みかんを食べたあと、皮はそのままゴミ箱へ……実はそれ、ちょっともったいないかもしれません。実はみかんの皮も食べられることをご存知ですか?意外にもその皮には、果肉以上に多くの栄養素が含まれており、上手に調理すればおいしく活用することができます。乾燥させて薬膳に使われたり、スイーツやおかずのアクセントになったりと、さまざまな食べ方が可能です。本記事では、みかんの皮を安全に食べるための下処理方法や、日常に取り入れやすいレシピ・アイデアをご紹介。捨てずに美味しく食べて、みかんをまるごと楽しみましょう!
みかんの皮って本当に食べられるの?
「えっ、みかんの皮って食べられるの?」と驚く方も多いかもしれません。しかし、みかんの皮は適切な下処理をすれば食用として活用できる、意外と優秀な食材なのです。
古くから使われてきた「陳皮」という食材
日本や中国では古くから、みかんの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」が薬膳や漢方として親しまれてきました。陳皮は料理に香りを加えたり、お茶にしたりと、多様な使い道があり、今でも多くの家庭や飲食店で利用されています。つまり、みかんの皮を「食べる」という文化は昔から存在しているのです。
そのまま食べるのはNG!下処理が大切
ただし、みかんの皮をそのまま食べるのはおすすめできません。市販されているみかんの多くには、防カビ剤やワックスが使われている場合があるため、安全に食べるためには以下のポイントに注意が必要です。
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国産または無農薬のものを選ぶ
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食べる前にしっかり洗浄する(重曹や塩を使うと効果的)
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加熱・乾燥処理を行うとより安心
このように、正しい知識と方法で処理すれば、みかんの皮も安心して食べられる食品素材になります。
みかんの皮に含まれる主な栄養素

みかんの皮には、果肉に負けないほど豊富な成分が含まれており、「食材としての価値」が非常に高いとされています。以下では、主に知られている成分とその一般的な特徴をご紹介します。
ビタミンC
果肉と同様に、皮にもビタミンCが含まれており、料理に活用することで風味とともに栄養の幅も広がります。
ヘスペリジン(ポリフェノールの一種)
みかんの皮に豊富なヘスペリジンは、柑橘類特有の苦味成分でもあり、乾燥させることで味わい深いアクセントになります。一般に、ポリフェノールはさまざまな食品に含まれる成分として知られています。
精油成分(リモネンなど)
皮を剥いた瞬間に広がる爽やかな香りの正体がリモネンと呼ばれる精油成分です。香りづけや風味付けに活用でき、ドレッシングや焼き菓子などの香りのアクセントとして役立ちます。
食物繊維
皮には食物繊維も含まれており、細かく刻んで料理に加えることで、食感の変化や満足感アップにもつながります。
食べる前にやっておきたい下処理と保存方法
みかんの皮を食材として使うには、適切な下処理と保存が欠かせません。そのままではやや苦味や硬さがあり、また衛生面の配慮も必要です。ここでは、安全においしく活用するための基本的な準備方法をご紹介します。
① しっかり洗う:汚れとワックス除去が最優先
市販のみかんには、ワックスや農薬が付着している場合があります。特に輸入品は防カビ剤が使われていることもあるため、なるべく国産や無農薬のものを選ぶのがおすすめです。
洗う際は以下の方法が効果的です:
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重曹を溶かしたぬるま湯に数分浸けてこすり洗い
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食塩を振って優しくもみ洗いし、その後流水でしっかりすすぐ
この一手間で、皮の清潔度が大きく変わります。
② 乾燥させて保存:「陳皮」として活用も
水洗い後の皮は、しっかりと水分を拭き取り、風通しの良い場所で数日〜1週間ほど陰干しすると、乾燥した状態(陳皮)になります。細かく刻んでから乾燥させると、使うときに便利です。密閉容器に入れて常温保存すれば、長期間香りを保ったまま利用できます。
③ 冷凍保存もおすすめ:必要な分だけすぐ使える
皮を刻んで冷凍する方法も、手軽でおすすめです。
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洗って拭き取った皮を、細かく刻む
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ジッパー付き保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫へ
この方法なら、必要な分だけをパラパラと取り出して使えるので、食品ロスの削減にもつながります。また、冷凍することで、皮の苦味がやわらぎ、調理しやすくなるというメリットもあります。
みかんの皮を美味しく食べる方法5選
みかんの皮は、適切に下処理をすれば、さまざまな料理に活用できる「万能素材」です。ここでは、日常の食卓に取り入れやすい、おすすめの活用法を5つご紹介します。

1. 陳皮(ちんぴ)にしてお茶や煮物に
乾燥させたみかんの皮=陳皮は、お茶や煮物に香りをプラスできます。少量加えるだけで、料理に深みと爽やかさが加わります。
おすすめの使い方:
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緑茶や紅茶に加えて風味豊かなお茶に
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味噌汁や煮物の香りづけに
2. みかんピール(砂糖漬け)でおやつやお菓子に
細切りにした皮を砂糖で煮詰めると、爽やかな風味とほんのり苦味が絶妙な「みかんピール」が作れます。
簡単レシピ:
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皮を細切りにし、水にさらして苦味を抜く(1〜2時間程度)
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鍋に皮と同量の砂糖、少量の水を加えて弱火で煮詰める
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水分がほぼなくなったらクッキングシートの上で冷ます
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乾燥させてグラニュー糖をまぶす
活用法:
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ヨーグルトのトッピング
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焼き菓子やパウンドケーキに混ぜる
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チョコレートがけで上品なスイーツにも
3. きんぴら風のおかずに
皮を使った甘辛炒めは、ご飯のおかずやお弁当のおかずにもぴったりです。
簡単レシピ:
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皮を細切りにし、軽く下茹でして苦味を抑える
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フライパンにごま油を熱し、皮を炒める
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醤油・みりん・砂糖で味付けし、汁気がなくなるまで炒める
ポイント:焦がさないように弱火で丁寧に。輪切り唐辛子を加えるとピリ辛風にも。
4. ふりかけ・おにぎりの具に
乾燥させた皮を細かく刻むと、香り豊かなふりかけになります。
簡単レシピ:
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皮を乾燥させてから細かく刻む
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塩昆布や鰹節、白ごま、しらすなどと混ぜる
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密閉容器で保存し、ご飯にふりかけて使用
おすすめの組み合わせ:
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白ごま+塩昆布+みかん皮
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鰹節+しらす+刻みみかん皮
5. サラダやドレッシングにアクセントとして
極細に刻んだ皮は、ドレッシングに混ぜたり、サラダに加えるだけで、香りと色味がぐっと引き立ちます。
例:
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オリーブオイル+酢+塩+みかん皮の自家製ドレッシング
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水菜やアボカドのサラダに散らして、爽やかなアクセントに
こんなときは食べない方がいい?注意点と保存のコツ
みかんの皮は工夫次第で食材として活用できますが、すべての皮が食用に適しているわけではありません。安全に楽しむために、以下のようなポイントをあらかじめ押さえておきましょう。
食べない方がよいケース
・ワックスや防カビ剤が使用されている輸入みかん
輸入品や一部の市販品では、見た目を保つためにワックスやポストハーベスト農薬が使用されていることがあります。こうした皮は加熱しても完全に除去できないため、食用としての利用は避けた方が安心です。
・カビや変色が見られる皮
皮の表面に白カビや黒ずみ、異臭があるものは、すぐに廃棄を。見た目がきれいでも内部が傷んでいることもあるため、念のために細部までチェックしましょう。
・日持ちが気になる皮
保存状態によっては、乾燥後の皮にも湿気やカビが発生する場合があります。乾燥剤と一緒に密閉保存し、風通しの良い冷暗所を選びましょう。
保存方法のコツ
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乾燥保存:しっかり乾燥させてから密閉容器に保存。風味を保ちやすく、調理用に最適です。
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冷凍保存:刻んで冷凍しておくと、必要な分だけをすぐに取り出せて便利。加熱調理に向いています。
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小分けにしておく:使う分量に応じて小袋に分けて保存すれば、取り出しやすくて無駄がありません。
まとめ:みかんの皮を賢く食べて、フードロス削減&食卓の彩りに
みかんの皮は、適切に下処理すれば食材としても活用できる、意外な万能素材です。香り豊かな陳皮やスイーツ、おかずなど、使い方は多彩で、料理のアクセントにも最適。さらに、乾燥や冷凍による保存も可能なため、無駄なく楽しむことができます。食卓の幅を広げながら、食品ロスも減らせる、まさに一石二鳥の工夫です。今日からぜひ、みかんの皮を「捨てる」から「活かす」に変えて、新しい食の楽しみを取り入れてみませんか?
みかんの皮はどの部分まで食べていいの?
基本的には外皮(表面のオレンジ色の部分)を使用します。白いワタの部分は苦味があるため、用途に応じて使い分けると良いでしょう。
乾燥させた皮はどれくらい保存できますか?
しっかり乾燥させて密閉容器に保存すれば、約1〜2ヶ月程度香りや風味を保てます。湿気や直射日光を避けて保管しましょう。
ピール(砂糖漬け)にするとどのくらい日持ちしますか?
冷蔵で1週間程度が目安です。砂糖の分量や保存環境によっては、さらに長く楽しめることもあります。早めに食べ切るのがおすすめです。
皮の苦味が気になる場合はどうすればいいですか?
刻んでから水にさらしたり、下茹ですることで苦味を軽減できます。砂糖漬けにしたり、加熱調理と組み合わせるとより食べやすくなります。
子どもにも食べさせて大丈夫?
下処理をしっかり行い、苦味が少ない状態であれば問題ありません。ただし、小さなお子様には少量から試してみて、味や食感を確認しながら与えると安心です。