お家 アフタヌーンティー
優雅な午後のひとときを、自宅で気軽に楽しむ「お家アフタヌーンティー」。ホテルでの体験とは一味違う、『おうちヌン活』ならではの魅力は、その自由度の高さにあります。自分好みの空間でアフタヌーンティーを再現できるんです。サンドイッチやスコーン、プチケーキなど、美味しいスイーツを紅茶と共に味わえば、日常が特別な時間へと変わります。この記事では、自宅で本格的なアフタヌーンティーを楽しむためのヒントをご紹介。準備から演出まで、お家アフタヌーンティーを成功させる秘訣を伝授します。
アフタヌーンティーとは?歴史と文化の魅力
アフタヌーンティーは、19世紀のイギリスにおいて、上流階級の人々が優雅に紅茶を味わいながら親睦を深める社交の場として誕生しました。その起源は、第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが、夕食までの時間を持て余し、空腹を満たすために始めた習慣にあると言われています。当初は、使用人が軽い食事を運んでいましたが、やがてレストランやホテルで、3段重ねのケーキスタンドに美しく盛り付けられたスタイルが普及していきました。
今日では、高級ホテルや専門のティールームに限らず、家庭や職場、街のカフェなど、様々な場所で気軽に楽しめる文化として根付いています。日本においては、2022年に「ヌン活」という言葉が流行語大賞にノミネートされるなど、社会現象とも言えるほどの盛り上がりを見せています。これは、アフタヌーンティーを心ゆくまで堪能し、その様子をSNSに投稿する一連の流れを指す言葉として広く認知されています。
おうちでアフタヌーンティーを楽しむ:ヌン活のすすめ
格式高いホテルや専門店で楽しむイメージが強いアフタヌーンティーですが、実は自宅でも手軽に体験することができます。特に、世界的なパンデミック以降、自宅で過ごす時間が増加したことで、優雅なティータイムを自宅で再現する「おうちヌン活」に注目が集まっています。誰にも邪魔されない自分だけの空間で、お気に入りのティーセットやスイーツを用意し、ゆったりと流れる時間を過ごすことは、日々のストレスから解放され、心身のリフレッシュに繋がるでしょう。
「おうちヌン活」の最大の魅力は、その自由度の高さにあります。格式ばった服装や堅苦しいマナーに縛られることなく、リラックスした雰囲気の中で楽しめるのが大きなメリットです。さらに、自分の好みに合わせてメニューを自由にアレンジしたり、季節のテーマを取り入れたりすることで、世界でたった一つの、よりパーソナルな体験を演出することができます。
基本のティーセット:何から揃える?
自宅で本格的なアフタヌーンティーを楽しむために、まず最初に揃えたいのがティーセットです。最低限必要なアイテムとしては、ティーカップ&ソーサー、ティーポット、ケーキプレート、カトラリー、そして上品なナプキンが挙げられます。これらのアイテムを丁寧に揃えることで、ティータイムの雰囲気が格段に向上し、より特別な時間を演出できます。
中でも、ティーカップ&ソーサーは、デザイン性の高いものを選ぶことで、ティータイムをより一層華やかに彩ります。伝統的な花柄や洗練されたエレガントなデザインが人気ですが、自分の個性を表現できる、お気に入りのデザインを自由に選ぶのがおすすめです。また、ティーポットは、保温性の高いものを選ぶと、紅茶の温度を長く保ち、より美味しく紅茶を味わうことができます。
もっと気軽に楽しみたい場合は、ティーポットの代わりに蓋つきのマグカップを使用したり、ケーキプレートの代わりに小皿で代用することも可能です。ティーフーズを盛り付ける際も、必ずしも3段のケーキスタンドにこだわる必要はなく、ワンプレートに美しく盛り付けるなど、アイデア次第で手軽に楽しむことができます。
紅茶の選び方:種類と特徴を知る
アフタヌーンティーの主役とも言える紅茶は、その種類によって風味や特徴が大きく異なります。代表的な紅茶の種類としては、ダージリン、アッサム、セイロンなどが挙げられます。それぞれの紅茶の個性と特徴を理解することで、合わせるティーフーズとの相性を考慮しながら、より一層美味しくアフタヌーンティーを楽しむことができます。
ダージリンは、インドのダージリン地方で丁寧に栽培される紅茶で、「紅茶のシャンパン」と称されるほど、香り高く、繊細で上品な風味が特徴です。ストレートで飲むのが最もおすすめで、繊細な味わいのサンドイッチなど、軽食との相性が抜群です。
アッサムは、インドのアッサム地方で生産される紅茶で、濃厚でコクがあり、力強い味わいが特徴です。ミルクティーにして味わうのがおすすめで、濃厚なペイストリーや焼き菓子などの甘いものとの相性が最適です。
セイロンは、スリランカで生産される紅茶で、その土地の気候や標高によって、様々な風味の紅茶が生まれます。一般的には、バランスの取れた穏やかな味わいで、ストレートでもミルクティーでも楽しむことができます。定番のスコーンなど、様々な種類の焼き菓子との相性が良いのが特徴です。
紅茶の淹れ方:基本と秘訣
極上の紅茶を味わうには、いくつかの要点を押さえることが肝心です。まず、香り高い茶葉を選ぶこと、そしてクリアな水を用意することが重要です。水道水を使用する際は、勢いよく注いで空気を含ませるのがおすすめです。市販のミネラルウォーターは、酸素が少ない場合があるため、茶葉が十分に開かないことがあります。
紅茶を淹れる際は、最初にティーポットを熱湯で温めます。その後、お湯を捨ててから茶葉を投入します。茶葉の目安量は、ティーカップ1杯につきティースプーン1杯強(約3g)です。お湯の温度は、沸騰直後が理想的です。沸騰したお湯を注ぎ、茶葉が優雅にジャンピングする様子を観察し、ティーコージーで保温しながら蒸らします。蒸らし時間の基本は3分です。茶葉が大きい場合は、1〜2分程度長めに蒸らすと良いでしょう。
ミルクティーを楽しむ際は、紅茶をいつもより濃いめに淹れるのがコツです。ティーバッグを2つ使用したり、蒸らし時間を少し長くしたりすることで、ミルクに負けない風味豊かなミルクティーになります。牛乳を軽く温めてから加えることで、より一層美味しく味わえます。
ティーフーズ:3段スタンドの構成とレシピ
アフタヌーンティーを彩る主役は、ティーフーズです。伝統的なスタイルでは、3段のケーキスタンドに、バラエティ豊かなサンドイッチ、自家製スコーン、そして美しいケーキや繊細なペイストリーが並びます。ご自宅でアレンジする場合は、必ずしも3段スタンドにこだわる必要はありませんが、それぞれのカテゴリーから選りすぐりのアイテムを用意することで、本格的な雰囲気を演出できます。
下段:サンドイッチ(軽食)
下段には、サンドイッチや風味豊かなキッシュなどの軽食を盛り付けます。定番のきゅうりのサンドイッチ、自家製コールスローサラダとゆで卵のサンドイッチ、彩り豊かなにんじんサンドなど、見た目も食感も異なるサンドイッチを並べると、より一層楽しめます。また、ミニバーガーやオープンサンドなど、一口サイズの軽食を取り入れるのもおすすめです。
きゅうりとクリームチーズのハーモニー:きゅうりとクリームチーズのサンドイッチは、アフタヌーンティーの定番中の定番です。みずみずしいきゅうりの爽やかな食感と、濃厚なクリームチーズのまろやかな味わいが絶妙に調和します。アクセントに玉ねぎを加えることで、シャキシャキ感が際立ち、洗練された大人の味わいを演出します。
中段:スコーン(焼き菓子)
中段には、スコーンやパウンドケーキなどの焼き菓子を盛り付けます。スコーンは、アフタヌーンティーに欠かせないスターです。定番のスコーンに加え、芳醇なラムレーズンスコーンや爽やかなシトラスヨーグルトスコーンなど、様々なバリエーションのスコーンを用意すると、会話も弾みます。スコーンには、濃厚なクロテッドクリームや風味豊かなジャムを添えて、優雅なひとときをお過ごしください。
シンプルこそ至高:シンプルな材料で丁寧に焼き上げた基本のスコーンは、アフタヌーンティーに不可欠な存在です。外側のサクサクとした食感と、内側のしっとりとした口当たりが絶妙で、紅茶との相性も抜群です。クロテッドクリームやジャムをたっぷり添えて、その美味しさを心ゆくまでお楽しみください。
上段:ケーキ・デザート
アフタヌーンティーの顔とも言える上段には、見た目も美しいケーキやムースといったデザートを飾りましょう。例えば、濃厚なガトーショコラ、懐かしい味わいのビクトリアケーキ、そして誰もが大好きなイチゴのショートケーキなど、彩り豊かなケーキを並べると、ティータイムがより一層特別な時間になります。また、グラスに入ったデザートや、一口で楽しめるムースなどを添えるのもおすすめです。
イチゴのショートケーキ:ふんわりとしたジェノワーズ(スポンジ生地)と、口の中でとろけるような生クリームが織りなすハーモニーは、まさに至福の味。アフタヌーンティーには欠かせない存在です。イチゴの甘酸っぱさと、生クリームの豊かなコクが絶妙に調和し、見た目の愛らしさも相まって、ティータイムを華やかに彩ってくれます。
テーブルコーディネート:テーマを決めて楽しむ
アフタヌーンティーをさらに充実させるには、テーブルコーディネートにも心を配りましょう。テーマを設定し、それに合わせて食器、クロス、小物などを統一すると、まとまりのある、洗練された空間を演出できます。例えば、春ならばイチゴをメインにしたコーディネート、クリスマスシーズンにはクリスマスらしいオーナメントを取り入れたコーディネートなど、季節感を意識した演出も素敵です。
ランチョンマットやテーブルクロスは、色やデザインによって雰囲気が大きく変わります。ピンクや花柄のランチョンマットを選べば、可愛らしくロマンチックな雰囲気に、白やベージュのテーブルクロスを選べば、上品で落ち着いた雰囲気を演出できます。お好みの色や柄を選んで、ティータイムを自分らしく彩りましょう。
フィギュアや季節の花などの小物を飾るのも効果的です。ティーカップをモチーフにしたフィギュアや、旬の花を飾れば、テーブルがより一層華やぎます。クリスマスにはミニチュアのツリーやオーナメント、イースターにはイースターエッグなど、テーマに沿った小物を選ぶことで、楽しさが広がります。
お取り寄せアフタヌーンティー:自宅で手軽に本格体験
自宅で手軽に本格的なアフタヌーンティーを楽しみたいなら、お取り寄せアフタヌーンティーが最適です。全国の有名ホテルや専門店が、それぞれ工夫を凝らしたアフタヌーンティーセットを提供しています。これらのセットを活用すれば、家にいながらにして、まるでホテルにいるかのような、優雅なアフタヌーンティー体験が叶います。
例えば、『ジンジャーガーデン』の「Ginger Garden tea party box (BLUE)」は、映画「ティファニーで朝食を」をイメージした、目を引くティファニーブルーの色合いと、可愛らしいスイーツが魅力です。『ベリーズティールーム』の「英国菓子&紅茶バラエティ缶」は、紅茶協会が認める香り高い紅茶と、クランペットをはじめとする本格的な英国菓子を堪能できます。『クルーズクルーズ』の「マイホームアフタヌーンティーセット/アニバーサリープレート付(2名様用)」は、地上210mからの絶景を自宅で再現できるというコンセプトで、特別なスイーツと紅茶のセットを提供しています。
アフタヌーンティー研究家のアドバイス:より深く楽しむために
アフタヌーンティー研究家の藤枝理子さんは、アフタヌーンティーを単なる食事ではなく「暮らしの中のアート」と捉え、建物のデザインや内装、美しい食器などを鑑賞しながら紅茶を味わうことを推奨しています。アフタヌーンティーには形式やルールが存在しますが、すべてを完璧に守る必要はなく、教養の一つとして知識として持っておく程度で十分だと述べています。何よりもまず、楽しむことが大切だと強調されています。
藤枝さんがおすすめする紅茶は、「ダーヴィルス・オブ・ウィンザー」のダージリン、「フォートナム・アンド・メイソン」のアッサム、「H.R.ヒギンズ」のフレーバーティーセットなどです。これらの紅茶はそれぞれ独自の個性があり、ティーフードとの相性を考えながら、さまざまな組み合わせを楽しむことができます。
まとめ
ご自宅でアフタヌーンティーを楽しむことは、普段の生活にちょっとした贅沢と安らぎをもたらしてくれます。素敵なティーセットを準備したり、美味しい紅茶の淹れ方を研究したり、心を込めてティーフーズを手作りしたりと、準備の段階からワクワクする時間を過ごせるでしょう。この記事が、あなただけのオリジナルアフタヌーンティーを企画するきっかけとなり、優雅なティータイムを満喫していただければ幸いです。
よくある質問
質問1:アフタヌーンティーはどのようにして始まったのでしょうか?
アフタヌーンティーの起源は、19世紀のイギリスに遡ります。第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが、夕食までの長い時間に耐えきれず、空腹を満たすために軽食を摂り始めたのが始まりとされています。当初は個人的な習慣でしたが、次第に使用人が軽食を運ぶようになり、その後、レストランやホテルが3段重ねのケーキスタンドに美しく盛り付けて提供するスタイルが普及しました。
質問2:アフタヌーンティーに作法はありますか?
アフタヌーンティーには、いくつかの作法が存在しますが、すべてを厳守する必要はありません。ティーナプキンは、輪になっている方を手前にして半分に折り、膝の上に置きます。一般的には、ティーフーズはサンドイッチ、スコーン、甘いお菓子・ペイストリーの順番に味わいます。ティーカップの持ち方は、ハンドルをつまむように持つと上品に見えます。
質問3:自宅でアフタヌーンティーを開く際、何が必要ですか?
ご自宅でアフタヌーンティーを開催する際には、ティーセット一式(ティーカップとソーサー、ティーポット、ケーキプレート、カトラリー、ナプキン)、紅茶、そしてティーフーズ(サンドイッチ、スコーン、ケーキなど)をご用意いただくと良いでしょう。もし3段のケーキスタンドがあれば、より本格的な雰囲気を演出できます。