夏みかんと甘夏の違いとは?味・旬・特徴を徹底比較!
夏みかんと甘夏、スーパーでよく見かける柑橘類ですが、見た目がそっくりで違いが分かりにくいですよね。「同じものなの?」と思ったことがある方もいるかもしれません。実はこの二つ、それぞれ異なる品種の柑橘なんです。この記事では、夏みかんと甘夏の知られざる違いを徹底比較!味や旬、特徴を詳しく解説し、それぞれの魅力を深掘りします。この記事を読めば、あなたも夏みかんと甘夏の違いを見分け、その日の気分や用途に合わせて最適な方を選べるようになるはずです。

夏みかんと甘夏、違いは何?

夏みかんと甘夏は見た目がよく似ていますが、違いを知る上で大切なのは「味」と「旬の時期」です。この2つを知っていれば、どちらの品種か見分けやすくなります。夏みかんは、強い酸味が特徴で、その爽やかさが夏を感じさせてくれます。一方、甘夏は酸味がマイルドで、甘みとほのかな苦みが調和した、さっぱりとした甘酸っぱさが魅力です。旬の時期は、甘夏が2月~6月頃に出回るのに対し、夏みかんは4月~7月頃に旬を迎えます。春先に見かけることが多いのは甘夏、夏に見かけるのは夏みかんと覚えておくと良いでしょう。見た目が似ているのは、甘夏が夏みかんの木から生まれた突然変異種だからです。そのため、外見上の特徴である、オレンジ色の厚い皮、表面の質感、果肉を包む厚い薄皮などは共通しています。しかし、わずかな違いが、味や旬の時期に違いをもたらしているのです。それぞれの風味や旬の時期を意識して食べ比べてみると、柑橘類の奥深さを知ることができるでしょう。

夏みかんとは

夏みかんと聞くと、夏の味覚を思い浮かべる方も多いでしょう。夏みかんは、日本の柑橘類の中でも歴史が長く、独特の風味と個性で知られています。単なる果物としてだけでなく、食文化や地域経済にも深く関わっています。夏みかんの正式名称は「夏橙」または「夏代々」です。「代々」という名前には、面白い由来があります。通常、果物は実が熟したら収穫しますが、夏みかんは前年に実った果実を収穫せずにいると、新しい実と前の年の実が同じ木に同時に実ることがあります。「二代の実が同じ木になる」様子が、子孫代々続くことを連想させるため、縁起物として「夏代々」と名付けられました。この名前は、夏みかんが日本の伝統や文化と深く結びついていることを示しています。夏みかんのルーツは1700年頃に遡ります。日本の柑橘栽培の歴史の中でも古い品種で、山口県が発祥の地と言われています。山口県の海岸に漂着したブンタンの血を引く柑橘の種子が芽生え、それが夏みかんの始まりになったという言い伝えがあります。ブンタンの血を引いているため、夏みかんは大果柑橘として知られ、果実が大きいのが特徴です。このように、夏みかんは名前、歴史、ルーツにおいて、日本の風土と文化が育んだ特別な柑橘類と言えるでしょう。

夏みかんの味・食感

夏みかんの魅力は、何と言ってもその「強い酸味」です。一口食べると、口の中に広がる酸味は、夏の暑さを忘れさせてくれるような爽快感をもたらします。ただ酸っぱいだけでなく、柑橘類ならではの芳醇な香りと、ほどよい甘みも感じられるため、奥深い味わいを楽しむことができます。果肉はみずみずしく、一粒一粒がしっかりとしていて、口の中で弾けるような食感が特徴です。この食感は、夏みかんがブンタンの血を引いていることの証と言えるでしょう。果汁もたっぷりで、喉を潤し、リフレッシュさせてくれます。香りも夏みかんの魅力の一つです。皮を剥いた瞬間に広がるフレッシュな香りは、食欲をそそるだけでなく、気分転換にもなります。強い酸味と芳醇な香り、そして独特の食感が合わさることで、夏みかんは他の柑橘類とは違う個性的な存在として愛されています。酸味が好きな方にとって、夏みかんの味わいはたまらないでしょう。ただし、酸味が強いため、そのまま食べるよりも加工品として使われることが多いのも特徴です。

夏みかんの見た目の特徴と食べ方

夏みかんは、その存在感のある外観も魅力の一つです。一般的に、一つの果実の重さは400gから500g程度で、他の柑橘類と比較しても大きめのサイズです。外皮は鮮やかなオレンジがかった黄色で、見た目にも豊かな実りを連想させます。表面はやや凸凹があり、触るとその厚みが感じられます。この厚い皮が、果肉をしっかりと保護しているのです。ただし、この厚い果皮は、食べる際には少し手間がかかる原因にもなります。また、果肉を覆うじょうのう(薄皮)も厚めで、そのままでは口に残ることがあり、食べづらいと感じる方もいるかもしれません。そのため、夏みかんを美味しく味わうには、工夫が必要です。まず、硬くて厚い外皮を手で剥くのは難しいため、包丁で丁寧に剥くことをおすすめします。外皮を剥いた後も、じょうのう(薄皮)を取り除く必要があります。房ごとに丁寧に剥くか、薄皮ごとカットしてスプーンなどで果肉を取り出すなど、食べやすいように工夫しましょう。この手間をかけることで、夏みかんのみずみずしい果肉と、独特の食感を存分に楽しめます。見た目も風味も個性的な夏みかんは、その準備の過程も、果物と向き合う楽しみの一つと言えるでしょう。

夏みかんの旬の時期と保存方法

夏みかんは、名前の通り「夏」に旬を迎える、少し珍しい柑橘類です。通常、4月から7月頃の初夏に市場に出回ります。みかんというと冬のイメージが強いかもしれませんが、夏にさっぱりとした味わいを楽しめるのが夏みかんなのです。夏みかんの栽培方法も特徴的です。秋の終わり頃には果実が黄色く色づき始めますが、この時点ではまだ酸味が強いため、すぐに食べるのには適していません。収穫後、しばらく貯蔵することで、徐々に酸味が和らぎ、まろやかな味わいに変化していきます。または、木に実をつけたまま春先から初夏まで完熟させることで、自然に酸味が抜け、より食べやすい状態になるまで待つこともあります。このように、収穫から出荷までの時間をかけることで、夏みかん独特の風味が生まれるのです。購入した夏みかんを美味しく保存するためには、いくつか注意点があります。すぐに食べきれない場合は、風通しの良い冷暗所で常温保存するのが基本です。より長く鮮度を保ちたい場合や、酸味を抑えたい場合は、冷蔵庫での保存がおすすめです。冷蔵庫に入れる際は、乾燥を防ぐために、一つずつビニール袋やラップで包んでから、野菜室で保存すると良いでしょう。適切な方法で保存することで、夏みかんの爽やかな風味を長く楽しむことができます。

夏みかんの主な生産地と地域性

夏みかんは、山口県が発祥の地とされており、古くから同県の特産品として知られています。山口県の温暖な気候と豊かな自然が、夏みかんの栽培に適した環境を提供してきました。特に山口県長門市は、夏みかんの種子が流れ着いたという伝説が残る場所であり、今も地域に根ざした特産品として大切に栽培されています。現在では、夏みかんの栽培地域は山口県にとどまらず、全国に広がっています。熊本県、鹿児島県、愛媛県など、温暖な気候が特徴の地域が主な生産地として知られ、これらの地域でも品質の良い夏みかんが豊富に生産されています。特に熊本県や鹿児島県は、夏みかんだけでなく、様々な柑橘類の栽培が盛んな地域であり、その技術と経験が夏みかんの品質向上にも貢献しています。このように、夏みかんは発祥の地である山口県で歴史を育みながら、日本各地で栽培されるようになり、それぞれの地域の気候や土壌の特性を生かした栽培が行われています。地域によって夏みかんの風味や特徴に違いがあるため、機会があれば産地ごとの味わいを比較してみるのも、夏みかんを楽しむ上での新たな発見になるでしょう。

夏みかんの用途と活用法

夏みかんは、特徴的な強い酸味と爽やかな香りを活かして、様々な用途で利用されています。そのまま生で酸味を楽しむ方もいますが、一般的には、その風味を活かした加工品や料理のアクセントとして使われることが多いです。最も一般的な活用法の一つは、フレッシュなジュースです。夏みかんの果汁を絞って作るジュースは、さっぱりとした酸味と清涼感が特徴で、暑い日にぴったりの飲み物です。また、夏みかんの強い酸味は砂糖との相性が良く、ジャムの材料としても最適です。夏みかんジャムは、甘さの中に酸味が感じられる奥深い味わいが魅力です。皮に含まれる独特の苦味も、ジャムに深みを与え、大人向けの味わいを醸し出します。さらに、ケーキ、タルト、ゼリーなどのお菓子作りにもよく使われます。夏みかんの酸味は、お菓子の甘さを引き締め、全体の味のバランスを整える効果があります。皮は、マーマレードの材料としてだけでなく、細かく刻んで料理の風味付けに使ったり、ピール(砂糖漬けの皮)としてお菓子に添えたりと、無駄なく活用できます。肉料理や魚料理に添えるソースの材料や、サラダのドレッシングに加えるなど、料理に爽やかな香りと酸味を加えるアクセントとしても優れています。夏みかんの皮にはビタミンCやクエン酸が豊富に含まれており、疲労回復、血行促進、免疫力アップなどの効果も期待できます。皮まで余すことなく利用することで、その栄養を最大限に得ることができます。このように、夏みかんは生で食べるだけでなく、加工することでさらに魅力が広がる、多用途な柑橘類です。

甘夏の魅力

甘夏は、その甘酸っぱい味わいで広く知られていますが、正式には「川野夏橙(カワノナツダイダイ)」という名前を持っています。これは、夏みかんの改良品種であることと、発見者である川野氏の名前に由来します。甘夏の誕生は、柑橘栽培の歴史における偶然の賜物であり、重要な出来事でした。昭和10年(1935年)頃、大分県で栽培されていた夏みかんの木から、突然変異によって生まれたのです。この変異種は、元の夏みかんよりも早く色づき、酸味が抜けやすいという特徴を持っていました。この「酸味が少ない」という点が、「甘夏」と呼ばれるようになった理由の一つです。夏みかんの強い酸味が苦手な人や、手軽にそのまま食べたいというニーズに応え、甘夏は人気を集め、広く流通するようになりました。甘夏は、夏みかんの良さを引き継ぎながら、より穏やかで親しみやすい味を実現し、日本の柑橘類の中で特別な地位を築いています。その背景には、自然の偶然と、発見し育てた人々の努力があります。これにより、私たちは夏みかんとは異なる、新たな夏の味覚を堪能できるようになったのです。

甘夏の味と食感

甘夏は、名前の通り、夏みかんに比べて酸味が穏やかで、甘さが際立つ柑橘です。酸味が苦手な人でも比較的食べやすいのが特徴で、生食に最適です。口にすると、まず爽やかな甘みが広がり、その後に心地よい酸味が感じられます。この甘みと酸味の調和が、甘夏ならではの「さわやかな甘酸っぱさ」を生み出しています。また、甘夏には、ほのかな苦味も含まれています。これは夏みかんに似たものですが、甘夏の場合は甘さの中にわずかに感じられる程度で、風味に深みと複雑さを与えるアクセントとして機能します。この苦味が、甘夏を単なる甘い柑橘で終わらせず、独特の味わいを確立していると言えるでしょう。食感もまた、甘夏の魅力の一つです。果肉はみずみずしく、口に入れるとたっぷりの果汁が溢れ出します。果肉の粒は大きめで、弾けるような食感を楽しむことができます。この食感が、甘夏をそのまま食べる際の満足感を高めます。甘み、酸味、そしてほのかな苦味が調和した甘夏は、新鮮なうちにそのまま食べることで、その美味しさを最大限に堪能できます。みずみずしい食感と複雑な風味が一体となった甘夏は、一度食べたら忘れられない柑橘類です。

甘夏の見た目と食べ方

甘夏の見た目は、夏みかんを起源とするため、非常によく似ています。外皮は鮮やかなオレンジがかった黄色で、太陽の光をたっぷり浴びたような印象を与えます。表面はゴツゴツとしており、滑らかな柑橘類とは異なり、凹凸があるのが特徴です。また、果皮は厚く、果肉をしっかりと保護しています。サイズは夏みかんよりやや小さいことが多いですが、個体差があるため、見ただけで区別するのは難しいこともあります。ただし、よく見ると甘夏の方がやや艶がある傾向があります。甘夏の食べ方も、夏みかんと同様に工夫が必要です。厚くて硬い皮は手で剥きにくいため、包丁を使うのが一般的です。皮を剥いた後も、果肉を包むじょうのう(薄皮)が厚く、そのままでは口に残ることがあります。そのため、薄皮を剥いてから食べるか、一口大にカットしてスプーンで果肉をすくい取るのがおすすめです。この手間をかけることで、甘夏の瑞々しい果肉と食感を存分に楽しむことができます。美しい見た目と、手間をかけた分だけ美味しく味わえる点が、甘夏を特別な果物としています。

甘夏の旬と保存方法

甘夏の旬は、冬の終わりから初夏にかけて、具体的には2月から6月頃です。暖かくなり始める春先に、甘さと爽やかな酸味を持つ甘夏は、季節の変わり目にぴったりの味覚として人気を集めます。夏みかんよりも酸味が抜けやすいため、比較的早い時期から市場に出回ります。特に、甘みが強いものが好みなら、旬の終わりの初夏に近づく頃の甘夏を選ぶのがおすすめです。この時期には、樹上で完熟が進み、酸味が落ち着いて糖度が高まるため、より甘く美味しい甘夏を味わえます。甘夏は、収穫後すぐに食べても美味しいですが、購入後数日間、涼しく風通しの良い場所に置いて追熟させることで、酸味が和らぎ、甘みが増すことがあります。適切な保存方法も重要です。すぐに食べきれない場合は、直射日光を避け、涼しく乾燥しない場所で保管してください。冷蔵庫で保存する場合は、一つずつビニール袋やラップで包んで野菜室に入れると、乾燥を防ぎ、鮮度を長く保てます。ただし、冷やしすぎると風味が損なわれることがあるため、食べる少し前に冷蔵庫から出して、常温に戻してから食べるのがおすすめです。旬の時期と保存方法を工夫することで、甘夏の風味を最大限に引き出して楽しむことができます。

甘夏の主な生産地と地域性

甘夏は、ある時夏みかんから生まれた品種で、その発祥の地は大分県です。昭和初期に発見されて以来、その栽培は全国へと広がり、今では様々な場所で育てられています。特に、鹿児島県、熊本県、愛媛県、和歌山県といった温暖な地域が主な産地として知られています。これらの地域は、日当たりが良く、柑橘類の成長に必要な条件が揃っているため、品質の良い甘夏が育ちやすいのです。中でも、鹿児島県と熊本県は、甘夏の生産量の多くを占めており、その実績は全国トップクラスです。これらの地域では、長年培ってきた栽培技術を活かし、安定した品質の甘夏を消費者に届けています。鹿児島県では、温暖な気候を利用して、通常よりも早く収穫できる「早生甘夏」の開発も行われています。また、愛媛県や和歌山県も、様々な種類の柑橘類を栽培しており、甘夏もその一つとして大切に育てられています。それぞれの地域で、気候や土壌、栽培方法が異なるため、甘夏の味や風味にも微妙な違いが生まれます。例えば、日当たりの良い斜面で育った甘夏は甘味が強く、海に近い場所で育ったものは、潮風の影響で独特の風味を持つと言われています。このように、甘夏は大分県から全国各地へと広がり、それぞれの土地の個性を反映した多様な味わいを楽しめるようになりました。産地ごとの甘夏を味わい比べてみるのも、甘夏の新たな魅力を発見する良い機会になるでしょう。

甘夏の用途と活用法

甘夏は、その特徴である「程よい酸味と、それを上回る甘さ」から、生のまま食べるのが一番人気のある食べ方です。口に含むと、みずみずしい果肉から爽やかな甘酸っぱさが広がり、後からほのかな苦味が感じられる、絶妙なバランスが楽しめます。特に、冷やして食べると、そのジューシーさと爽やかさが際立ち、より美味しく味わうことができます。果肉の粒が大きく、ぷちぷちとした食感も、生で食べる時の満足感を高めるポイントです。生のまま食べるだけでなく、甘夏はその風味を活かして、様々な食品に加工されています。例えば、搾りたての「ジュース」は、甘夏の自然な甘さと酸味が凝縮された、贅沢な味わいです。また、果皮のほろ苦さと果肉の甘酸っぱさを組み合わせた「ジャム」や「マーマレード」は、パンやヨーグルトに添えたり、デザートのトッピングとして楽しまれています。甘夏のジャムは、甘すぎず、すっきりとした上品な後味が特徴です。さらに、「ケーキ」や「タルト」、「ゼリー」などのスイーツにもよく使われます。甘夏の爽やかな香りが、スイーツ全体を軽くし、甘さを引き立てる効果があります。サラダに加えれば、彩りとフレッシュな酸味をプラスできますし、鶏肉や魚料理のソースとして使えば、風味豊かな一品に仕上がります。甘夏の皮にはビタミンCやクエン酸が豊富に含まれており、疲労回復や免疫力アップなどの効果も期待できます。そのため、皮を砂糖漬けにしたピールをお菓子に使ったり、細かく刻んで料理の風味付けに使うのもおすすめです。このように、甘夏は生のまま食べるだけでなく、加工品や料理にも幅広く活用できる、とても魅力的な柑橘類です。

購入時に役立つ!夏みかんと甘夏の見分け方

夏みかんと甘夏は、見た目がよく似ているため、お店でどちらを買おうか迷ってしまう人もいるかもしれません。どちらもオレンジ色の厚い皮を持ち、表面には凹凸があるため、見た目だけで判断するのは難しいでしょう。しかし、いくつかのポイントを知っておけば、購入する際に役立ちます。最も確実な方法は「市場に出回る時期」を確認することです。そして次に、「味の違い」を知っておくと良いでしょう。見た目にもわずかな違いはありますが、個体差があるため、それだけで判断するのは難しいかもしれません。これらのポイントを総合的に考慮することで、欲しい柑橘類を間違いなく選び、満足のいく買い物をすることができます。

最も確実な見分け方:旬の時期

お店で夏みかんと甘夏を見分けるための、最も信頼できる方法は、「旬の時期」を確認することです。この二つの柑橘類は、旬の時期が異なるため、それが判断材料になります。甘夏の旬は、冬の終わりから春にかけての2月頃から6月頃までです。夏みかんに比べて酸味が早く抜けるため、比較的早い時期から市場に出回ります。特に2月や3月といった時期に店頭で見かける大きな柑橘は、ほとんどが甘夏と考えて良いでしょう。一方、夏みかんの旬は、初夏にあたる4月頃から7月頃までです。「夏」に旬を迎える柑橘として、その爽やかな酸味を楽しむことができます。6月や7月に入手できるものは、ほぼ夏みかんだと思って良いでしょう。ただし、注意したいのは、4月から6月頃は、甘夏と夏みかんの旬が重なる時期であることです。この時期には、どちらの品種も店頭に並んでいる可能性があるため、時期だけで判断するのは難しいかもしれません。そのため、この時期に購入する際は、次に説明する「味の傾向」や、可能であれば産地の情報を参考にするのがおすすめです。旬の時期を把握することは、新鮮で美味しい夏みかんや甘夏を選ぶための基本と言えるでしょう。

夏みかんと甘夏の味の違い

夏みかんと甘夏を区別する上で、旬の時期と並んで大切な要素が「味わいの特徴」です。実際に食べ比べてみるのが一番分かりやすいですが、それぞれの味を知っておけば、購入時の期待を裏切られることも少なくなるでしょう。夏みかんの最大の特徴は、何と言っても「際立つ酸味」です。一口食べると、口の中に広がるシャープな酸味は、夏の暑さを忘れさせるような爽やかさをもたらします。甘みもわずかに感じられますが、酸味が圧倒的に勝っており、そのコントラストが夏みかんの個性を引き立てています。この強い酸味と豊かな香りが、夏みかんを「夏の味」として印象付けているのです。そのため、生で食べるには酸っぱすぎると感じる人も多く、ジュースやジャム、お菓子などの加工品として利用されることが多いです。対照的に、甘夏は「酸味が穏やかで、甘みが際立つ」のが特徴です。夏みかんから生まれた品種ですが、酸味は控えめで、甘みの中にほのかな苦みが広がる「すっきりとした甘酸っぱさ」を堪能できます。このバランスの取れた味わいが、甘夏を生食に適した柑橘にしています。甘夏の苦みは、後味に奥行きと清涼感を与え、単調な甘さで終わらない上品な風味を生み出しています。もし、購入した柑橘をそのまま味わいたい場合は、甘みが強く酸味がマイルドな甘夏を選ぶのが良いでしょう。反対に、料理やお菓子作りに強い酸味を活かしたい、あるいは、キリッとした爽快感を求める場合は、夏みかんが最適と言えます。このように、味の特徴を理解しておくことで、自分の好みや用途に合った最適な柑橘類を選ぶことができるのです。

見た目の微妙な差

夏みかんと甘夏は、一見すると区別が難しいほどよく似ているため、混同されがちです。両方とも、太陽を浴びたような鮮やかなオレンジ色の皮と、表面のゴツゴツとした凹凸、そして厚い果皮が共通点として挙げられます。しかし、よく観察すると、わずかな違いが見られることもあります。例えば、一般的に甘夏の方が夏みかんに比べて「少し小さい」ことが多いとされています。また、甘夏の方が全体的に「やや光沢がある」傾向が見られることもあります。夏みかんの皮はマットな質感で、凹凸がはっきりしていることが多いのに対し、甘夏はやや滑らかに見える場合があります。ただし、これらの見た目の特徴は、栽培環境や個体差、収穫時期によって大きく異なるため、見た目だけで夏みかんと甘夏を確実に区別するのは難しいと言えます。例えば、同じ甘夏でも、木の上で十分に熟したものや、特定の土壌で育ったものは、平均よりも大きく育ったり、皮の質感が異なったりすることがあります。そのため、見た目の違いは参考程度にとどめ、最も確実な見分け方としては、前述の「流通時期」や、可能であれば「味の特徴」で判断することをおすすめします。お店で果物を選ぶ際には、見た目の美しさだけでなく、その背景にある旬や味の特徴を考慮することで、より満足度の高い買い物ができるでしょう。

まとめ

夏みかんと甘夏は、見た目はそっくりですが、そのルーツ、味、旬の時期、そしておすすめの食べ方において、それぞれ異なる個性を持つ柑橘類です。夏みかんは1700年代に山口県で発見されたブンタンの血を引く品種で、正式名称は「夏橙」または「夏代々」と言います。「際立つ酸味」と「プチプチとした果肉の食感」が特徴で、旬は4月から7月頃の「初夏」です。加工品、特にジュースやジャム、お菓子作りにその爽やかな酸味と香りが活かされます。一方、甘夏は昭和初期に大分県で夏みかんの突然変異として生まれた品種で、正式名称は「川野夏橙」です。夏みかんよりも酸味が穏やかで「甘みの中に独特のほろ苦さが調和した、さっぱりとした甘酸っぱさ」が特徴。旬は2月から6月頃の「冬から初夏」で、生でそのまま食べるのに最適です。
どちらも厚くてゴツゴツした皮と厚いじょうのうを持つため、手で剥くのは難しく、包丁でカットして薄皮を取り除いてから食べるのがおすすめです。購入する際は、2月~3月に店頭に並ぶのが甘夏、6月~7月に並ぶのが夏みかんと覚えておくと便利ですが、4月~6月は旬が重なるため、味の好みで選ぶと良いでしょう。甘くてそのまま食べたいなら甘夏、強い酸味を活かして加工品を楽しみたいなら夏みかんがおすすめです。例えば、オーガニックの甘夏を使用したジャムは、無農薬の甘夏と甜菜糖のみで作られ、皮に含まれるビタミンCやクエン酸が疲労回復や免疫力向上に役立ちます。
また、無農薬で保存料・甘味料無添加の甘夏みかんジュースは、素材本来の風味を堪能できます。有機JAS認証を受けたドライフルーツ(はっさく、伊予柑など)も無香料・無着色・砂糖不使用で販売されており、これらの商品を通じて、夏みかんや甘夏の新たな魅力を発見できるかもしれません。これらの違いを理解し、ご自身の好みや用途に合わせて最適な柑橘類を選ぶことで、季節ごとの豊かな味わいを存分にお楽しみください。

夏みかんと甘夏は見た目以外に何が違いますか?

夏みかんと甘夏の主な違いは「味」と「旬の時期」です。夏みかんは、際立つ強い酸味が特徴で、4月~7月の初夏に旬を迎えます。対して、甘夏は夏みかんに比べて酸味が穏やかで、甘みの中に独特のほろ苦さが調和した、さっぱりとした甘酸っぱさが魅力で、2月~6月の冬から初夏にかけて旬となります。見た目はどちらもオレンジ色の厚くゴツゴツした皮を持つため、区別が難しいです。

生で食べるなら甘夏?夏みかん?

生食するなら、甘夏がおすすめです。甘夏は夏みかんに比べて酸味が控えめで、甘さが際立っているため、皮をむいてそのまま美味しくいただけます。夏みかんは酸味が強いため、生で食べるよりも、ジュースやジャム、お菓子などの加工品として利用されることが多いです。

夏みかんと甘夏の見た目の違いは?

一番確実な見分け方は、店頭に並ぶ時期で見分ける方法です。2月から3月頃によく見かけるのは甘夏で、6月から7月頃に出回るのは夏みかんです。ただし、4月から6月は両方の旬が重なる時期なので、見た目だけで判断するのは難しい場合があります。その場合は、味を参考に、強い酸味があるものが夏みかん、穏やかな甘酸っぱさがあるものが甘夏と考えると良いでしょう。

夏みかんや甘夏の皮は食べられる?

夏みかんも甘夏も、皮は厚く苦味があるため、そのまま食べるのは一般的ではありません。しかし、皮にはビタミンCやクエン酸が豊富に含まれているので、マーマレードやジャム、ピール(砂糖漬け)などに加工して美味しく活用できます。細かく刻んで、料理の香りづけに使うのもおすすめです。

甘夏の保存方法について

甘夏は、すぐに食べきれない場合は、風通しの良い冷暗所で常温保存するのが基本です。さらに長く保存したい場合は、一つずつビニール袋やラップで包んで乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室で保存すると良いでしょう。ただし、冷やしすぎると風味が落ちる可能性があるので、食べる少し前に冷蔵庫から出して、常温に戻してから食べると、より美味しく味わえます。

夏みかん と甘夏の違い