フェイジョア 食べ方

エキゾチックな香りと甘酸っぱさが魅力のフェイジョア。ニュージーランドやオーストラリアではポピュラーな果物ですが、日本ではまだまだ知られていないかもしれません。独特の風味は、パイナップルやバナナ、グアバを合わせたようだと形容されます。この記事では、そんなフェイジョアを最大限に楽しむための、とっておきの食べ方を徹底ガイド!追熟のコツから、フレッシュな味わいを活かしたアレンジレシピまで、フェイジョアの魅力を余すことなくお伝えします。

フェイジョアとは?:特徴、風味、原産地

フェイジョア(Feijoa sellowiana)は、南米をルーツとするフトモモ科の植物で、ウルグアイ、ブラジル南部、パラグアイなどが原産です。別名「パイナップルグアバ」とも呼ばれ、グアバと同じ仲間です。日本ではまだ一般的ではありませんが、ニュージーランドやオーストラリアではよく知られた果物として親しまれています。比較的育てやすく、実だけでなく美しい花も楽しめるため、家庭果樹としても人気があります。

果実は鶏卵くらいの大きさで、形状は卵型または楕円形をしています。果皮は深緑色で、果肉はクリーム色から淡いオレンジ色をしており、中心部分はゼリー状で、カットすると花のようなユニークな形をしているのが特徴です。熟していない果実は酸味が強く、ざらっとした舌触りですが、熟成が進むとバナナやパイナップルのような芳醇な香りを放ち、果肉も柔らかくなります。その独特な風味は、パイナップル、バナナ、グアバ、そしてパッションフルーツをミックスしたような、複雑で奥深い味わいと評されます。

日本国内では、香川県、福岡県、福島県、神奈川県などで栽培されています。収穫時期は10月中旬から11月下旬にかけてで、収穫後10日から2週間ほど追熟させることで、11月~12月中旬頃に食べ頃を迎えます。一方、ニュージーランドでは、3月下旬から5月にかけてが収穫シーズンです。

フェイジョアの選び方と熟し具合の見分け方

フェイジョアを選ぶ際には、果皮に傷がなく、ふっくらと丸みを帯びたものを選びましょう。手に取って軽く押さえてみて、わずかにへこむくらいの柔らかさがあり、甘く濃厚な香りが漂うものが食べ頃のサインです。果実が硬い場合は追熟が必要ですが、保存性を重視するなら硬めのものを選ぶのがおすすめです。追熟させる場合は、常温で数日から数週間置いておくことで、徐々に柔らかくなり、香りも強くなります。

フェイジョアの食べ方:フレッシュ、加工、花

フェイジョアは、様々な調理法で美味しく味わうことができます。最もポピュラーな食べ方は、生のまま味わう方法です。キウイフルーツのように半分にカットして、スプーンで果肉をすくっていただきます。フェイジョアならではの風味と食感をストレートに楽しめます。

また、お菓子作りの材料としても最適です。ジャムやコンポートに加工したり、パウンドケーキやマフィンなどの焼き菓子に混ぜ込んで風味をプラスするのも良いでしょう。加熱することで香りがより一層引き立ち、美味しさが際立ちます。

さらに、フェイジョアは花も食べることができます。白い花びらは肉厚で、苦味やクセがほとんどなく、ほんのりとした甘みが感じられます。ヨーグルトやアイスクリームに添えたり、サラダに散らしたりして、見た目と風味のアクセントとして活用できます。ただし、食べられるのは花びらの部分のみで、赤い雄しべは苦味があるため取り除く必要があります。

ニュージーランドでのフェイジョア事情:家庭菜園、無人販売

ニュージーランドでは、フェイジョアは非常に身近な果物として親しまれています。多くの家庭で庭木として栽培されており、収穫期には食べきれないほどの収穫量があります。熟した果実は自然に地面に落ちるため、それを拾って収穫します。収穫されたフェイジョアは、近所の人と分け合ったり、無人販売所などで販売されたりすることも珍しくありません。また、羊を飼っている家庭では、収穫しきれないフェイジョアを羊の餌として与えることもあるようです。

フェイジョア活用レシピ:ドリンク、クランブル、ケーキを手作り

フェイジョアがたくさん採れたら、色々な料理に挑戦してみましょう。ここでは、ご家庭で手軽に作れる、フェイジョアを使った3つのレシピをご紹介します。

フェイジョアの皮を活用!自家製炭酸ドリンク

フェイジョアの皮には、天然酵母が豊富に含まれています。これを利用して、自家製の発泡性のあるドリンクを作ることができます。フェイジョアの皮を丁寧に洗い、実を食べ終わった後の皮を清潔な瓶に入れ、砂糖と水を加えて数日間、室温で保管するだけで、爽やかな炭酸ドリンクが完成します。発酵が進みすぎると酸味が強くなるので、味を確認しながら調整してください。

【材料】

  • フェイジョアの皮:500mlの瓶にいっぱいになる量(中サイズ約15個分)
  • 砂糖:大さじ2(お好みで調整)

【作り方】

  1. フェイジョアを食べる前に、表面を軽く水で洗い流します。(強く洗いすぎないように注意)
  2. フェイジョアの果肉をおいしくいただきます。
  3. 残った皮を清潔な瓶に詰めます。
  4. 砂糖を加えます。(分量は控えめです。砂糖が多いほど炭酸が強くなります。)
  5. 瓶いっぱいに水を注ぎます。蓋を閉めた時に、少し隙間ができる程度が良いでしょう。
  6. 室温で3日から5日間、発酵させます。

フェイジョアとリンゴの絶品クランブル

ニュージーランドの家庭で親しまれている定番デザート、アップルクランブルにフェイジョアを加えたアレンジレシピです。リンゴとフェイジョアの甘酸っぱさが絶妙に調和し、食欲をそそる香りが特徴です。クランブルのサクサク感と、フルーツのジューシーな味わいが楽しめます。

【材料】

  • 薄力粉:36g
  • 全粒粉:36g(薄力粉のみ72gでも可)
  • ロールドオーツ(オートミール):108g
  • ブラウンシュガーまたは砂糖:72g
  • シナモンパウダー:小さじ1
  • バター:75g
  • リンゴ:中サイズ3個
  • フェイジョア:約20個分

【作り方】

  1. オーブンを200℃に予熱します。
  2. リンゴを約5mm幅のいちょう切りにし、焦げ付かないように中火で軽く煮ます。約5分が目安です。リンゴの色が透明になる少し手前で火を止め、食感を残すようにします。(リンゴの厚さや煮る時間は、お好みで調整してください。)
  3. フェイジョアを半分にカットし、中身をスプーンでくり抜きます。大きいものはさらに半分に切ります。
  4. 薄力粉、全粒粉、ロールドオーツ、ブラウンシュガー、シナモンパウダーを混ぜ合わせます。
  5. 冷蔵庫から出したばかりの冷たいバターを、ダイス状にカットし、4の粉類に加えて混ぜます。指先でバターを潰すようにして、粉と馴染ませます。混ぜ終わった粉は、少し粉っぽい状態です。
  6. オーブンで使用できる深皿の底に、2のリンゴと3のフェイジョアを敷き詰め、上から5のクランブル生地を均等にのせます。
  7. オーブンに入れ、表面がきつね色になるまで、約30分焼きます。

フェイジョア、バナナ、ココナッツのキャロットケーキ

ニュージーランドで人気のキャロットケーキをアレンジし、フェイジョア、バナナ、ココナッツを加えたレシピです。フェイジョアのエキゾチックな香りがココナッツと見事にマッチし、しっとりとした食感と優しい甘みが特徴です。

【材料】

  • バナナ:1本(熟したものがおすすめ)
  • ニンジン:大1本
  • フェイジョア:300g(皮を除く)
  • サラダ油:167ml
  • 卵:2個
  • ベーキングソーダ:小さじ1
  • 乾燥ココナッツ:66g
  • ハチミツ:80ml、または砂糖120g
  • 塩:ひとつまみ
  • 薄力粉:110g
  • 全粒粉:110g
  • ベーキングパウダー:小さじ1
  • シナモンパウダー:小さじ1

【作り方】

  1. オーブンを200℃に予熱します。
  2. バナナをフォークで潰します。ニンジンは粗めにすりおろします。フェイジョアは果肉を約2cm角に刻みます。
  3. ボウルにバナナ、ニンジン、フェイジョア、サラダ油、卵、ベーキングソーダ、乾燥ココナッツ、ハチミツ、塩を入れ、よく混ぜ合わせます。
  4. 薄力粉、全粒粉、ベーキングパウダー、シナモンパウダーを混ぜ合わせ、3に加えます。生地をすくうように混ぜ、全体を馴染ませます。混ぜすぎには注意してください。
  5. ケーキ型またはマフィン型に、生地を9割ほどの高さまで注ぎ入れ、20~25分焼きます。ケーキが膨らみ、表面に焼き色が付いたら完成です。

日本でのフィジョアの入手方法:国産、輸入、オンラインショップ

日本ではまだ広く知られていないフィジョアですが、国内での栽培に取り組む農家も徐々に増えています。特に広島県など一部地域では栽培が盛んで、秋には新鮮なフィジョアが手に入るチャンスがあります。さらに、ニュージーランドからの輸入も行われており、乾燥フィジョアなどの加工品は、オンラインストアを通じて手軽に購入できます。

フィジョアの栄養価と健康へのメリット

フィジョアは、ビタミンC、食物繊維、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。ビタミンCは、強力な抗酸化作用を持ち、免疫力の向上に貢献します。食物繊維は、腸内環境を改善し、便秘の解消をサポートします。カリウムは、血圧を下げる効果があり、高血圧の予防に役立ちます。さらに、フィジョアに含まれる成分には、抗炎症作用や抗がん作用がある可能性も研究で示唆されています。

まとめ

この記事では、日本ではまだ馴染みの薄い果物、フィジョアについて詳しくご紹介しました。その独特な風味、様々な食べ方、そして豊富な栄養価について、ご理解いただけたかと思います。もしお店で見かけることがあれば、ぜひ一度味わってみてください。そして、その美味しさに感動したら、自宅の庭で栽培に挑戦してみるのも良いかもしれません。フィジョアを通して、ニュージーランドの自然の恵みを感じてみてください。

フェイジョア