「スーパーで買うキウイも美味しいけど、自分で育てたらもっと楽しいかも?」そう思ったことはありませんか?キウイは、意外と簡単に家庭でも育てられる果樹なんです。この記事では、初心者さんでも安心してキウイ栽培を始められるように、植え付けから収穫までの全ステップを丁寧に解説します。必要な道具や肥料、育て方のコツを知って、自家製キウイの収穫を目指しましょう!甘くて美味しいキウイを自分の手で育てて、食卓を豊かに彩りませんか?
キウイフルーツとは?概要と歴史、栄養価
キウイフルーツは、マタタビ科マタタビ属のつる性植物の果実です。原産地は中国で、20世紀初頭にニュージーランドに持ち込まれ、品種改良が進みました。名前の由来は、ニュージーランドの国鳥であるキーウィに形が似ていることから名付けられました。日本には1970年代に導入され、現在では様々な品種が栽培されています。果肉は緑色や黄色で、甘酸っぱい独特の風味と、種のプチプチとした食感が特徴です。ビタミンCが豊富であることで知られており、健康や美容に関心の高い人々に人気のフルーツです。

キウイフルーツの栄養と健康効果
キウイフルーツは、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンE、葉酸、カリウム、食物繊維など、豊富な栄養素を含んでいます。ビタミンCは、免疫力向上や美肌効果が期待できます。食物繊維は、腸内環境を整え、便秘解消を助ける効果があります。また、アクチニジンというタンパク質分解酵素が含まれており、消化を促進する働きがあります。これらの栄養素と効果により、キウイフルーツは健康維持や美容に役立つフルーツとして、積極的に摂取することが推奨されています。
キウイ栽培の基礎知識:雌雄異株と苗木の選び方
相性の良い苗木の組み合わせ例
キウイ栽培を成功させるには、開花時期が合致する雄木と雌木の組み合わせが重要です。ここでは、果肉の色別に推奨する組み合わせをご紹介します。苗木選びの参考にしてください。
緑系果肉の品種
世界中で広く栽培されている雌木「ヘイワード」には、雄木「トムリ」が最適です。ヘイワードは耐病性に優れ、栽培しやすい品種として知られており、初心者の方にもおすすめです。
黄色系果肉の品種
甘さと酸味の調和がとれ、家庭栽培で人気の雌木「ゴールデンイエロー」には、雄木「孫悟空」や「ロッキー」が良いでしょう。ゴールデンイエローは、適切な手入れをすれば1本の木から約100個もの実が収穫できる、多収穫性も魅力です。
赤系果肉の品種
珍しい赤色系の「紅妃(こうひ)」は、通常のキウイよりも開花時期が早いため、極早生品種の雄木を選ぶと良いでしょう。紅妃は糖度が17度程度と高く、酸味が少ないため、お子様にも喜ばれるでしょう。
キウイフルーツの代表的な品種と個性
キウイフルーツには数多くの品種が存在しますが、果肉の色で大きく分けると、緑色系、黄色系、そして赤色系の3種類があります。各品種は、甘さ、酸っぱさ、口当たり、保存性など、それぞれ独自の性質を持っています。そのため、ご自身の味の好みや栽培する環境を考慮して、最適な品種を選び、栽培をスタートすることをおすすめします。
緑系:ヘイワード
「ヘイワード」は、世界中で最も多く栽培されており、キウイフルーツの代表的な品種として知られています。果肉は鮮やかな緑色で、果実も大きく、見た目にも満足感があります。特に、貯蔵能力が非常に高く、収穫後、適切な方法で冷蔵保存すれば、およそ半年もの間、品質を維持できる点が大きな魅力です。また、病害虫への抵抗力も比較的強く、栽培しやすい品種であるため、家庭菜園にも向いています。
黄色系:ゴールデンキング
果肉が美しい黄色をしている「ゴールデンキング」は、糖度が16度程度と高く、甘味と酸味のバランスが絶妙な品種です。一般のスーパーなどではあまり見かけませんが、その食味の良さと豊かな香りから、家庭で栽培する品種として高い人気があります。熟していくにつれて、より芳醇な香りが際立ち、収穫の喜びをさらに深めてくれるでしょう。
赤系:レインボーレッド(紅妃:こうひ)
「レインボーレッド」(別名:紅妃)は、果肉の中心部が赤く染まる、非常に珍しい品種です。静岡県富士市でキウイフルーツを栽培している小林利夫氏が開発した品種で、現在は主に静岡県と福岡県でのみ栽培されています。レインボーレッドは、一般的なキウイフルーツと比べて小ぶりで、果実の表面に産毛がないという特徴があります。糖度は17度前後と非常に高く、酸味が少ないため、お子様でも美味しく食べやすいと評判です。
キウイフルーツ栽培の基本環境
キウイフルーツは、生育が非常に活発で、病気や害虫にも比較的強いことから、家庭でも育てやすい果樹として知られています。しかし、より多くの実を収穫するためには、キウイフルーツに適した環境を整えることが大切です。ここでは、キウイフルーツ栽培に適した環境、温度管理、そして特に重要な若木への寒さ対策について解説します。
栽培環境
キウイフルーツは太陽光を好むため、庭植えの場合も鉢植えの場合も、日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶことが肝心です。十分な日光は光合成を促進し、果実の品質を高め、病害虫の発生を抑える効果があります。土壌については、特に神経質になる必要はありませんが、水はけの良い土壌を選びましょう。理想的な土壌酸度は、弱酸性から中性(pH6.0~7.0程度)です。この範囲であれば、キウイフルーツは健全に成長します。
栽培温度と防寒対策
キウイフルーツは暑さにも寒さにも強く、−7℃以上の環境であれば、多くの地域で栽培が可能です。日本のほとんどの地域で一年を通して栽培できますが、−7℃を下回るような厳しい寒さの地域では、強風や霜がキウイフルーツの生育に悪影響を及ぼし、枯れてしまう可能性もあります。特に注意が必要なのは、まだ十分に成長していない若い木です。凍害によって幹が枯れたり、ひび割れたりすることがあります。そのため、初めて冬を迎える若い木には、幹を藁などでしっかりと覆い、防寒対策を施すことをおすすめします。
キウイの植え付け:適切な時期と土壌準備、植え付け方法
キウイの植え付けは、その後の生育に大きく影響する重要なステップです。適切な時期を選び、入念に土壌を準備し、正しい方法で植え付けることが、キウイの健やかな成長への第一歩となります。
植え付け時期
キウイの苗木を植えるのに最適なタイミングは、一般的に10月~12月上旬です。中でも11月初旬頃がおすすめです。ただし、寒さが厳しい地域では、霜害の心配があるため、翌年の春、3月以降、あるいは4月に入ってから植え付けを行うのが安全です。根が活動を始める時期を待って植えましょう。
土壌準備:庭植えと鉢植え
キウイ栽培に適した土壌は、水はけが良いことが重要です。特別な用土にこだわる必要はなく、市販の果樹用培養土や園芸用培養土を使うのが簡単です。庭植えの場合は、植え付けの2週間ほど前から土壌改良を始めましょう。鉢植えの場合は、植え付け時に用土を準備します。
庭植えの場合
畑や庭にキウイを植える際は、植え付け予定日の2週間前に土作りを始めます。まず、耕した土壌に対し、1平方メートルあたり約200gの苦土石灰を混ぜ込み、土壌の酸度を調整し、2週間ほど置いてなじませます。以前の情報にあったように、直径50cm程度の穴を掘り、そこに堆肥約20kg、石灰約500g、肥料約1kg(窒素・リン酸・カリウムがそれぞれ8%の標準的な有機配合肥料の場合)を掘り出した土と丁寧に混ぜ合わせ、穴を埋め戻す方法も有効です。さらに、植え付け時に腐葉土と堆肥を混ぜ、植え穴に元肥として、効果が約2年間続く緩効性肥料を混ぜ込むことで、長期的な栄養補給を可能にし、土壌改良は完了です。
鉢植えの場合
キウイを鉢植えにする場合は、水はけの良い土を選びましょう。市販の果樹用培養土や園芸用培養土を利用するのが手軽です。自分で配合する場合は、市販の花木用培養土(なければ野菜用培養土でも代用可)7割に、水はけと通気性を高めるために鹿沼土を3割混ぜるか、赤玉土小粒と腐葉土を7:3の割合で混ぜて使うこともできます。どちらの配合を選ぶにしても、植え付けの際には元肥として、効果が約2年間持続する緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきましょう。
植え付け方法
キウイフルーツは雌株と雄株が別々の木に存在するため、実を収穫するには通常、両方の木を植える必要があります。したがって、それぞれの木が十分に成長できるスペースを確保することが大切です。庭に植える場合は、雄株と雌株の間隔を3メートルから10メートル程度空けて植えましょう。必ずしも隣り合わせにする必要はありませんが、間隔が広すぎると受粉がうまくいかないことがあるため、注意が必要です。鉢植えの場合は、雄株と雌株を別々の鉢に植え、受粉を考慮して3メートルから10メートルの範囲内に配置すると良いでしょう。苗を植え付ける際には、深く植えすぎないように注意し、根をできるだけ広げて丁寧に植え付けます。植え付け後、苗を支柱に軽く固定し、根元から約50センチの高さで剪定することで、初期の成長を促進します。
キウイの誘引と棚・仕立て方
キウイフルーツはつる性の植物であり、生育を安定させ、たくさんの実を収穫するためには、適切な棚やパーゴラなどの支持構造が欠かせません。これらの構造物は、キウイのつるが絡みつき、広がるための土台となります。誘引とは、つるや枝を支柱などに紐などで固定し、成長方向を調整する作業のことです。庭植え、鉢植えに関わらず、苗を植え付けた後に誘引を行いましょう。
もし庭にフェンスがあれば、それを活用するのも良いですし、夏に日陰を作るためにパーゴラを設置するのもおすすめです。キウイは落葉樹なので、夏には葉が生い茂って強い日差しを遮り、冬には葉を落として日光を取り込むことができます。ただし、キウイのつるは成長するとかなり太くなるため、後で撤去したり、大きく変更したりする際には、かなりの手間がかかる可能性があります。設置場所や構造を考える際には、この点も考慮に入れることが大切です。

庭植えの場合、最初は一本の太い枝をまっすぐ伸ばすことを優先する「1本仕立て」で育て、最終的には棚全体に広がるように「棚仕立て」に誘引していきます。鉢植えで育てる場合は、つるがあまり大きく伸びないので、簡単な支柱や小さめのトレリスでも十分対応できます。植え付け直後は仮の支柱を立てておき、ある程度成長してからリング状の支柱を使って「あんどん仕立て」にするのがおすすめです。つるを適切に誘引することで、日当たりと風通しが良くなり、病害虫の発生を抑え、実の品質を向上させることができます。
キウイフルーツの水やり
キウイフルーツは乾燥に弱い植物なので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることが大切です。季節や栽培方法によって水やりの頻度や量が異なるため、状況に合わせて適切に管理しましょう。
地植えの水やりのポイント
庭植えの場合、キウイフルーツは根を深く張り、土の中から水分を吸収するため、通常は水やりの必要はありません。ただし、雨が降らず乾燥が続く場合は、適宜水を補給するように水やりを行いましょう。キウイの木が水不足になると、新しく伸びてくる枝の先端が垂れ下がってくることがあります。このような状態が見られたら、すぐに水を与えてください。
鉢植えの水やりのコツ
キウイを鉢植えで育てる場合、地面に植えるよりも土が乾きやすいため、こまめな水やりが大切です。土の表面が乾いていたら、鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水をあげてください。特に夏は土がすぐに乾燥するので、朝と夕方の涼しい時間帯に1日に2回程度水やりをするのがおすすめです。日中に水やりをすると、熱くなった土の中で水が高温になり、根を傷つけてしまうことがあるので、必ず涼しい時間を選んでください。
キウイの肥料:成長に合わせた施肥のポイント
キウイフルーツが元気に育ち、たくさん収穫するためには、肥料をあげる時期と量を守ることが大切です。肥料は、窒素・リン酸・カリウムのバランスが良いものを選びましょう(例えば、8-8-8のような割合の肥料)。肥料をあげるタイミングは、地面に植えるか鉢植えにするかで少し変わってくるので、自分の育て方に合わせて肥料をあげてください。
庭植え(地植え)の場合の施肥計画
大きく育ったキウイの木には、1年を通して2~3回肥料をあげます。1回目は、11月上旬の収穫時期を目安に、株の根元に2キログラムの肥料を施します。これは、収穫で疲れた木を元気にするのと、次の年の花を咲かせる準備をするための「お礼肥」としての意味合いがあります。さらに、12月〜2月ごろには「寒肥」として、堆肥などの有機肥料を施し、土の中の微生物を活発にして土を豊かにします。この寒肥は、肥料としての効果と土壌改良の効果を兼ね備えています。土を軽く耕しながら肥料を混ぜ込み、土と肥料がよく混ざるようにしましょう。2回目以降の追肥は、6月頃に1キログラムの肥料を施します。この時期の肥料は、実を大きく育て、品質を良くする目的があります。さらに、7月と9月にも有機肥料を追肥として施すことで、効果が早く出る成分とゆっくり出る有機質が、約1~2ヶ月間安定した効果を持続させ、成長期の栄養をサポートします。
鉢植えの場合の施肥計画
キウイフルーツを鉢植えで育てる場合は、庭植えとは肥料を与えるタイミングが異なります。2月〜6月中旬の間で、キウイの成長があまり良くないと感じたら、最初に肥料となる緩効性肥料を土に混ぜ込みましょう。その後、9月下旬〜10月中旬になったら、追肥として再度肥料を与えます。鉢植えは庭植えよりも肥料が不足しやすいので、キウイの状態をよく観察しながら、肥料の量を調整することが大切です。
肥料を与える際の注意点
肥料の量は、キウイの木の成長段階や栽培方法によって調整が大切です。成熟した木に対する上記の目安量は、一般的な基準として参考にしてください。幼木や鉢植えの場合は、木のサイズや鉢の大きさに合わせて、肥料の量を控えめにすることが重要です。肥料を与えすぎると、キウイの生育バランスを崩す原因となることがあります。特に注意すべきは、勢いよく伸びた「毛が生えたような枝」です。これは肥料過多のサインであり、「徒長枝」と呼ばれ、実を結びにくい性質があります。このような枝が見られる場合は、追肥を控え、肥料の量を調整するか、一時的に施肥を中止することを検討しましょう。肥料は、多すぎても少なすぎても生育に悪影響を及ぼす可能性があります。キウイの生育状況を注意深く観察しながら肥料を調整することが、栽培を成功させるための重要なポイントです。
キウイの剪定と仕立て方:収穫量を増やす「魚の骨」剪定とその時期
キウイ栽培の成否は、適切な剪定にかかっているといっても過言ではありません。適切な剪定を行うことで、毎年安定した収穫が期待できます。キウイフルーツは、つるを伸ばして成長する植物であり、一年で5〜6mも伸びる枝もあります。放置すると、棚がつるで覆い尽くされ、日光不足や風通しの悪化を招くため、定期的な剪定が不可欠です。ここでは、初心者にもわかりやすい剪定の基本と、応用可能な「魚の骨」仕立ての考え方、そして具体的な仕立て方を紹介します。これらの基本を習得すれば、あとは状況に応じて柔軟に対応できるようになります。
剪定の基本と「魚の骨」仕立て
つる性植物の利点は、成長スペースに合わせて自由に形を整えられることです。果樹栽培では、まず基盤となる骨格枝をどのように仕立てるかが重要になります。キウイの場合、まずは一本のメインとなる枝をまっすぐに伸ばすことを優先します。若い木の場合は、この骨格枝を強く育てることに集中し、不要な枝はできる限り剪定します。栽培スペースに余裕があれば、一本の木からメイン枝を2本、3本と増やして仕立てることも可能です。基本的な骨格が完成したら、次にこの骨格枝に実を付ける「結果枝」を配置していきます。これらの結果枝を約40cm間隔で魚の骨のように配置することで、全体に日光が当たりやすくなり、風通しも向上し、高品質な果実が実りやすくなります。
収穫後によくあるのが、「枝が混み合って、どこから切れば良いかわからない」という状況です。キウイは、その年に伸びる新しい枝(新梢)に実をつけます。春から夏にかけて、キウイの枝は勢いよく伸び、様々な場所に絡みつき、手に負えない状態になるかもしれません。しかし、ここでの目標は、この状態を再び「魚の骨」の状態に戻すことです。具体的には、骨格となるメインの枝はそのまま残し、メイン枝の根元から出ている枝を選んで残し、実をつけた古い枝や不要な枝は全て剪定します。複雑に見えるかもしれませんが、毎年この「魚の骨」状に戻す剪定を繰り返すだけです。家庭菜園の場合、この基本の剪定ができれば、永続的にキウイを収穫できます。
年間剪定スケジュールと注意点
剪定は通常、キウイが休眠期に入る1月〜2月頃に行うのが最適です。この時期に、徒長枝(勢いよく伸びすぎた、実がつきにくい枝)や、日光を遮る枝を中心に剪定を行います。枝が密集している場合は、風通しを良くするために間引き剪定を行いましょう。剪定後の状態は、棚の横から木漏れ日が差し込む程度が目安です。弱い枝(30cm以下の長さ)は、そのまま誘引して残しても良いですが、長く伸びすぎた枝は1m以内を目安に切り詰めます。もし根元から良い枝が出てこない場合は、別の場所から伸びた新しい枝を誘引して固定し、結果枝として活用することも可能です。この剪定を繰り返すと、実をつける枝が骨格の幹から離れていくことがあります。そのため、幹から直接新しい枝が生えてきた場合は、その枝を積極的に新たな結果枝として活用し、古い枝と入れ替えることで、樹の若さと生産性を維持することができます。
地植えの仕立てのやり方
庭植えの場合、成長したつるや枝を支柱やフェンスなどに絡ませて、棚のような仕立て方にしていきます。棚仕立てにした後は、主要な枝(主枝)とそこから分かれる枝(第二主枝)から新たな枝が伸びてきます。棚の下から生えてくる不要な枝や、実をつけない徒長枝は、根元から全て切り取ってください。生育が進むにつれて棚全体が密集してくるため、風通しと日当たりを良くするために、適宜剪定を行いましょう。
鉢植えの仕立てのやり方
鉢植えでキウイを育てる際は、植え付け時に設置した仮の支柱を、苗がある程度成長した翌年の春(3月頃)に取り外し、リング状の支柱に交換して「あんどん仕立て」にすると良いでしょう。こうすることで、限られたスペースでもつるを効率的に誘引でき、管理が容易になります。
キウイの増やし方:挿し木による増殖方法
キウイフルーツは、比較的容易に挿し木で増やすことができる植物です。枝を地面に挿しておくだけで発根することも珍しくありません。ただし、近年人気の高い黄色品種の中には、発根しにくいものも存在します。挿し木に最適な時期は、キウイの根が盛んに成長する時期です。通常、栽培暦で「根の成長」と記載されている時期と重なります。
挿し木の種類とやり方
挿し木には、前年に成長した充実した枝を使う「休眠枝挿し」と、その年に伸びたばかりの柔らかい枝を使う「緑枝挿し」があります。一般的には緑枝挿しの方が成功しやすいと言われていますが、どちらの方法でも増やすことは可能です。初めてキウイフルーツを増やす場合は、緑枝挿しから挑戦してみるのがおすすめです。挿し木をする際は、生育旺盛で健康な枝を選び、数個の芽が土の上に出るくらいの深さに挿し込み、育苗ポットやトレイなどで育てます。土に挿した部分からしっかりと根が伸び、順調にいけば新しい芽が伸びてきます。この方法は、既存の株から手軽に新しい苗を増やしたい場合や、限られたスペースを有効に活用したい場合に非常に有効です。成功率を高めるためには、挿し穂の準備(切り口の処理など)、適切な土壌環境、そして十分な湿度を保つことが重要です。
キウイ栽培、年間を通じた管理と大切なお手入れ
美味しいキウイを収穫するには、実へしっかりと栄養を届けるため、水やりや施肥、剪定に加えて、一年を通した細やかな管理が欠かせません。ここでは、キウイ栽培で特に重要な作業をご紹介します。
摘心
生育旺盛なキウイは、花や果実への栄養を効率的にするため摘心を行います。摘心の際は、結果枝として残す枝に15節ほどを残し、先端の芽を摘み取ります。これにより、余分な栄養の消費を抑え、残った花や実に栄養を行き渡らせることが可能です。作業中に込み入った部分や伸びすぎた枝を見つけたら、一緒に切り取っておきましょう。こうすることで、その後の剪定が楽になるだけでなく、風通しと日当たりが良くなり、病害虫のリスクを減らすことにも繋がります。
人工授粉
キウイは5月頃に開花し、自然受粉も行われますが、より確実に結実させるには人工授粉が効果的です。雌花が開花してから3日間が受粉に適した時期なので、この期間を逃さないようにしましょう。人工授粉の方法は、雄花から花粉を採取し、筆や綿棒などで雌花のめしべに優しくつけるだけです。もし、雌木と雄木の開花時期がずれてしまった場合は、市販のキウイ用花粉を利用することで受粉を促せます。このひと手間によって、収穫量の安定や品質向上が見込めます。
摘果・摘蕾
キウイは自然に実が落ちにくい性質を持つため、そのままにしておくと養分が分散し、小さい実ばかりになってしまいます。これを防ぎ、大きく質の良い実を育てるには、蕾や果実を間引く摘蕾と摘果が大切です。キウイは開花後に急速に大きくなるため、実を減らすには摘果よりも摘蕾がより効果的とされています。摘蕾では、1本の枝につき2~4個を目安に蕾を減らしましょう。そして、果実が大きくなり始めたら、生育の悪いものや傷のあるものを優先的に取り除き、最終的に1本の枝に1~3個程度になるように摘果を行います。この作業によって、残った実に養分が集中し、大きく品質の良い実へと生長させることができます。
キウイの収穫と追熟:甘くて美味しいキウイを作る秘訣
キウイフルーツの収穫時期を見極めるのは、栽培者にとって悩ましい問題です。いつ収穫すべきか、よく質問を受けます。収穫の目安としては、糖度が6~7度程度になったときとされています。しかし、一般家庭では糖度計を持っているケースは少ないでしょう。そのため、「11月中旬頃」を目安に収穫時期を決めても良いでしょう。12月に入ると霜が降りる可能性があるので、遅くとも11月中に収穫を終えるのが理想的です。収穫後、追熟しても甘みが足りないと感じたら、翌年は収穫時期を少し遅らせてみるなど調整してみましょう。収穫する際は、果実を傷つけないようにハサミなどを使い、丁寧に茎から切り離してください。果実に傷がつくと、熟成が均一に進まず、長期保存が難しくなることがあります。

キウイは、木になったまま完熟させると、実がしおれて品質が落ちてしまいます。そのため、適切な時期に収穫し、その後に「追熟」という工程を行うことで、本来の甘さと風味を最大限に引き出すことができます。追熟が必要なことは、キウイのメリットでもあります。追熟させることで、虫や病気に強く、一度にたくさん収穫でき、少しずつ追熟させて長く楽しめるのです(10℃程度の涼しい場所で保管すれば2月頃まで)。キウイが熟すには、「エチレン」という植物ホルモンが不可欠です。多くの果物は自分でエチレンを作り出して熟しますが、キウイは他の植物が放出するエチレンに触れることで、初めてエチレンを作り出し、追熟が始まります。市販のエチレンガスを放出する追熟パックを利用するのも良いですが、手に入らない場合は、「リンゴ」や「バナナ」を利用しましょう。リンゴやバナナはエチレンを豊富に放出するので、キウイと一緒にビニール袋などに入れ、口をしっかり閉じておくと、キウイの追熟が促進されます。目安として、キウイ10個に対しリンゴやバナナを1個程度入れると良いでしょう。追熟にかかる期間は、気温によって変わりますが、通常1~2週間程度で完熟します。キウイフルーツを触って、少し柔らかくなってきたら食べ頃です。
キウイの病害虫対策:主な害虫と病気、年間防除スケジュール
キウイフルーツは、果実の表面に細かい毛が生えているため、他の果樹に比べて病害虫には強いとされています。しかし、全く被害がないわけではありません。栽培の相談で多いのは、「カイガラムシ」や「カメムシ」による被害です。これらの害虫が葉や果実から養分を吸い取ると、木の成長に影響が出るため、見つけたらすぐに駆除することが大切です。病気としては、「かいよう病」や「果実軟腐病」などが知られていますが、発生頻度や被害の程度は他の果樹に比べると少ないです。それでも、これらの虫や病気からキウイの木を守り、健康な状態を保つためには、年間を通して予防的な対策を行うことが重要です。
カメムシ
カメムシは、不快な臭いを出すことで知られる害虫で、植物の汁を吸います。キウイフルーツの新芽がカメムシに汁を吸われると、茎や葉が十分に育たなくなることがあります。また、果実が汁を吸われると変形したり、最悪の場合は落果してしまうこともあるため、見つけたらすぐに捕殺しましょう。カメムシが見当たらない場合でも、木を軽く揺らすと落ちてくることがあるので、定期的に確認するようにしましょう。
カイガラムシ
カイガラムシは、さまざまな樹木の幹や枝に白い塊のように付着する害虫で、キウイにも発生することがあります。植物の汁を吸って成長を妨げ、大量に発生するとキウイフルーツが枯れてしまうこともあるため、見つけ次第すぐに駆除してください。カイガラムシは硬い殻に覆われているため、殺虫剤が効きにくいという性質があります。そのため、ブラシでこすり落とすなど、物理的に取り除くのが効果的です。
年間防除スケジュール
特に重要なのは、落葉し休眠期に入る冬の対策です。以下のスケジュールで薬剤散布を行うと良いでしょう。12月頃には「マシン油乳剤」を散布します。これは油膜で虫を覆い窒息させるため、有機農法の実践者にも使いやすい防除剤です。越冬中のカイガラムシなどを物理的に駆除することが期待できます。2月頃には「石灰硫黄合剤」を散布します。石灰と硫黄が主成分で、これも有機農法で使用可能な農薬です。広範囲の病原菌や害虫に効果がありますが、独特の強い硫黄臭があるので、散布時は周囲への注意が必要です。これらの冬期防除を計画的に行うことで、春からの新芽、開花、結実に向けて病害虫のリスクを大幅に減らし、キウイの健康な栽培につながります。
まとめ
キウイフルーツは、雌雄異株であること、適切な剪定、収穫後の追熟、摘芯、人工受粉、摘果・摘蕾といった手入れをすることで、初心者でも豊かな収穫が期待できる果樹です。植え付け時期、土壌準備、誘引棚の準備、年間を通じた肥料や病害虫対策の計画を立て実践することで、甘くて美味しい自家製キウイを楽しめます。特に、収穫後の追熟はキウイの味を左右する重要な工程で、リンゴやバナナを使う方法も効果的です。カメムシやカイガラムシなどの害虫に対する知識と物理的な防除方法を理解することで、より健全な生育を促せます。この記事を参考に、自宅でキウイ栽培に挑戦し、新鮮な果実の収穫を体験してみてください。愛情を込めて育てたキウイは格別な味でしょう。健康や美容に良い栄養が豊富なキウイを自家栽培し、日々の暮らしを豊かにしませんか。
キウイは初心者でも簡単に栽培できますか?
はい、キウイフルーツは比較的簡単に栽培できる果樹です。糖度が低い状態で収穫し追熟させる特性や、果実の毛が虫や雨から守るため、他の果樹より病害虫の被害が少なく、農薬の使用も抑えやすいです。ただし、雌雄異株であること、適切な剪定、追熟方法、摘芯や摘果などの年間管理を学ぶことが重要です。
キウイの実がならないのはなぜですか?
キウイの実がならない原因はいくつか考えられます。最も多いのは、雌雄異株のキウイにおいて、オス木とメス木が揃っていないか、両方とも雄株または雌株であることです。今から雌株を植えても遅くはありません。木の性別は、花の時期に判断できます。花の中心に白い雌しべがあればメス、白い雌しべがなく黄色い雄しべのみであればオスです。次に、オス木とメス木の開花時期がずれている場合も考えられます。同時に開花しているか確認し、メス木だけ早く咲き終わり雌花が散ってから雄花が咲き出す場合は、開花時期が合う別の雄木を選ぶ必要があります。また、植え付けから3年程度は実がつきにくい傾向があり、肥料を与えすぎると実がつきにくくなることがあります。定植から4~5年であれば、今年か来年から実がなり始める可能性があるので、生育状態を観察し、必要に応じて対策を取りましょう。
キウイの木の寿命はどれくらいですか?
キウイの木の寿命は、一般的に20年から30年程度と言われています。しかし、適切な管理と丁寧な剪定を行うことで、50年以上も実をつけ続けることも可能です。実際に、50年を経過したキウイの木が、毎年たくさんの実をつけている例も存在します。良好な栽培環境と日々の手入れによって、長期間にわたってキウイの収穫を楽しむことができるでしょう。
キウイの追熟はどうすれば良いですか?
キウイは収穫後、追熟という処理を行うことで、より甘く美味しくなります。キウイの果実を熟させるためには、エチレンという植物ホルモンが不可欠です。市販されているエチレンガスを発生させるパックを利用するか、ご家庭にあるリンゴやバナナを使うと手軽に追熟できます。キウイ10個に対してリンゴまたはバナナ1個を目安として、ビニール袋などに入れて密封し、気温にもよりますが1週間から2週間程度で熟します。果実を触ってみて、少し柔らかくなってきたら食べ頃です。
キウイフルーツの栽培で重要なお手入れは何ですか?
キウイフルーツ栽培においては、水やり、施肥、剪定に加えて、より質の高い果実を収穫するために、いくつか重要なお手入れがあります。具体的には、枝やツルの不要な伸びを抑え、花や果実へ栄養を集中させるための「摘芯」、確実に受粉を促すための「人工授粉」、そして果実の数を調整し、大きく高品質な果実を育てるための「摘蕾」や「摘果」が挙げられます。これらの作業を適切に行うことで、収穫量と果実の品質を大幅に向上させることが期待できます。
キウイの主な病害虫と対策は何ですか?
キウイは比較的病害虫に強い果樹ですが、カイガラムシやカメムシが発生することがあります。また、まれに、かいよう病や果実軟腐病が発生することもあります。これらの病害虫を防除するためには、落葉後の冬季に予防的な薬剤散布を行うことが効果的です。12月頃にマシン油乳剤、2月頃に石灰硫黄合剤を散布することで、越冬中の害虫や病原菌を駆除し、春からの健全な生育を促すことができます。カメムシを見つけたら捕殺し、カイガラムシは硬い殻に覆われているため、ブラシなどでこすり落とすといった物理的な方法で丁寧に取り除くことが重要です。