グレープシードオイルの選び方:万能オイル

グレープシードオイルは、その名の通りぶどうの種から抽出されるオイルです。さらりとした軽い質感と、クセのない風味が特徴で、毎日の料理に手軽に取り入れられる万能オイルとして人気を集めています。炒め物や揚げ物はもちろん、ドレッシングやマリネなど、幅広い用途で活躍してくれるのが魅力です。また、美容に関心の高い方からは、マッサージオイルやヘアケアオイルとしても注目されています。この記事では、そんなグレープシードオイルの選び方のポイントをご紹介します。用途に合わせた最適な一本を見つけて、日々の生活に取り入れてみましょう。

グレープシードオイルの定義と特徴

グレープシードオイル(英語ではGrape Seed Oilと表記)とは、主にワイン製造の過程で副産物として大量に得られる、ヨーロッパブドウ(学名:Vitis vinifera)の種子を原料とした植物油の一種です。世界には約3000種類ものブドウ品種が存在するとされ、使用されるブドウの種類によってオイルの成分組成にもわずかな違いが見られます。このオイルの最大の特徴は、その風味の穏やかさにあります。ほぼ無味無臭で、後味もさっぱりとしており、油特有の重さやしつこさがありません。そのため、素材の味を活かしたい料理や、繊細な風味のドレッシングのベースとして最適です。さらに、肌への馴染みが良く、べたつきにくいことから、食用以外にもマッサージオイルやクレンジングオイル、化粧品の原料としても広く用いられています。特にヨーロッパ地域では、古くから食用油や健康食品として親しまれてきました。

グレープシードオイルの主要な栄養成分

栄養面では、グレープシードオイルは健康維持に欠かせない必須脂肪酸を豊富に含んでいる点が注目されます。特に、人間の体内で合成できないオメガ6脂肪酸であるリノール酸が豊富です。

2025年版食事摂取基準では、1日当たりのビタミンEの摂取の目安を

男性

  • 18歳~64歳6.5mg
  • 65歳~74歳7.5mg
  • 75歳以上で7.0mg

女性

  • 18歳~29歳5.0mg
  • 30歳~64歳6.0mg
  • 65歳~74歳7.0mg
  • 75歳以上で6.0mg

と設定しています。リノール酸は、細胞膜の構成成分や、生理活性物質の原料となるなど、生命維持に不可欠な役割を担っています。また、コレステロールを含まないため、コレステロール値を気にする方にも適しています。さらに、強力な抗酸化作用を持つビタミンE群(トコフェロール、トコトリエノール)も豊富に含有しており、その量は一般的なオリーブオイルの2倍以上とも言われています。これにより、体内の脂質酸化を抑制し、細胞の健康をサポートする効果が期待できます。成分構成としては、総脂肪酸の0.8%から1.5%が不鹸化物(フィトステロールなど)であり、ビタミンE類としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールなどが含まれます。カロテノイドも少量含まれますが、オリーブオイル、アボカドオイル、コーン油、ヒマワリ油などと比較すると少なめです。

使用上の注意点

ただし、他の食用油と同様に、グレープシードオイルも過剰摂取はカロリーオーバーにつながる可能性があります。また、一部には善玉コレステロールを低下させる可能性も指摘されているため、健康効果を最大限に得るためには、適量を守り、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。加えて、製造過程において、ブドウの種子が燃焼燃料に直接触れるような製法の場合、多環芳香族炭化水素(PAHs)といった有害物質が微量に混入する可能性も指摘されています。製品を選ぶ際には、製造方法や品質管理体制などを確認することが望ましいでしょう。

グレープシードオイルの賢い選び方とポイント

グレープシードオイルは様々な用途で使えますが、だからこそ選ぶのが難しいと感じる方もいるでしょう。ここでは、あなたにぴったりのグレープシードオイルを見つけるために、ぜひ確認しておきたい5つの重要なポイントを詳しく解説します。

製法をチェック!風味と栄養価に大きく影響

グレープシードオイルの風味や栄養価は、製造方法によって大きく左右されます。主な製法には、低温圧搾法、高温圧搾法、そして化学抽出法があります。それぞれに異なる特徴があるため、重視するポイントに合わせて最適な製法で作られたオイルを選びましょう。

風味と栄養を求めるなら低温圧搾法(コールドプレス)

グレープシードオイル本来のフレッシュな風味や、豊富な栄養成分を最大限に活かしたいなら、低温圧搾法がおすすめです。別名「コールドプレス製法」とも呼ばれ、熱を加えず、30℃以下の低温でじっくりと油を搾り出す伝統的な製法です。低温で丁寧に抽出することで、熱による風味の劣化や、ビタミンEなど熱に弱い栄養素の損失を最小限に抑えられます。その結果、ぶどうの種が持つ繊細な風味と、健康に良いとされる成分がしっかりとオイルに残ります。低温圧搾法は時間と手間がかかるため、一般的に価格は高めですが、栄養価を特に重視する方や、オイルのピュアな風味を堪能したい方には最適な選択肢となるでしょう。

手軽さと価格で選ぶなら高温圧搾法・化学抽出法

グレープシードオイルを普段使いしたい、あるいはコストパフォーマンスを重視するなら、高温圧搾法や化学抽出法(溶剤抽出法)で製造された製品がおすすめです。高温圧搾法は、圧力をかける際に発生する摩擦熱を利用して油を抽出する製法で、現在流通しているグレープシードオイルの多くはこの方法で作られています。熱によって風味や一部の栄養成分が損なわれる可能性はありますが、一度に大量の油を効率的に抽出できるというメリットがあります。そのため、低温圧搾法よりも手頃な価格で提供されており、初めてグレープシードオイルを試す方や、日常的に惜しみなく使いたい方にとって魅力的な選択肢です。一方、化学抽出法(溶剤抽出法)は、溶剤を使って油を抽出する方法で、非常に高い効率で油を回収できるのが特徴です。さらに安価な製品が多い傾向にありますが、加工過程でトランス脂肪酸が生成される可能性も指摘されています。原材料の純粋さや風味にこだわるなら、より自然な製法である低温圧搾法を検討しましょう。予算や用途に応じて、これらの製法を比較し、あなたのライフスタイルに合ったグレープシードオイルを選んでください。

味にこだわりたいなら産地にも目を向けよう

グレープシードオイルは、原料となるぶどうの産地によってその風味が左右されます。特に、味にこだわりたい方は、オイルの生産地をチェックすることをおすすめします。グレープシードオイルの主要な生産地は、ぶどう栽培が盛んなヨーロッパや南米です。中でも、フランス、イタリア、チリ、スペインなどの国々は、グレープシードオイル初心者にもおすすめです。これらの地域は、良質なワインの産地としても知られており、ワイン製造に使用されるぶどうの種を速やかに搾油するため、新鮮で高品質なオイルが生産される傾向があります。最近では、日本産のぶどうを使用したグレープシードオイルも登場し、国産ならではの繊細な風味を楽しむことができます。ぶどうの栽培地の気候や土壌によってオイルの風味は変化するため、お好みの産地を選ぶのはもちろん、様々な産地の製品を試して、自分にとって最高の味わいを見つけてみましょう。

ナチュラル志向の方には、自然の恵みを活かしたオーガニック製品がおすすめ

食の安全性や原材料に特にこだわりたい方、小さなお子様がいるご家庭には、オーガニック認証を受けたグレープシードオイルをおすすめします。オーガニックのグレープシードオイルは、農薬や化学肥料を一切使用せず、有機栽培で育てられたぶどうの種子から搾油されたオイルです。化学物質の残留を気にすることなく、より自然な状態で生産されたオイルを使用できるため、安心感があります。

ただし、オーガニックのグレープシードオイルは一般的な製品に比べて流通量が少なく、特に日本国内で販売されているものはまだ限られています。オーガニック製品に関心がある場合は、海外製のグレープシードオイルも検討してみましょう。海外ではオーガニックへの関心が高いため、多種多様なオーガニックグレープシードオイルが見つかる可能性があります。購入の際は、信頼できるオーガニック認証マークが付いているかを確認し、品質が確かなものを選びましょう。

使いやすさと品質維持を考慮した容器選びが重要

グレープシードオイルを新鮮な状態で長く使用するためには、容器選びが非常に大切です。植物油は、開封すると時間経過とともに空気や光の影響で酸化が進みやすいため、品質を保持できる容器を選ぶことが重要です。適切な容器を選ぶことで、オイルの鮮度を保ち、風味の変化を最小限に抑えることができます。

酸化を防ぎ、フレッシュな風味を保つならガラス製または缶製が最適

グレープシードオイルのフレッシュな風味を長く保ち、酸化による品質劣化を防止したい場合は、ガラス製または缶製の容器を選びましょう。ガラス製のボトルは気密性が高く、外部からの空気の侵入を効果的に防ぐため、油の酸化を遅らせる効果があります。また、化学物質が溶け出す心配がなく、安心して使える点も魅力です。一方、缶製の容器は海外製品によく見られますが、光や空気を完全に遮断できるため、賞味期限内であれば、いつでも搾りたてに近いフレッシュな味わいを堪能できるというメリットがあります。ただし、これらの容器はプラスチック製に比べて製造コストがかかるため、製品価格も高くなる傾向があります。プラスチック容器は比較的安価ですが、通気性が高いため、未開封でも酸化が進む可能性があることに注意が必要です。長期的な保存性とオイルの鮮度を重視するなら、多少コストがかかってもガラス製または缶製の製品を選ぶことをおすすめします。

光による劣化から守るため遮光性容器を選びましょう

特に、オイルを頻繁に使用しない場合や、容量の大きいサイズを購入する際には、遮光性のある容器を選ぶことが非常に大切です。ぶどうのオイルは、太陽光はもちろん、室内の照明によっても酸化が進みやすいという繊細な性質を持っています。したがって、購入後は冷暗所で保管することが基本ですが、容器そのものに遮光性があるものを選ぶことで、酸化のリスクをより効果的に抑制できます。もし、購入したぶどうのオイルの容器に遮光性がない場合は、遮光瓶に移し替えたり、容器全体をアルミホイルで覆うなどして、光を遮断する工夫をすると良いでしょう。使用頻度が低い方や、一人暮らしで使い切るまでに時間がかかる方は、オイルの品質を長く保つために、積極的に遮光対策を検討することをおすすめします。

細い注ぎ口は使いやすさと酸化防止に貢献

ぶどうのオイルを日々の料理で快適に使うためには、注ぎ口が細い容器を選ぶのがおすすめです。細い注ぎ口は、オイルを少しずつ、的確に注ぐことができるため、ドレッシングや隠し味として使用する際に、量の微調整が非常に容易になります。さらに、液だれを防ぎ、容器の周りがべたつくのを防ぐ効果も期待できます。また、オイルを注ぎやすくする「ポアラー」と呼ばれる道具が付属している商品であれば、使用時にオイルが空気に触れる面積や時間を最小限に抑えることができるため、酸化を抑制することにもつながります。その結果、開封後もオイルの鮮度と風味をより長く保つことができます。調味料やドレッシングとして細かく量を調整したい方には、特にこのタイプの注ぎ口が適していると言えるでしょう。

多くの国内メーカーが販売しているぶどうのオイルは、注ぎやすさを考慮した設計がされている商品がほとんどです。しかし、注ぎ口の形状によっては使い勝手が悪いと感じる場合もありますが、ポアラーを後から取り付けることも可能です。オイルの鮮度を長く保ちたい方や、毎日の料理でストレスなく使いたい方は、容器の注ぎ口の形状や、ポアラーの有無も考慮して選ぶことをおすすめします。

料理でのぶどうのオイルの活用方法

穏やかでクセのない風味を持つぶどうのオイルは、発煙点が216℃と比較的高いため、炒め物、揚げ物、オーブン料理、さらにはサラダやマリネなど、多様な料理に幅広く活用できます。油特有の香りがほとんどなく、素材本来の風味を活かすことができるため、繊細な味わいの料理にも最適です。揚げ物に使用すると、食材が油っぽくならず、少量でもカリッと軽やかに仕上がるため、唐揚げや天ぷら、フライなどに特に適しています。肉や魚、卵料理との相性も抜群で、工夫次第で様々なレシピに応用可能です。また、透明感のある色合いとあっさりとした味わいから、ドレッシングやマリネのベースとしてそのまま使用するだけでなく、ハーブやスパイスを加えたフレーバーオイルのベースとしても適しています。パンやケーキなどの製菓では、バターの代わりに使うことで、さっぱりとした軽い食感に仕上げることができます。ポテトチップスなどのスナック菓子にも広く使用されており、同じくヨーロッパブドウを原料とするワインの風味を長持ちさせるために噴霧されることもあります。

ただし、ぶどうのオイルは多価不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるため、過度に高い温度で長時間加熱すると、酸素と反応して過酸化脂質の生成が促進される可能性があります。したがって、特に揚げ物などの加熱調理に使用する際は、温度を上げすぎないように注意し、適切な温度で調理することを心がけることが、オイルの品質と健康を維持する上で重要です。日々の食卓にぶどうのオイルを積極的に取り入れ、その様々な魅力をぜひ体験してみてください。

オイルの保存と使い勝手を高めるヒント

グレープシードオイルを常にフレッシュな状態で使い続け、毎日の料理をさらに快適にするためには、適切な保存方法と容器の選択が非常に大切です。特に、オイルをすぐに使い切れない場合や、容量の大きいものを購入した際には、光や空気による品質劣化を防ぐ工夫が、品質を保つ上で重要になります。もし購入したグレープシードオイルの容器に遮光性が備わっていない場合は、遮光瓶に移し替えるか、ボトル全体をアルミホイルで丁寧に覆うなどして、光を遮断する工夫を凝らしましょう。開封後は、できる限り空気に触れさせないようにしっかりと蓋を閉め、冷蔵庫での保管も検討することで、より長く新鮮な状態を維持できます。さらに、使いやすさを向上させるためには、注ぎ口が細く設計された容器や、オイル専用のボトルへの詰め替えもおすすめです。洗練されたデザインのオイルボトルは、キッチンにスタイリッシュな印象を与えるだけでなく、オイルを少量ずつ、思い通りに注ぐことができるため、ドレッシングや隠し味として使用する際に、量の微調整が容易になります。液だれを防止し、容器の周りが油でベタつくのを防ぐ効果も期待できますので、以下でご紹介するオイルボトルもぜひチェックして、ご自身のライフスタイルに合わせた最適な一本とその活用方法を見つけてみてください。

まとめ

グレープシードオイルは、その風味のなさから、料理をはじめ美容や健康の維持にも多岐にわたり活用できる、非常に優れたオイルです。製造方法や原産地、容器の種類、注ぎ口の形状といった、様々な選択のポイントを把握することで、ご自身のライフスタイルや目的に最適な一本を見つけ出すことができるでしょう。とりわけ、必須脂肪酸やビタミンEが豊富に含まれているため、バランスの取れた食生活に取り入れることで、健康的な毎日をサポートしてくれるはずです。今回ご紹介した選び方のコツや人気ランキングを参考に、ぜひお気に入りのグレープシードオイルを見つけ、日々の生活に取り入れてみてください。

グレープシードオイルはどのような料理に向いていますか?

グレープシードオイルは、そのクセのない味わいから、日本の料理、西洋料理、中華料理と、あらゆるジャンルの料理にマッチします。特に、素材本来の味を大切にしたいドレッシングやマリネ、カルパッチョなどの生食に最適です。また、加熱しても風味が損なわれないため、炒め物や揚げ物、アヒージョといった料理にも適しています。お菓子作りの場面でも、バターの代替品として使用することで、より軽やかな仕上がりを実現できます。

グレープシードオイルは美容目的でも使用できますか?

はい、グレープシードオイルは美容目的でも広く活用されています。その軽やかな質感は肌によく馴染み、ベタつきが少ない点が特徴です。マッサージオイルとしての使用はもちろんのこと、クレンジングオイルとしてメイクを落としたり、ボディオイルやヘアオイルとして保湿ケアに役立てたりすることも可能です。ビタミンEを豊富に含んでいるため、肌の健康を保つ効果も期待されています。

グレープシードオイルの保管方法について

グレープシードオイルは、光や空気に触れることで酸化が進み、品質が劣化しやすいため、適切な保管方法が非常に重要です。基本的には、直射日光を避け、蛍光灯などの光も当たらない、涼しくて暗い場所で保管してください。開封後は、空気に触れないようにしっかりと蓋を閉め、冷蔵庫での保管もおすすめです。遮光性のあるガラス瓶や缶に入った製品を選ぶか、透明な容器の場合はアルミホイルで包むなど工夫することで、より長く品質を維持できます。

グレープシードオイルとコレステロールの関係

グレープシードオイルは植物性のオイルであり、コレステロールは一切含まれていません。一般的に植物油にはコレステロールは含まれていません。体内で生成可能な脂肪酸や、必須脂肪酸であるオメガ6のリノール酸が豊富に含まれています。健康的な食生活を心がけている方や、コレステロールを気にされている方でも、安心して利用できるオイルです。

グレープシードオイル