濃厚な風味とクリーミーな舌触りが魅力のピーナッツバター。朝食のトーストやパンケーキ、お菓子作りにも欠かせない存在ですが、実は美容と健康をサポートする万能食品としても注目されています。良質なタンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、少量でも満腹感が得られるため、ダイエットのサポートにも役立つと言われています。この記事では、ピーナッツバターが持つ驚くべき効果効能を詳しく解説。美容と健康を意識するあなたに、ピーナッツバターを賢く活用する方法をご紹介します。
ピーナッツバターとは
ピーナッツバターは、その主成分として9割以上がピーナッツで構成されています。製造過程では、乾燥させたピーナッツを加熱して水分を飛ばした後、細かく砕いてペースト状になるまで丁寧に練り上げます。そのため、製品によってはピーナッツの粒が残り、滑らかな舌触りと香ばしい食感のハーモニーが味わえるのが特徴です。
ピーナッツバターとピーナッツクリームの違い
一般的にスーパーマーケットで目にすることの多いピーナッツバターと似て非なるピーナッツクリームは、ピーナッツに砂糖やクリーム、バター、植物油などを加えて、より多くの人が好むように調整された食品です。ピーナッツクリームはその製法に厳格な基準がないため、水あめ、香料、酸味料、増粘多糖類など、多様な材料や食品添加物が用いられることが多く、甘くて美味しい味わいに仕上がっています。
ピーナッツバターはヴィーガン?
ピーナッツバターという名前から、乳製品の「バター」を連想し、ヴィーガンには不向きと思われがちです。しかし、この名称はピーナッツバターがパンに塗りやすい形状であることに由来します。実際には乳製品は一切使用しておらず、ピーナッツ本来の風味を活かした食品なのです。
ピーナッツの基礎知識
一般的にナッツとして親しまれているピーナッツですが、植物学的には豆の仲間です。英語では「peanuts(豆のナッツ)」と表現されるように、その実態は豆でありながら、ナッツのような性質も持ち合わせています。この一風変わった特徴は、栄養成分に由来します。豆類は炭水化物を豊富に含みますが、ピーナッツは脂質を多く含むため、アーモンドやカシューナッツといったナッツ類に近い栄養組成をしているのです。ピーナッツバターが、ピーナッツそのものの油分で滑らかなペースト状になるのは、そのためです。
ピーナッツは、豆類でありながらナッツのような栄養価を持つ、ユニークな食品です。豆とナッツ、それぞれの長所を兼ね備えており、両方の栄養素をバランス良く摂取できるという利点があります。
ピーナッツバターの魅力
アメリカで愛されるピーナッツバターは、その主原料に米国産のピーナッツを使用し、製品の9割をピーナッツで占める食品として広く親しまれています。人気は高く、アメリカのキャンディーバー売上トップ10のうち、約半数がピーナッツまたはピーナッツバターを使用した商品です。また、ピーナッツオイルは、世界中の料理人から高品質な調理油として評価されています。風味を損なわない無味無臭のオイルであり、煙点が高く、一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。さらに、ピーナッツはパウダー状でも利用されており、脱脂されたピーナッツパウダーは高タンパク質かつ低脂肪で、長期保存が可能です。スムージーや焼き菓子など、様々な食品に活用されています。スナック菓子としても人気が高く、アメリカではナッツ類スナックの売上の大半を占めています。
ピーナッツとピーナッツバターの魅力の一つは、日持ちが良いことです。常温でも数ヶ月保存でき、冷蔵保存すればさらに長持ちします。20世紀初頭、アラバマ州タスキーギ協会の研究者であったジョージ・ワシントン・カーヴァー博士は、300種類以上ものピーナッツの活用法を開発し、「ピーナッツの魔術師」「近代ピーナッツ産業の父」として知られています。ピーナッツの健康・栄養に関する情報は、ピーナッツ協会のウェブサイトで詳しく紹介されています。
ピーナッツバターの栄養価と健康効果
ピーナッツバターはその美味しさに加えて、豊富な栄養素を含み、健康的な食生活や体型維持をサポートする食品としても注目されています。タンパク質や脂質、食物繊維をはじめ、様々なビタミンやミネラルがバランス良く含まれており、コレステロールを含まない点も魅力です。
たんぱく質
ピーナッツバターは、その豊富なタンパク質含有量で知られています。具体的には、100グラムあたり約25グラムものタンパク質が含まれています。アメリカンピーナッツ協会によると、ピーナッツとピーナッツバターは優れたタンパク源であり、他のナッツ類と比較しても多く、一日に必要なタンパク質の約15%を、ピーナッツ1オンスまたはピーナッツバター大さじ2杯で摂取可能です(7g以上)。タンパク質は筋肉を構成する重要な要素であり、健康な体づくりには不可欠です。さらに、ピーナッツバターは必須アミノ酸のバランスも優れており、効率的な筋肉の生成を促進します。
脂質
ピーナッツバターは、エネルギー源となる脂質を豊富に含んでいます。その含有量は100gあたり約50g。植物性脂肪が中心なので、ヘルシーにおいしく摂取できます。特に不飽和脂肪酸が豊富で、心臓の健康維持に役立つと考えられています。ピーナッツバターの脂質の約半分を占めるのがオレイン酸。これは、善玉コレステロールを維持しながら悪玉コレステロールを減らす効果が期待され、血液の循環を良くし、生活習慣病の予防にもつながります。また、リノール酸は体内で生成できない必須脂肪酸であり、コレステロールや中性脂肪の値をコントロールする働きがあります。さらに、ピーナッツはGI値が低い食品であるため、ピーナッツバターを摂取しても血糖値が急激に上昇しにくいという特徴があります。そのため、体重増加や糖尿病のリスクを抑えることができると考えられています。ピーナッツに含まれる脂質の大部分は不飽和脂肪酸であり、コレステロールを下げる、炎症を抑えるといった効果が期待できます。これらの効果は、慢性的な疾患を予防することにも繋がります。
ビタミン類
ピーナッツバターは、健康維持に役立つ様々なビタミンを供給してくれる食品です。特にビタミンEは、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用を持ち、若々しさを保つサポートをします。ピーナッツバター100gあたり、およそ10mgのビタミンEが含まれています。また、ビタミンB群も豊富で、疲労回復や代謝を助けるビタミンB1、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンB2などが含まれています。さらに、ナイアシンも含まれており、皮膚の健康だけでなく、血行促進や肩こり、貧血の改善にも期待できます。アメリカンピーナッツ協会によると、ピーナッツバター1オンスで1日に必要なナイアシン量の約25%を摂取可能です。研究では、食事からのナイアシン摂取が、アルツハイマー病のリスクを減少させる可能性も示唆されています。ピーナッツバターに含まれるα-トコフェロールは、ビタミンEの一種で、活性酸素による細胞の酸化を抑制し、肌の老化を遅らせる効果が期待できます。ビタミンEは、フリーラジカルを安定化させ、体内のダメージを軽減する抗酸化物質として機能するだけでなく、免疫システムをサポートする役割も担っています。脂溶性ビタミンであるビタミンEは、体内の脂質の酸化を防ぎ、免疫細胞を活性化させることで、免疫力の維持にも貢献します。
ミネラル
ピーナッツバターは、鉄分、カリウム、マグネシウムといったミネラルを豊富に含み、健康維持を助ける食品です。特にマグネシウムは骨の健康に不可欠であり、アメリカンピーナッツ協会によると、ピーナッツバターは骨折や骨粗しょう症のリスク軽減に役立つマグネシウムを効率的に摂取できる食品の一つです。約30gのピーナッツで、1日に必要なマグネシウムの約12%を摂取可能です。さらに、ピーナッツバターは、腸内環境を改善する食物繊維、筋肉を作るタンパク質、そして体の機能を支えるミネラルもバランス良く含んでいます。ピーナッツバター100gあたり、およそ25gのタンパク質、15gの炭水化物、6gの食物繊維が含まれており、脂質は約55gです。また、代謝やDNA修復に関わるビタミンB3も豊富で、1日の推奨摂取量の約9割を摂取できる可能性があります。ピーナッツの栄養価を手軽に、そして美味しく摂取できるのがピーナッツバターなのです。
ポリフェノール
ピーナッツの薄皮に多く含まれるレスベラトロールは、ポリフェノールの一種で、体内の老化抑制に関わるサーチュイン遺伝子を活性化する作用があることが知られています。近年の研究では、植物性食品を中心とした食生活が、心臓病やがんといった生活習慣病の予防に有効であると報告されています。ピーナッツは、飽和脂肪酸が多く心臓病のリスクを高める動物性タンパク質の代替食品として活用できるだけでなく、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待される生物活性化合物も含有しています。
レスベラトロールは強力な抗酸化作用を持ち、様々ながんや心臓疾患の予防、さらには寿命延長への関与が示唆されています。また、ピーナッツに含まれるp-クマル酸もポリフェノールの一種であり、細胞の損傷を防ぎ、がんの発生を抑制する効果があると考えられています。
植物ステロールの摂取は、がんや心臓病のリスク低下に繋がると多くの研究で示唆されており、ピーナッツオイルは、オリーブオイルよりも38%から43%多い植物ステロールを含有しています。日々の食生活にピーナッツを少量ずつ取り入れることで、肌の健康を保ち、若々しさを維持することに貢献するかもしれません。
その他の健康効果
落花生の摂取は、糖尿病予防に貢献する可能性があります。栄養豊富な落花生やピーナッツバターには、現代人が不足しやすい重要な栄養素が豊富に含まれています。油で焙煎された落花生30g弱には、約2.7gの食物繊維が含まれています。ある研究では、落花生などの体に良い食品を中心とした植物性食品を主体とする食事が、コレステロールを下げる効果において、特定の医薬品と同等の効果を持つことが示唆されています。また、このような食生活は、冠状動脈疾患のリスクを10年間で13%程度減少させる可能性があると考えられています。
ピーナッツの生産地
アメリカ合衆国では、およそ150万エーカーの農地で年間300万トンものピーナッツが収穫されています。特にジョージア、テキサス、アラバマ、ノースカロライナといった州が主要な産地として知られています。他にもフロリダ、オクラホマ、バージニア、ニューメキシコ、アーカンソー、ミシシッピ、そしてカリフォルニア州南部の一部地域でも栽培が行われています。ピーナッツは品種によって異なりますが、一般的に砂質のローム層で、霜の降りない期間が年間120~160日必要とされ、4月から10月にかけて生育します。アメリカで生産されるピーナッツは主に4つの種類に分けられ、ランナー種は主にピーナッツバターの原料となり、バージニア種はスナックや殻付きピーナッツとして親しまれています。スパニッシュ種は小粒で丸みを帯びており、スナック菓子やピーナッツバター、お菓子などに利用され、バレンシア種は一つの殻に3~5粒の実が入っており、ローストや茹でピーナッツとして殻付きで販売されることが多いです。

ピーナッツバターのカロリー
ピーナッツバターは、100グラムあたりおよそ600~650キロカロリーと、カロリーが高めです。しかし、その主な内訳は不飽和脂肪酸という質の良い脂質。少量でも満足感が得られるため、適量を心がければ、過度に気にする必要はないでしょう。
ピーナッツバターはダイエットの味方?
ピーナッツバターは、ダイエットをサポートする可能性を秘めています。豊富なタンパク質が筋肉量の維持を助け、脂肪燃焼を促進。リボフラビンは筋肉疲労の回復を助けます。また、脂質はエネルギー源となり、適量であれば消費されます。食物繊維による満腹感も、食欲コントロールに貢献するでしょう。
大さじ1~2杯のピーナッツバターは、空腹感を和らげ、その後のカロリー摂取を抑える効果が期待できます。おやつをピーナッツバターに置き換えることで、摂取カロリーを削減できるかもしれません(チョコレートやポテトチップスと比較すると、カロリーを抑えられます)。タンパク質と食物繊維が豊富なピーナッツバターは、糖質の吸収を緩やかにする働きも期待でき、余分な糖質の吸収を抑えることは、中性脂肪の蓄積を防ぐ上で重要です。
ただし、ピーナッツバターは高カロリーであるため、摂取量には注意が必要です。1日の目安は大さじ1~2杯。購入する際は、添加物や砂糖の量をチェックしましょう。
ピーナッツバターは筋力アップに役立つ?
筋肉を大きくしたいなら、ピーナッツバターを積極的に取り入れてみましょう。タンパク質とエネルギーを効率的に摂取できるため、筋肉を大きくしたい人に最適な食品と言えます。筋トレをしている人の中には、タンパク質の摂取量ばかりを気にして、カロリーを十分に摂れていない人がいます。そのような人は、ピーナッツバターをスムージーに入れたり、果物と一緒に食べるなどして、積極的にカロリーを摂取することを検討してみてはいかがでしょうか。
ピーナッツバターの種類と選び方
ピーナッツバターには、口当たりの良い滑らかなタイプと、ピーナッツ本来の食感が楽しめるクランチータイプがあります。市販されている製品の多くには、風味や食感を調整するために、塩分、砂糖、植物油、乳化剤などが加えられていることがあります。特に、滑らかなタイプでは、塗りやすさを向上させる目的で添加物が使用されている場合があるので、気になる方は購入前に成分表示を確認することをおすすめします。最もおすすめなのは、ピーナッツのみを原料とした自然なピーナッツバターです。風味付けに少量の塩が加えられている場合もありますが、無糖でオーガニックなピーナッツバターは、健康的な脂質、炭水化物、食物繊維、タンパク質を豊富に含み、非常に栄養価の高い食品と言えるでしょう。
ピーナッツバターの摂取量:1日に大さじ何杯までならOK?
ピーナッツバターを食べる際の目安量は、1日に30グラム程度(多くても55グラムまで)が良いでしょう。これは大さじ2~3杯に相当します。ただし、ピーナッツバターはカロリーが高い食品なので、食べ過ぎには注意が必要です。摂取量が増えれば、それだけカロリーオーバーにも繋がりやすいため、一日の摂取量をきちんと管理することが大切です。
まとめ
ピーナッツバターは、その美味しさだけでなく、豊富な栄養価も魅力的な食品です。日々の食事に賢く取り入れることで、健康的な生活をサポートしてくれるでしょう。理想的な体づくりを目指すなら、原材料がシンプルで、添加物や砂糖が少ない高品質なピーナッツバターを選ぶことが重要です。アメリカンピーナッツ協会も推奨するように、ピーナッツ本来の風味と栄養を最大限に活かした製品を選びましょう。ピーナッツには様々な種類があり、生産地によっても風味が異なります。ぜひ、自分にぴったりのピーナッツバターを見つけて、食生活を豊かにしてください。