鮮やかな赤色が食卓を彩るコケモモとクランベリー。どちらも酸味と甘みが特徴的なベリーですが、見た目や風味、栄養価には微妙な違いがあります。近年、健康志向の高まりとともに注目を集めるこれらのベリーについて、本記事ではそれぞれの特徴を詳しく解説。違いを知れば、用途や好みに合わせて最適なベリーを選べるようになるでしょう。選び方のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
はじめに:話題のスーパーフード、クランベリーとコケモモ
日本では、ベリー類といえばイチゴやブルーベリーがよく知られていますが、近頃は美容や健康への意識が高い層を中心に、クランベリーとコケモモへの関心が高まっています。これらのベリーは、抗酸化作用に優れたビタミンCや、ポリフェノールの一種であるケルセチンなど、美と健康をサポートする栄養成分を豊富に含んでいるからです。
クランベリーとコケモモ:基本データ
クランベリーとコケモモは、どちらもツツジ科スノキ属の植物であり、共通して「ツルコケモモ」と呼ばれることがあります。そのため、初めて見る人には区別が難しいかもしれません。どちらも寒さには非常に強く、-40℃の環境下でも生育できますが、高温多湿には弱いため、日本での栽培は容易ではありません。
原産種の違い
クランベリー(ツルコケモモ)は、ツツジ科スノキ属の常緑小低木で、地面を這うように枝を伸ばしていくのが特徴です。主にアメリカ合衆国(マサチューセッツ州、ニュージャージー州など)やカナダ(ブリティッシュコロンビア州など)で栽培されています。対照的に、コケモモもツツジ科スノキ属の常緑小低木ですが、高さは10~80cmほどで、北欧スカンジナビア半島、カナダ北東部、ロシアなどの寒冷地に自生しています。
外観上の違い
クランベリーとコケモモは、どちらも赤く艶やかな直径約1cmの丸い果実をつけます。見た目は非常によく似ていますが、コケモモの方がわずかに赤みが強い傾向があります。ただし、果実だけを見て判断するのは難しいでしょう。識別する際のポイントは、花の形に注目することです。クランベリーの花は花びらが後ろ側に強く反り返るような形をしているのに対し、コケモモはブルーベリーに似た釣鐘型の花を咲かせます。
旬の時期の違い
クランベリーは、主に9月から11月にかけて旬を迎えます。原産地である北米やカナダでは生のクランベリーが出回りますが、日本では栽培が少ないため、生の状態でお目にかかる機会は少ないでしょう。一般的には、カナダ産の乾燥クランベリーとして広く流通しています。一方、コケモモの旬は9月下旬から11月頃までで、雪解け後の春にも収穫されることがあります。特に、初冬の氷点下時や春先に収穫されたものは糖度が高いと言われています。
味の違い
クランベリーとコケモモは、どちらも生で食すと強い酸味と苦みがあり、そのまま食べるのには適していません。もし生のクランベリーを入手したら、たっぷりの砂糖を加えてジャムやフレッシュジュースにするのがおすすめです。ドライクランベリーは甘みが加えられているため、そのまま食べても美味しくいただけます。コケモモも同様に、砂糖を加えてジャムやソースなどにして食するのが一般的です。
値段の違い
冷凍クランベリーは、500gあたり1,000円弱でインターネット通販などでも購入可能です。乾燥クランベリーは1kgあたり1,500円前後で販売されており、お菓子作りなどによく利用されています。冷凍コケモモは1kgあたり2,000~3,000円程度で販売されています。製菓材料としては、10gあたり500円程度で手に入れることができます。
クランベリーの栄養価と健康効果
クランベリーは、アメリカ先住民の時代から食用、薬用、そして染料として用いられてきた果実です。直径1.5cmほどの小さな赤い実には、豊富な栄養素が詰まっています。特に、アントシアニンやポリフェノールが豊富に含まれており、以下のような健康効果が期待されています。
- 抗酸化作用:アントシアニンやポリフェノールは、強力な抗酸化作用があり、がん予防やアンチエイジングに役立つと言われています。
- 腸内環境の改善:食物繊維の一種であるペクチンが豊富に含まれており、整腸作用や便秘の解消を助けます。
- 血糖値の調整:ペクチンには、コレステロール値や血糖値を下げる効果も期待されています。
- 尿路感染症の予防:クランベリーに含まれる特定の成分が、細菌が尿路に付着するのを防ぎ、膀胱炎などの尿路感染症の予防に効果があるとされています。
- 美肌効果:抗酸化作用によって、肌の老化を抑制し、美肌効果も期待できます。
コケモモの栄養価と健康効果
コケモモは、クランベリーと同様に、栄養成分が豊富に含まれる果実です。特に注目すべきは、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンが豊富である点です。これにより、以下のような健康への貢献が期待されています。
- 優れた抗酸化作用:プロアントシアニジンは、一般的なアントシアニンと比較して、より強力な抗酸化作用を発揮するとされています。
- コラーゲン産生サポート:プロアントシアニジンは、皮膚、骨、血管などの健康維持に重要なコラーゲンの生成を助ける働きがあります。
- メラニン生成の抑制:シミの原因となるメラニンの生成を抑える効果が期待できます。
- 生活習慣病の予防:抗酸化作用によって、動脈硬化や高血圧といった生活習慣病の予防に役立つ可能性があります。
まとめ
クランベリーとコケモモは、見た目は似ていますが、それぞれ異なる特徴と栄養価を持つ魅力的なベリーです。生のままでは酸味が強いため、ジャムやジュース、ドライフルーツなど、様々な方法で美味しく調理して楽しみましょう。日々の食生活に積極的に取り入れて、美容と健康の維持に役立ててみてはいかがでしょうか。