お正月のお餅、余っていませんか?鏡開きでカチカチになったお餅も、揚げれば絶品おやつに大変身!カリッとした食感と香ばしい風味で、ついつい手が止まらなくなる「かき餅」。今回は、基本の揚げ方から、青のりや七味唐辛子を使ったアレンジレシピまで、かき餅の魅力を余すところなくご紹介します。揚げたて熱々はもちろん、冷めても美味しいかき餅は、お子様から大人まで楽しめる万能おやつ。ぜひ、手作りかき餅で、お餅の新たな可能性を発見してみてください。
かきもちとは?その多様な姿と日本の食文化における位置
「かきもち」という言葉から連想されるイメージは、人によって様々かもしれません。サクサクとした軽い食感のもの、あるいは、硬くて素朴な揚げ菓子を思い浮かべる方もいるでしょう。実際に辞書で「かきもち」を調べてみると、複数の意味合いを持っていることが分かります。例えば、広辞苑によれば、かきもちとは、正月に飾った鏡餅を小さく砕いたもの、または、餅を薄く切って乾燥させたものを指します。名前の由来は、刃物を使わずに手で「欠いて」小さくしたことからきているという説があります。私の祖母は、海苔やゴマを混ぜた餅を薄く切って干したものを「かきもち」と呼んでいました。これは後者の定義に合致します。特にお正月、鏡開き後の固くなった鏡餅を、美味しく、そして無駄なくいただくための知恵として、かきもちは昔から親しまれてきました。お正月にお餅を食べ飽きたとしても、形を変え、揚げたり焼いたりすることで、また違った美味しさを楽しむことができるのです。この記事では、主に前者の、鏡餅を砕いて作るかきもちの揚げ方についてご紹介します。いずれのかきもちも、日本の原風景を思い起こさせる、どこか懐かしい味わいを持つ食べ物です。その多様な形と背景を知ることで、「かきもち」という言葉の持つ豊かな世界を感じていただければ幸いです。
家庭で作る、シンプルで美味しいかきもち:揚げ方のコツとアレンジ
かきもちの奥深い話で心が温まったところで、ご家庭で手軽に作れるかきもち(揚げ餅)の作り方をご紹介しましょう。手作りならではの魅力は、シンプルながらもお餅本来の味わいを存分に楽しめることです。お正月に余ったお餅や鏡餅の有効活用にも最適です。揚げ時間自体は15分程度と短いですが、美味しく仕上げるためには、事前の「乾燥」が非常に重要になります。
**【安全のための最重要ポイント】乾燥が不十分な餅を揚げると、内部の水分が急激に膨張し、大きな音を立てて破裂することがあります。その際、高温の油が激しく飛び散り、重度の火傷を負う危険性があります。安全に調理するため、必ず餅を完全に乾燥させてください。**
かきもちの材料と準備:乾燥具合と安全性がポイント
<材料> ・切り餅:適量(余ったお餅や鏡餅の破片などを利用できます) ・揚げ油:適量(米油を使うと、軽く揚がり、風味が良くなるのでおすすめです) ・お好みの調味料(下記参照): ・塩:少々 ・醤油:適量 ・きな粉:適量 ・きび砂糖:適量 <下準備> 1. **お餅をカット:** まずは、硬くなったお餅を3mm程度の薄さに切ります。柔らかいお餅を使う場合は、数日間乾燥させてから切りましょう。以前、母はのし餅の端を細長く切り、それを2~3cm角にカットしていました。これくらいのサイズがおすすめです。市販のスリット入りのお餅は、乾燥させると割れやすい傾向がありますが、味に影響はありません。きれいな形に仕上げたい場合は、スリットなしのお餅を使うのがおすすめです。 2. **乾燥させる:** 切ったお餅をザルなどに広げ、風通しの良い場所で数日から2週間ほどかけて、しっかりと乾燥させます。表面にひび割れができるまで乾燥させるのが重要です。乾燥時間は、天候や餅の厚さによって変わりますが、私は大体1~2週間を目安にしています。乾燥中にカビが生えないよう、夜間や雨天時は室内に取り込むようにしましょう。触った時に硬く、軽く叩くと乾いた音がするくらいが目安です。鏡餅を使う場合は、そのまま乾燥させ、鏡開き後にハンマーなどで食べやすい大きさに割って、必要に応じてさらに乾燥させます。大きく割ると乾きにくいので、細かく砕くのが早く乾燥させるコツです。 3. **安全対策:** **乾燥が不十分だと、揚げている最中に破裂する恐れがあります。油が飛び散るほどではありませんが、大きな音がして驚くことがあるため、しっかりと乾燥させるようにしてください。**
揚げ方のコツと、おすすめの味付けバリエーション
<揚げ方> 1. **油の温度:** 鍋に揚げ油を入れ、160℃程度に熱します。私は170~180℃で揚げることもありますが、最初は160℃を目安にすると、焦げ付きにくく、じっくりと揚げることができます。 2. **揚げる:** 準備したお餅を少しずつ油の中に入れます。油に入れると、お餅がユニークな形に膨らんでいく様子は、見ていて楽しいものです。時々ひっくり返しながら、全体がきつね色になるまで揚げます。揚げる時間は、お餅の大きさによって異なりますが、元の大きさの3~4倍程度に膨らみ、中まで火が通っていればOKです。 3. **油を切る:** 揚げ終わったお餅は、網に乗せてしっかりと油を切ります。 <味付けアレンジ> 揚げたてのかきもちに、お好みの味付けをします。 ・**醤油味:** 揚げたて熱々のかきもちに、醤油をサッとたらすか、ハケで塗ります。醤油を少しだけ垂らして食べるのが特に美味しく、醤油が濃い部分に当たると、まるで宝くじに当たったかのような嬉しさがあります。手作りならではの楽しみ方です。香ばしい香りが食欲をそそります。 ・**きな粉砂糖味:** きな粉と砂糖を混ぜたものを、揚げたてのかきもちにまぶします。やさしい甘さが口の中に広がります。 ・**塩味:** シンプルに塩をかけるだけでも、お餅本来の風味と油の旨みが引き立ちます。
かきもち劇場:ふくらむ形から生まれる物語
揚げたてのかきもちは、想像もつかない面白い形に変化します。その形を利用して、お子様と一緒に「かきもち劇場」を始めてみませんか?
例えば、「むかしむかし、うさぎさんとくまさんが仲良く山道を歩いていると、大きな口を開けた恐ろしい鬼が飛び出してきて……」というように、かきもちの形を登場人物や風景に見立てて、即興でお話を作っていくのです。信じられないかもしれませんが、不思議と色々なものに見えてくるから面白いものです。お子様と一緒に「これは何に見える?」「このかきもちはどんなお話をしてくれそう?」と、想像力を自由に羽ばたかせてみましょう。皆様のかきもちが、どんなユニークな形に変身するのか、その過程もぜひお楽しみください。
まとめ
この記事では、お正月の余ったお餅を手軽に美味しく変身させる「かきもち」の作り方をご紹介しました。ポイントは、約3mmの薄さにスライスしたお餅を、**表面に細かい亀裂が入るまで**しっかりと乾燥させること。乾燥させることで、揚げた際の油はねを防ぎ、サクサクとした食感に仕上がります。基本の揚げ方に加え、醤油、きな粉砂糖、塩といった様々な味付けアレンジで、飽きずに楽しめます。ぜひご家庭で手作りかきもちに挑戦し、お餅の新たな魅力を発見してみてください。
かきもちとは?
かきもち(欠き餅)には、主に二通りの意味があります。一つは、お正月の鏡餅を包丁などの刃物を使わずに手で割って小さくしたもの、もう一つは、お餅を薄く切って乾燥させたものです。どちらも乾燥させたお餅であり、揚げたり焼いたりして食べる日本古来のお菓子です。特に鏡開きで余ったお餅の有効活用法として親しまれています。
かきもちと「あられ」や「干し餅」との違い
かきもちは、お餅を乾燥させてから揚げますが、あられは、お餅をより細かく賽の目状に切って、炒ったり揚げたりしたものです。干し餅(氷餅、凍み餅)は、雪国に伝わる製法で、薄く切ったお餅に水分を含ませてから、凍らせては乾燥させるという独特の工程を経て作られます。これらはすべて「乾燥させたお餅」という点で共通していますが、製法や形状に違いがあります。
自宅で絶品かき餅を作る秘訣とは?
一番のポイントは、乾燥させる工程にあります。お餅を完全に乾かすためには、天候にも左右されますが、約1週間から2週間かけて、**表面に細かい亀裂が入るまで**丁寧に乾燥させることが重要です。カビの発生を抑えるために、夜間は室内に入れるようにしましょう。揚げる際には、油の温度を160℃~180℃に維持し、元のサイズの3~4倍になるまでじっくりと揚げることで、中まで火が通り、格別な美味しさになります。