冬の食卓を彩るみかん。甘酸っぱい果肉を味わった後、皮を捨てていませんか? 実は、みかんの皮には驚くべき栄養が詰まっているのです。古くから漢方薬としても利用されてきたみかんの皮は、ビタミンや食物繊維、ポリフェノールを豊富に含み、健康や美容に嬉しい効果が期待できます。この記事では、みかんの皮に含まれる栄養成分とその効果、そして美味しく安全に食べるための活用法をご紹介します。みかんの皮を有効活用して、健康的な食生活を送りましょう。
みかんの皮の隠れた魅力:栄養満点、多彩な活用術
冬の味覚として親しまれ、手軽に味わえるみかん。果肉を堪能したあと、皮をそのまま捨ててしまうことは少なくありません。ですが、みかんの皮には、掃除や入浴剤としての利用だけでなく、食材としても楽しめる意外な活用法があります。
みかんの皮は古くから乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」として用いられ、料理やお茶の香りづけなどにも活躍してきました。 「皮は硬くて食べにくそう」「苦いのでは?」と感じるかもしれませんが、下処理を工夫することで柔らかくなり、苦味や渋みも抑えられます。
栄養面でも、みかんの皮にはβ-クリプトキサンチンやビタミン類、食物繊維、ポリフェノールなどが含まれています。特に「ヘスペリジン」は、皮の内側の白い部分に多く含まれるポリフェノールの一種で、日々の健康維持に役立つ可能性があるといわれています。β-クリプトキサンチンはみかんの鮮やかな色を生み出す色素成分で、健やかな体づくりをサポートすると考えられています。
このように、みかんの皮を食材として活用することは、食品ロスの削減にもつながります。食卓に彩りと栄養を加えられるだけでなく、食材を無駄なく使い切るエコな暮らしにも貢献できます。生のままでは食べにくく感じることもありますが、適切な下処理や調理を行えば、美味しく安心して楽しめます。

みかんの皮を美味しく味わうための調理法とアイデア
みかんの皮は、そのまま食べるだけでなく、下処理や調理を工夫することで、風味や食感をより引き立てられます。ここでは、皮の魅力を活かす3つの方法をご紹介します。
甘みと香ばしさを引き出す「焼きみかん」
みかんを丸ごとオーブントースターで加熱すると、酸味がやわらぎ、甘みが際立ちます。皮も柔らかくなり、そのまま食べやすくなるのが特徴です。
皮が焦げやすいので、アルミホイルで包んで加熱すると失敗しにくくなります。トースターで約5分焼いたあと、上下をひっくり返してさらに5分加熱すれば、全体に均一に火が通ります。
焼きたてを口に入れると、香ばしい香りとやわらかな甘みが広がり、寒い季節にぴったりの温かい一品になります。
香り豊かな保存食「みかんマーマレード」
みかんの皮を活用する定番といえばマーマレードです。パンやヨーグルトに添えるだけでなく、お菓子作りにも重宝します。
皮は細かく刻み、苦味を抑えるために何度か茹でこぼします。果肉と砂糖を加えて弱火で煮詰めると、香り高く、皮の食感も楽しめるジャムが出来上がります。
手作りならではの豊かな風味は、市販品とはひと味違います。冷蔵保存すれば、朝食やおやつに長く活用できます。
手軽に栄養を摂れる「みかん皮入りスムージー」
皮ごと使ったスムージーは、みかんの栄養を余すことなく摂れる方法です。種や軸を取り除き、皮ごとミキサーにかけるだけなので手間がかかりません。
苦味が気になる場合は、ハチミツやメープルシロップを加えると飲みやすくなります。ヨーグルトを混ぜればまろやかさが加わり、朝食や軽い栄養補給にもぴったりです。
牛乳や豆乳を合わせれば、より満足感のある一杯になります。
このように調理法を工夫すれば、みかんの皮は単なる廃棄物ではなく、風味豊かな食材として日常の食卓に取り入れることができます。
みかんの皮を安心して食べるための農薬に関する注意点
みかんを皮ごと食べる場合、気になるのが農薬や防カビ剤の存在です。特に輸入品では、長距離輸送や保存のために、防カビ剤(イマザリル、チアベンダゾール、オルソフェニルフェノールなど)が使われることがあります。そのため、皮まで食べる場合は、できるだけ国産みかんを選ぶと安心です。
日本国内では、食品衛生法に基づき、残留農薬の基準(MRL)が厳しく設定されています。これらの基準値は、長期間摂取しても健康への影響がない量をもとに決められており、基準を超える食品の販売や輸入は禁止されています。
それでも、皮を食べる前には流水で丁寧に洗うことが大切です。柔らかいブラシや野菜用スポンジで表面をこすると、農薬の一部を除去できます。研究では、柑橘類の皮に付着した農薬を流水で洗うことで、26〜84%程度減らせると報告されています。
さらに安心を求める場合は、無農薬や有機栽培のみかんを選ぶのも良い方法です。これらは合成農薬の使用を抑えて栽培されているため、皮ごと利用したいときにも適しています。
出典:
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厚生労働省, 「残留農薬基準」, URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html, 最終更新日: 2024年4月8日
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全国民主医療機関連合会, 「輸入かんきつ類から防カビ剤検出」, URL: https://www.min-iren.gr.jp/news-press/shinbun/20250408_52637.html, 最終更新日: 2025年4月8日
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Chen et al., "Effectiveness of Washing to Remove Pesticide Residues in Fruits and Vegetables," Foods, 2022, URL: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9741471/, 最終更新日: 2022年12月8日
みかんの皮の保存と下準備
みかんの皮を美味しく、そして便利に使うためには、適切な保存方法が大切です。
保存前の下準備
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表面の汚れが気になる場合は、流水で丁寧に洗う。
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水気をしっかり切る。水分が残ると冷凍時に霜がつき、品質が落ちやすくなります。
冷凍保存の方法
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ヘタを取り除き、皮を細かく刻む。 - 細かくすると料理に馴染みやすく、均一に風味が広がります。
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刻んだ皮を冷凍保存用のジッパー付き袋に入れ、空気をできるだけ抜く。 - 空気を抜くことで鮮度を保ち、冷凍焼けを防ぎます。
保存期間と使い方
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この方法で冷凍すれば、長期間の保存が可能です。
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必要な分だけ取り出して、料理や飲み物に加えることができます。

みかんの皮を楽しむ!香り豊かなアレンジレシピ4選
冷凍保存したみかんの皮は、風味づけや彩りのアクセントとして幅広く活用できます。冷凍することで、生の皮の硬さや苦味がやわらぎ、料理への馴染みも良くなります。ここでは、みかんの皮を美味しく味わえるおすすめレシピを4つご紹介します。
みかん香るやさしい大根漬け
材料
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大根…200g(食べやすい大きさにカット)
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冷凍みかんの皮…大さじ1(細切り)
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酢…大さじ2
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砂糖…大さじ2
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塩…小さじ1/2
作り方
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大根とみかんの皮をボウルに入れます。
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酢、砂糖、塩を加えてよく混ぜます。
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冷蔵庫で1〜2時間漬け込み、味をなじませます。
青菜のおひたし みかん風味
材料
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お好みの青菜(ほうれん草、小松菜など)…1束
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冷凍みかんの皮…ひとつまみ(細切り)
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しょうゆ…小さじ2
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かつお節…適量
作り方
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青菜を茹で、水気を切って食べやすい長さに切ります。
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器に盛り、しょうゆを回しかけます。
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冷凍のままのみかんの皮と、かつお節を添えます。
ほっと和む みかん香る紅茶
材料
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紅茶(温かいもの)…1杯分
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冷凍みかんの皮…小さじ1(細切り)
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ハチミツ…お好みで
作り方
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紅茶を淹れ、みかんの皮を加えます。
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数分置いて香りを移し、皮を取り除きます。
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お好みでハチミツを加えていただきます。
ふわっと広がる香り みかん風味パンケーキ
材料
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ホットケーキミックス…150g
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卵…1個
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牛乳…100ml
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冷凍みかんの皮…大さじ1(細切り)
作り方
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ボウルにホットケーキミックス、卵、牛乳、みかんの皮を入れて混ぜます。
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フライパンで両面を焼き、香ばしく仕上げます。
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お好みでホイップクリームやシロップを添えます。
まとめ
みかんの皮は、刻んで冷凍保存すれば料理や飲み物に幅広く活用できます。β-クリプトキサンチン、ビタミン、ポリフェノール、ヘスペリジンなど、果肉に劣らない栄養が含まれ、昔から「陳皮」としても親しまれてきました。
焼きみかんやマーマレードはもちろん、大根漬け、おひたし、紅茶、パンケーキなど、食卓を彩るさまざまな料理に使えるのが魅力です。皮を食べる際は流水で丁寧に洗い、水気をしっかり切ってから冷凍保存しましょう。特に海外産は防カビ剤使用の可能性があるため、国産や無農薬・有機栽培品がおすすめです。
栄養豊富で使い勝手も良いみかんの皮。今日から捨てずに活用して、食卓と暮らしをもっと豊かにしてみませんか?
みかんの皮は食べても大丈夫?子供が食べても安全ですか?
はい、みかんの皮は食べられます。特に、β-クリプトキサンチン、ヘスペリジン、ビタミン類、食物繊維、ポリフェノールなどが豊富に含まれており、適切に処理すれば美味しく食べられます。お子様が少し食べてしまっても、基本的には心配ありません。ただし、市販のみかんには農薬が使われていることがあるため、食べる際はしっかりと水洗いし、必要であれば重曹水などに浸けてから使うことをおすすめします。
みかんの皮にはどんな栄養が含まれていますか?
みかんの皮には、果肉と同じくビタミンCや食物繊維が豊富に含まれています。特に注目されるのは、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンと、みかんの色をつくるβ-クリプトキサンチンです。ヘスペリジンは皮の内側の白い部分に多く含まれ、体の巡りをサポートするとされています。β-クリプトキサンチンは鮮やかな色のもととなる成分で、健やかな体づくりに役立つと考えられています。みかんの皮は、昔から乾燥させた「陳皮」として利用され、料理やお茶の香りづけにも使われてきた歴史があります。
みかんの皮の苦味や硬さを軽減する方法はありますか?
みかんの皮特有の苦味や硬さは、工夫次第でかなり軽減できます。手軽な方法としては、皮を細かく刻んで冷凍庫で保存することです。冷凍することで皮の細胞が破壊され、苦味が抑えられると同時に、食感も柔らかくなります。また、砂糖と一緒に煮詰めて、自家製のみかんピールを作るのもおすすめです。甘みが加わることで苦味が和らぎ、美味しく食べられます。その他、みかんを丸ごと焼くことで皮が柔らかくなり、苦味も軽減されます。
みかんの皮を保存する際の注意点はありますか?
みかんの皮を保存する際には、まず皮の表面を丁寧に水洗いし、しっかりと水気を拭き取ることが大切です。水分が残っていると、冷凍時に霜がつきやすくなり、品質が劣化する原因となります。冷凍保存する際は、空気に触れる面積を最小限に抑えるため、ジッパー付きの保存袋に入れて、空気をしっかりと抜いて密閉しましょう。こうすることで、鮮度を長く保ち、冷凍焼けを防ぐことができます。細かく刻んでから保存すると、必要な分だけ取り出しやすく、便利です。