牛乳が原因?下痢と乳糖不耐症の関係性を探る

牛乳を飲んだ後にお腹の不調、特に下痢を経験したことがある人は少なくありません。この現象の裏に潜む原因の一つに「乳糖不耐症」があります。乳糖不耐症とは、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化する能力が低下している状態で、日本人にも多く見られます。では、なぜ牛乳を飲むことで下痢が起こるのでしょうか?この記事では、乳糖不耐症のメカニズムやその対策について詳しく探っていきます。

ラクトース不耐症

乳糖不耐症は、ラクターゼという消化酵素が不足するために乳糖を適切に消化できず、下痢や腹痛を引き起こす状態です。

この症状は、酵素不足が原因です。

子どもでは、下痢や体重が増えにくいことが見られ、大人では、お腹が張ったり、けいれん痛、下痢、ガスが溜まる、吐き気などの症状があります。

診断は、乳製品摂取後に症状が出ることで行い、水素呼気試験で確認できます。

治療法としては、ラクターゼのサプリを摂取し、乳製品に含まれる乳糖を避けることが推奨されます。

乳糖は主に牛乳や乳製品に含まれる糖で、ラクターゼという酵素によって分解されます。ラクターゼは乳糖をグルコースとガラクトースに分解し、この二つの単糖は腸から血液に吸収されます。ラクターゼ不足だと、乳糖が消化吸収されず、水様性下痢を引き起こします。その後、未消化の乳糖が大腸で発酵してガスを生じさせ、腹部膨満感や差し込む痛みを引き起こします。

牛乳アレルギーは乳糖不耐症とは異なり、牛乳を消化できても、牛乳中のタンパク質がアレルギー反応を誘発するために起こります。これは通常小児に見られます。

乳糖不耐症が発生するメカニズム

赤ちゃんの時期にはラクターゼが豊富にあり、母乳やミルクを消化する能力があります。しかし、大半の人種では(例:黒人やヒスパニック系で80%、アジア系で90%以上)離乳後にラクターゼが減少します。ラクターゼが減ると、これらの人種の年長者や成人は多量の乳糖を処理しにくくなります。一方、北西ヨーロッパにルーツを持つ白人の約80~85%は、一生を通じてラクターゼを生産し続けるため、成長しても乳製品を摂取できます。米国の民族多様性を考えれば、この国では3000万~5000万人が乳糖不耐症である可能性があります。実は、乳糖不耐症という状態が世界人口の75%以上にとって普通であるという事実は興味深いです。

腸管感染症のような疾患によって小腸の粘膜が傷付くと、一時的な乳糖不耐症を引き起こすことがあります。しかし、病気が治れば、再び乳糖を処理できるようになります。

乳糖以外の糖にも不耐症が起こることがありますが、その発生頻度は低いです。例えば、スクラーゼが不足するとショ糖が血中に吸収されづらくなり、マルターゼやイソマルターゼが不足するとマルトースの分解吸収が妨げられます。

乳糖不耐症で見られる症状

乳糖不耐症があると、通常、牛乳やその他の乳製品を摂取することが難しくなります。大人の場合、牛乳を250〜375ミリリットル以上飲むと症状が現れることが多いです。胃腸の不調を感じる経験があると、意識的または無意識的に乳製品の摂取を控えることがあります。

小児の乳糖不耐症では下痢が起こり、食事に牛乳が含まれていると体重が増えない可能性があります。

大人では、乳糖を含む食品を食べてから30分から2時間後に、お腹が張ったり、けいれん痛や水様性下痢、ガスが溜まること、吐き気、腹の鳴る音が聞こえることがあります。一部のケースでは重度の下痢によって、栄養が体内から速やかに排出され、適切に吸収されないこともありますが、通常の乳糖不耐症の症状は軽度です。これに対し、セリアック病や腸感染症などによる吸収不良の症状はより深刻です。

ミルクアレルギー

幼児が牛乳アレルギーを持っている場合、牛乳や乳製品を摂取後にかゆみや発疹、喘鳴といった症状が現れることがあります。これらの症状は、他のアレルギー反応と似た特徴を持っています。さらに、一部の幼児では嘔吐や腹痛、時には下痢などの消化器系の異常が見られることがあります。

一方で、大人における牛乳アレルギーは非常にまれであり、場合によっては嘔吐や胃酸の逆流といった症状が発生することもあります。

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