山梨で味わう、多様なぶどうの種類:旬の味覚とワインの故郷
太陽の恵みをたっぷり浴びた、みずみずしいぶどう。山梨県は、日本一のぶどう生産量を誇り、多種多様な品種が栽培されています。甘く濃厚な巨峰、芳醇な香りのマスカット、そしてワインの原料となる個性豊かなぶどうまで、旬の時期には各地でぶどう狩りも楽しめます。この記事では、山梨で味わえる様々なぶどうの種類と、その背景にあるワイン文化をご紹介します。旬の味覚を堪能し、ワインの故郷を巡る旅へ出かけましょう。

山梨県は日本一のぶどう王国

日本におけるぶどうの生産地として名高い山梨県。その収穫量は全国の4分の1以上を占め、まさに日本一のぶどう王国と言えるでしょう。甲府市、山梨市、甲州市(塩山・勝沼町)、笛吹市(石和町・一宮町)などが主な産地として知られ、これらの地域では、ぶどう狩りの体験も可能です。さらに、山梨県は国内No.1のワイン生産量を誇り、そのシェアは約50%。日本を代表するワインの名醸地としてもその名を知られています。

ぶどう栽培に適した山梨県の気候

山梨県は、周囲を山々に囲まれた内陸性気候が特徴で、昼夜の気温差が大きいことが、おいしいぶどうを育む上で重要な要素となります。かつて「甲斐の国」と呼ばれた山梨県は、その名の通り山間の地形がぶどう栽培に最適な環境を作り出しています。日中は太陽の光をたっぷりと浴びて光合成を行い、夜間の冷え込みによって糖分を蓄えることで、甘くて美味しいぶどうが育つのです。

美味しいぶどうの見分け方

美味しいぶどうを選ぶには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まず、果枝が緑色で太く、実の粒が均一に揃っているものを選びましょう。新鮮なぶどうの表面には、ブルームと呼ばれる白い粉状のものが付着しています。これは果粉とも呼ばれ、ぶどうの鮮度を保つための自然な保護膜の役割を果たしています。また、ぶどうは上部から下部にかけて甘みが強くなる傾向があるため、試食する際は一番下の粒を味わうのがおすすめです。一般的に、肩の部分の粒が最も甘いと言われています。

主要なぶどう品種と特徴

山梨県では、実に多様な種類のぶどうが栽培されており、それぞれの品種が独自の風味と特徴を持っています。ここでは、山梨県を代表する主要なぶどう品種について詳しくご紹介します。収穫時期を目安に、それぞれの旬の味わいをぜひお楽しみください。

デラウェア

デラウェアは、アメリカ合衆国オハイオ州で生まれた由緒ある品種です。その特徴は、小ぶりながらも洗練された甘みと、種がないため手軽に食べられる点にあります。そのため、お子様からご年配の方まで、幅広い層に愛されています。収穫時期が非常に早く、7月中旬頃から店頭に並び始めます。特に美味しくいただける旬な時期は、7月下旬から8月中旬頃です。

キングデラ

キングデラは、レッドパールとマスカット・オブ・アレキサンドリアという二つの品種を掛け合わせて誕生しました。その見た目は、デラウェアを大きくしたように見えますが、実は全く異なる品種であり、味わいも大きく異なります。種がなく、デラウェアよりも大粒なので、食べた時の満足感が高いのが魅力です。旬の時期は、8月上旬から8月中旬頃と、短い期間に集中しています。

巨峰

巨峰は、その名の通り、大きな粒と濃い黒色が印象的なぶどうです。栽培方法には種ありと種なしがあり、房の大きさも様々です。芳醇な香りとたっぷりの果汁が特徴で、非常に人気のある品種です。美味しく食べられる時期は長く、8月上旬から9月下旬頃まで楽しめます。濃厚な甘さと、それを引き締める程よい酸味が絶妙なバランスで、ぶどう狩りでも常に人気の的です。

甲斐のくろまる

甲斐のくろまるは、山梨県が独自に開発したオリジナルの品種です。ピオーネと山梨46号(巨峰と巨峰の交配種)を掛け合わせて育成され、2013年に品種登録されました。大粒で、色の濃い黒色と丸みを帯びた形状が特徴です。酸味が少ないため、非常に食べやすいと評判です。旬は8月上旬から8月中旬と短いですが、その美味しさは格別です。また、アントシアニンを豊富に含んでいるため、目の疲れを和らげる効果も期待できる、嬉しいぶどうです。

甲斐キング

甲斐キングは、山梨県で生まれた独自の品種で、ピオーネと山梨46号(巨峰同士の交配種)を掛け合わせて育成されました。2018年に品種登録されています。一粒あたり平均20gと大粒で、紫黒色の果皮を持ち、果汁が非常に濃く、味が良いのが特徴です。旬の時期は、8月中旬から10月上旬頃です。

ピオーネ

ピオーネは、そのほとんどが種なしで栽培されており、巨峰よりも果粒が一回り大きく、食べ応えがあります。果皮は濃い紫黒色をしていますが、果肉はみずみずしい淡い緑色をしており、濃厚な味わいが魅力です。食べ頃は8月中旬から9月下旬頃。適度な酸味と果肉の弾力が、最後まで飽きさせない美味しさの秘密です。

サンシャインレッド

サンシャインレッドは、山梨県が開発したオリジナルの品種で、サニードルチェとシャインマスカットを交配して誕生しました。2022年に品種登録されたばかりの新しい品種です。シャインマスカットの血を引くマスカット香が特徴で、糖度が高く、皮ごと食べられる手軽さと美味しさが魅力です。旬は8月中旬から10月上旬頃です。

シャインマスカット

シャインマスカットは、酸味が少なく、パリッとした皮ごと食べられるのが人気の理由で、近年特に注目されているぶどうです。見た目は美しい黄緑色で、芳醇なマスカットの香りを漂わせます。大粒で種がなく、強い甘みが特徴です。食べ頃は8月下旬から9月下旬頃。シャインマスカットは、まさに新時代のフルーツとして、その地位を確立しています。

クイーンニーナ

クイーンニーナは、目を引く鮮やかな赤色が美しい、種なし大粒ぶどうです。際立った特徴は、その高い糖度。一口食べると、しっかりとした果肉からたっぷりの果汁が溢れ出します。シャインマスカットを思わせる食感で、酸味が少ないため、非常に美味しく味わえます。旬の時期は8月下旬から9月中旬です。

甲斐路(かいじ)

甲斐路は、山梨県の育種家である植原氏によって生み出された品種です。その名の通り、山梨県を代表する晩生種として知られています。種ありで、非常に高い糖度を誇り、マスカットのような芳醇な香りを放ちます。赤く色づいた美しい果房も魅力です。独特なフォルムの大粒ぶどうで、薄い果皮と豊富な果汁が特徴。食べ頃は9月上旬から10月中旬頃。別名「赤いマスカット」とも呼ばれています。

甲州(こうしゅう)

甲州は、1300年もの歴史を持つ日本原産の品種と言われています。その起源は源平時代にまで遡り、1180年代に山梨県勝沼の地で発見された、日本最古の栽培品種です。生食用としてもワイン用としても利用されていますが、種周りの酸味が強いため、地元では種ごと飲み込むのが通な食べ方とされています。果汁が非常に多く、山梨の露地ぶどうシーズンの最後を飾る品種です。甲州ぶどうで作られた銘菓「月の雫」は、昔から親しまれています。食べ頃は9月中旬から10月下旬です。

その他の品種

山梨県では、上記以外にも多種多様なぶどうが栽培されています。例えば、ブラックビート、サニールージュ、クイーンセブン、リザマート、アジロン、藤稔、ゴールドフィンガー、ロザリオビアンコ、サンヴェルデ、ネオマスカット、安芸クイーン、オリエンタルスター、紅富士、翠峰、ベリーA、ゴルビー、コトピー、ピッテロビアンコ、ウィンク、シナノスマイル、モルゲンシェーン、バラディなど、枚挙にいとまがありません。これらの品種はそれぞれ独自の風味や食感を持っており、様々な味わい方をお楽しみいただけます。

ぶどうと相性の良い食べ物

ワインのお供として知られるチーズですが、実は生で食べるぶどうもチーズと非常に良く合います。例えば、クリーミーでマイルドなチーズと合わせれば、手軽でおしゃれなデザートやおつまみとして楽しむことができます。また、意外な組み合わせとして、ぶどうは鶏肉料理にも最適です。サラダに鶏肉とぶどうを加えて和えれば、ぶどうの甘酸っぱさがアクセントとなり、料理全体の味を引き締めます。

ぶどう狩りを楽しむ

山梨県には、ぶどう狩りができる観光農園がたくさんあります。自分で摘み取ったばかりの新鮮なぶどうを味わえるのは、ぶどう狩りならではの醍醐味です。農園によって栽培しているぶどうの種類や料金システムが異なりますので、事前に情報を確認してから訪れることをおすすめします。また、お土産として購入したい場合は、地方発送に対応している農園を選ぶと便利です。

結び

山梨県は、多種多様なぶどうが栽培されており、それぞれの品種が個性豊かな風味を持っています。旬の時期に様々なぶどうを味わい、その美味しさを堪能してください。さらに、ぶどう狩りやワイナリー巡りなど、山梨県ならではの楽しみ方もおすすめです。この記事を参考に、山梨県のぶどうについてより深く知り、その魅力を存分に味わってみてください。

質問1:山梨県でぶどう狩りが楽しめる期間は?

回答1:山梨県でぶどう狩りができる時期は、ぶどうの品種によって多少異なりますが、一般的には8月上旬頃から10月下旬頃までがシーズンです。早い時期に収穫できる品種は8月上旬から、遅い時期に収穫できる品種は10月下旬まで楽しめます。

質問2:シャインマスカットがこれほどまでに愛される理由は何ですか?

回答2:シャインマスカットの人気の秘密は、種なしで皮ごと食べられる手軽さにあります。加えて、マスカットならではの華やかな香りと際立つ甘さが、多くの人々を魅了しています。これらの特徴が合わさることで、シャインマスカットは不動の人気品種としての地位を確立しています。

質問3:最高のぶどうを見分けるための秘訣はありますか?

回答3:美味しいぶどうを選ぶ際のポイントは、まず果皮を覆うブルーム(白い粉)の有無を確認することです。ブルームは新鮮さの証です。また、粒が均一に並び、ハリのあるものを選びましょう。さらに、軸が鮮やかな緑色で太いものは、収穫からの時間が短いことを示しています。もし試食が可能であれば、房の下側の粒を試してみるのがおすすめです。なぜなら、房の下側が最も甘くなると言われているからです。
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