お菓子のデコレーションに欠かせない、赤や緑の鮮やかなドレンチェリー。パウンドケーキやクッキー、アイスクリームなど、様々なスイーツを彩ります。砂糖漬けにすることで生まれる独特の甘みと、着色料による鮮烈な色彩は、見た目にも味にも楽しいアクセントを加えます。この記事では、ドレンチェリーの魅力に迫り、その歴史や製法、活用方法などを詳しくご紹介します。
ドレンチェリーの基本:定義、特徴、別名
ドレンチェリーは、鮮やかな赤や緑色が印象的な、砂糖漬けのさくらんぼです。お菓子の飾りとしてよく見かけられ、パウンドケーキの材料やアイスクリーム、クッキーなど、様々なお菓子作りに使われています。「マラスキーノチェリー」と呼ばれることもあります。製造過程では、まずさくらんぼを大量の砂糖で煮て、余分な水分を取り除きます。その後、食用色素で鮮やかな赤や緑に着色して完成します。あの目を引く色は、この着色によるものです。一般的には名脇役ですが、お菓子全体を華やかに、美味しそうに見せる重要な存在です。
ドレンチェリーの味と食感:甘さの理由と「まずい」と言われるわけ
ドレンチェリーは見た目は美しいですが、独特の食感があります。まるで溶けた飴のような食感で、味は非常に甘いです。さくらんぼは本来、甘味と酸味のバランスが良い果物ですが、ドレンチェリーは砂糖を大量に加え、水分を抜いているため、甘さが凝縮されています。そのため、ドレンチェリー単体で食べるよりも、甘さ控えめのお菓子や、パサつきやすい生地に混ぜるのがおすすめです。しっとりとした食感を加えられます。しかし、甘すぎるため、甘いものが苦手な人には「まずい」と感じられることもあります。この評価は、ドレンチェリーの強い甘さが、期待する果物の風味と異なることに起因することが多いようです。
さくらんぼを着色する理由:デコレーションの役割
ドレンチェリーの材料はさくらんぼですが、さくらんぼ自体もともと赤い色をしています。「なぜ着色するのか?」と疑問に思うかもしれません。着色には、製菓材料としての重要な意味があります。生のさくらんぼや自然な色のさくらんぼでは、お菓子のデコレーションとして使う際に、インパクトや華やかさが足りないと見なされることがあります。そこで、赤色に色味を加えたり、緑色に染めたりすることで、より美しく魅力的なデコレーション効果を生み出します。この鮮やかな色彩は、クリスマスケーキやフルーツクッキーなど、見た目が重視されるお菓子において、魅力を引き出し、食欲をそそる要素として不可欠なのです。

ドレンチェリーの活用法:相性の良いお菓子と購入場所
ドレンチェリーは、お菓子を可愛らしく華やかに見せる便利なアイテムです。具体的にどんなお菓子に使われているのか、どこで買えるのか疑問に思う人もいるでしょう。使い方によって、お菓子の印象は大きく変わるため、相性の良いお菓子、活用例、購入場所を詳しく見ていきましょう。ドレンチェリーは、主に飾り付けとして使われ、お菓子の味を高めるというより、視覚的な魅力を加える目的で使用されることが多いです。
失敗しない!ドレンチェリーと相性の良いお菓子
鮮やかな赤や緑色が特徴的なドレンチェリーは、その美しい色合いを活かして様々なお菓子に使用できます。特に、デコレーションとしての役割が大きいため、次のようなお菓子との組み合わせがおすすめです。例えば、クッキーを花の形にし、中央に赤いドレンチェリーを飾れば、見た目も愛らしい花形クッキーが作れます。また、フルーツクッキーのアクセントとして、またはクリスマスシーズンには、クリスマスカラーを意識してケーキに散りばめることで、華やかな雰囲気を演出できます。カップケーキやパン、さらにはドイツの伝統的なお菓子であるシュトーレンにもよく使われ、これらの焼き菓子に彩りと甘みを加えます。ドレンチェリーは、クリスマス時期になると製菓材料コーナーでよく見かけるようになり、お菓子を美しく、そしておいしそうに見せるために欠かせない材料であることがわかります。その鮮やかな色が、シンプルなお菓子も特別なものに変えてくれるでしょう。
自宅でできる!ドレンチェリーの詳しい作り方
お菓子の見た目を華やかにするドレンチェリーは、通常は市販品を購入するのが一般的ですが、実は自宅でも簡単に作ることができます。特別な道具や高度な技術は必要なく、一般的な材料でおいしく作ることが可能です。時間のあるときに、手の込んだケーキや焼き菓子と一緒にドレンチェリーも手作りすることで、より一層愛着の湧く一品が完成するでしょう。手作りのドレンチェリーは、市販品とは違う新鮮な風味と、作る楽しさを味わうことができます。
手作りドレンチェリーの材料リストとおすすめのさくらんぼ
ご家庭でドレンチェリーを手作りする際に必要な材料は以下の通りです。約300gのドレンチェリーを作る場合
- さくらんぼ500g
- グラニュー糖500g
- 水100cc
これだけの材料で、おいしい手作りドレンチェリーが作れるので、気軽に挑戦できます。作る量を増減する場合は、この分量を参考に調整してください。 使用するさくらんぼの種類に特に決まりはありませんが、ドレンチェリー作りには果肉がしっかりして煮崩れしにくい品種が向いています。例えば『紅さやか』や『ナポレオン』などが挙げられます。それぞれの品種によって風味や色合いが異なるため、お好みに合わせて選んでみてください。
美味しいドレンチェリーを作る詳細な手順
手作りドレンチェリーの詳しい作り方を、手順を追って解説します。
- まず、用意したさくらんぼ500gを丁寧に水洗いし、水気をしっかり切ります。
- 次に、さくらんぼの種を取り除きます。種取り器があれば、果肉を傷つけずにきれいに種を取り除くことができます。種取り器がない場合は、カニフォークやストローなどで代用すると、簡単かつきれいに種を取り除くことができます。この工程は、完成後の食感に大きく影響するため、丁寧に行いましょう。
- 種を取り除いたさくらんぼの準備ができたら、鍋にグラニュー糖150gと水100ccを入れてシロップを作ります。砂糖が溶けて沸騰したら、種を取ったさくらんぼを鍋に入れ、弱火で10分ほど煮ます。さくらんぼがシロップに浸るように、優しく混ぜながら煮込みましょう。
- 煮終わったら火を止め、粗熱を取ります。粗熱が取れたら、大きめのタッパーなどの密閉容器にさくらんぼとシロップを移し替え、一晩冷蔵庫で寝かせます。この「寝かせる」工程で、さくらんぼにシロップの甘みがゆっくりと浸透していきます。
- 翌日、タッパーに入ったシロップだけを鍋に移し替え、さらにグラニュー糖50gを加えて煮詰めます。このとき、シロップは沸騰させますが、さくらんぼは鍋に戻しません。
- シロップが煮詰まったら火を止め、熱い状態のシロップを、前日に冷蔵庫で寝かせたさくらんぼが入ったタッパーに注ぎ入れます。
- 粗熱が取れたら、再び冷蔵庫で保管します。この「シロップを煮詰めて注ぎ、冷蔵庫で寝かせる」という作業を、合計で6日間繰り返します。時間のかかる作業ですが、この繰り返しによってさくらんぼの水分が徐々に抜け、シロップが果肉の奥までしっかりと浸透し、透明感のある美しいドレンチェリーへと変わっていきます。 7日目には、さくらんぼにシロップが十分に浸透し、透き通った状態になっているのが確認できるはずです。
- そして8日目に、ザルを使ってさくらんぼとシロップを分けます。ザルにあげたさくらんぼは、しばらくそのままにして、余分なシロップがしっかり切れるまで待ちます。 シロップが十分に切れたら、天板にクッキングシートを敷き、さくらんぼがくっつかないように間隔を空けて並べます。
- これを110℃に予熱なしのオーブンに入れ、30分間乾燥させます。乾燥の途中で、15分経ったら一度さくらんぼを裏返し、均一に乾燥させます。 オーブンでの乾燥後、さくらんぼがしっかり乾燥していれば完成です。
もし、まだ水分が残っているようなベタつきがある場合は、再度ザルにあけて半日ほど、風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。完全にベタつきがなくなったら完成です。完成したドレンチェリーは、量が多い場合は密閉容器に入れて冷凍庫で保管すると、長期間おいしさを保つことができます。オーブンでの乾燥後、さくらんぼがしっかり乾燥していれば完成です。もし、まだ水分が残っているようなベタつきがある場合は、再度ザルにあけて半日ほど、風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。完全にベタつきがなくなったら完成です。完成したドレンチェリーは、量が多い場合は密閉容器に入れて冷凍庫で保管すると、長期間おいしさを保つことができます。市販品のような鮮やかな色にしたい場合は、シロップを煮詰める際に食用の着色料(赤や緑)を少量加えてください。着色料を使わない場合、自然な濃い赤紫色に仕上がります
まとめ
この記事では、製菓材料として広く知られるドレンチェリーについてご紹介しました。お菓子作りでは、どちらかというと引き立て役になることが多いですが、その鮮やかな色合いと甘みは、数多くの焼き菓子やデザートに華やかさと深みを加える、なくてはならない存在です。ドレンチェリーについて初めて知ったという方も、ぜひこの機会にその魅力に触れて、手作りのお菓子やパンに取り入れてみてください。クリスマスやバレンタインといった特別なイベントはもちろん、いつものおやつ作りに彩りを添える「デコレーションの名脇役」として、ドレンチェリーはあなたのキッチンで大いに役立つはずです。
ドレンチェリーとは、どんな食品なのでしょうか?
ドレンチェリーとは、さくらんぼを砂糖で丁寧に煮詰めて水分を取り除き、さらに食用色素で赤や緑などの鮮やかな色に着色した加工食品です。「マラスキーノチェリー」とも呼ばれ、主にお菓子やパンのトッピング、または生地に混ぜ込む材料として用いられます。強い甘みと、独特のもっちりとした食感が特徴です。
ドレンチェリーが「美味しくない」と感じる人がいるのはなぜ?
ドレンチェリーが「美味しくない」と言われる主な原因は、その非常に強い甘さにあります。さくらんぼ本来の甘酸っぱさに加え、大量の砂糖で甘く煮られているため、そのまま食べると甘すぎると感じる方が多いようです。また、独特のねっとりとした食感が苦手だという意見もあります。そのため、甘さ控えめのお菓子に加えて、アクセントとして味わうのが良いでしょう。
自宅でドレンチェリーを作ることはできますか?
ご家庭でもドレンチェリーは作れます。材料はさくらんぼ、砂糖、水があれば大丈夫で、特別な道具もほとんど必要ありません。手間と時間はかかりますが、丁寧に作れば市販品とは違う、自家製ならではの風味豊かなドレンチェリーが楽しめます。具体的な作り方は、記事の中で詳しくご紹介します。
ドレンチェリーはどんなお菓子に使うのが良いですか?
ドレンチェリーはその美しい色を活かして、見た目を華やかにしたいお菓子にぴったりです。例えば、パウンドケーキやシュトーレンに入れたり、フルーツクッキーのアクセントにしたり、カップケーキやクリスマスケーキを飾ったり、パンの材料に混ぜ込んだりするのもおすすめです。また、しっとりとした食感をプラスしたい焼き菓子にもよく合います。













