剪定するように注意しましょう。
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枯れた枝や病気にかかっている枝
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内側に向かって伸びている枝
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枝同士が重なり合っている枝
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勢いよく伸びすぎている徒長枝
これらの枝を剪定することで、樹全体の風通しが改善され、病害虫の予防にも役立ちます。
摘果で美味しいみかんを
摘果とは、実の数を減らす作業のことです。摘果を行うことで、残った実に栄養分が集中し、より甘くて美味しいみかんを育てることができます。また、摘果は隔年結果を防ぐ効果も期待できます。摘果に適した時期は、7月〜8月頃が目安です。温州みかんの場合、葉25〜30枚に対して1果を目安に摘果を行いましょう。みかんの実がつき始めたら、大きく育てる実を選んで摘果を行います。温州みかんの場合は、葉25〜30枚に対して1果が目安となります。残した実にしっかりと栄養をいきわたらせ、美味しいみかんに育てていきましょう。摘果とは、木になっている実の数を調整する作業のことです。みかんの木は、自然に実が落ちる生理落下によって実の数を減らしますが、必要以上に残った実を人の手で減らしていきます。摘果を行う目的は、美味しいみかんを作るために、果実を大きく肥大化させ、栄養分を集中させて果実を美味しくすること、そして隔年結果を防ぐことです。実の数が多すぎると木の体力が低下してしまうため、幼い果実を7月〜8月にかけて間引くようにします(地域によって時期は多少異なります)。間引く実の数は、葉の数を参考にします。温州みかんなら20~25枚で1果、レモンなら25枚に1果、ポンカンなら40~50枚に1果など、種類によって葉果比が定められているため、栽培している柑橘の種類に合わせて摘果を行いましょう。必要に応じて収穫時期が来るまでの7月~8月の間に摘果を行い、実の数を調整しましょう。
病害虫対策
みかんは比較的病害虫に強い果樹ですが、適切な対策を行うことで、より健康な株を育てることができます。代表的な病害虫と、その対策についてご紹介します。
病気
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そうか病:葉に白い点が現れ、表面にイボのような突起ができるのが特徴です。 আক্রান্ত葉は早めに取り除きましょう。多湿な環境や肥料の与えすぎが原因で発生しやすいので注意が必要です。鉢植えの場合は、雨の多い時期には軒下などに移動させると良いでしょう。
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かいよう病:葉や枝に茶色い斑点ができ、進行すると潰瘍のようになる病気です。感染した部分を取り除き、適切な殺菌剤を散布して対処しましょう。病害虫が広がってしまった場合は、お使いの植物や症状に適用のある市販の薬剤を使用することも有効です。使用の際は、必ず製品ラベルに記載されている使用方法、対象作物、注意事項をよく読んで正しくお使いください。
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黒点病などの予防も重要です。原因となるカビや細菌を特定し、それぞれの病気に適した殺菌剤を使用しましょう。
害虫
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アブラムシ:みかんの新芽が生える頃に発生しやすくなります。見つけ次第、取り除くか、必要に応じて害虫スプレーを使用し、発生を抑制しましょう。
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カイガラムシ:みかんの枝や葉から養分を吸い取る害虫です。成虫には害虫スプレーが効きにくいので、ブラシなどでこすり落とします。また、テントウムシなどの天敵を利用するのも効果的な駆除方法です。
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アゲハチョウの幼虫、黒点病、かいよう病、そうか病、アザミウマ類、カイガラムシ類、カミキリムシなど、様々な病害虫に注意が必要です。
病害虫は、日当たりや風通しの悪い場所で、株が弱っている場合に発生しやすくなります。剪定によって株の内側まで光が当たるようにし、適切な追肥や寒さ対策を行うことで、丈夫な株を育てましょう。
収穫のタイミング
みかんの収穫時期は、品種によって異なります。 一般的に秋から冬にかけてが収穫時期です。果実の色が濃くなり、ヘタの周辺が少しへこんできたら収穫の目安です。温州みかんの場合、果実の7割程度が色づいた頃から収穫を始めます。果実に緑色が残っておらず、全体がオレンジ色に染まっていれば、十分に甘くなっているでしょう。
みかん栽培の注意点

みかんは比較的育てやすい果樹ですが、栽培場所を誤ると、うまく育たないことがあります。また、冬の寒さ対策も重要です。ここでは、みかん栽培における注意点をまとめました。
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日当たりの良い場所で育てる:みかんは日光を好むため、日当たりの良い場所で育てることが大切です。栽培を始める前に、十分な日照時間が確保できる場所を選びましょう。鉢植え栽培であれば、移動が容易なので便利です。日光を十分に浴びせることで、丈夫な株に育ち、病害虫の予防にもつながります。
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冬は寒さ対策をしっかりと:みかんは寒さに弱いので、冬の寒さ対策は欠かせません。葉や芽が凍害を受けると、翌年の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
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連作障害を防ぐ:同じ場所に続けてみかんを植えると、生育が悪くなることがあります。庭植えの場合は、数年ごとに植え場所を変えるか、土壌改良を行いましょう。
結び
みかんを育てることは、愛情と手間をかけることで、美味しい果実を収穫できる喜びにあふれた家庭菜園です。この記事が、あなたの柑橘栽培の第一歩となることを願っています。適切な手入れと愛情を注ぐことで、きっと甘くて美味しいみかんが実るはずです。自らの手で育て上げたみかんを味わう感動を、ぜひ体験してみてください。
質問1:みかんの苗はどこで手に入れることができますか?
回答:みかんの苗は、園芸専門店やホームセンター、インターネット通販などで手に入れることが可能です。購入する際には、品種の特徴や苗の健康状態をしっかりと確認するようにしましょう。
質問2:鉢植えのみかんは、どれくらいの頻度で植え替えるべきですか?
回答:鉢植えでみかんを育てる場合、根詰まりを防ぐために、おおよそ1〜2年に一度のペースで植え替えを行うのが理想的です。植え替えの時期は、春または秋が適しています。
質問3:みかんの木が予想以上に大きくなってしまった場合、どうすれば良いでしょうか?
回答:みかんの木が大きくなりすぎた場合は、剪定を行うことで調整できます。剪定は、休眠期である冬に行うのがおすすめです。不要な枝を切り落とすことで、樹の形を整え、全体への日当たりと風通しを改善することができます。