冬の代表的な果物といえば、甘くてジューシーなみかん。果肉を食べるだけでなく、実はみかんの皮にもビタミンやポリフェノール、食物繊維などの栄養が含まれています。皮を捨ててしまうのはもったいない話です。本記事では、みかんの皮の栄養成分と特徴、毎日の食事に取り入れるための活用法、皮ごと楽しめる簡単レシピ、そして安心して食べるための農薬対策まで徹底解説します。「みかんの皮って食べられるの?」「どうやって料理に使うの?」という疑問を解消し、家庭でできる実践的な方法をご紹介。この記事を読めば、みかんを丸ごとおいしく、そして無駄なく楽しむヒントが見つかります。
みかんの皮って食べられるの?知られざる真実
普段は捨ててしまいがちなみかんの皮ですが、実は食べることができ、しかも栄養価が非常に高いのです。「硬くて苦そう」というイメージがあるかもしれませんが、意外にも柔らかく、苦味や渋みも調理方法によって軽減できます。小さなお子様が誤って口にしても、基本的には心配ありません。古くから日本の食文化では、みかんの皮は単なる廃棄物ではなく、漢方薬の原料としても用いられてきました。「陳皮(ちんぴ)」という名前で知られ、胃腸の調子を整える健胃作用や、喉の痛み、咳を鎮める効果があるとされています。つまり、みかんの皮は無駄に捨てることなく、そのまま、または加工して、健康に役立てることができる貴重な食材なのです。

みかんの皮に隠された栄養と特徴
冬の定番フルーツ、みかんは、甘酸っぱい果肉と豊富なビタミンCが魅力です。可食部75g(中サイズ1個分)で約37kcalと低カロリー。ビタミンCは約24mg含まれ、これは成人が1日に必要とする量のおよそ4分の1にあたります。さらに、ビタミンA・E・B群、カリウム、マグネシウムなども含まれています。
(出典:文部科学省, 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」, URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html, 最終更新日: 2020年12月25日)
果肉だけでなく皮にも豊富な成分
みかんの皮には、果肉と同じくビタミンCや食物繊維が含まれています。さらに、柑橘類特有の植物成分も豊富です。
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ヘスペリジン(ポリフェノールの一種)
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β-クリプトキサンチン(みかんの色素成分)
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ナリンジン(ナリンギン)(苦味成分)
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ノビレチン(香り成分)
これらの成分は基礎研究や動物実験で健康維持に役立つ可能性が報告されていますが、人を対象とした研究はまだ限定的です。
取り入れる際のポイント
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効果効能を過信せず、日々の食生活の一部として取り入れる
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果肉と合わせて食べることで、食物繊維や香り成分も一緒に摂取できる
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調理前には、流水でしっかり洗うことで表面の汚れを落とす
特に豊富な皮の注目成分
みかんの皮には、果肉にはあまり含まれない、または果肉より多く含まれる独自の成分があります。これらは、みかんの皮ならではの香りや味わい、そして日々の健康維持に役立つ可能性があるとして注目されています。
食物繊維
みかんの皮には果肉よりも多くの食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、スムーズな排便をサポートするほか、糖の吸収速度を緩やかにするといわれています。結果として、食後の血糖値変動を穏やかにする働きが期待されます。
β-クリプトキサンチン
鮮やかなオレンジ色を生み出す色素成分で、β-カロテンと同じカロテノイドの一種です。強い抗酸化作用を持つとされ、体内の酸化ストレスを抑える働きが期待されています。骨の健康維持や生活習慣の見直しにもつながる可能性があり、研究が進められている成分です。
ヘスペリジン
皮の内側の白い部分や薄皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、「ビタミンP」とも呼ばれます。血流をサポートし、体の巡りを整える働きがあるとされ、美容や健康維持への寄与が期待されています。血圧や血中脂質に関する作用も報告されていますが、これらは一部の研究に基づくものであり、今後の検証が必要です。
ナリンジンとノビレチン
皮特有のほろ苦さのもとになる成分がナリンジンです。ノビレチンとともに、フラボノイドの一種として血流のサポートや食後血糖値の上昇を緩やかにする可能性が示唆されています。さらに、認知機能やアレルギー反応への影響についても研究が行われていますが、まだ限定的な知見です。
このように、みかんの皮は香りや彩りだけでなく、日常の食事に取り入れたくなる多様な成分を含んでいます。
みかんの皮をおいしく食べる!手軽な調理法とイチオシレシピ
みかんの皮は栄養価が高く、香りや色合いも魅力的です。しかし、そのままでは苦味や独特の食感が気になる場合があります。少しの工夫や調理法を取り入れることで、皮をおいしく、そして日常の食事に取り入れやすくなります。
苦味を和らげるコツ
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加熱調理 加熱することで苦味がやわらぎ、香ばしさが加わります。焼きみかんやジャムなどが代表的です。
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下ゆでや茹でこぼし 細かく刻んだ皮をさっと下ゆですると、苦味成分が抜けて食べやすくなります。
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甘みや酸味との組み合わせ はちみつや柑橘果汁などを加えると、風味のバランスが整います。
果皮に豊富な注目成分
食品産業センターの調査によると、みかんの果皮には以下のような成分が多く含まれています。
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ヘスペリジン:1.5g/100g(新鮮重量)
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ナリルチン:0.3g/100g(新鮮重量)
これらは果肉にも含まれますが、果皮のほうが含有量が高いことがわかっています。日々の食事に皮を加えることで、こうした植物由来成分も一緒に摂取できます。
(出典: 機能性成分・活用性等調査(食品産業センター), URL: https://www.shokusan.or.jp/wp-content/uploads/2019/03/582pdf3.pdf, 2019-03)
焼きみかん:皮ごと楽しむ定番の食べ方
焼きみかんは、皮ごと加熱することで甘みと香ばしさが引き立ち、果皮もやわらかくなって食べやすくなる調理法です。
作り方のポイント
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アルミホイルで包むと焦げ付き防止になり、均一に熱が通ります。
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トースターで5分加熱し、ひっくり返してさらに5分加熱すると香りが広がります。
寒い季節には、温かく香り豊かなデザートとしてもぴったりです。
その他の皮活用レシピ
焼きみかん以外にも、みかんの皮を美味しく、無駄なく活用できるレシピはたくさんあります。皮の食感や風味が苦手な方でも、調理方法を工夫すれば手軽に栄養を取り入れられます。
みかんの皮入りマーマレードジャム
材料
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みかん…お好みの量
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砂糖…みかんの重さの約50%
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水…適量
作り方
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みかんの皮を細かく刻み、果肉はざく切りにする。
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刻んだ皮を数回茹でこぼし、苦味をやわらげる。
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鍋に皮、果肉、砂糖を入れ、弱火でじっくり煮詰める。
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とろみが出たら火を止め、清潔な保存瓶に詰める。
皮ごとジュース
材料
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みかん…1〜2個
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はちみつ…小さじ1(お好みで)
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他の果汁(リンゴジュースなど)…お好みで
作り方
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みかんのヘタと種を取り除く。
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皮ごとミキサーに入れ、なめらかになるまで撹拌する。
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苦味が気になる場合は、はちみつやリンゴジュースを加えて味を調える。
みかんの皮の農薬は大丈夫?安心して味わうためのポイント

みかんの皮を食べるとき、多くの人が気にするのが農薬の残留です。特に輸入みかんは、長い輸送や保存のために防カビ剤などの薬剤が使われることがあります。そのため、皮ごと食べたい場合は国産みかんを選ぶと安心です。
国産みかんでも農薬が使われることはありますが、日本では使用方法や残留基準が法律で定められており、安全性が確保されています。基準を守って栽培されたみかんなら、通常の食べ方で健康に大きな影響はないとされています。
家庭でできる簡単な対策
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流水で洗う:表面の汚れや農薬を落としやすくなります。
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柔らかいブラシでこする:よりしっかり洗いたいときに有効です。
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皮ごと使う料理は新鮮なうちに:時間がたつと風味や品質が落ちます。
より安心して食べたいときは
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無農薬や有機栽培のみかんを選ぶ
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皮を使う量を控える
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下ごしらえとして湯通しや塩もみを試す
まとめ
みかんは、果肉も皮も栄養豊富なフルーツです。果肉にはビタミンCやクエン酸、皮には食物繊維やβ-クリプトキサンチン、ヘスペリジンなどが含まれます。
皮の苦味は、アルミホイルで包んで焼く「焼きみかん」でやわらぎ、香ばしさも加わります。マーマレードやスムージーにすれば手軽に楽しめます。
農薬が気になる場合は国産を選び、流水や重曹水で洗えば安心です。みかんを丸ごと活用して、食卓に彩りと栄養をプラスしましょう。
みかんの皮って食べられるの?
はい、みかんの皮は食べられます。栄養価が高く、特に加熱したり加工したりすることで苦味が和らぎ、美味しく食べやすくなります。小さなお子様が誤って口に入れてしまっても、基本的には心配ありません。
温州みかんを丸ごと焼く方法を教えてください。
みかんを皮ごと、魚焼きグリルやオーブントースターに入れて、表面の皮が少し焦げるくらいまで加熱します。焦げ付きが気になる場合は、アルミホイルで包んで、オーブントースターで約5分加熱し、裏返してさらに5分ほど焼くと、皮が柔らかくなり食べやすくなります。焼き終わったら、焦げた部分を軽く取り除き、果肉と一緒に皮も召し上がってください。
みかんを皮ごと加熱して食べることのメリットは何ですか?
みかんを皮ごと焼いて食べることで、皮に豊富に含まれる栄養成分(β-クリプトキサンチン、ヘスペリジン、ナリンジン、ノビレチンなど)を効果的に摂取できます。加熱することで皮特有の苦味が軽減され、香ばしい風味が加わり食べやすくなる上、皮の栄養成分が果肉にも溶け出すと言われています。期待できる効果としては、抗酸化作用による老化防止、血流改善、生活習慣病予防、骨の健康維持などが挙げられます。