ぶどうの黒とう病とは?症状・原因から対策・予防法まで徹底解説

せっかく育てたぶどうに黒い斑点が…それは、収量や品質に大きな影響を及ぼす「黒とう病」かもしれません。本記事では、黒とう病の具体的な症状や原因、発症時の対処法、そして最も重要な予防策を網羅的に解説します。大切なぶどうを病気から守り、美味しい実りを手にするための知識を身につけましょう。

ぶどうの黒とう病とは?症状と発生時期について

ぶどうの黒とう病は、主にぶどうの葉や果実に発生する、カビが原因の病害です。初期症状としては、葉、新梢、果粒、果梗などに黒色の小さな斑点が多数現れることが特徴です。これらの斑点は徐々に拡大し、大きさを増していきます。病斑が進行すると、中央部が白っぽく変色し、その周囲がオレンジ色や黒色に変色し、病斑がくぼんだような状態になるのが典型的な症状です。このくぼんだ病斑はぶどうの生育に悪影響を及ぼし、特に果実の品質や収穫量に直接的な被害をもたらします。黒とう病の病原菌はエルシノエ・アンペリナという種類のカビであり、特定の季節に活発に繁殖する傾向があります。具体的には、春から梅雨にかけての4月から7月にかけて多く発生し、気温が高くなる盛夏期には活動が落ち着く傾向が見られます。しかし、9月に入り秋雨前線の影響を受ける時期から再び発生し始め、10月の下旬頃まで病勢が続くことがあります。このように、年間を通して湿度が高い時期や降雨が多い時期に特に注意が必要な病気であり、これらの発生時期を把握しておくことが、効果的な防除対策を講じる上で重要となります。

ぶどうの黒とう病が発生する原因:カビ菌と環境

ぶどうの黒とう病は、「エルシノエ・アンペリナ」という学名で知られる特定のカビが繁殖することで引き起こされます。このカビは湿った環境を好み、繁殖には水分と高い湿度が必要不可欠です。したがって、長期間にわたって降雨が続いたり、ぶどうの木の風通しが悪く、常に湿度が高い状態が維持されるような環境下では、カビが活発に繁殖し、黒とう病が発生しやすくなります。特に注意すべきは、雨水による泥はねです。土壌中には黒とう病の病原菌が存在している可能性があり、雨が降って泥が跳ね上がることで、土中の病原菌がぶどうの葉や枝、果実に付着し、感染が広がるケースが多く見られます。また、木の内部が密集していて空気が停滞しやすい場所や、日当たりが悪い場所も湿度が高くなりがちで、病原菌にとって繁殖に適した環境となります。前年に病気に罹った葉や枝などが畑に残っている場合も、そこから病原菌が越冬し、翌春に新たな感染源となるリスクが高まります。これらの環境要因を把握し、適切に管理することが、黒とう病の発生を抑制するための重要なステップとなります。

黒とう病の対策:早期発見からの対処、予防と栽培環境の改善

ぶどうの黒とう病対策には、早期発見と迅速な対処、そして日頃からの継続的な予防対策が欠かせません。これらの対策は、健全な生育と安定した収穫を実現するために非常に重要です。もし、ぶどうの果実や葉、新梢などに黒色の斑点を見つけた場合は、病気が拡大する前に速やかに罹患部分を取り除くことが大切です。切り取った葉や果実は、畑に放置せずに、ゴミ袋に入れて自治体のルールに従って処分するか、焼却処分しましょう。これは、罹患した部分をそのままにしておくと、そこから病原菌が繁殖し、他の健康な株へも被害が広がる可能性があるためです。罹患部分を取り除いた後や、病害の拡大を防ぐために、適切な薬剤を散布することも効果的な対処法の一つです。

マルチングによる泥はね対策

マルチングは、土の表面にビニールシートなどを敷き、雨が降った際に土が跳ね返って土中の病原菌がぶどうの葉や果実に付着するのを防ぎます。泥はね防止だけでなく、雑草の発生を抑制したり、土壌の乾燥を防いだりする効果もあります。

感染源の除去

傷んだり病気にかかっている葉や枝は、黒とう病の感染源となるため、見つけ次第速やかに切除し、適切に処分することが重要です。

剪定による風通し改善

カビ菌は湿潤で風通しの悪い環境を好むため、ぶどうの木全体の通気性を良くすることが予防の鍵となります。枝や葉が密集している場合は、適切な剪定を行い、木の内部に光が差し込み、風が通る空間を作りましょう。

排水性の良い土壌づくり

土壌の排水性が悪いとカビ菌が繁殖しやすくなるため、堆肥などで土壌構造を改善し、根が健康に育つ水はけの良い土壌づくりを心がけましょう。

発芽前の予防散布

薬剤の使用は、病気の発生前、特に発芽前に行うと効果的です。計画的な予防散布を早めに行うことで、病害の発生を抑制することが期待できます。

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まとめ

ぶどう栽培において黒とう病は、葉や果実に深刻な被害を与え、収穫量や品質を低下させるやっかいな病気です。特に人気のシャインマスカットをはじめとするヨーロッパ品種や交配品種は感染しやすいため、普段からの注意深い観察と適切な対策が欠かせません。黒とう病の主な原因は、エルシノエ・アンペリナというカビであり、湿度が高い環境や泥はね、風通しの悪さが病気の発生を促進します。この病気を防ぐには、感染部分の早期発見と除去、発芽前の薬剤散布、マルチングによる泥はね対策、傷んだ枝葉の剪定、適切な剪定による風通しの確保、そして水はけの良い土壌づくりといった、多角的な予防策が有効です。症状の見られる果実は食べることができないため、健康なぶどうを育てるためには、これらの対策を継続して行い、黒とう病のリスクを最小限に抑えることが重要です。本記事で説明した症状、原因、対策、注意点を参考に、ご自身のぶどうを健康に育て、豊かな実りを楽しみましょう。

ぶどうの黒とう病はどのような初期症状が現れますか?

ぶどうの黒とう病の初期症状は、葉、新梢、果粒、果梗などに現れる、黒色の小さな斑点です。これらの斑点は徐々に大きくなり、中心部が白っぽく、周囲がオレンジ色や黒色に変色し、凹んだような形になるのが特徴です。特に新梢や葉の裏側など、見えにくい場所に発生することもあるため、こまめな観察が大切です。

黒とう病が特に発生しやすい時期はいつですか?

黒とう病の病原菌は、春から梅雨の時期にあたる4月から7月にかけて最も活発になります。夏場の暑い時期には活動が一時的に鈍りますが、9月に入り秋雨の影響を受ける頃から再び発生し始め、10月下旬頃まで症状が続くことがあります。湿度が高く、雨が多い時期は特に注意が必要です。

黒とう病に侵されたぶどうは口にしても大丈夫?

黒とう病は、カビの一種が原因で発生する植物の病気です。したがって、黒とう病の症状が見られるぶどうは、摂取を避けるべきでしょう。外観が損なわれるだけでなく、健康に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。病変が見つかったぶどうは、ためらわずに取り除き、食用には使用しないようにしてください。

シャインマスカットは黒とう病になりやすい?

その通りです。シャインマスカットは、残念ながら黒とう病にかかりやすいぶどうの品種として知られています。一般的に、ヨーロッパ原産の品種や、それらと交配された品種は黒とう病に対する抵抗力が低い傾向があり、シャインマスカットもその例に当てはまります。山梨県峡東地域では、シャインマスカットの果房に黒い点が目立つ被害が報告されており、その影響の大きさが伺えます。シャインマスカットを栽培する際には、他の品種以上に、予防対策をしっかりと行い、早期発見と適切な対応を心がけることが不可欠です。

黒とう病を予防するために最も有効な対策は?

黒とう病の効果的な予防には、いくつかの対策を組み合わせることが重要です。特に、雨水などによる泥はねを防ぐためのマルチの使用、風通しを良くするための適切な剪定、そして水はけの良い土壌環境を整えるといった、栽培環境の改善が非常に重要です。さらに、ぶどうの芽が出る前に予防として薬剤を散布することで、病気の発生を効果的に抑制できます。黒とう病に感染した枝や葉は、速やかに取り除き、感染源を減らすことも忘れてはなりません。

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