健康や美容に良いキウイを、自宅で無農薬栽培してみませんか?キウイは比較的簡単に育てられる果樹として、家庭菜園初心者にもおすすめです。産毛が果実を守るため、農薬の使用を抑えられ、安心して食べられるキウイを収穫できます。剪定などの手入れは必要ですが、基本の育て方をマスターすれば大丈夫!この記事では、キウイ栽培のポイントを初心者にも分かりやすく解説。無農薬栽培のコツや手順を詳しくご紹介します。さあ、あなたも自宅でキウイ栽培を始めて、収穫の喜びを味わいましょう!
はじめに:キウイ栽培の魅力と、未経験者でも取り組みやすい理由
「農薬を極力使わずに育てられる果樹はないだろうか」という問いに対し、多くの場合、まず名前が挙がるのがキウイフルーツです。次いでブルーベリーなどが候補となるでしょう。一般的に果物は、糖度が高く甘みが強いため、鳥獣に狙われやすく、病害虫の被害にも遭いやすい傾向があります。しかし、キウイフルーツは、糖度が低い段階で収穫を行い、その後に追熟させるという特徴があります。また、果実の表面を覆う細かな毛が、物理的に害虫や雨から果実を守る役割を果たします。これにより、農薬の使用を抑えた栽培が可能となり、天候に左右されにくい安定した収穫が期待できます。家庭菜園でも比較的容易に育てられるため、初心者にもおすすめできる果樹です。剪定や誘引など、ある程度の手間は必要ですが、基本的な育て方は難しくありません。健康や美容に良いとされる栄養素が豊富なキウイフルーツを、ぜひご自宅で育ててみましょう。 ただし、キウイフルーツは比較的育てやすいとは言え、何もせずに放置しておけば良いというわけではありません。適切な管理といくつかの注意点を守ることで、安定した収穫が見込めます。この記事では、キウイフルーツ栽培において特に重要なポイントを、初心者の方にもわかりやすく解説します。具体的な栽培方法については、以下の栽培カレンダーに沿って詳しく見ていきましょう。
キウイフルーツとは:基本情報、特徴、栄養価、代表的な品種
キウイフルーツは、中国を原産とするマタタビ科マタタビ属の果物です。日本では一般的にキウイと呼ばれています。別名としてオニマタタビやシマサルナシという名もあります。その起源は中国のサルナシに遡り、ニュージーランドに持ち込まれて品種改良された結果、現在のキウイフルーツが誕生しました。キウイフルーツはつる性の植物であり、成長すると3mを超えるほど大きく伸びるため、家庭で栽培する際には支柱や棚を設置するのが一般的です。耐暑性と耐寒性に優れており、-10℃程度の寒冷地でも栽培が可能です。関東地方以西であれば、一年を通して庭植えと鉢植えの両方で栽培を楽しめます。苗木から育てた場合、結実(果実が実ること)までにかかる期間は通常1〜2年程度、種から育てた場合は3〜8年程度が目安となります。 キウイフルーツの大きな特徴は、甘くて美味しい果実が、表面の産毛によって保護されている点です。この産毛が物理的なバリアとして機能し、害虫や雨による被害を軽減します。その結果、無農薬または減農薬での栽培が可能となり、天候に左右されにくい安定した収穫につながります。また、キウイフルーツ栽培において特に重要なのは、「雌雄異株」であるという点です。これは、雄花を咲かせる株(オス)と、雌花を咲かせる株(メス)が別々に存在することを意味します。実を収穫するためには、必ずオスとメスの株をセットで植え、開花時期に合わせて受粉させる必要があります。 キウイフルーツは、健康や美容に良いとされる栄養素を豊富に含んでおり、「フルーツの王様」とも呼ばれています。特に、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、食物繊維、葉酸、ポリフェノールなどがバランス良く含まれており、栄養価の高い果物として知られています。キウイフルーツを食べた時に、舌がピリピリと感じることがありますが、これは「アクチニジン」というタンパク質分解酵素によるものです。アクチニジンには、肉類の消化を助ける効果があると言われています。 現在、キウイフルーツにはさまざまな品種が存在しますが、果肉の色によって大きく緑系、黄色系、赤系の3つに分けられます。品種によって甘さ、酸味、食感などが異なるため、ご自身の好みや栽培環境に合った品種を選ぶと良いでしょう。最も広く栽培されているのは果肉が緑色の「ヘイワード」ですが、近年では果肉が黄色い「ゴールデンキウイ」や、赤色の「レインボーレッド」など、多様な品種が流通しており、家庭菜園でも選択肢が広がっています。
キウイフルーツの主要品種

キウイフルーツには多種多様な品種が存在し、果肉の色によって大きく緑系、黄色系、赤系の3つのグループに分類できます。それぞれの品種は、甘味、酸味、香り、食感、保存性、そして栽培の容易さなど、独自の特性を持っています。これらの違いを理解することで、自分の好みに合ったキウイフルーツを選び、栽培計画を立てることができます。 緑系:ヘイワード 緑系の代表的な品種であり、世界中で最も広く栽培されているのが「ヘイワード」です。スーパーマーケットなどでよく見かけるキウイのほとんどが、この品種またはそれに近い種類です。ヘイワードは果実が大きく、食べ応えがあります。また、貯蔵性に非常に優れており、収穫後に追熟させずに冷蔵庫などで保管すれば、なんと6ヶ月もの長期保存が可能だと言われています。これは、一度にたくさん収穫しても、長い期間にわたって新鮮なキウイを楽しめるというメリットがあります。さらに、病気に強く比較的育てやすい品種であるため、初めてキウイ栽培に挑戦する方にも特におすすめです。 黄色系:ゴールデンキング 果肉が美しい黄色をしている「ゴールデンキング」は、糖度が16度前後と高く、甘味と酸味のバランスが絶妙な品種です。スーパーなどではまだあまり見かけませんが、その優れた食味と豊かな香りから、家庭栽培用の品種として非常に人気があります。ゴールデンキングの特徴は、熟すにつれてより一層際立つ芳醇な香りにあります。また、1本の木から100個ほどの果実が収穫できることもあり、たくさん収穫したい方にも適しています。この品種は、他の黄色系キウイと同様に、緑系の品種に比べて産毛が少ない、またはほとんどない傾向があります。 赤系:レインボーレッド(紅妃:こうひ) 果肉の中心部が鮮やかな赤色を帯びる「レインボーレッド」は、生産量が少なく、市場にはあまり流通しない珍しい品種です。静岡県富士市でキウイフルーツを栽培する小林利夫氏によって開発され、現在は主に静岡県と福岡県で栽培されています。レインボーレッドは一般的なキウイフルーツに比べて果実が小さく、産毛がないのが特徴です。糖度は17度前後と非常に高く、酸味が少ないため、小さなお子様でも食べやすいと評判です。鮮やかな色合いと高い糖度から、デザートやサラダの彩りとしても重宝され、食卓を華やかに演出してくれるでしょう。
キウイフルーツ栽培のポイント:環境、温度、苗木の選び方
キウイフルーツは生長が早く、比較的病害虫にも強いため、初心者でも育てやすい果物です。栽培を成功させるためには、適切な環境と温度管理、そして何よりも苗木の選び方が重要となります。これらのポイントをしっかりと押さえることで、健康的で豊かな収穫が期待できます。 栽培環境 キウイフルーツは日光を好む植物なので、庭植えにする場所や鉢植えを置く場所は、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。十分な日光は、果実の成熟を促進し、糖度を高めるために不可欠です。用土は、水はけが良ければ特に土質にこだわる必要はありません。ただし、土壌酸度は弱酸性から中性(pH6.0〜6.5程度)が適しています。酸性またはアルカリ性の強い土壌は避けるようにしましょう。 栽培温度 キウイフルーツは耐暑性、耐寒性に優れており、栽培可能な温度範囲が広いのが特徴です。冬の最低気温が-7℃以上であれば、十分に栽培できます。そのため、日本のほとんどの地域で一年を通して栽培が可能であり、地域による制約は比較的少ないと言えます。ただし、-7℃を下回るような寒冷地で、強い風や霜に長時間さらされると、生育に悪影響が出る場合もあるので注意が必要です。特に、樹が若く、幹が十分に太くなっていない場合は、凍害によって幹が枯れたり、ひび割れたりする恐れがあります。このような被害を防ぐため、冬を越すまでは幹を藁や防寒シートなどで覆って防寒対策を施すと安心です。 苗木の選び方と相性の良い組み合わせ キウイフルーツ栽培で最も重要で特別な点は、「雌雄異株」であることです。つまり、雄花を咲かせる株(オス)と雌花を咲かせる株(メス)が別々に存在します。美味しい果実を収穫するためには、必ずオスとメスの木をセットで用意し、両者の開花時期が一致している状態で受粉させる必要があります。苗木を選ぶ際には、雄木と雌木の開花時期が合致するかどうかを必ず確認しましょう。一般的に、オス木が1本あれば、メス木6本程度まで受粉させることが可能です。最近では、1本のメスの木にオスの枝が接ぎ木してある「受粉樹付き」の便利な苗も販売されていますが、そうでない場合は、必ずオスとメスの木を1セットで購入するようにしましょう。相性の良い組み合わせを選ぶことで、より確実に豊かな収穫が期待できます。 * 緑系果肉の品種:ヘイワード 世界で最も普及しているメス木「ヘイワード」には、オス木「トリム」が特におすすめです。ヘイワードは病気に強く、比較的育てやすい品種であるため、初めてキウイフルーツを栽培する方にとって最適な組み合わせと言えるでしょう。 * 黄色系果肉の品種:ゴールデンイエロー 甘味と酸味のバランスが良く、1本の木に約100個もの果実が実るとされるメス木「ゴールデンイエロー」には、オス木「孫悟空」や「ロッキー」がおすすめです。これらのオス木は、ゴールデンイエローの開花時期とよく合うため、効率的な受粉が期待できます。 * 赤系果肉の品種:レインボーレッド 甘味が強く酸味が少ないためお子様にも人気の高い赤系品種「レインボーレッド」は、開花時期が比較的早いため、極早生のオス木を選ぶのがおすすめです。開花時期のずれは受粉不良に繋がるため、早咲きの品種には早咲きのオス木を合わせるのが成功の秘訣です。
キウイの植え付けと土壌準備:最適な時期、雌雄の配置、土作り
キウイフルーツ栽培の最初の重要なステップは、苗木の植え付けです。キウイフルーツの特性を理解し、適切な時期に土壌を準備し、苗木を適切に配置することで、その後の健全な成長と豊かな収穫につながります。特に、キウイフルーツは雌雄異株であるため、オスの木とメスの木を考慮した配置が不可欠です。
キウイフルーツの植え付けに最適な時期は、一般的に11月上旬から12月にかけてです。この時期は木が休眠期に入り、根への負担が少ないため、活着しやすいとされています。ただし、冬季に凍害のリスクが高い寒冷地では、翌春の3月まで待って植え付けるのが安全です。さらに厳しい寒さの地域では、4月以降が適期となることもあります。
キウイフルーツは雌雄異株のため、実を収穫するには、必ずオスの木とメスの木をセットで植える必要があります。したがって、植え付け前に、オス木とメス木がそれぞれ健全に生育できる十分な栽培スペースを確保することが大切です。地植えの場合、オス木とメス木の間隔は3m〜10mが理想的です。必ずしも隣接して植える必要はありませんが、10mを超えて離れすぎると受粉が難しくなるため注意が必要です。 鉢植えの場合も、オス木とメス木は別々のプランターや鉢に植えますが、受粉を確実にするために、両者を3m〜10mの範囲内に配置しましょう。大きめの鉢やプランターを使用すれば、ベランダや庭の限られたスペースでもキウイフルーツ栽培を楽しめます。
キウイフルーツ栽培に適した土壌は、水はけが良いことが最も重要です。特定の土質にこだわる必要はそれほどありません。市販の果樹用または園芸用培養土を使用すれば、手軽に始められます。地植えの場合は、苗を植え付ける2週間ほど前から土づくりを開始しましょう。
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地植えの土作り 地植えをする場合は、約50cmの深さの植え穴を掘るか、植え付けの2週間前に畑や庭の土を耕し、1平方メートルあたり苦土石灰200gを混ぜて2週間ほど寝かせます。植え付け時には、掘った土に堆肥20kg、石灰500g、肥料1kg程度(窒素-リン酸-カリの比率が8-8-8の化成肥料など)を均一に混ぜ合わせ、埋め戻します。植え付け時に腐葉土と堆肥を追加し、植え穴に元肥として肥効期間が約2年間持続する緩効性肥料を混ぜ込むことで、土づくりは完了です。深植えにならないように注意し、根をできるだけ四方に広げて丁寧に植え付けます。
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鉢植えの土作り 鉢植えの場合は、市販の花木用培養土(なければ野菜用でも可)7割と、排水性・通気性を高めるための鹿沼土3割を混ぜて使用します。自分でブレンドする場合は、赤玉土小粒と腐葉土を7:3の割合で混ぜると良いでしょう。植え付け時には元肥として肥効期間が約2年間持続する緩効性肥料を混ぜ込みます。植え付け後、添え木を立てて軽く結び、根元から約50cmの高さで枝を切り詰めて、初期の樹形を整えます。
誘引:つる性植物の特性を活かした栽培方法
キウイフルーツはつる性の植物であるため、健全な成長と安定した収穫には、つるを這わせるための棚や支柱への「誘引」が不可欠です。誘引とは、つるや枝の方向を誘導し、支柱や棚に紐などで固定する作業のことです。苗を植え付けた直後から、地植えと鉢植えの両方で必要になります。適切に誘引することで、光合成効率を高め、風通しを良くし、作業性も向上させることができます。
庭にフェンスやパーゴラがある場合は、それらに誘引することもできますが、キウイのつるは成長すると太く硬くなるため、将来的に撤去する際に労力がかかる可能性も考慮すべきでしょう。スペースが限られている場合や、大きくしたくない場合は、鉢植えがおすすめです。鉢植えであれば、つるの伸長が自然に抑制され、管理も比較的容易になります。また、キウイは落葉樹なので、夏の間は青々とした葉が茂り、日陰を作り出してくれます。庭に涼しい休憩スペースを設けたい場合にも適しています。
地植えの場合、主に「棚仕立て」という方法で誘引します。これは、主枝を水平に伸ばし、そこから出る結果枝を等間隔に配置する仕立て方です。まず、苗を植え付けた後は、真っすぐに伸びるメインの枝を骨格として育てます。木が若いうちは、このメインの枝を真っすぐに誘引することを優先し、勢いの良い強い枝を選びます。不要な枝は早めに切り除きます。庭のスペースに余裕があれば、1本の株からメインの枝を2本または3本仕立てても良いでしょう。骨格ができたら、次に果実を実らせるための「結果枝」を、メインの骨格枝から約40cm間隔で規則的に配置し、魚の骨のような形になるように誘引・剪定していきます。棚仕立てにした後は、主枝と第二主枝から新しい枝が出てくるので、棚の下から出てくる枝はすべて切り取ります。成長につれて棚全体が混み合ってくるので、風通しを保つように剪定を行いながら誘引を続けましょう。
鉢植えでキウイフルーツを栽培する場合は、植え付け後に仮支柱を立てて、つるを上方向に誘引します。その後、苗がある程度成長した翌年の3月頃に、仮支柱を外して「あんどん仕立て」にするのがおすすめです。あんどん仕立ては、リング状の支柱に沿ってつるを螺旋状に誘引する方法で、限られたスペースでも効率的に光合成を促し、実をならせることができます。この仕立て方により、鉢植えでも見栄え良く、コンパクトにキウイフルーツを育てることが可能です。
キウイフルーツの水やり:乾燥を防ぎ、成長をサポート
キウイフルーツは乾燥に弱いため、適切な水やりは健全な生育と豊かな収穫に不可欠です。土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えるのが基本です。地植えと鉢植えでは水やりの頻度や方法が異なるため、それぞれの栽培環境に合わせた管理が必要です。
地植えの場合、根がしっかりと張れば土中から水分を吸収できるため、日常的な水やりの必要はほとんどありません。ただし、降雨が少なく日照りが続く場合は、水分が不足しやすくなります。このような時は、土の乾き具合を確認し、必要に応じて水を与えましょう。キウイの木が水不足になると、新梢が垂れ下がってくるのがサインです。このような症状が見られたら、すぐにたっぷりと水を与えてください。
鉢植えの場合は、地植えよりも土が乾燥しやすいため、よりこまめな水やりが必要です。土の表面が乾いたことを確認したら、鉢底から水が流れ出てくるくらいたっぷりと水を与えましょう。特に、気温が高く土が乾燥しやすい夏場は注意が必要です。夏場は、朝と夕方の涼しい時間帯に1日2回程度の水やりが必要になることもあります。日中に水やりを行うと、土の中の温度が上昇し、根にダメージを与える可能性があるため、必ず涼しい時間帯を選んでください。水やりは、キウイフルーツの生育段階、天候、鉢のサイズによって調整しましょう。
キウイの肥料:時期と量、与えすぎのサイン
キウイフルーツの健全な生育と豊かな収穫のためには、適切な時期に適切な量の肥料を与えることが重要です。肥料のタイミングは、地植えと鉢植えで異なるため、栽培方法に合わせた施肥計画を立てましょう。過剰な肥料は、花や実のつきを悪くする原因となることがあるため、木の様子を観察しながら調整することが大切です。
地植えのキウイフルーツには、年間を通して以下の時期に肥料を与えます。
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寒肥(元肥):12月上旬から2月ごろの休眠期に、寒肥として堆肥などの有機肥料を与えます。有機配合肥料(窒素-リン酸-カリの比率が8-8-8など)を約2kg施用するのが目安です。堆肥と肥料成分が一緒になったタイプの肥料は、土壌を豊かにします。肥料を与える際には、土を耕しながら肥料を混ぜ込み、よくなじむようにしましょう。
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追肥:樹勢を保ち、果実の肥大を促すため、7月頃と9月頃に追肥を行います。有機配合肥料を与えてください。速効性と緩効性の両方を兼ね備えた肥料がおすすめです。6月頃に約1kgを施用するのが目安です。これらの量は、成木の場合の基準です。幼木の場合は、木のサイズに合わせて量を減らしてください。
鉢植えのキウイフルーツには、地植えとは異なるタイミングで肥料を与えます。
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元肥(生育期初期):2月〜6月中旬に、生育が停滞している場合は、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込みます。
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追肥(着果・肥大期):9月下旬〜10月中旬に、果実の肥大と充実を促すための追肥を行います。果樹栽培に最適な錠剤肥料などを鉢の縁に置くことで、実つきを良くし、木を元気に育てることができます。
肥料を与える際には、木の様子をよく観察することが大切です。もし、表面に産毛がびっしりと生えた勢いの強い枝がたくさん出ている場合は、肥料が多すぎる可能性があります。このような状態の枝は、栄養生長に傾きすぎて花芽がつきにくくなったり、実がつきにくくなったりすることがあります。産毛の生えた強い枝が多く見られる場合は、追肥を控えるなど、施肥量を調整することが重要です。
キウイの剪定と仕立て方:豊作を導く「魚の骨」仕立て
キウイ栽培において、剪定は毎年安定した収穫を得るために欠かせない作業です。適切に剪定を行うことで、その後の栽培は容易になると言えるほど、その重要性は高いです。キウイはつる性の植物であり、生育が旺盛で、1年で5~6mも伸びる枝もあります。剪定を怠ると、棚がつるで覆われ、日当たりや風通しが悪化し、病害虫の発生や収穫量の低下を招きます。しかし、剪定の手順を文章だけで詳細に伝えるのは難しいものです。そこで、初心者にも分かりやすい、シンプルな剪定方法をご紹介します。まずは「魚の骨」と呼ばれる基本をマスターし、慣れてきたら栽培環境や木の成長に合わせて調整してみてください。つる性植物であるキウイは、つるを自由に誘引して、スペースを有効活用できるのが利点です。
果樹栽培の基本は、木全体の骨格となる「主枝」をどのように仕立てるかです。キウイの場合、図(※元の記事の図を参照)のように、まず力強い主枝を一本、まっすぐに伸ばすことを目指しましょう。木が若いうちは、この主枝を伸ばすことを最優先とし、勢いの良い枝を選びます。それ以外の不要な枝は、早めに切り落とします。庭に十分なスペースがある場合は、一本の株から主枝を2~3本仕立てても良いでしょう。主枝がしっかりと出来上がったら、次に果実を実らせるための「結果枝」を配置します。結果枝は、主枝から約40cm間隔で規則的に配置し、魚の骨のような形になるように誘引・剪定していきます。
収穫後、「枝が混み合って、どこから剪定すれば良いか分からない」と感じる方もいるでしょう。しかし、キウイの剪定は、この状態を再び「魚の骨」状に戻すことが重要です。キウイは、その年に伸びた「新梢」に実をつけます。春から夏にかけて、枝は勢いよく伸び、他の枝に絡みつき、混み合ってしまうことがあります。 剪定の最適な時期は、冬の休眠期である1月から2月頃です。この時期に、主枝はそのまま残し、主枝に近い位置から伸びている結果枝を選んで残し、古い結果枝や不要な枝は全て切り落とします。徒長した枝や日光を遮る枝を中心に剪定し、枝が混み合っている場合は、風通しを良くするために間引き剪定を行います。目安は、棚の横から木漏れ日が差し込む程度です。切るべき枝の先端に細い枝がついている場合も、切り落とします。キウイの剪定は複雑に見えるかもしれませんが、基本的には「魚の骨状に戻す」作業を繰り返すだけです。より専門的な剪定方法もありますが、家庭栽培であれば、この基本をマスターすれば、継続的に収穫できます。残す枝の長さは、弱い枝(30cm以下)はそのまま誘引し、勢いのある長い枝は1m以内で切り詰めます。目的の場所から良い結果枝が出てこない場合は、別の場所から伸びた枝を誘引して対応します。この剪定を繰り返すと、結果枝が主枝から離れていくことが予想されます。そのため、主枝から直接新しい枝が出てきた場合は、積極的に活用し、古い枝と更新することで、樹勢を維持し、安定した収穫を継続できます。
キウイの増やし方:挿し木による増殖
キウイは生命力が強く、比較的簡単に増やせる果樹です。適切な時期に枝を挿しておくだけでも根付くことがあります(ただし、黄色系の品種は根付きにくいものもあります)。キウイは挿し木で増やすことができ、勢いのある健康な枝を選んで切り取り、育苗トレイや鉢などで育てます。
挿し木には、前年に伸びた枝を使う「休眠枝挿し」と、その年に伸びた緑色の枝を使う「緑枝挿し」があります。一般的に、緑枝挿しの方が成功率が高いため、初めてキウイを増やす場合は緑枝挿しから始めるのがおすすめです。挿し木を行う時期は、キウイの根が活発に成長する時期が良いでしょう(詳細な時期は栽培カレンダーを参照)。数芽が地表に出るように挿し木をしておくと、新梢が伸びてきます。 具体的な挿し木のやり方は、以下の手順を参考にしてください(※元の記事の挿し木のやり方に関する詳細な手順は次回の情報統合で補完されます)。
キウイフルーツ栽培のお手入れ
美味しいキウイを育てるには、果実に栄養を集中させるためのお手入れが重要です。キウイ栽培に必要な作業や、お手入れ方法をご紹介します。
摘芯
枝やつるが良く伸びるキウイは、花や果実に栄養を集中させるために「摘芯」を行う必要があります。摘芯は、1枝あたり15節ほどを残し、その先の枝や成長点を切り詰めます。これにより、不要な栄養成長が抑えられ、花や果実へと栄養が効率的に供給されるようになります。混み合っているところや徒長している枝があれば、一緒に切り取っておくと、その後の剪定作業が楽になります。
人工授粉
キウイは5月頃に開花を迎えます。より確実に実を結ばせるために、人工授粉を行うのがおすすめです。雌花が開花してから3日間が受粉に適した期間となるため、その間に雄花から花粉を採取し、絵筆などを使って丁寧に雌花の柱頭に付着させます。もし、メス木とオス木の開花時期がずれてしまった場合は、市販のキウイ用受粉花粉を利用することも可能です。
摘果・摘蕾
キウイは自然に果実が落ちることが少ないため、そのままにしておくと小さな果実ばかりになってしまうことがあります。そのため、蕾の段階で摘蕾を行い、1本の枝につき2~4個程度に蕾を減らしましょう。キウイは開花後に急速に成長するため、果実を減らすには摘果よりも摘蕾が効果的です。 果実が成長し始めたら、生育の悪いものや傷のあるものを取り除く摘果を行います。目安として1本の枝に1~3個程度まで減らし、残った果実がしっかりと成長するように促しましょう。
キウイフルーツの収穫時期:美味しさを見極める最適タイミング
キウイの収穫時期は判断が難しく、多くの方が悩むポイントです。理想的には、果実の糖度が6~7度程度に達していれば収穫の目安となります。しかし、一般家庭で糖度計を持っているケースは少ないため、「11月上旬」を目安に収穫時期を決めても良いでしょう。実際に追熟させたキウイの甘みが足りないと感じた場合は、翌年以降の収穫時期を少し遅らせるなど、栽培環境に合わせて調整してみてください。適切な収穫時期を見極めることが、美味しいキウイを楽しむための第一歩です。 12月に入ると霜が降りる可能性もあるため、遅くとも11月中には収穫を終えるようにしましょう。収穫の際は、果実を傷つけないように注意し、ハサミなどを使って丁寧に茎から切り離してください。果実に傷がつくと、そこから熟成が進み、長期保存が難しくなることがあります。
キウイの追熟方法:甘みと長期保存のコツ
キウイは、樹上で完熟させようとすると、果実が柔らかくなりすぎたり、水分が抜けてしなびてしまうことがあります。収穫後に適切な「追熟」を行うことで、甘みと風味を最大限に引き出すことが可能です。追熟が必要なことは、栽培者にとってメリットもあります。未熟な状態で収穫するため、病害虫の被害を受けにくいこと、一度に収穫作業を終えられるため、労力を軽減できることなどが挙げられます。収穫したキウイは、冷涼な場所(10℃程度の冷蔵庫など)で保管すれば、2月頃まで長期保存できます。食べる分だけ追熟させることで、長い期間、新鮮なキウイを楽しめます。 果実の熟成には、「エチレン」という植物ホルモンが不可欠です。多くの果物はエチレンを自ら生成しますが、キウイはエチレン生成量が少ないため、他の植物が放出するエチレンに触れることで追熟が進みます。市販のエチレンガス発生剤も利用できますが、リンゴやバナナを利用した追熟方法もおすすめです。リンゴやバナナはエチレンを多く放出するため、キウイと一緒にビニール袋に入れて密封することで、追熟を促すことができます。目安として、キウイ10個に対し、リンゴまたはバナナ1個をビニール袋に入れ、密封します。気温にもよりますが、1~2週間程度でキウイは美味しく完熟します。触ってみて少し柔らかくなってきたら食べ頃です。
キウイの病害虫対策:家庭菜園でのポイント
キウイフルーツは比較的丈夫で、病害虫の被害を受けにくいと言われていますが、家庭菜園ではまれにトラブルが発生することがあります。キウイの果実は表面が産毛で覆われているため、害虫に強いものの、葉が吸汁されると生育に影響が出る可能性があります。そのため、病害虫を発見したら早めの対処が大切です。
カイガラムシは、さまざまな樹木の幹や枝に白い塊として付着する害虫で、キウイにも発生することがあります。吸汁によってキウイの生育を妨げ、大量発生すると樹液を吸い尽くし、樹勢を弱らせ、最悪の場合は枯死させてしまうこともあります。カイガラムシは硬い殻に覆われているため、殺虫剤が効きにくいのが難点です。見つけ次第、ブラシなどでこすり落とすなど、物理的な方法で確実に駆除しましょう。
カメムシは、不快な臭いを放つことで知られる吸汁性の害虫です。キウイフルーツの新芽がカメムシに吸われると、茎や葉が正常に育たなくなることがあります。また、果実が吸汁されると変形したり、落下したりする原因となるため、見つけたらすぐに捕殺しましょう。カメムシは隠れていることも多いので、木を軽く揺すってみると落ちてくることがあります。定期的な見回りの際に試してみるのがおすすめです。
キウイには、他の果樹に比べて発生は少ないものの、「かいよう病」や「果実軟腐病」などの病気が発生することもあります。
これらの病害虫からキウイを守るためには、落葉後の休眠期に予防的な薬剤散布を行うのが効果的です。具体的には、12月頃に「マシン油乳剤」を散布することをおすすめします。マシン油乳剤は、油分で害虫を覆って窒息させるという物理的な防除方法で、幅広い種類の害虫に効果を発揮します。そして、2月頃には「石灰硫黄合剤」を散布するのが良いでしょう。石灰硫黄合剤は、石灰と硫黄を主成分とする薬剤で、殺虫効果と殺菌効果を兼ね備えています。これらの薬剤は、有機栽培でも使用が認められている場合がある、比較的環境に優しい農薬です。ただし、石灰硫黄合剤は独特の強い臭いがあるため、散布する際は周囲への配慮と換気をしっかりと行ってください。冬の間にこれらの薬剤を適切に散布することで、翌シーズンの病害虫の発生を抑制し、キウイの健康な生育を促すことができます。
まとめ
この記事では、キウイフルーツの栽培を始める方が安心して取り組めるよう、植え付けから収穫、病害虫対策まで、重要なポイントをまとめました。キウイフルーツは雌雄異株であることや、つる性植物であるため棚が必要になることなど、注意すべき点もありますが、その丈夫さや追熟による長期保存が可能なことから、家庭菜園に最適な果樹と言えるでしょう。特に、適切な剪定を行うことで、毎年安定した収穫が期待できます。キウイフルーツは栄養価が高く、特にビタミンCは1個で1日に必要な量を摂取できるほどです。この記事でご紹介した剪定方法や、品種ごとの相性を参考に、キウイの木を育てて、収穫したての新鮮なキウイフルーツを味わってみてください。
キウイを植えたのに実がならないのはなぜ?
キウイが実を結ばない原因として、いくつかの可能性が考えられます。まず、キウイは雌雄異株なので、植えた木が両方とも雄株、あるいは両方とも雌株だったというケースです。花が咲いた時、中心に白い雌しべがあればメス、白い雌しべがなく黄色い雄しべだけならオスです。現在植えてある木の性別を確認し、必要であれば雌株や雄株を新たに植えましょう。次に、オスとメスの開花時期がずれていることも考えられます。もし雌花が咲き終わってから雄花が咲き始めるようであれば、開花時期が合う別の品種の雄木を選ぶ必要があります。品種を選ぶ際は、ヘイワードには「トリム」、ゴールデンイエローには「孫悟空」や「ロッキー」、レインボーレッドには極早生の「雄木」など、相性の良い組み合わせを参考にすると良いでしょう。また、植え付け後3年程度は、キウイがあまり実をつけない傾向があります。肥料を与えすぎると、栄養成長に偏り実がなりにくくなることがあるので注意が必要です。もしかしたら、来年にはたくさん実がなるかもしれません。
キウイの木の寿命はどのくらい?
キウイの木の経済的な寿命は、一般的に20~30年程度と言われています。これは、安定した収穫が見込める期間を指します。しかし、適切な管理と環境が整っていれば、それ以上に長く実をつけ続けることも可能です。実際、50年経ったキウイの木が今年もたくさん実をつけているという例もあります。適切な剪定、施肥、病害虫対策を行うことで、キウイの木は長く豊かな収穫をもたらしてくれるでしょう。
キウイ栽培は初心者でも挑戦しやすい?
はい、キウイフルーツは、家庭菜園初心者の方でも比較的容易に育てられる果物と言えるでしょう。多くの甘い果実とは異なり、キウイは収穫後に追熟させることを前提としているため、糖度が低い状態で収穫できます。これにより、樹になっている間に害虫や病気による被害を受けにくいというメリットがあります。さらに、果実を覆う毛も、虫や雨から果実を守る役割を果たします。ただし、キウイは雌雄異株である点、つる性の植物であるため棚が必要となる点、そして適切な剪定が収穫量に大きく影響する点を理解しておく必要があります。これらのポイントを踏まえ、基本的な管理をしっかりと行えば、家庭菜園でも十分に美味しいキウイを収穫することが可能です。













