ハスカップを味わい尽くす!栄養満点な食べ方と保存方法を徹底解説
北海道の短い夏を彩る、宝石のような果実「ハスカップ」。その甘酸っぱさと鮮やかな紫色は、一口食べれば忘れられない風味です。豊富な栄養価も魅力で、美容と健康を気遣う方々からも注目を集めています。ジャムやお菓子で親しんでいる方も、フレッシュなハスカップの美味しさをまだ知らない方も、この記事を読めばハスカップの魅力を余すことなく堪能できます。栄養満点の食べ方から、長く楽しめる保存方法まで、ハスカップのすべてを徹底解説いたします!

ハスカップの世界へようこそ

北海道の庭先でひっそりと育つハスカップの木。必ずしも「飛び抜けて美味しい!」というわけではありませんが、厳しい北国でも育つ貴重な存在として、地元の人々に親しまれています。ここでは、ハスカップの生態、主な産地、多様な品種など、その奥深い世界を紐解いていきましょう。

ハスカップとは?

ハスカップは、スイカズラ科に属する植物で、和名では「クロミノウグイスカグラ」と呼ばれます。この名前の由来は、「ウグイスがさえずる頃に、神楽の舞のような美しい花を咲かせ、黒い実を結ぶ」という情景から来ています。実際には、「ケヨノミ」といった近縁種もまとめてハスカップとして扱われることが多く、特に北海道の勇払原野に多く自生しています。ハスカップの仲間は、ユーラシア大陸北部や北アメリカ、そして日本国内では北海道から本州中部以北にかけて分布しています。古くからアイヌの人々は、この野生の果実を採取し、生活に取り入れてきました。ハスカップという名前も、アイヌ語で「ハシカップ」(枝にたくさんの実がなる木)を意味する言葉に由来すると言われています。ハスカップの果実は、青紫色をした細長い卵形で、強い酸味が特徴です。北海道開拓時代には、塩漬けや焼酎漬けなど、保存食として重宝されてきましたが、戦後になるとお菓子などへの利用が広がり、原料としての需要が高まりました。しかし、土地開発によって自生地が減少したため、1970年代から千歳市、苫小牧市、美唄市などで栽培が開始されました。栽培当初は特定の品種はありませんでしたが、結実性を高める改良などが行われ、生食でも美味しく食べられる品種が開発されています。ハスカップには、ビタミンCをはじめとするビタミン類、鉄分、カルシウム、カリウム、アントシアニンなど、様々な栄養素が含まれています。ただし、酸味が強いため、生食よりもジャムや塩漬けなどの加工品として楽しまれることが多い果実です。

ハスカップの気になるお味は?

ハスカップの果実は、爽やかな酸味とともに、ほのかな苦味を含む独特の風味が特徴です。自生しているハスカップは特に酸味が強く、中には強い苦味を持つものもあり、生食にはあまり適していません。その独特な風味は、ブルーベリーに似ていると表現されることもありますが、ハスカップの方がより酸味が強いと言えるでしょう。果肉と果汁はどちらも濃い赤紫色をしており、ヨーグルトやケーキに添えると、その美しい色合いを楽しむことができます。果実は熟すと甘味が増しますが、同時に実が柔らかくなるため、生食よりも加工品として流通するのが一般的です。近年では、酸味が少ない「ゆうしげ」など、生食に適した品種も開発されていますが、依然としてお菓子の材料や、ジャム、フルーツソース、シロップ、果実酒など、様々な加工品として利用されることが主流です。

産地と旬の時期

北海道を代表する初夏の味覚、ハスカップ。そのほとんどが北海道で栽培されており、5月下旬に花を咲かせ、6月下旬には実が熟し、美しい青紫色に染まります。生のハスカップが出回るのは、ごく短い期間。一般的には6月下旬から7月下旬が旬とされていますが、広く捉えれば6月上旬から8月中旬にかけての初夏が旬と言えるでしょう。しかし、生のハスカップは流通期間が短いため、冷凍されたものが一年を通して販売されており、いつでも気軽にその風味を味わうことができます。主な産地としては、北海道の厚真町、美唄市、千歳市などが挙げられます。

あまり知られていないハスカップの品種

ハスカップは、さくらんぼの「佐藤錦」や「紅秀峰」のように、品種名が前面に出ることが少ないため、詳しく知っている人は少ないかもしれません。しかし、代表的な品種にはそれぞれ特徴があります。品種名を知っておくと、より深くハスカップを楽しめるかもしれません。

《ゆうふつ》

6月下旬から7月上旬に収穫される品種です。甘さは控えめで、酸味も穏やか。果実が柔らかいのが特徴です。北海道立中央農業試験場が開発した小粒の品種で、1992年に品種登録されました。アントシアニンの含有量が多いことでも知られています。

《あつまみらい》

7月中旬に収穫時期を迎える品種です。一粒あたり2gほどの大きさになる大粒種で、果皮は濃い青色をしています。糖度が高く、酸味が少ないため、味が良いと評価されています。果実はやや硬めで、輸送にも適しています。

《ゆうしげ》

7月中旬が旬。果実の重さは約1.9g、しっかりとした硬さを持つ大粒の品種です。甘みが際立ち、酸味が穏やかで、とても美味しく味わえます。

不老長寿の果実、貧血対策にも?

ハスカップは、古くからアイヌの人々に「不老長寿の果実」として親しまれてきました。ミネラル、ビタミン、有機酸、食物繊維、そして豊富なポリフェノールを含み、これらの成分が相乗効果を発揮することで、他の果物と比較しても健康への貢献度が高いとされています。特に注目すべきはポリフェノールで、ブルーベリーを凌ぐ含有量を誇ります。その主成分であるアントシアニンは、抗酸化作用に優れたシアニジンという物質で構成されています。「不老長寿の実」や「貧血に良い」と言われてきたのは、科学的にも裏付けられています。

ハスカップの栄養成分と期待できる効果

ハスカップは100gあたり53kcalのエネルギーを持ち、タンパク質0.7g、脂質0.6g、炭水化物12.8g、食物繊維2.1gを含んでいます。炭水化物(糖分)は比較的多いですが、カルシウム38mg、鉄0.6mgといったミネラルも含まれています。ビタミンCは100gあたり44mgと、比較的多めに含まれています。独特の酸味はクエン酸などの有機酸によるもので、クエン酸には疲労回復を促進する効果が期待できます。ハスカップに含まれる栄養素と、その効果について詳しく見ていきましょう。

◆ビタミンC

ハスカップは100gあたり44mgと、比較的多くのビタミンCを含んでいます。ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、体内でコラーゲンの生成をサポートするだけでなく、強力な抗酸化作用を持つことでも知られています。この抗酸化作用は、体内の酸化ストレスを軽減し、細胞の健康を維持するのに役立ちます。

◆ビタミンE

ハスカップには、100gあたり1.4mgのビタミンEが含まれています。ビタミンEは、脂溶性のビタミンであり、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。体内の細胞を酸化から守り、老化のスピードを緩やかにする効果や、生活習慣病の予防に役立つ栄養素として注目されています。

◆アントシアニン

ハスカップの特徴的な濃い青紫色を生み出しているのは、ブルーベリーと同様にアントシアニンという色素成分です。アントシアニンは、ブドウや赤シソなどにも含まれる天然色素で、ポリフェノールの一種。特に優れた抗酸化作用を持ち、目の疲れを和らげたり、視力の維持をサポートする効果、さらには生活習慣病の予防やアンチエイジング効果も期待されています。ハスカップには100gあたり約220mgものアントシアニンが含まれており、これは一般的なブルーベリーよりも多い含有量です。また、ハスカップに含まれるアントシアニンは「シアニジン」と呼ばれる種類で、他のアントシアニンと比較しても、より高い抗酸化力を発揮すると言われています。ビタミンE以上のパワーを持つとも評価されています。

◆鉄分

鉄分は、私たちの体にとって必要不可欠なミネラルの一つです。赤血球のヘモグロビンに多く存在し、体内の酸素を運搬するという重要な役割を担っています。ハスカップには、100gあたり0.6mgの鉄分が含まれており、日々の食事で不足しがちな鉄分を補給するのに役立ちます。鉄分が不足すると、貧血を引き起こす可能性があり、頭痛や食欲不振、集中力の低下といった症状が現れることもあります。バランスの取れた食生活を心がけ、積極的に摂取したい栄養素です。

◆カルシウム

カルシウムは、人体に最も多く存在するミネラルであり、丈夫な歯や骨を形成する上で非常に重要な役割を果たしています。ハスカップには、100gあたり38mgのカルシウムが含まれています。カルシウムが不足すると、骨粗鬆症のリスクが高まるだけでなく、高血圧や動脈硬化の原因となる可能性も指摘されています。ただし、過剰な摂取は、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収阻害、便秘などの原因となる可能性もあるため、適切な量を摂取することが大切です。

◆カリウム

カリウムは、人が健康を維持するために欠かせないミネラルの一つです。体液の浸透圧を調整する重要な役割を担っており、特にナトリウムの排出をサポートすることで、体内の塩分バランスを整えます。この働きにより、血圧の安定や、むくみの軽減に貢献すると考えられています。

◆食物繊維

前述の通り、ハスカップ100gあたりには2.1gの食物繊維が含まれています。注目すべきは、その内訳です。水溶性食物繊維が0.6g、不溶性食物繊維が1.5gと、バランス良く含まれているため、ハスカップを食べることで、両方の食物繊維の恩恵を受けることができます。水溶性食物繊維は、糖分の吸収速度を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑制する効果や、腸内細菌による発酵を促進し、腸内環境を改善する効果が期待できます。一方、不溶性食物繊維は、胃や腸の中で水分を吸収して膨張し、便のかさを増やすことで腸を刺激し、便秘の解消を助けます。

ハスカップは生の果実だけじゃない!冷凍保存がおすすめ

ハスカップは旬の時期が短く、生の果実として味わえる期間は限られています。また、非常にデリケートな果物で、果皮も果肉も柔らかいため、市場に出回ることが少ないのが現状です。そのため、手に入りにくい生の果実よりも、一年を通して手軽に入手できる冷凍品を活用することをおすすめします。冷凍ハスカップは、ヨーグルトのトッピング、スムージーやシェイクの材料、手作りジャムなど、様々な用途で美味しく楽しむことができます。

冷凍しても栄養価はほぼ変わらない!

ハスカップに含まれるビタミンCは、冷凍保存しても含有量がほとんど変わらないという研究結果があります(北海道立食品加工研究センター、1998年調査)。アントシアニンや食物繊維といったその他の栄養素も同様に、冷凍による変化は少ないため、安心して冷凍保存し、ストックすることができます。

冷凍ハスカップで手軽に美味しく

冷凍ハスカップをそのまま食べるなら、ヨーグルトにトッピングして、お好みで蜂蜜をかけるのがおすすめです。シャリシャリとした食感とハスカップの酸味がヨーグルトによく合います。また、バニラアイスに添えれば、あっという間に贅沢なデザートに変わります。他にも、スムージーやシェイクにしたり、自家製ジャムを作るのも良いでしょう。ジャムにする際は、ハスカップだけでは酸味が強すぎる場合があるので、イチゴやブルーベリーといった他のベリー類と混ぜて、ミックスベリージャムにするのもおすすめです。

ブルーベリーやプルーンとの違いとは?

ハスカップは、見た目が小さなプルーンやブルーベリーに似ています。プルーンとの違いは、種にあります。プルーンには大きな種がありますが、ハスカップの種はブルーベリーと同様に小さく、そのまま食べられます。また、ブルーベリー特有の王冠のような形も、ハスカップにはありません。さらに、ハスカップは主に北海道で自生しているのに対し、ブルーベリーやプルーンは海外から輸入された果物という点も異なります。

ハスカップ、おすすめの食べ方

ここでは、管理栄養士であり、自宅の庭でハスカップを栽培している筆者が、ハスカップの美味しい食べ方をご紹介します。ハスカップは、生のまま食べるのはもちろん、ジャムやジュース、お菓子作りなど、様々な用途で楽しむことができます。

①まずはそのまま

ハスカップは、生のままでも、冷凍のままでも、手軽に食べられるのが魅力です。素材本来の味をシンプルに味わうには、この食べ方が一番。ただし、ハスカップには個体差があり、独特の苦味を感じるものもあります。甘みが強く、実が柔らかいものはそのまま美味しくいただけますが、酸味が強いものは、ジャムなどに加工するのがおすすめです。近年では、生食に適した酸味の少ない品種も開発されています。もし、生のままで食べにくいと感じたら、次に紹介するジャムなどを試してみてください。

②料理系のおすすめ

ハスカップは、その独特な風味を活かして様々な料理に利用できます。特に、ご飯との相性は抜群で、まるで梅干しのように「ハスカップ漬け」として味わうのがおすすめです。 まずは、冷凍ハスカップを使った簡単なおにぎりのレシピをご紹介しましょう。冷凍ハスカップを、おにぎり1個あたり2~3個用意し、たっぷりの塩をまぶします。ハスカップが溶けないうちに、温かいご飯で素早く握れば完成です。冷凍のまま握ることで実が潰れるのを防ぎ、食べる頃には自然解凍され、梅しそ風味の爽やかなおにぎりとして楽しめます。 本格的な「ハスカップ漬け」を作るには、いくつかの方法があります。

ハスカップの塩漬け(シンプルレシピ)

ハスカップの実500gに対し、塩30~40g(果実の6~8%)を用意します。ハスカップの実を軽く水洗いし、密閉できる容器に入れ、塩を全体にまぶします。冷蔵庫で一晩寝かせた後、容器を逆さまにして塩を混ぜます。翌日も同様の作業を繰り返せば完成です。ご飯のお供や、おにぎりの具材、ちらし寿司の色付けなど、様々な用途で活用できます。

ハスカップの塩漬け(砂糖と酢をプラス)

ハスカップの実500gに対し、砂糖300~350g、塩40~50g、酢小さじ1杯半を準備します。ハスカップを砂糖に3~4日漬け込みます。その後、実を取り出し(約380~400gになります)、塩を加え、最後に酢を回しかけます。分離した液体は、ジュースやゼリーの材料として利用できます。砂糖を使いたくない場合は、ハスカップの量の6~10%の塩を加え、冷蔵庫で1週間ほど置けば完成です。 さらに、ハスカップの実を潰してオリーブオイルや酢と混ぜ合わせ、自家製ドレッシングを作ることも可能です。また、甘酸っぱいソースとして、チキンソテーなどの肉料理にかけるのも良いでしょう。鮮やかな色合いは、ちらし寿司やサラダの彩りとしても最適です。

③デザート系のおすすめ

ハスカップは、デザートの材料としても非常に魅力的です。特に人気があるのはジャムで、パンに塗るのはもちろん、ヨーグルトに混ぜても美味しくいただけます。ジャムやコンポートのように砂糖で甘さを調整してから、デザートに利用するのがおすすめです。ブルーベリージャムの代わりに、カップケーキやチーズケーキ、パンやデニッシュに添えても美味しく味わえます。冷凍ハスカップをヨーグルトにそのままトッピングしてハチミツをかけたり、バニラアイスに添えれば、ワンランク上の爽やかなデザートとして楽しめます。 多様な加工品として楽しめるハスカップですが、ご家庭で簡単に作れるレシピもご紹介します。

ハスカップジャムの作り方(お鍋でじっくり煮詰める方法)

ハスカップの実500gに対して、上白糖130gとグラニュー糖130gをご用意ください。深めの鍋にハスカップと全ての砂糖を入れ、優しく混ぜ合わせたら、一晩寝かせます。翌日、鍋を強火にかけ、焦げ付かないように木べらなどで丁寧に混ぜながら沸騰させます。アクが出てきたら丁寧に掬い取り、強火のまま焦げ付かないように混ぜながら、20分から30分ほど煮詰めます。煮詰めすぎると色が損なわれるため、ご注意ください。

電子レンジで手軽にハスカップジャム

ハスカップの実500gと、上白糖250g~400g(ハスカップの酸味に応じてお好みの甘さに調整)をご用意ください。耐熱容器(ガラスボウルなどがおすすめ)にハスカップの実を入れ、砂糖を加えて、実を潰さないように優しく混ぜて砂糖を馴染ませます。冷凍のハスカップを使用する場合は、自然解凍してから同様の手順で進めてください。ラップをせずに電子レンジ600Wで5分加熱し、アクを取り除いて軽く混ぜます。再度ラップなしで600Wで5分加熱し、丁寧に出たアクを取り除き、果汁250gを取り分けておきます(この果汁はシロップとして活用できます)。果実を優しく混ぜ合わせ、再度ラップをせずに600Wの電子レンジで3分加熱して完成です。熱いうちに煮沸消毒した清潔な瓶に移し、粗熱を取ってから冷蔵庫で保存してください。

ハスカップシロップの作り方

ハスカップの実1kgに対して、上白糖400g、グラニュー糖200gを用意します。お鍋にハスカップの実(冷凍の場合は解凍)を入れ、中火にかけます。沸騰したら丁寧にあくを取り除きながら、焦げ付かないように注意して10分間ほど果汁を煮出します。ザルなどで丁寧に濾し(果実は潰さないように)、果汁と果肉に分けます。果汁が熱いうちに、分量の砂糖を加えて溶かします。残った果肉を鍋に戻し、水80ccを加えて火にかけ、アクを取り除きながら5分ほど煮詰めて更に果汁を引き出します。この果汁を最初の果汁と合わせ、沸騰したら完成です。完成したシロップは、清潔な空き瓶やペットボトルなどに移して冷蔵庫で保存し、長期保存する場合は冷凍保存をおすすめします。お好みに応じて、シロップ1に対して炭酸水や牛乳などを3~4の割合で割ってお召し上がりください。

ハスカップ果実酒の作り方

ハスカップの実1kgに対して、焼酎(35度)またはホワイトブランデー1.8L~2.7L、氷砂糖300g~1kgを用意します。広口の瓶に、ハスカップの実と氷砂糖を交互に入れます。瓶を密閉し、冷暗所で2ヶ月ほど保存します。瓶の底にハスカップが浮いてきたら完成です。取り出したハスカップの実は、そのまま食べても、煮詰めてジャムにしても、乾燥させてレーズンのように楽しむこともできます。贅沢に、ホワイトブランデーとハスカップのみで無糖の果実酒を作るのもおすすめです。材料費はかかりますが、その味わいは格別です。糖分の浸透圧がない分、ゆっくりとエキスが抽出されるため、3ヶ月ほど置いてから実を取り出すのがおすすめです。

収穫時期に見つけたら。ハスカップ、選び方のポイント

ハスカップを選ぶ際のポイントは、生の果実であれば、皮の色が深く濃い青紫色に染まり、表面に白い粉(ブルーム)が豊富に付いているものが、熟した証拠です。さらに、傷んでいないか、潰れていないか、虫が付いていないかを確認しましょう。 ハスカップ狩りをする際は、木によって味が大きく異なることを覚えておくと良いでしょう。いくつかの木のハスカップを少しずつ摘んで味見をし、自分の好みに合った木から収穫するのがおすすめです。味見が可能かどうかは、事前に主催者に確認するようにしましょう。

ハスカップを上手に保存するには

ハスカップの保存方法をご紹介します。生のままではたくさん食べにくいと感じる方もいるかもしれません。我が家では、少しだけ生で味わった後、すぐに冷凍保存したり、ジャムなどの加工品にすることが多いです。

①冷蔵保存

生のハスカップは、冷蔵庫で約1週間保存できます。水洗いすると鮮度が落ちやすいため、洗わずに冷蔵庫に入れるのがコツです。また、果皮がデリケートで潰れやすいので、なるべく重ならないように保存しましょう。

②冷凍保存

生のハスカップは日持ちが短いため、長期保存には冷凍や加工が最適です。冷凍保存する際は、まずハスカップを丁寧に洗い、表面のゴミやヘタを取り除きます。ヘタは小さいながらもしっかりと付いているため、少し手間がかかりますが、冷凍のまま食べたり、加工する際には取り除いておくと便利です。水気をキッチンペーパーなどでしっかり拭き取り、フリーザーバッグに重ならないように平らに並べて冷凍します。こうすることで、必要な分だけ取り出しやすくなります。研究によると、冷凍してもビタミンCなどの栄養素の含有量はほとんど変わらず、アントシアニンや食物繊維といった他の栄養素も変化しにくいことがわかっています。安心して保存し、一年を通してハスカップを楽しみましょう。

北海道銘菓に見るハスカップの魅力

これまで、ハスカップの特性、栄養、そして様々な楽しみ方についてご紹介してきました。北海道では、古くから親しまれてきたハスカップを使い、多くのお店が魅力的な商品を開発しています。お土産にも最適な、北海道ならではのハスカップ菓子をご紹介しましょう。

三星(みつぼし)の『よいとまけ』

ハスカップが健康的なスーパーフードとして注目されるようになったのは、比較的最近のことです。しかし、それよりもずっと昔、1950年代から「日本一食べにくいお菓子」として知られてきたのが、苫小牧市に本社を置く三星の『よいとまけ』です。甘いカステラ風のスポンジロールケーキに、ハスカップジャムをたっぷりと巻き込み、表面全体にも同じジャムを贅沢に塗った、まさにハスカップ尽くしのお菓子です。甘みと酸味の絶妙なバランスが、一度食べたら忘れられない味わいを生み出します。コーヒーや牛乳との相性も抜群です!三星では、『よいとまけ』の他にも、ラングドシャやジャムなど、様々なハスカップ製品を手掛けています。

もりもとの『ハスカップジュエリー』

北海道を代表する菓子メーカーとして、全国的にも有名な「もりもと」。ハスカップが旬を迎える時期には、生のハスカップを使用したケーキも店頭に並びます。昭和53年に誕生した「ハスカップジュエリー」は、ハスカップジャムを薄焼きクッキーとバタークリームで挟み、チョコレートでコーティングした、贅沢な一品です。個人的におすすめなのは、「雪鶴」というバタークリームを挟んだブッセのハスカップ味。外側の生地はサクッと、中はふんわりとしたブッセ生地で、ハスカップをふんだんに練り込んだバタークリームをサンドしています。ブッセの優しい甘さと、ハスカップの爽やかな酸味が織りなすハーモニーは、まさに絶品です。

その他のお菓子やドリンク

この他にも、ハスカップを使用したジャム、アイス、ゼリー、グミなどが、様々なお店から販売されています。ハスカップ製品は、お土産店で見つけやすいでしょう。また、ドリンクの原料としても利用されており、コカコーラが販売する「いろはす」のハスカップ味や、ハスカップワイン、果汁を濃縮したドリンクなども人気です。これらの商品は、北海道物産展やアンテナショップ、北海道のお土産店などで探してみてください。

ハスカップの日

7月7日は、知る人ぞ知る「ハスカップの日」です!まだ全国的には広く知られていないかもしれませんが、ハスカップの美味しさや魅力をより多くの人に知ってもらうため、令和3年(2021年)4月30日に一般社団法人日本記念日協会によって正式に制定されました。なぜ7月7日が選ばれたかというと、ハスカップが旬を迎える時期であること、そしてハスカップの花言葉が「愛の契り」であることが理由です。ハスカップの花は、まるで寄り添うように二つ並んで咲くことから、この花言葉がつけられました。年に一度だけ会うことを許された七夕の織姫と彦星を連想させる、ロマンチックなストーリーが記念日制定の背景にあるのです。

まとめ

この記事では、ほとんどが北海道でのみ栽培されている希少な果実、ハスカップの魅力や栄養、そしてその効果、美味しい食べ方についてご紹介しました。ハスカップは、北海道を代表する特産品であり、ビタミンCやアントシアニンといった栄養素がたっぷり含まれています。生のハスカップは生産量が少ないため、なかなか手に入らないかもしれませんが、冷凍されたものや、ジャム、ジュース、お菓子などの加工品であれば、一年を通して比較的手軽に購入することができます。今回ご紹介したハスカップジャム、シロップ、果実酒、塩漬けなどの手作りレシピを参考に、ご家庭でもハスカップならではの甘酸っぱい風味を存分に楽しんでみてください。健康に嬉しい成分も豊富なので、ぜひ色々な商品やレシピを試して、ハスカップの奥深い魅力を体験してくださいね。

質問:ハスカップはどこで手に入りますか?

回答:生のハスカップが手に入る場所は、北海道の一部の地域に限られており、収穫時期も6月下旬から7月下旬のごく短い期間のみです。しかし、冷凍ハスカップや、ジャム、お菓子、ジュースなどの加工品は、北海道物産展やアンテナショップ、オンラインストアなどで一年中購入することができます。

質問:ハスカップの主な栄養素とその健康効果は何ですか?

回答:ハスカップには、特に強い抗酸化作用を持つアントシアニン(シアニジン)をはじめ、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維、そしてクエン酸などの有機酸が豊富に含まれています。さらに、鉄分、カルシウム、カリウムといったミネラルも含まれています。これらの成分は、眼精疲労の軽減、視力維持、アンチエイジング効果、生活習慣病の予防、疲労回復、腸内環境の改善、便秘解消、貧血予防、骨の健康維持、体内のナトリウム排出による塩分調整などに効果が期待されています。

質問:ハスカップは生のままで食べられますか?

ハスカップは、自然に生えているものは酸っぱさや苦味が強いため、そのまま食べるのにはあまり適していません。しかし最近では、「ゆうしげ」のように、酸味が少なく生で食べるのに適した品種も開発されています。
生のハスカップを食べる際は、十分に熟して皮の色が濃い青紫色になり、ブルーム(白い粉)がたくさん付いているものを選びましょう。熟した実は、そのまま美味しく食べられます。もし独特の苦味が気になる場合や、酸味が強く感じられる場合は、ジャムなどに加工して食べるのがおすすめです。
ハスカップ食べ方