高加水パンとは

パン好きの間で注目を集めている"高加水パン"。その名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?しかし、具体的に何を指すのか、その特性や魅力を詳しく知らないという方も少なくないでしょう。そこで今回は、ベーカリーシーンで話題のこの「高加水パン」とは何か、その背景や特徴を深掘りしてみたいと思います。この記事を通して、高加水パンの風味深い世界を一緒に探求し、新たなパンの魅力に触れてみましょう。
高加水パンとは?
高加水パンのメリット
高加水パンのデメリット
高加水パンには多くの利点がある一方で、いくつかの注意点もあります。まず、生地の扱いが難しいという点が挙げられます。水分量が多いために生地が非常に柔らかく、ベタつきやすいので、成形や移動の際に初心者は苦労することがあるでしょう。また、生地の緩さから、型を使わずに焼くと横に広がりやすく、理想的な高さを出すのが難しいこともあります。さらに、水分が多い分、湿気の多い場所で保管するとカビが生えやすくなるリスクもあります。保存方法には特に注意が必要です。これらの点を踏まえつつ、適切な環境と工夫で作ることで、美味しい高加水パンを楽しむことができます。

高加水パンの加水率とは?計算式で導き出す方法
高加水パンを作るうえで欠かせない知識が「加水率」の考え方です。加水率とは、使用する粉類に対して加える水分の割合のことで、次の計算式で求められます。「加水率=水の重さ ÷ 粉の重さ × 100」。例えば、粉が200gで水が160gなら、加水率は80%ということになります。ここでの“粉”には、強力粉だけでなく、全粒粉やライ麦粉、ココアパウダーなど、粉状の材料すべてが含まれます。また、水の代わりに牛乳や卵、生クリームなどを使う場合は、それぞれの水分量を考慮する必要があります。例えば牛乳は約90%、卵は約70%の水分を含んでいるので、正確な加水率を計算するにはその分も含めましょう。
代表的な高加水パン:食パンの特徴
食パンは、日本でも最もなじみのある高加水パンのひとつです。その中でも「角型」と「山型」という2種類の食パンが存在し、それぞれ仕上がりや食感に違いがあります。角型食パンは、密閉された型で焼くため水分の蒸発が抑えられ、しっとりとした食感が特徴。一方の山型食パンは、開放された型で焼くことで水分が程よく飛び、ふんわりとした軽さが楽しめるパンになります。また、焼き上がってすぐよりも、数時間おいてから食べることで全体に水分が行き渡り、さらにしっとりとした口当たりに変化します。美味しさを最大限に引き出すには、焼き上がりから6時間ほどおくのがおすすめです。
代表的な高加水パン:バゲットの特徴
バゲットはフランス生まれの伝統的なパンで、高加水パンの代表格です。棒状の細長い形が特徴で、外はカリッと中はふんわりとした食感が魅力。バゲットは小麦粉・水・塩・イーストといったシンプルな素材で作られるため、材料そのものの風味が引き立ちます。特に、水分を多く含んだ生地は焼き上げたときに気泡が大きくなり、見た目にも美しく、香ばしいクラストとしっとりしたクラムのコントラストが楽しめます。焼き上がりから30分ほど置いて、粗熱が取れた状態で食べるのがベスト。時間が経つと水分が抜けて味や食感が劣化するため、なるべく早めに食べるのが理想的です。

高加水パンはなぜ冷ましてからの方が美味しいのか?
高加水パンは、焼きたてをすぐに食べるよりも、少し冷ました方が美味しさが引き立ちます。その理由のひとつは、水分が焼成直後にはパン全体に均等に行き渡っていないからです。焼いてから時間を置くことで、内部にこもった水分がパン全体に馴染み、クラムのしっとり感が増します。また、発酵の過程で生じたアルコール分が、焼きたてのパンにはまだ残っており、それが独特のにおいとなることもあります。時間を置けば、このアルコール分も蒸発し、より自然でまろやかな風味になります。冷ますことで味も香りも落ち着き、より完成度の高いパンとして楽しめるのです。
まとめ
高加水パンは水分率が高く、そのため特有のモチモチとした食感と深い風味が楽しめます。製法の難易度は高いものの、それだけに出来上がったパンは通常のものとは一線を画す特徴的な味わいがあります。パンの新たな可能性を引き出す「高加水パン」。一度はその魅力を味わってみてください。