鉄分は、私たちの体にとって非常に重要な栄養素です。特に、赤血球が酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、鉄分不足が続くと貧血や疲労感、免疫力の低下など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。忙しい現代人にとって、効率的に鉄分を摂取する方法を知っておくことは、健康を維持するためにとても大切です。本記事では、日常生活に取り入れやすい鉄分補給術を紹介します。
鉄分はなぜ必要?
鉄は、人が健康を保つ上で欠かせない栄養素、「必須ミネラル」の一つです。特に、体全体へ酸素を運び、生命活動を支える赤血球の重要な材料となるため、不足すると体調不良の原因となることも。日々の食生活で意識して摂取することが大切です。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、年齢による差はあるものの、成人男性7.5mg程度、月経のある成人女性で10.5~11.0mg、妊娠初期・授乳期は+2.5mg、妊娠中期・後期は+9.5mg程度の鉄分の摂取が推奨されています。しかし、必要な摂取量に満たない人が多く、食事だけで鉄分を摂ることは簡単ではありません。
1日に必要な摂取量の目安
体内の鉄分が不足すると、赤血球中のヘモグロビンが不足することにより、赤血球の数が減ります。赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、この数が減ってしまうと全身に酸素が十分に供給されない状態になり、「鉄欠乏性貧血」に陥ってしまうでしょう。
鉄分不足の影響とは?
体内の鉄分が不足すると、血液中のヘモグロビンの量が減少し、結果として赤血球の数が減少します。赤血球は、酸素を体の隅々まで運搬する重要な役割を担っているため、その数が不足すると、全身への酸素供給が滞り、鉄欠乏性貧血を引き起こす可能性があります。
多くの人は鉄分が不足気味であること、鉄分は体に吸収されにくいこと、鉄分には「ヘム鉄」「非ヘム鉄」があり吸収率に違いがあることなどをお伝えしました。ここからは、不足しがちな鉄分を簡単に摂る方法をご紹介しましょう。

鉄分の種類:ヘム鉄と非ヘム鉄
食品中の鉄分は主に2種類。「ヘム鉄」は肉や魚といった動物性食品に豊富で、10~30%と高い吸収率が特徴です。動物性タンパク質に包まれているため、他の食品の影響を受けにくいという利点もあります。一方、「非ヘム鉄」は野菜、穀物、海藻などに多く含まれますが、吸収率は2〜5%程度と低めです。ただし、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率を高めることが可能です。
鉄分を簡単に摂るための5つの方法
方法1:鉄鍋や鉄製の調理器具を活用する
鉄製の鍋やフライパンを使うことで、料理中に鉄分が溶け出し、摂取できる鉄分量を増やすことができます。特に炒め物や煮物を作る際に鉄鍋を使うと効果的です。
方法2:吸収率をアップする栄養素を同時に摂取
非ヘム鉄は吸収されにくい性質がありますが、工夫次第で吸収率を高めることが可能です。ビタミンCやクエン酸は鉄の吸収を助ける代表的な栄養素です。ブロッコリーや大根などの野菜、柑橘類やイチゴなどの果物を組み合わせて摂るのがおすすめです。梅肉に含まれるクエン酸も有効で、小松菜スープに酢を加えるだけでも効果が期待できます。
方法3:鉄分の吸収を妨げる食品を控える
非ヘム鉄の吸収を妨げる食品が存在します。例えば、コーヒー、紅茶、煎茶などに含まれるタンニンは、非ヘム鉄の吸収を阻害するため、食事中の同時摂取は避けるのが賢明です。過剰に気にする必要はありませんが、食事中は水を飲み、煎茶などの摂取は控えめにするのがおすすめです。
方法4:腸内環境を改善する
腸内フローラが乱れていると、摂取した鉄分が吸収されにくくなることがあります。腸内環境を整えるために、発酵食品や食物繊維を積極的に摂取しましょう。
方法5:サプリメントを賢く活用
鉄分が不足しがちな現代、サプリメントを賢く利用することも一つの手段です。鉄分サプリには、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類が存在します。非ヘム鉄の場合、吸収率の低さが課題となりますが、クエン酸とキレート結合させたタイプであれば、吸収率の向上が期待できます。
結び
多くの人が悩む鉄分不足。しかし、食生活に少しの工夫を取り入れるだけで、手軽に、そして効率的に鉄分を補給することが可能です。今回ご紹介した方法を参考に、鉄分不足を解消し、健康的な毎日を送りましょう。