近年、グルテンフリーの食生活が注目を集めています。グルテンとは小麦、ライ麦、オーツ麦に含まれるタンパク質のことで、パン、パスタ、菓子などの食品に広く使われています。しかし、一部の人々にとってグルテンは深刻な健康問題を引き起こす原因となります。そこで、グルテンと小麦についての理解を深め、健康的な食生活を送るための知識を身につけることが重要です。
そもそもグルテンとは
グルテンとは、小麦や大麦などの穀物に含まれる粘り気のあるたんぱく質のことです。このグルテンが、パンやパスタ、うどんなどの弾力性や食感を生み出す重要な役割を担っています。グルテンには生地をねばり強く仕上げる働きがあり、製品の品質向上に欠かせない存在となっているのです。
しかしながら、近年グルテンが体に悪影響を及ぼすことが指摘されるようになりました。グルテン過敏症と呼ばれる病気では、グルテン摂取によって小腸が損傷を受け、下痢や腹痛、貧血など多岐にわたる症状が現れるのです。
また、セリアック病ではないものの、グルテンに過剰に反応してしまう「グルテン過敏性」の問題も見過ごせません。この場合も同様に、消化器系の不調を引き起こしてしまいます。健康維持のためには、個人の体質に合わせてグルテン摂取量を調整することが肝心だと言えるでしょう。
グルテンフリーとは?
グルテンを含まない食品のみを摂取するグルテンフリー。この食生活は、もともと小麦などに含まれるタンパク質グルテンに過剰な免疫反応を示すセリアック病患者の食事療法として、欧米を中心に発達してきました。セリアック病は遺伝的な要因によって発症することがありますが、グルテンの蓄積も一因となります。
近年、有名スポーツ選手や芸能人がグルテンフリーを実践したことで、健康志向の人々の間で大きな注目を集めるようになりました。結果的にグルテンフリーは、単なる病気対策を超えた健康的な食生活スタイルとして、世界中に広く浸透することとなったのです。
一方で、グルテンフリー食品には必ずしも高い栄養価が備わっているわけではありません。バランスの良い食事を心がけることが重要視されています。代替食品としては、米、雑穀、とうもろこし、ひえ、そば、アーモンドなどがあり、食品メーカーやレストランも需要に応えるグルテンフリー商品の開発や提供に力を入れています。
グルテンフリーのメリット
グルテンフリーの食生活は、健康的な体型維持に役立つ可能性があります。グルテン含有食品は、しばしあまり栄養価の高くない菓子パンやスイーツなどで、油分や砂糖分が多く含まれています。このような過剰な脂質や糖分の摂取は、体重増加の原因となりがちです。さらに、グルテンには中毒性があるとされ、食べ過ぎてしまう衝動を招きます。一方、グルテンフリーの食事では、このような有害な影響を避けられます。カロリーの過剰摂取を抑え、適正な体重維持が期待できるでしょう。また、グルテンは血糖値を急上昇させる作用があり、それに伴う過剰なインスリン分泌により脂肪をため込む恐れがあります。グルテンを控えることで、この問題も軽減できます。健康的な体型を目指す上で、グルテンフリーは有用な選択肢といえます。
グルテンフリーのデメリット
グルテンフリーの食生活は、近年健康志向から注目を集めていますが、一方で様々なデメリットも存在しています。
グルテンフリー食品は一般的に高価格となる傾向にあります。グルテンを使用しない代替原料を用いる必要があるため、コストがかさむためです。また、グルテンフリー食品の中には栄養価が低いものもあり、適切な栄養管理が困難になる可能性があります。
さらに、セリアック病やグルテン過敏症以外の人がグルテンフリーを実践すると、かえって健康リスクが高まるおそれがあります。グルテンには体に良い働きもあり、不足すれば消化不良やビタミン欠乏症を引き起こすリスクがあるからです。
加えて、外食時にはグルテンフリーメニューの選択肢が限られてしまうため、食事の質が低下する可能性もあります。グルテンフリーの実践は食生活に大きな影響を及ぼすため、適切な理解と対策が不可欠となります。
グルテンフリー食品を見分けるポイント
グルテンフリーライフを始めるうえで、食品を適切に選ぶことが何よりも重要です。安全で健康的な食生活を送るために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1. 原材料表示とコンタミネーションをチェックする
小麦やライ麦、オーツ麦、大麦などグルテンを含む原材料が使用されていないか原材料表示を確認します。また、別の製品とのコンタミネーション(交差混入)がないかも確認が必要不可欠です。
2. グルテンフリー認証マークを見る
GFCOのグルテンフリー認証マークは、グルテン含有量が0.001%以下という厳しい基準をクリアした食品にのみ付与されます。このマークのある製品を選べば安心できます。
3. ノングルテン米粉認証マークをチェックする
日本では米粉に関して「ノングルテンJAS認証」があり、外部からの混入を防ぎグルテン含有量0.0001%以下の「ノングルテン米粉」を認証しています。ノングルテン米粉認証マークのある製品は、グルテンフリーの選択肢として適しています。上記の3点に気を付けながら、原材料表示や認証マークをよく確認することで、グルテンフリーの食生活を安全に実践できます。
まとめ
グルテン不耐症や celiac 病を持つ人にとって、グルテンフリーの食事は必須です。一方で、グルテンを含む食品を適度に摂取することで、良質なタンパク質や食物繊維を得ることができます。個人の体質に合わせて、グルテンの摂取量を調節することが肝心です。栄養バランスを考えながら、自分に合った食生活を見つけていきましょう。