「森のバター」と称されるアボカドは、そのクリーミーな食感と栄養価の高さで、食卓を豊かに彩る万能食材です。一年を通して手軽に入手できるアボカドですが、「切り方が難しそう…」と敬遠している方もいるかもしれません。この記事では、基本の切り方から、ちょっとおしゃれな応用テクニックまで、アボカドを余すことなく楽しめる方法を徹底解説。もう迷うことはありません!
アボカドとは?
アボカドは、その濃厚でクリーミーな食感から「森のバター」と称される人気の食材です。一年を通して比較的安定して手に入る輸入品が多く、和食、洋食といったジャンルを問わず、様々な料理で活躍します。
アボカドの選び方:最適な熟度を見抜く
アボカドは、見た目だけで中身の状態を判断するのが難しい食材です。そのため、食べ頃を見極めるには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。以下に、美味しいアボカドを選ぶためのポイントをご紹介します。
- ヘタの状態: ヘタがしっかりと付いていて、実から少しだけ浮いている状態が理想的です。ヘタが取れてしまっているものは、熟しすぎている可能性があるので注意が必要です。ヘタの周りに大きな隙間がある場合は、さらに熟成が進みすぎているため、すぐに食べるようにしましょう。
- 皮の状態: 皮に自然なツヤとハリがあるものを選びましょう。
- 触感: お店でアボカドを強く押すのは避けましょう。自宅で追熟させている場合は、優しく指で触れて硬さを確かめます。
- 色: 品種によって異なりますが、すぐに食べない場合は緑色のものを選び、常温で保管して追熟させるのがおすすめです。
アボカドの基本的な切り方と種の取り方
アボカドを切る際に、種がなかなか取れなかったり、果肉が崩れてしまったり、包丁の扱いに不安を感じる方もいるかもしれません。ここでは、安全に、そして美しくアボカドを切るための基本を解説します。
アボカドの種の取り方
アボカドの種を取り除く方法はいくつか存在します。ここでは、特に一般的な2つの方法をご紹介します。
方法①:包丁を使った種取り
- まず、アボカドを縦半分に切ります。アボカドを回しながら、包丁は動かさずに固定すると、美しく切れます。種にしっかりと刃が届くように、包丁の根元に近い部分を使うのがコツです。包丁の刃が種に対して常に垂直になるように意識すると、切り口がずれにくくなります。
- 包丁の角を種に慎重に突き刺し、軽くひねるようにして種を取り出します。種は硬いため、手を傷つけないように十分注意してください。
- もしアボカドがまだ熟れておらず、種が取りにくい場合は、無理に包丁を使わず、スプーンで種を優しくすくい出す方法がおすすめです。
方法②:手で種を取り除く
- アボカドの種を避けて、ぐるりと一周、皮に浅く切れ込みを入れます。
- 切れ込み部分を軽くひねって、種と果肉の間の密着を弱め、果肉を種から剥がします。
- 次に、反対側の切れ込みからも果肉を剥がし、種を手で取り除きます。切れ込みをひねって種周りを緩めることで、果肉がより簡単に離れます。種は果肉の約1/4程度の部分に付いているだけなので、手で比較的簡単に取り外せます。
アボカドの皮の剥き方
アボカドの皮を綺麗に剥くためには、以下の点に注意しましょう。
- 半分にカットしたアボカドの皮を剥く際は、外側から少しずつ丁寧に剥がしていくと、美しく仕上がります。
- 4等分にカットしたアボカドの場合は、バナナの皮を剥くように、上から下に向かって剥いていきましょう。
- 果肉が硬くて皮がうまく剥がれない場合は、無理をせず、包丁やピーラーなどの道具を使うとスムーズです。
アボカドの多様な切り方
アボカドはその用途に応じて様々な切り方で楽しむことができます。ここでは、代表的な切り方をご紹介します。
薄切り
種と皮を取り除いたアボカドの1/4カットを、まな板に縦向きに置きます。お好みの厚さにカットしてください。サンドイッチの具材にする場合は、少しずつずらして重ねると、より魅力的な仕上がりになります。包丁をまな板に対して垂直に動かすと、均一な厚さに切ることができます。
角切り
種と皮を取り除いたアボカドに、包丁で縦横に格子状の切り込みを入れます。皮を剥きながら、果肉をボウルに移します。サラダなどに最適な切り方です。皮を剥いてからカットする方法もありますが、先に切り込みを入れることで、まな板を清潔に保てます。
アボカドペースト
角切りにしたアボカドを食品保存袋に入れ、手で優しく潰します。滑らかなペースト状にすることで、ディップやソースとして、さまざまな料理に簡単に活用できます。冷蔵庫で約1日保存できます。すぐに使用しない場合は、変色を防ぐために、レモン果汁や少量のオイルを加えて混ぜてください(アボカド1個に対し、小さじ1が目安です)。
リングカット
アボカドを種を避けて、円を描くようにカットします。カットしたアボカドを軽くひねり、種を取り除きます。種が取りにくい場合は、大きめのスプーンを使うと便利です。リング状にカットしたアボカドは、皮に切り込みを入れてから手で剥きます。フライにしたり、中央に卵やチーズを詰めてオーブンで焼いたりと、様々なアレンジが楽しめます。
くし形切り
くし形にカットしたアボカドは、彩り豊かなサラダや熱々フライに最適です。アボカドは果肉に比べて皮がしっかりしているため、皮を剥かずに切ると果肉が潰れやすいです。先に皮を丁寧に剥いてから切るのがおすすめです。
アボカドの変色を防ぐには
アボカドはカット後、時間経過とともに酸化が進み、色が黒ずんでしまいます。ここでは、変色を効果的に防ぐ方法をご紹介します。
調理中の変色防止策
- レモン果汁をかける:カットしたアボカドの表面にレモン果汁を薄く塗布することで、調理中の変色を抑制できます。サラダや和え物など、レモンの爽やかな風味が合う料理に最適な方法です。お酢にも同様の効果が期待できます。
- オリーブオイルを塗布:カット面にオリーブオイルやサラダ油を薄く塗ることで、酸素との接触を減らすことができます。酸味を加えずに変色を防ぎたい場合に適しています。
- 電子レンジで軽く加熱:アボカドの酸化を促進する酵素の働きは、電子レンジでの加熱によって抑制できます。半分にカットしたアボカドを耐熱容器に入れ、ラップをかけずに電子レンジ600Wで15~20秒ほど加熱します。
これらの対策は、あくまで調理中の変色を遅らせるためのものです。時間が経つにつれて徐々に変色は進むため、できる限り食べる直前にカットするのがベストです。
保存時の変色防止策
カットしたアボカドが余った場合は、酸素に触れる表面積を最小限にするため、なるべく大きな状態で保存しましょう。種も一緒に保存し、レモン果汁やオリーブオイルなどを塗布した後、ラップでしっかりと包んで冷蔵庫で保管します。カットしたアボカドの長期保存は難しいので、できるだけ翌日中に食べきるようにしましょう。変色しても食べられないわけではありませんが、風味は低下するため、早めに食べきることをおすすめします。
アボカドが固い場合の裏ワザ
アボカドを切ってみたら、まだ固かったという経験はありませんか?そんな時に役立つ対処法をご紹介します。
- 電子レンジで温める:固いアボカドは、電子レンジで加熱することで柔らかくすることができます。風味は若干劣りますが、食べやすさが向上します。加熱時間は固さによって調整が必要なため、最初は600Wで30秒加熱し、様子を見ながら10秒ずつ追加加熱してください。
- 軽く炒める:オリーブオイルで手早くソテーし、サンドイッチやサラダのトッピングとして活用するのもおすすめです。
アボカドに見られる黒い筋の正体
アボカドを切った際、黒い点や線状のものが見られることはありませんか?これは維管束と呼ばれる組織で、熟しすぎたアボカドによく見られます。食べても健康上の問題はありませんが、風味が落ち、繊維が口に残ることがあります。気になる場合はスプーンで取り除きましょう。熟れすぎている場合は、ペースト状にしてディップソースなどにするのがおすすめです。
アボカドの知っておきたい情報
アボカドは、野菜のような見た目をしていますが、実は果物として分類されています。農林水産省の定義によると、「果実を食用とするものを果樹または果物と呼ぶ」とされており、アボカドは2年以上かけて栽培される樹木であり、その果実を食用とするため、果物に分類されるのです。また、文部科学省が発表している「日本食品標準成分表」においても、アボカドは「果実類」として扱われています。
まとめ
アボカドは、その優れた栄養バランスと幅広い料理への活用性で、多くの人々から親しまれている食品です。この記事でお伝えした選び方のコツ、色々なカットの方法、そして保存のテクニックを身につけて、アボカドをさらに美味しく、そして安心して味わってください。