ネギ カビ

ネギは家庭菜園でも人気の野菜ですが、時にカビに悩まされることがあります。ネギに発生するカビは、生育不良や収穫量の減少につながるだけでなく、見た目も損ねてしまいます。この記事では、ネギにカビが発生する原因を徹底的に解説し、効果的な対策と予防法を詳しくご紹介します。カビの種類を見分け、適切な対処法を実践することで、健康でおいしいネギを育てましょう。

ネギ属の作物の病害、黒腐菌核病とは?

ネギ属植物の栽培において、近年、黒腐菌核病が全国的な問題となっています。この病害は非常に感染力が強く、発生した圃場では長期間にわたり菌核が生存し続けるため、甚大な被害をもたらします。本記事では、被害拡大を食い止めるために、黒腐菌核病の発生要因、症状、そして効果的な防除対策について解説します。病気の特性を理解し、予防に努めましょう。

黒腐菌核病とは?

黒腐菌核病は、糸状菌の一種であるスクレロチウム・セピボラムによって引き起こされる作物の病気です。土の中で生き残る菌核から菌糸が伸び、それが植物に侵入することで発症します。この病気は非常に感染力が強く、特にネギ属の植物がある場所では、繰り返し増殖する傾向があります。菌核は土壌中で長期間生存できるため、一度発生した畑では、適切な対策を講じなければネギ属の作物を育てることが困難になるとされています。

主に被害を受ける農作物

長ネギをはじめ、分葱、浅葱、玉ねぎ、韮、大蒜、辣韮といったネギ科の植物は、ある種の病気に罹りやすい性質を持ちます。中でも栽培期間が長い長ネギの畑では、特定の環境下で病原菌が急増することがあります。その結果、同じ場所で長ネギを再び育てることが困難になり、他の作物への転換を余儀なくされる農家も少なくありません。

黒腐菌核病の発生条件

黒腐菌核病は、特定の環境下で発生リスクが高まります。例えば、土壌が強い酸性を示し、水はけが悪い場合や、過去に同病が発生した場所では注意が必要です。また、気温が5~20℃の間で菌核が活動を開始し、特に10℃前後の気温下では急速に蔓延する傾向があります。

黒腐菌核病の病徴

菌核は、適した温度とネギ科植物の匂いを察知すると活動を始め、殻を破って菌糸を伸ばします。この菌糸が作物に侵入することで、病気が引き起こされるのです。病気に侵された作物は、葉の先端が白みを帯び、成長が鈍化します。初期段階で試しに掘り起こすと、地表に近い部分に白い菌糸や黒い粒状の菌核が見られることがあります。病状が進むにつれて、葉は黄色く変色し、最終的には枯れてしまいます。この頃には、土中のタマネギの鱗茎やネギの葉鞘に菌核がこびりつき、ひどい場合には根元から腐敗していることもあります。

黒腐菌核病の対策

黒腐菌核病は発症後の治療が困難なため、事前の予防が非常に重要です。ここでは、作物の植え付け前に実施できる対策をご紹介します。1.土壌消毒: バサミド、ガスタード微粒剤、キルパーなどの薬剤を用いて土壌消毒を行います。薬剤の効果を高めるため、必ず被覆処理を行い、土壌中の菌を確実に死滅させましょう。2.太陽熱消毒: 菌核は熱に弱い性質を利用し、夏季の高温期に太陽熱消毒を行うことで、菌を死滅させる効果が期待できます。しかし、この方法は時間と手間がかかるため、一般的な農家での採用例は多くありません。3.土壌pHの改善: 菌核は酸性土壌を好むため、苦土石灰や石灰窒素を作物の植え付け前に施用し、土壌のpH値を調整することで、菌核病の発生を抑制します。4.圃場の排水性向上: 排水路の整備や、腐葉土、もみ殻のすき込みなどにより、土壌の排水性を高め、圃場内に水が溜まらないように対策します。5.ネギ属植物の連作回避: 緑肥の利用や、ネギ属以外の作物との輪作を行うことで、土壌中の菌密度を低下させることができます。

ネギの黒腐菌核病予防に効果的な薬剤と施用時の注意点

作物を植え付けた後は、病害から守るために適切な薬剤を使用しましょう。ここでは、白ネギを例に、効果的な防除方法をご紹介します。ネギの黒腐菌核病対策として、2019年現在、特に効果が認められている登録薬剤は以下の通りです。・パレード20フロアブル(散布):10アールあたり100~300Lを2000倍希釈で使用・セイビアーフロアブル20(散布):10アールあたり100~300Lを1000倍希釈で使用・アフェットフロアブル(灌注):1平方メートルあたり1Lを1000~2000倍希釈で使用パレード20フロアブルとアフェットフロアブルは同じ系統の薬剤であるため、連続使用は避けることが推奨されます。セイビアーフロアブル20など、異なる系統の薬剤を間に挟むことで、より効果的な防除が期待できます。セイビアーフロアブル20は、土壌への吸着性が高いという特性があります。そのため、土寄せを行う前に使用することで、薬剤がネギにしっかりと行き渡り、効果を高めることができます。※使用にあたっては、必ず薬剤の説明書をよく読み、使用回数や散布時期などの注意事項を守ってください。薬剤の効果を最大限に引き出すためには、以下の点に注意しましょう。・病害が発生してからでは効果が期待できないため、予防的な使用が重要です。定植直後や、夜間の気温が20℃を下回り、菌核の活動が活発になる前に使用すると、予防効果が高まります。・薬剤が根元までしっかりと行き渡るように、十分な量を施用してください。・薬剤への耐性菌が発生するのを防ぐため、ローテーションで使用するように心がけましょう。

まとめ

これまで、黒腐菌核病の症状と予防策について解説してきました。ネギ属植物におけるこの病害への対策で特に重要なのは、以下の2点です。・苗を植える前に、病原菌が繁殖しにくい健全な土壌を作る・植え付け後は、病気に感染する前に適切な薬剤を計画的に使用して防ぐ対策は多岐にわたりますが、複数の予防法を組み合わせることで、収穫まで作物を守り抜きましょう。

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