ウリ(瓜)は、爽やかな香りとみずみずしい食感が魅力の夏野菜です。キュウリやメロンの仲間で、家庭菜園でも比較的育てやすいのが特徴。ここでは「ウリの育て方」を基礎からわかりやすく解説し、失敗しない栽培のコツもまとめました。これから家庭菜園を始める方や、ウリの収穫量を増やしたい方にも役立つ内容です。
ウリとは?特徴と生育のポイント
ウリはウリ科の野菜で、日当たりと温暖な環境が大好きです。根を広く伸ばして生育するため、ふかふかの土壌でよく育ちます。生育期間は気温・日照に左右されやすく、特に定植後の急激な気温低下には弱い傾向があります。また、つるを伸ばしながら成長するため、スペースさえ確保できれば初心者でも育てやすい野菜です。
栽培に適した時期
ウリの栽培は、春〜初夏にスタートします。地域の気温によりますが、地温が15℃以上になった頃が種まきや植え付けの適期です。
- 種まき:4月〜5月
- 植え付け(苗):5月
- 収穫:7月〜8月頃
寒さに弱いので、早すぎる時期の種まきは避け、気温が安定してから行いましょう。
土作り|ウリが好む土壌の条件
ウリは排水性がよく、かつ保水性もあるふかふかの土を好みます。
土づくりのポイント
- pHは6.0〜6.5が適正
- 堆肥をしっかり混ぜる(1㎡あたり完熟堆肥2〜3kg)
- 元肥として 化成肥料 100g もしくは有機肥料(油かす+骨粉)を適量
- 化成肥料 100g
- もしくは有機肥料(油かす+骨粉)を適量
株が大きく元気に育つため、事前の土づくりは重要です。
植え付けのコツ
苗を植える場合は、本葉が3〜4枚になった元気な苗を選びましょう。
植え付け手順
- 株間は 50〜60cm と広めにとる
- 根を崩さずに丁寧に植える
- 植え付け後はたっぷり水やりをする
- 風よけ・寒さ対策にマルチングや不織布で保護すると安心
植え傷みを防ぐため、曇りの日や夕方に作業すると、苗が早く根付きます。
育て方の基本管理
● 水やり
乾燥しすぎるとウリの実が変形しやすくなるため、土の表面が乾いたらたっぷり与えるようにします。ただし水のやり過ぎは根腐れの原因になるので注意。
● 追肥
1回目:植え付け2〜3週間後 2回目:つるが伸び始めた頃 3回目:実がつき始めた頃
※化成肥料または有機肥料を根元から少し離して施す。
● 敷きわら
ウリの果実が土に触れると傷みやすいので、敷きわらをして果実を守りましょう。乾燥防止にもなります。
摘心と整枝で収穫量アップ
ウリはつるを伸ばしながら成長するため、摘心(先端を止める)が有効です。
- 親づる5〜6節で摘心
- 側枝(子づる)を2〜3本残して育てる
- 実が付きすぎると株が弱るので、適度に数を調整
風通しが良くなることで病害虫の予防にもなります。
病気・害虫対策
ウリは比較的育てやすい野菜ですが、つるが茂りやすいため湿気がこもりやすく、また葉が柔らかい時期は害虫の被害が出やすい傾向があります。病害虫は初期対策が非常に重要で、気づくのが遅れると一気に広がって収穫量にも大きく影響します。ここでは、ウリ栽培で特に発生しやすい病気・害虫と、その効果的な予防策について詳しく解説します。
■ うどん粉病
ウリ科の野菜で最もよく見られる病気が「うどん粉病」です。葉の表面が白い粉をかけたように見えるのが特徴で、進行すると白い斑点が広がり、葉全体が覆われてしまいます。葉が光合成しづらくなり、株が弱り、実の成長にも影響します。特に、昼夜の寒暖差が大きい時期や風通しの悪い密植状態で発生しやすい病気です。
予防としては、まず 株間を広めに確保すること が重要です。ウリはつるが長く伸び葉が密になりやすいため、間隔を空けて植えることで湿気がこもるのを防げます。また、つるが混み合ってきたら、古い葉や弱った葉をこまめに取り除き、通気性を改善して湿気を逃がすことが有効です。すでに症状が出た葉は早めに除去し、必要に応じて市販の薬剤を使うことで拡大を防げます。
■ ウリハムシ
ウリ科作物の大敵といわれる害虫が「ウリハムシ」です。オレンジ色や黒色の小さな甲虫で、葉に小さな穴を多数開けながら食害し、ひどい場合は葉がレース状になってしまいます。特に若い苗の段階で被害を受けると、生育が大きく遅れ、最悪の場合株が弱って枯れてしまうこともあります。
予防策として最も効果があるのが 防虫ネットの設置です。定植した直後からネットを張っておくことで、ウリハムシの侵入を防ぎ、葉へのダメージを最小限に抑えられます。また、黄色の粘着トラップに引き寄せられる性質があるため、周囲に設置するのも効果的です。見つけた場合はすぐに捕殺し、被害葉は取り除いて株の負担を軽減します。成虫は春先に多く見られるため、この時期は特に注意深く観察しましょう。
■ アブラムシ
アブラムシはウリの新芽や若い葉に群れで吸汁する害虫で、繁殖力が非常に高いのが特徴です。気づくと葉裏に数十匹、さらに数日で数百匹まで増えることもあり、吸汁によって葉が縮んだり、べたついた排泄物が「すす病」を引き起こす原因にもなります。また、ウイルス病を媒介することもあるため、早期対策が重要です。
予防としては、まず 風通しのよい環境を維持すること が基本。葉が密集しているとアブラムシが発生しやすくなるため、必要に応じて葉の整理を行います。発見が早ければ、強めの水流で葉裏を洗い流すだけでもかなり数を減らせます。大量発生している場合は薬剤の使用も検討します。また、近くにマリーゴールドやネギ類を植えると、アブラムシの抑制に効果があります。
効果的な対策
株間を広くとる
→風通しがよくなり、うどん粉病やアブラムシの発生が減る
つるや葉を整理して湿気をためない
→病気の予防に効果的
早期発見・早期対策が基本
→葉の観察を毎日続ける
防虫ネットの活用が非常に効果的
→特にウリハムシ対策として有効
薬剤の使用は必要に応じて
→被害が広がる前に使用すると効果的
特にウリハムシは若いウリ苗にとって大きな脅威となるため、ネットでの物理的な予防が最も効果的で確実な対策となります。
収穫のタイミング
ウリは品種によって収穫時期の目安が異なりますが、一般的には実が膨らみ、表面の色がしっかりついた頃が収穫適期です。
- 早採りすると香りが弱い
- 遅らせると実が硬くなる
1〜2日で状態が大きく変わるため、毎日チェックすると美味しいタイミングを逃しません。
まとめ
ウリはつるを伸ばしながら成長し、日当たり・水分・肥料のバランスが整えば、家庭菜園でもしっかり収穫できます。特に水切れと肥料切れに弱いため、定期的な観察と早めの追肥が成功のポイント。夏の食卓に爽やかなウリを楽しむため、ぜひチャレンジしてみてください。
ウリのつるはどう手入れすればいいですか?
ウリの栽培では、つるの手入れが重要です。まず、親づるが5~6枚の本葉をつけた時点で、先端を摘み取ります。その後、勢いのある子づるを3本選びましょう。子づるから伸びる孫づるには雌花が咲くので、最初の7節までに出てくる孫づるは取り除きます。8~11節から出る孫づるを「結果枝」とし、雌花が咲いたら、その節より上の葉を2枚残して先端を摘心します。最終的には、ふっくらとした実がついた結果枝を、子づる1本あたり2本残すように調整します。残した子づるは20節あたりで摘心し、結果枝よりも上の節から伸びてくる孫づるは、葉を1枚だけ残して摘心します。この丁寧な手入れが、美味しい実を収穫するための秘訣です。
ウリの収穫時期はどのように見分ければいいですか?
ウリの収穫時期を見極めるには、いくつかのポイントがあります。一般的なウリの場合、開花してから40~45日ほどが目安となり、実から特有の良い香りが漂い始めます。また、株全体の葉が黄色く変化し始めたり、実がついている節の葉のあたりが栄養不足のような状態になり、枯れ始めるのもサインです。特に、つると実がつながっている部分に、丸いひび割れのような模様(離層)が現れ始めたら、収穫のベストタイミングです。確実に収穫時期を判断するために、開花日を記録しておき、日数が経ったら試しに収穫して熟れ具合を確認するのがおすすめです。
ウリが特にかかりやすい病気は何ですか?
ウリを育てる上で注意したい病気として、つる割病、つる枯病、べと病などが挙げられます。中でも「つる割病」は、土壌を通じて感染する厄介な病気です。もし発生してしまったら、感染した株は速やかに抜き取り、土壌に病原菌が残らないように適切な処理を行うことが大切です。つる割病が発生した畑では、その後4~5年はウリの栽培を避けるか、抵抗力のある品種を選ぶようにしましょう。病気の早期発見と、それに応じた適切な対策が、ウリを健康に育てるためには欠かせません。
一般的なメロンとウリは何が違うのですか?
ウリは、広い意味での「メロン」の一種であり、特に東アジアで昔から栽培されてきた種類の総称です。私たちが普段「メロン」と呼ぶ場合、アールスメロンやアンデスメロンのように、網目模様のあるメロンを指すことが多いですが、ウリは網目がない品種が主流です。プリンスメロンなどの品種改良にも使われています。ウリは、網目のあるメロンに比べて育てやすく、多湿や低温にも比較的強いのが特徴です。さっぱりとした甘さと、シャキシャキとした食感が楽しめます。品種も豊富で、甘くて生で食べるのに適したものから、まだ熟していない実を漬物にするものまで、様々な種類があります。
マクワウリは続けて栽培できますか?
マクワウリは、続けて同じ場所で栽培すると生育に悪影響が出やすい植物です。これは、同じ種類の野菜を同じ場所で繰り返し栽培することで、土の中の栄養バランスが崩れたり、特定の病気を引き起こす菌や害虫が増えたりすることが原因です。マクワウリも例外ではなく、続けて栽培すると生育が悪くなったり、病気にかかりやすくなったりします。そのため、少なくとも2~3年は間隔を空けて栽培することが大切です。特に、土から感染する「つる割病」が発生した場合は、4~5年はウリ科の植物を栽培しないようにしましょう。













