2月の和菓子

寒さのピークを迎える2月、日本では季節に応じたさまざまな和菓子が人々の心と舌を楽しませてくれます。特にこの時期には、春の訪れを感じさせる梅や桜を模した美しい和菓子が登場し、冬の寒空から一瞬で春へと誘ってくれます。これらの和菓子は、その見た目の美しさだけでなく、職人の技術と自然の恵みが融合した究極の味わいも魅力です。今月は、特におすすめの2月ならではの和菓子を、季節感と共にお届けします。

二十四節気「立春」

この季節になると、「暦の上では今日は春の始まりです」といった言葉をよく耳にします。立春は二十四節気の最初の日で、毎年2月3日か4日頃に訪れ、春の始まりを告げます。

この日には、「立春大吉」と書かれた札を門や玄関に貼る習慣があります。これは、文字が左右対称であるため、入ってきた鬼が出口を見失い帰路につくという伝説から、魔除けや厄除けになると信じられています。禅寺では、立春の朝にこの札が貼られ、初心に戻った心で春を迎えます。

春といっても、まだまだ寒さが残る頃です。ただ、少しずつ暖かい日が増え、梅の花が咲き始めるなど、ところどころに春の訪れを感じられるでしょう。そのような時期に、和菓子は先駆けて季節の変化を取り入れた美味しさを楽しませてくれる文化です。色とりどりの和菓子を通じて、一足早い「春」を味わってみてはいかがでしょうか。

和菓子「立春大吉」「立春大福」「立春生菓子」

「立春」の前日は「節分」と呼ばれ、寒さの厳しい冬の大晦日にあたります。和菓子屋の店には、「豆」や「鬼」、「福(おかめ)」の形をした和菓子が並びます。これらを食べて邪気を払いつつ、福を呼び込むのは縁起が良いと言われています。

その後に訪れるのが「立春」です。暦の上での春の始まりを祝い、幸福を願っていただくお菓子があります。それが「立春大吉」、「立春大福」、「立春生菓子」です。

「立春」の朝には、多くの禅寺の門に「立春大吉」という厄除けのお札が貼られます。また、「立春大福」という名前で、この季節限定のお菓子を提供する和菓子屋もあります。「立春大吉」は、縁起の良いデザインや春を思わせる明るい色合いの菓子です。「立春大福」は、滋養豊かな素材を使った餅菓子が一般的です。

これらの「立春大吉」や「立春大福」は、予約して購入するのが通常ですが、予約ができない場合や遠くまで出かけられない場合でも心配はいりません。「立春生菓子」は、その日の朝に作られたもので、当日にいただけば十分です。春を感じる梅の形の菓子やうぐいす餅、桜餅を楽しんだり、お気に入りの大福を選んでも良いでしょう。近所の和菓子屋で購入し、春の訪れを祝いませんか?

京都の和菓子職人 鶴屋吉信

【 福ハ内(ふくはうち) 】明治37年(1904年)に生まれた「福ハ内」は、日露戦争の年としても知られています。このお菓子は、四代目の主人が「福は内、鬼は外…」と子供たちが豆まきをする様子を見て、晴れやかな印象をお菓子に表現しようと考え、作り上げました。福を呼び込むとされる大きな豆はお多福豆の形をしており、内側の白餡や卵黄で作られた桃山生地は、しっとりしているのにサクサクとした食感が楽しめます。また、美しい黄色も魅力の一つです。中に詰まった白餡の甘さは、特に風味豊かなコーヒーや紅茶と一緒に楽しむのがおすすめです。戦争という現実に直面しながらも、子供たちの晴れやかな姿を映した「福ハ内」。暖かな春の訪れを希望し、平和を願う心が込められているのではと想像します。久しく会っていない方への贈り物としても、この季節にぴったりの一品です。

京都の名店 京菓子司 亀屋良長

【立春大吉(りっしゅんだいきち)】毎年、「亀屋良長」さんの「立春大吉」を楽しみにしている方が多いことでしょう。愛らしいおたふくや梅の形をした和三盆、そして豆の形の「すはま」など、華やかで春を感じさせるお干菓子の詰め合わせが、見るだけで春の訪れを告げます。紅白のおたふくと梅の形をした和三盆は、ふんわりと雪のように口の中でとけていきます。山吹色や若草色の豆型、紅梅色の丸型のすはまは、しっとりとしつつも甘さと豆のやさしい香ばしさを味わえます。歴史あるお菓子ですが、豆の風味が豊かなのでコーヒーとの相性も抜群です。お干菓子の下に敷き詰められた米のポンを基にした金平糖は、サクサクとしていて、見た目のかわいらしさとともに主役級の存在感を放ちます。この小さな桐箱の中には、形や色、味が賑やかに詰まっており、春の贈り物にぴったりです。

東京 ItWokashi いとをかし

【 クリーム大福 】「立春大福」に新たな息吹をもたらすユニークな大福を試してみませんか。「ItWokashi」さんは、和菓子の驚きを多くの人に感じてもらいたいという想いで誕生しました。江戸時代から続く名門和菓子店の伝統と新しいアプローチを融合し、革新的な御菓子を作り出しています。胡麻とマンゴー、葡萄とラム、烏龍と杏仁、チョコレートと和山椒などの意外な素材の組み合わせで作られたクリーム大福は、和と洋の素材の枠を超えています。日々の研究から新しい味を生み出し、作りたての美味しさを瞬間冷凍で届けます。1時間ほど解凍すれば、柔らかく美味な大福を堪能できます。(夏は、凍ったままや半解凍でアイスのように楽しむのもおすすめです)シンプルで洗練された店舗とパッケージデザインも魅力です。

 

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