食卓に欠かせない香味野菜、ネギ。薬味としてはもちろん、鍋物や炒め物など、様々な料理で活躍しますよね。ところで、ネギは緑黄色野菜に分類されるのか、ご存知でしょうか?この記事では、意外と知らないネギの種類や栄養価について徹底解説!根深ネギと葉ネギの違いから、ネギをよりおいしく食べるための活用レシピまで、ネギの魅力を余すことなくお届けします。
ネギは緑黄色野菜?
ネギは、その部位によって分類が異なります。緑色の部分は「緑黄色野菜」に分類され、白色の部分は「淡色野菜」に分類されます。
緑色の部分には、β-カロテンやビタミンCなどが豊富で、抗酸化作用や風邪予防、生活習慣病の予防効果が期待できます。
葉ネギ(青ネギ)は特に緑黄色野菜としての栄養価が高く、ビタミンCやβ-カロテンの含有量が多い点が特徴です。
淡色野菜としてのネギの特徴
白色の部分には硫化アリルが多く含まれ、血液サラサラ効果や殺菌作用があります。
根深ネギ(長ネギ・白ネギ)は主に白い部分を食べるため淡色野菜に分類されます。
したがって、ネギ全体を一括りに「緑黄色野菜」とすることはできず、部位によって異なる分類となります。
ネギの基礎知識:種類と特徴
ネギは、ユリ科に属する野菜で、そのルーツは中国西部やシベリアといった寒冷な地域にあります。日本へは奈良時代に伝来し、平安時代には既に食用として広く栽培されていました。ネギの品種は非常に多く、500種類以上が存在するとも言われますが、大きく分けると「根深ネギ(白ネギ、長ネギ)」と「葉ネギ(青ネギ)」の2種類に分類できます。ここでは、それぞれの種類について詳しく解説していきます。
根深ネギ(白ネギ、長ネギ)
根深ネギは、白い茎の部分を主に食用とするネギで、特に関東地方での栽培が盛んです。生のままではピリッとした辛味がありますが、加熱することで柔らかくなり、甘みが増すのが特徴です。鍋料理にはなくてはならない存在と言えるでしょう。代表的な品種としては、群馬県下仁田町の名産品である「下仁田ネギ」が挙げられます。このネギは、白い部分が特に太く、短いのが特徴で、加熱すると甘みが際立ち、とろけるような食感が楽しめます。旬は11月から1月にかけてです。また、埼玉県深谷市周辺で栽培されている「深谷ネギ」もよく知られています。白い部分が長く、柔らかくて甘みが強く、一年を通して出荷されていますが、特に12月頃から出荷される秋冬ネギは人気があります。
葉ネギ(青ネギ)
葉ネギは、葉の青い部分を食用とするネギで、主に関西地方で栽培されています。葉が柔らかく、ネギ特有の香りが豊かで、薬味や炒め物、味噌汁など様々な料理に活用できます。代表的な品種は、京都府の特産品である「九条ネギ」です。葉はしっかりとしているものの柔らかく、内部に含まれるぬめりに甘みが凝縮されているのが特徴です。一年を通して栽培されていますが、旬は12月から2月にかけてです。また、葉ネギを若いうちに収穫した「小ネギ(万能ネギ)」も広く利用されています。柔らかく、鮮やかな緑色が特徴で、ハウス栽培が中心のため、一年を通して市場に出回っています。「博多万能ネギ」というブランド品種も存在します。その他、ネギの仲間としては、「あさつき(糸ネギ)」や「わけぎ」などもあります。あさつきは、シャキシャキとした食感と、独特の香りと辛味が特徴で、旬は3月から5月です。わけぎは、ネギとエシャレットの交雑種で、ネギよりも香りと風味が穏やかで、辛味も少ないのが特徴です。
ネギの選び方:新鮮さを見極めるポイント
新鮮でおいしいネギを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。根深ネギと葉ネギ、それぞれについて、選び方のポイントをご紹介します。
根深ネギ(白ネギ、長ネギ)の上手な選び方
良質な根深ネギを選ぶには、まずその締まり具合を確かめましょう。手に取って軽く押してみて、硬く締まっていて弾力があるものがおすすめです。柔らかくフカフカしたものは避けるようにしましょう。また、白い部分が十分に長く、緑色の部分とのコントラストがはっきりしているものが良いでしょう。葉が乾燥してパサついているもの、白い部分に目立つ筋があるもの、根が変色して乾燥しているものは避けた方が賢明です。新鮮な長ネギは、根元の白い部分に自然な光沢が見られます。
葉ネギ(青ネギ)の見分け方
新鮮な葉ネギを選ぶ際は、鮮やかな緑色をしているかどうかがポイントです。葉先までしっかりとピンと張りがあり、みずみずしいものを選びましょう。葉先が黄色く変色していたり、途中で折れ曲がっているものは鮮度が落ちている可能性があります。
ネギの栄養価と効能:白い部分と緑色の部分の違い
ネギは、その部位によって栄養成分が大きく異なります。ここでは、白い部分と緑色の部分、それぞれの栄養価と健康への効果を詳しく解説します。
白い部分に含まれる栄養と効果
根深ネギの可食部100gあたりのカロリーは約35kcalです。白い部分に豊富に含まれる栄養素として特筆すべきは、硫化アリルです。これはネギ独特の刺激臭の源であり、ビタミンB1の吸収を促進する効果があります。血行促進、疲労回復、そして殺菌作用など、様々な健康効果が期待できます。硫化アリルは揮発性のため、生のまま食べることで、より効率的に栄養を摂取することができます。
緑の部分の栄養価と効能
葉ネギ100g当たりのエネルギー量は約29kcalです。特に緑色の部分は、β-カロテンやビタミンCを豊富に含む緑黄色野菜として知られています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫力を向上させる働きがあります。ビタミンCも同様に、免疫機能のサポートに役立ちます。さらに、丈夫な骨や歯を形成するカルシウムや、その吸収を促進するビタミンKも豊富に含有しています。
ネギの保存術:鮮度を保つ秘訣
ネギは乾燥に弱いため、適切な保存方法を実践することで、鮮度を維持し、より長く美味しく楽しむことができます。ここでは、根深ネギと葉ネギ、それぞれの保存方法についてご紹介します。
根深ネギ(白ネギ、長ネギ)の保管方法
根深ネギも葉ネギも、乾燥から守ることが重要です。全体を新聞紙で丁寧に包み、風通しの良い冷暗所に立てた状態で保存するのが理想的です。ネギは横にすると、元の状態に戻ろうとしてエネルギーを消費してしまうため、立てて保存することがポイントです。しかし、スペースの都合で丸ごと立てて保存するのが難しい場合は、3等分程度にカットして、チャック付きの保存袋に入れて保存すると良いでしょう。
葉ネギ(青ネギ)の保管方法
使いかけの葉ネギは、青い部分と白い部分を切り分け、それぞれラップで包んで冷蔵庫の野菜室で立てて保存するのがおすすめです。特に緑色の部分は、薬味として使うことが多いので、白い部分とは分けて保存しておくと、後々使いやすくなります。
ネギの冷凍保存
ネギは冷蔵だけでなく、冷凍保存も適しています。保存する際は、まず根元を切り落とし、3等分程度の長さにカットします。その後、ラップでしっかりと包み、冷凍保存用の密閉袋に入れて冷凍庫へ。およそ1ヶ月間の保存が可能です。使用する際は、凍った状態のまま必要なサイズにカットし、加熱調理してください。刻んでから冷凍することも可能ですが、刻むことで風味や栄養が損なわれる可能性があります。風味を重視する場合は長いまま、使い勝手を重視する場合は刻んでから冷凍するなど、目的に合わせて使い分けるのがおすすめです。

ネギの食べ方:余すことなく活用するレシピ
ネギは、そばやうどん、冷奴といった料理の薬味として、また鍋料理の具材として、一年を通して食卓に登場する頻度の高い野菜です。しかし、薬味として購入した葉ネギが少しだけ余ってしまったり、白ネギの青い部分を持て余してしまう、といった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、そういった余りがちなネギを無駄なく美味しく活用できるレシピをご紹介します。
余ったネギの活用レシピ
使い切れずに残ってしまったネギの青い部分は、細かく刻んで卵焼きに混ぜ込んだり、薄く斜め切りにしてお味噌汁やスープの彩りに添えるなど、手軽に栄養と彩りをプラスできます。また、大量に消費したい時には「ぬた」にするのがおすすめです。ネギを適当な大きさにカットし、さっと茹でて酢味噌をかけるだけで完成します。わかめや茹でたタコなどを添えれば、栄養満点な一品料理として楽しめます。
長ねぎの主役レシピ3選
普段は捨ててしまいがちな長ねぎの緑色の部分まで美味しく食べられる、長ねぎをメインに使ったおすすめレシピを3つご紹介します。
長ネギとチーズのライ麦カナッペ
普段は捨ててしまうことの多い長ネギの青い部分を、新鮮なまま味わえるレシピです。チーズの塩気と、生姜とはちみつで作る特製ソースが、長ネギ特有の風味をまろやかに包み込み、一度食べたら止まらない美味しさ。香ばしいライ麦パンとの組み合わせも抜群です。手軽に作れるのに、奥深い味わいが楽しめます。
材料(2人分)
・長ネギ(青い部分)……1/2本分・スライスチーズ……2枚・紫タマネギ……20g・ピーナッツ……10g・チューブ生姜……小さじ2・ハチミツ……大さじ1・黒コショウ……適量・ライ麦パン(スライス)……2枚
作り方
1.スライスチーズを半分にカット。長ネギは薄い小口切り、紫タマネギは細かく刻み、ピーナッツは粗く刻みます。2.チューブ生姜とハチミツを混ぜて特製ソースを作ります。ライ麦パンにチーズを乗せ、紫タマネギ、長ネギ、ピーナッツを彩りよく散らします。3.2のソースをかけ、仕上げに黒コショウを振りかけたら完成です。
長ネギとレンコンのスパイシーアンチョビ炒め
アンチョビの塩気とカレー粉のスパイシーな風味が、甘みが増したとろけるような長ネギと絶妙にマッチします。アンチョビと黒オリーブの旨味が加わることで、塩を加えなくても奥深い味わいに仕上がります。
材料(2人分)
・長ねぎ……1本・レンコン……1節・アンチョビ……3枚・黒オリーブ……8個・コリアンダーシード……小さじ1/2・オリーブオイル……適量・カレー粉……小さじ1/2・粗挽き黒こしょう……適量
作り方
1.長ねぎを5cmほどの長さにカットし、縦半分に切る。レンコンは皮を剥いて、放射状に切る。アンチョビはざく切りにし、黒オリーブは半分にカットする。2.コリアンダーシードを軽く押し潰す。3.フライパンにオリーブオイルをひき中火で加熱し、長ねぎ、レンコン、黒オリーブを炒める。4.全体に火が通ったらカレー粉、アンチョビ、コリアンダーシードを加えてさっと炒め合わせる。仕上げに黒こしょうを振り、お皿に盛り付ける。
長ねぎを味わう鶏鍋
長ねぎをじっくり煮込むことで、その持ち味を最大限に引き出したシンプルな鶏鍋です。柔らかくなった長ねぎの甘さと、鶏肉から溶け出した旨味が調和した、心温まる一品です。鍋ごと食卓へ運び、〆に蕎麦を加えれば、手軽ながらも贅沢なもてなし料理としても活躍します。
材料(4人分)
・長ねぎ……2本・鶏もも肉……2枚[A]・水……600ml・醤油……40ml・みりん……40ml・昆布……4cm・そば…300g
作り方
1.鶏もも肉は、まず半分にカットし、繊維を断ち切るように薄くそぎ切りにします。2.長ネギは斜めに薄切りにします。鍋にAの材料を入れ、火にかけて沸騰させたら、鶏もも肉を加えます。3.鶏肉に火が通ったら、長ネギを加えて煮込みます。4.鍋料理を堪能した後、残ったスープと具材を茹でたそばにかけ、〆としてお召し上がりください。
結び
ネギは、多種多様な種類が存在し、栄養価も高く、選び方や保存方法、さらには様々な調理法に至るまで、非常に魅力的な食材です。毎日の食卓に積極的にネギを取り入れ、その豊かな風味と栄養を存分にお楽しみください。この記事でご紹介した情報を参考に、ネギについてより深く理解し、食生活をより豊かにしていただければ幸いです。
ネギの緑色の部分は捨てるべきですか?
決して捨ててはいけません。ネギの緑色の部分には、β-カロテンやビタミンCをはじめとする豊富な栄養素が含まれています。細かく刻んで薬味として利用したり、スープや炒め物などの料理に加えて、美味しくいただきましょう。
ネギを長持ちさせるための保存方法はありますか?
ネギは乾燥に弱い性質を持っているので、新聞紙で包み、冷暗所で立てて保存する方法が効果的です。使いかけのネギの場合は、緑色の部分と白い部分を分けてそれぞれラップでしっかりと包み、冷蔵庫の野菜室で保存してください。冷凍保存も可能ですが、刻んでから冷凍すると風味や栄養が低下する恐れがあるため、注意が必要です。
ネギを切ると涙が止まらないのはどうして?
ネギを切っていると涙が出てくるのは、ネギに含まれる特別な成分、硫化アリルが関係しています。ネギの細胞が壊れる際にこの硫化アリルが発生し、空気中に広がり、それが目に触れると刺激となって涙を引き起こすのです。涙を抑えるには、切れ味の良い包丁で手早く切る、切る前に冷蔵庫で冷やす、そして換気をしっかり行うといった工夫が効果的です。