ゲイシャ種

ゲイシャ種

ゲイシャ種

 

日本の伝統と美を一体化した繊細な存在、それが「ゲイシャ」ですが、一方で、「ゲイシャ種」と聞くと、何を指すでしょうか?わびさび文化とコーヒーブームが交錯する点ではないでしょうか。今回は、世界中で愛されるドリンク、コーヒーの中でも特に質の高さで知られる「ゲイシャ種」にスポットを当てます。この美味しさの秘密を紐解いていきましょう。

ゲイシャ種のコーヒーとは

コーヒーはアカネ科コフィア属の熱帯植物で、ビバレッジに加工されるために栽培されています。その主な種類としては、アラビカ種とカネフォラ種があり、特に前者は全生産量の約6割を占める人気の品種です。その優雅で繊細な風味は、グルメコーヒーとして広く認知されています。

アラビカ種が持つさまざまな特性の一つに、その中に多数の亜種が存在することがあります。その一つがゲイシャ種です。この種はアラビカ種の突然変異種で、原種に近い状態を保つ珍しいコーヒー豆です。

ゲイシャ種は、エチオピアに源を発します。もともとはエチオピアのゲシャという地域で自生していたことからゲシャ種と名付けられましたが、時間と共にゲイシャ種として広く知られるようになりました。なお、この種の名前が「ゲイシャ」となった理由については、日本人業者がその地名を聞き間違えたという説がある。

ゲイシャ種は病害虫に弱いという特性を持っており、その樹高は約4メートルとコーヒー豆の中でも特に大型です。その特性と低い収穫量からコーヒーの生産者にとっては難易度が高く、長らくこれらの理由から生産が敬遠されてきました。

 

ゲイシャ種の歴史とは

ゲイシャ種の誕生と彼らの旅は非常に興味深いものであり、その名前から受けるインスピレーションは日本の芸者文化と共鳴しています。だが実際には、ゲイシャという言葉に込められた意味は、婉曲にプロのエンターテイナーを指す一方、コーヒーの製造業界では一部のコーヒー品種の象徴ともなっています。そのルーツは遥かエチオピアの西部ゲシャ山地まで遡ることができます。

エチオピアの肥沃なコーヒーの風景から出てきたゲイシャ種は、1931年に英国の科学者に初めて記録され、その美味しさを世界に広めるためパナマの農場に移植されました。その独特な風味と香りが評価され、2004年のベストオブパナマコンテストで高評価を受けてから、ゲイシャ種は世界のコーヒーラバーやバリスタから特別視されるようになりました。

そのため、ゲイシャ種は希少性と質の高さから、「スペシャルティコーヒー」の代名詞とされ、今日では少数の農場でしか生産されていないエキゾチックな品種となりました。これは、品質を求め、その独自の風味を保持し続けることが、コーヒーの魅力を最大限に引き立てる重要な要素であることを示しています。

 

ゲイシャコーヒーの特長

その名前こそエチオピアの地名からつけられたゲイシャコーヒーですが、その実体はパナマで生まれ育った、まさに珠玉の一品。コーヒー好きにはたまらない立体的な香りと風味が大きな魅力となっています。

フレッシュで爽快な感じのあるゲイシャコーヒーの味わい。オレンジやグレープフルーツを彷彿させるシトラス系のフレーバーが引き立ち、それに甘さが加わることで、まるではちみつやチョコレートのようなイメージをかきたてます。その上品な味わいはワインにも匹敵し、飲み終わった後に口中に感じる繊細な余韻は、他の種類のコーヒーとは一線を画します。

話は変わりまして、ゲイシャコーヒーの香り。その高貴で魅惑的な香りはまるで香水のようで、フレッシュな花々の香りと混ざり合う甘い香りは、ジャスミンの香りやベルガモットの香りを思い起こさせます。カップに残った余韻は、まさに桜の後しぼりのように淡い印象を残します。

ところで、なぜ高額なのかという奈落の底から問いかけをされた方もいらっしゃることでしょう。それはゲイシャコーヒーが、一般的な豆と比較して栽培が複雑で収穫量が少ないため、その生産コストが高いからです。特に有名なエスメラルダ農園のゲイシャ種豆は、300ポンド/区画という高値で取引されています。そのため、ゲイシャコーヒーは一杯あたりのコストもそれなりとなります。

しかし、その価格を上回る価値を持つパナマのゲイシャコーヒー。その魅力を一度でも感じてしまえば、そのファンになること間違いありません。ぜひともその魅惑的な世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

 ゲイシャ種

ゲイシャコーヒーの美味しい淹れ方

まず、ゲイシャコーヒーの美味しさを堪能するには、豆の選択が大切です。新鮮で良質な豆は、華やかでブーケのような香りを持つのが特徴的です。焙煎具合は、ゲイシャコーヒー特有の魅力を味わうためには、シナモンローストからミディアムロースト程度の浅めが最適です。

次に、水ですが、コーヒーの香りと味わいを際立たせるためには、無臭で風味に影響を及ぼさないものが良いでしょう。また、抽出に利用する水の温度も重要で、75~85℃の微妙な熱さが推奨されます。

さらに、手作業のドリップ方式で淹れることが、ゲイシャコーヒーの魅力を引き出せます。ホットなお湯を適切に注ぎ豆全体をゆっくりと湿らせ、じっくりと淹れる時間を確保することが肝心です。

最後に、コーヒー豆の豊かな甘みを最大限に味わうためには、初めの一杯はブラックで試してみることをお勧めします。砂糖やミルクは後から追加しましょう。

これらの工程を経ることで、ゲイシャコーヒーの上品で洗練されたフレーバーと滑らかな口当たりを存分に堪能することができます。ここに築かれる一杯のコーヒーの物語を、是非ともご堪能ください。

まとめ

それぞれのフレーバープロファイルが異なるほか、育つ環境により独自の風味が生まれるゲイシャ種。軽やかな口当たりと複雑な果実味が魅力で、コーヒー愛好家から絶大な支持を受けています。コーヒーと和の良質な融合が、一杯の豊かな表現を紡いでいます。

ゲイシャ