家庭菜園に最適なニラは、一度植えれば多年に渡り収穫できる魅力的な野菜です。独特の香りは食欲をそそり、ビタミン豊富な緑黄色野菜として、日々の食卓を豊かに彩ります。炒め物から薬味まで、幅広い料理で活躍するニラを、自分で育ててみませんか?この記事ではニラ栽培テクニックを徹底解説。土作りから植え付け、収穫、そして株分けまで、ニラ栽培の全てを網羅し、初心者でも安心して美味しいニラを育てられるよう、丁寧にガイドします。
ニラの基本的な特徴と魅力:多年草としての強みと豊富な収穫
ニラは中国原産の多年草で、一度植えれば数年間収穫できるのが大きな特徴です。丈夫で育てやすく、刈り取ってもすぐに新しい葉が伸びてきます。独特の香りは料理の風味を引き立て、炒め物、おひたし、スープ、餃子など、幅広い料理に利用されます。栄養も豊富で、ビタミンA、C、E、K、カルシウム、鉄分、食物繊維などがバランス良く含まれています。特に、アリシンは疲労回復や消化促進、殺菌作用などの効果が期待できます。葉だけでなく、初夏には花茎も食用となり、「花ニラ」として販売されています。ニラの生育は春から夏にかけて活発ですが、適切な管理でほぼ一年中収穫可能です。夏に花が咲き、冬には地上部が枯れますが、春と秋に収穫できます。通常、一度植えると年間5~6回の収穫が可能で、家庭菜園初心者にもおすすめです。ただし、3~4年で根が密集し品質が低下するため、株分けをして植え替えるのが理想的です。
食用ニラと観賞用ハナニラの重要な違い:誤食を防ぐために
観賞用として栽培される「ハナニラ」は、食用ニラとは全く異なる植物です。葉の形状が似ているため間違えやすいですが、ハナニラには毒性を持つ種もあり、誤って摂取すると体調不良を引き起こす可能性があります。ニラの種や苗を購入する際は、必ず「食用」であることを確認し、ハナニラと区別して管理してください。小さなお子様がいる家庭では、誤食を防ぐために注意を促し、栽培場所を分けるなどの対策が必要です。
ニラの栽培カレンダー:年間を通じた生育サイクルと管理
ニラの栽培時期は地域や品種によって異なります。近年の気候変動も考慮し、状況に応じて時期を調整しましょう。
一般的な栽培サイクルでは、3月に種をまき、6月に畑に植え付けます。1年目は収穫せずに株を育て、2年目以降の春から秋に収穫します。適切な管理で、秋までに3~5回の収穫が可能です。
ニラは多年草ですが、3年を目安に株分けを行い、別の場所に植え替えるのが理想的です。これにより、株の活力を維持し、長期にわたって良質なニラを収穫できます。
家庭菜園でニラを育てるための基本と最初のステップ
ニラはその強靭さと育てやすさから、家庭菜園に最適な野菜と言えるでしょう。食卓を豊かにするニラを、ご自身の庭で育ててみませんか?ここでは、ニラを元気に育てるための基礎知識と、種まきから植え付けまでの初期段階を詳しく解説します。
ニラ栽培に最適な環境:温度、日当たり、水はけ
ニラの生育適温は20℃~25℃で、温暖な気候を好みます。栽培場所は、日当たりが良く、水はけの良い場所を選びましょう。日当たりの良い場所での栽培が基本ですが、夏の強い日差しに長時間さらされると、葉が硬くなり風味が落ちることがあります。そのため、真夏には日よけネットを使用したり、プランター栽培の場合は半日陰に移動するなど対策が必要です。ニラは一度植えると4年~5年は同じ場所で栽培できる多年草です。最初の植え付け場所は、日当たり、水はけ、将来的な株の広がりを考慮して慎重に選ぶことが、長期栽培の成功に繋がります。
ニラの生育を良くする土作り:地植えとプランター栽培のコツ
ニラの健康な生育と豊かな収穫には、適切な土作りが欠かせません。地植えの場合は、植え付けの2週間前までに苦土石灰を畑の土に混ぜて酸度を調整し、堆肥を加えて深く耕します。ニラは酸性土壌を嫌うため、pH6.0~6.5を目安に調整しましょう。堆肥をたっぷり加え、深く耕すことで、土壌の水はけ、保水性、栄養状態が改善されます。植え付けの1週間前には、元肥として緩効性肥料を施しましょう。「今日から野菜 野菜を育てる肥料」や「マイガーデンベジフル」など、野菜の生育に必要な成分と有機成分がバランス良く配合されたものがおすすめです。これにより、ニラは初期段階から健全に成長できます。排水性と通気性を確保するために、畝を立てることも重要です。ニラは多年草なので、邪魔にならない畑の隅などを選びましょう。プランター栽培では、市販の野菜用培養土が便利です。「今日から野菜 野菜を育てる土」のような天然素材と有機原料を豊富に含む培養土を選べば、初心者でも安心して栽培を始められます。培養土には必要な栄養素があらかじめ配合されているため、すぐに植え付け作業に取り掛かれます。
種まき時期と初心者向けのアドバイス
ニラの種まきに適した時期は、春の3月~4月、または秋の9月です。この時期に種まきをすると、発芽率が高くなり、生育も順調に進みやすくなります。家庭菜園初心者には、気候が安定し管理しやすい春まき(3月~4月)がおすすめです。春に苗を育て始めれば、夏に十分に成長し、秋から収穫を開始できるでしょう。
地植えとプランターでの種まきの違い
ニラを畑に直接植えて大規模に栽培する場合、一般的には屋外に苗床を作り、そこで苗を育てます。ある程度苗が大きくなったら、準備しておいた畑に植え替えることで、広い範囲での効率的な栽培が可能です。一方、プランターやコンテナで栽培する場合は、苗を育てる手間を省き、プランターに直接種をまく方法で問題ありません。これにより、手軽に家庭菜園を始めることができます。
苗床の準備:育苗用の畑やプランター
ニラの種から苗を育てる場合、まず苗床の準備から始めましょう。地植えで広範囲に栽培する場合は、屋外に育苗用の畑を作ります。この苗床には、あらかじめ石灰、堆肥、元肥を適切に混ぜて深く耕し、表面を平らにならしておくことが大切です。こうすることで、苗が健全に成長するための基盤ができます。栽培量が少ない場合や、手軽に始めたい家庭菜園の場合は、プランターや育苗箱に培養土を入れて苗作りをすると、場所を選ばずに手軽に育苗できます。
すじまきと育苗中の管理:発芽から丈夫な苗作りまで
地植えでもプランター栽培でも、種をまく際は「すじまき」という方法がおすすめです。これは、深さ1cm程度の浅い溝を作り、その溝に沿って種を1〜2cm間隔でまいていく方法です。複数の溝を作る場合は、溝の間隔を約15cmほど空けることで、苗が成長した際に十分なスペースを確保し、風通しを良くすることができます。種が重ならないように注意しながらまき、その後、薄く土を被せて軽く押さえます。種まきが終わったら、土全体が湿るようにたっぷりと水をあげましょう。水やりは、種が流れないように霧吹きを使うか、シャワー状のジョウロで優しく行うのがポイントです。土が乾燥すると発芽率が低下するため、種まき後は不織布などをかけておくと良いでしょう。適切に種まきと管理を行えば、種まきから約2週間前後でニラの可愛らしい新芽が出始めます。発芽後は不織布を取り外し、成長の良い元気な苗を選んで残し、生育の悪いものや密集しているものを間引いていきましょう。最終的に株間が1cm~2cmになるように調整することで、残った株に十分な栄養と光が届き、太くて丈夫なニラに育ちます。生育状況を見ながら、種まき後30日と60日の2回に分けて畝間に追肥を行い、草丈20cmほどの丈夫な苗に育てましょう。
市販の苗の利用:手軽に栽培を始める方法
種から育苗する手間を省きたい場合や、植え付ける本数が少ない場合は、苗の植え付け時期が近づくと園芸店やホームセンターなどで販売される市販の苗を利用するのも良いでしょう。市販の苗を使うことで、育苗にかかる時間や労力を大幅に減らし、手軽にニラの栽培を始めることができます。購入する際は、葉の色が良く、病害虫の兆候がない元気な苗を選びましょう。
植え付け時期と草丈の目安
種まきからおよそ80~90日が経過し、ニラの苗が20cmほどの高さに成長したら、畑やプランターへの植え付け準備を始めましょう。この頃になると、苗はしっかりと根を張り、新しい環境への順応性が高まっています。そのため、植え付け後の活着がスムーズに進みやすくなります。
束植えのメリットと具体的な植え付け手順
ニラの苗が20cm程度に育ったら、苗床から畑やプランターへ植え替える準備をします。スコップで丁寧に苗を掘り起こし、根を傷つけないように注意しましょう。植え付けの際は、畑に深さ10cmほどの溝を作り、株間を約30cm空けて、3株~5株をまとめて植える「束植え」がおすすめです。ニラは集団で育つことを好むため、単独で植えるよりも生育が促進されます。ただし、株が密集しすぎると大きく育ちにくくなるため、3~5株程度に留めるのがポイントです。束植えの際は、株同士の葉が重なり合い、日当たりや風通しを妨げないように間隔を調整しながら丁寧に植え付けます。株元の分岐部分が土に埋まらないよう、浅めに土をかぶせることを意識しましょう。深く埋めすぎると生育に悪影響を及ぼし、株が弱ってしまうこともあります。根が隠れる程度に浅く土をかぶせる「浅植え」を心がけましょう。植え付け後、植え溝が凹んだ状態になりますが、これは後に行う土寄せで調整します。植え付けから2~3週間ほどで根付き、苗がしっかりとしてきたら活着のサインです。定植時に溝が浅すぎると、1年目は生育が早いものの、2年目以降に根元の肥大した部分が地表に出て乾燥しやすくなるため、適切な溝の深さを意識しましょう。
ニラの長期栽培を成功させるための管理方法:安定した収穫のために
ニラは一度植えると長期間収穫できる多年草ですが、安定した栽培のためには日々の管理が重要です。適切な水やりや追肥、株の成長に合わせた土寄せを行うことで、美味しいニラを継続的に収穫できます。ここでは、ニラを健康に育て、豊かな収穫を長く楽しむための管理方法を詳しく解説します。
水切れと過湿の回避:ニラに最適な水やり頻度
ニラは水不足になると葉が硬くなり、食感が悪くなることがあります。土の表面が乾いているのを確認したら、たっぷりと水を与えましょう。ただし、ニラは多湿に弱いため、常に土が湿った状態は避けるべきです。土の表面が乾いたタイミングで水を与える「乾いたらたっぷりと」を心がけ、根腐れを防ぎましょう。プランター栽培の場合は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与え、受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。
季節に合わせた水やり:夏と冬の注意点
ニラの生育において、水やりは季節によって調整することが大切です。特に夏場は、強い日差しと高い気温で土が乾きやすいため、朝夕の涼しい時間帯に、場合によっては1日に2回水やりを行う必要があります。土の状態をこまめにチェックし、乾燥しているようなら水を与えましょう。一方、冬場は気温が低く、土の乾燥も遅くなるため、水やりの頻度をぐっと減らします。土の表面が乾いてから数日後に、日中の暖かい時間に水を与える程度で十分です。水のやりすぎは、冬の低温と相まって根腐れの原因となるため注意しましょう。
肥料不足のサインと追肥のタイミング
美味しいニラを収穫し続けるためには、適切な時期に肥料を与えることが欠かせません。肥料が不足すると、ニラの成長が鈍くなるだけでなく、葉の色が悪くなったり、硬くなって味が落ちることがあります。植え付けの際には、まず元肥をしっかりと与えることが重要です。その後、植え付けから1ヶ月ほど経過したら、追肥を開始しましょう。この時期はニラが活発に成長する時期なので、定期的な栄養補給が重要となります。
元肥・追肥におすすめの緩効性肥料
追肥には、「今日から野菜 野菜を育てる肥料」のように、元肥としても追肥としても使えて、効果がゆっくりと長く続く緩効性肥料がおすすめです。このような肥料は、肥料切れを起こしにくく、ニラが安定して栄養を吸収し、元気でおいしく育つのをサポートします。特に、庭植えの場合は、一度肥料を与えれば効果が長持ちする緩効性肥料は、管理の手間を減らすことができるという利点もあります。
収穫開始後の液体肥料による株の強化
ニラの収穫が始まったら、株をより強く育て、次の収穫に向けてエネルギーを補給するために、即効性のある液体肥料を併用すると効果的です。たとえば、「ハイポネックス原液」のような液体肥料を、1週間から10日に1回の間隔で与えることで、必要な栄養素がすばやく吸収され、株の回復と再生を促進します。これにより、何度も収穫する際の株の疲労を軽減し、安定した収穫量と品質を維持することができます。
秋の追肥:翌年の収穫量を大きく左右する重要な手入れ
ニラの栽培において、特に9月頃に実施する追肥は、翌年の収穫量に大きく影響を与える大切な作業です。ニラは秋になると、翌年の春に向けて養分を根に蓄えようとする性質があります。そのため、この時期に肥料を与えることで株の成長を促し、株を丈夫に育てることができ、結果として翌春からの収穫量を大幅に増加させることが期待できます。追肥には、緩効性肥料が最適です。土壌にゆっくりと栄養を供給し続けることで、ニラの生育をサポートします。
冬のお礼肥:翌年の生育を助ける手入れ
冬になり、ニラの地上部が枯れて休眠期に入ったら、地上に出ている茎葉を刈り取り、お礼肥として追肥を行いましょう。この時期には、堆肥と肥料成分が混ざったペレット状の肥料がおすすめです。即効性肥料とは異なり、土壌改良と緩やかな栄養補給の効果が期待でき、土壌中の微生物の活動を活発にし、土壌環境を整えることができます。適切な水やりを継続することで、翌年には力強い新芽が出て、豊かな収穫をもたらしてくれるでしょう。一度植え付けた場所では、2〜3年は収穫を楽しめます。
土寄せの目的:株の安定化と栄養吸収の促進
ニラの成長段階に応じた土寄せは、株を健康に保つために非常に重要です。土寄せとは、株の根元に土を寄せる作業のことで、主に二つの目的があります。一つは、ニラが成長して丈が高くなるにつれて、株が倒れやすくなるのを防ぐため、土を寄せることで株元を安定させることです。もう一つは、株元に土を盛ることで、新しい根の発生を促し、栄養吸収力を高めることです。これにより、株全体が強く健康に育ちます。また、植え付け時にできた溝を埋めて、地面を平らにする役割もあります。ただし、土寄せの際は、株の分かれ目にある成長点が土に埋まらないように注意しましょう。
段階的な土寄せのタイミングと方法
土寄せは、ニラの成長に合わせて数回に分けて行うと効果的です。最初の土寄せは植え付けから約3週間後、2回目はその約3週間後の植え付けから約6週間後、3回目はさらに約3週間後の植え付けから約9週間後を目安に行います。一度に大量の土を寄せると、ニラの成長が遅くなる可能性があるため、生育状況を見ながら少量ずつ2〜3回に分けて行います。毎回、株元に土を軽く盛り上げるように土を寄せましょう。段階的な土寄せを行うことで、ニラの生育が安定し、根の健全な発達が促され、太くて良質なニラをたくさん収穫することができます。土寄せをする際は、ニラの根や葉を傷つけないように丁寧に作業しましょう。
ニラの収穫、株分け、長期栽培の秘訣:長く収穫を楽しむために
丹精込めて育てたニラを収穫する瞬間は、家庭菜園の大きな喜びです。草丈が20cmから30cmほどになったら収穫時期ですが、ニラは収穫に加えて、適切な株分けを行うことで、長期間にわたって栽培できるお得な野菜です。ここでは、ニラの収穫方法、株を維持・活性化させるための株分けのコツ、そして、花茎の活用方法について詳しく解説します。
家庭菜園での初年度収穫の考え方
ニラを種または苗から植え付けた最初の年は、株の成長が十分ではなく、根も十分に張っていないため、一度に大量の葉を収穫するのは難しいかもしれません。収穫の喜びを感じたい気持ちも理解できますが、株への負担を考慮し、最初の年は収穫を控えめにするか、株の成長を優先するのがおすすめです。専門農家のように、植え付け1年目は収穫せずに株を大きく育てることに集中することで、その後の長期的な豊作につながります。冬になりニラの葉が枯れてきたら、地上部の茎葉を刈り取るとよいでしょう。株の状態を観察しながら、無理のない範囲で少しずつ収穫を楽しむことが、長年にわたって美味しいニラを収穫するための基礎となります。
春から秋の正しい収穫方法と再収穫のサイクル
ニラの収穫は、冬を越した2年目の春から本格的に始まります。春先には、葉の生育と品質を良くするために、前年に伸びた葉を地上部2~3cm残して一度刈り取る「捨て刈り」をすると良いでしょう。その後に出てくる若い葉を収穫します。ニラが20cm~25cm程度に成長したら収穫に適した時期です。株の根元から2cm~3cm程度を残してハサミで丁寧に刈り取りましょう。根元に残った部分から、再び新しい芽が力強く伸びてきます。収穫後には、失われた栄養を補給し、次の収穫を円滑にするために、忘れずに追肥を行い、条間を軽く耕すことが大切です。適切な管理と水やりを続けることで、刈り取ってから約1ヶ月後には再び収穫できる状態になります。このように、ニラは一度植えれば、年に何度も(秋までに3~5回ほど)収穫できる、非常に効率の良い野菜です。収穫が遅れると葉先が垂れ下がったり、筋が目立って硬くなり味が落ちてしまうため、成長の早いニラの収穫時期を逃さないように注意しましょう。
花茎の「とう立ち」とその利用法:花ニラとして楽しむ
夏になると、ニラの株元から花茎が長く伸びてくることがあります。これが「とう立ち」です。花茎が伸びて蕾がつくと、株の栄養が花や種に集中し、葉の成長が鈍くなり、葉が硬くなったり細くなったりします。これを防ぐためには、花茎の蕾が固く、つぼみが開く前の緑色のうちに摘み取ることが重要です。(手で簡単に折れる部分が目安です。)もし開花してしまった場合は、花茎の根元から摘み取っておきましょう。摘み取った花茎は「花ニラ」として、葉ニラとは異なるシャキシャキとした食感と甘みを楽しめます。炒め物や和え物など、様々な料理で味わってみてください。
秋の収穫と手入れ:生育を維持するために
夏の暑さが和らぎ、ニラの元気がやや落ちてくる秋にも、収穫は可能です。この時期には、古くなった葉や夏に伸びた花茎を「切り戻し」として一度刈り取ると良いでしょう。そうすることで、株が活性化し、その後、元気な新しい芽が出てきます。新しい芽が20cm~25cm程度に成長したら、春と同様に地上部2cm~3cmを残して収穫します。収穫後は忘れずに追肥を行い、次の生育に備えましょう。
種を採取するための花茎の残し方
もし、翌年の栽培のためにニラの種を自分で採取したい場合は、いくつか花茎をそのままにして、種を熟成させることができます。花が咲き終わると種ができ、それが乾燥して黒くなったら収穫の時期です。採取した種は来年の春まきや秋まきに利用でき、ニラの栽培を完全に自家製で行うこともできます。
株分けが必要な理由とタイミング
ニラを長年栽培していると、株が「分蘖(ぶんげつ)」という現象で茎の数が増え、株元が密集してしまいます。この状態が続くと、株同士で栄養や光を奪い合い、生育が悪くなったり、葉が細くなって品質が低下したりすることがあります。このような状態を避け、ニラの株を健康に保ち、長く収穫を楽しむためには、定期的な株分けがおすすめです。株分けは、栽培を始めてから3~4年後、または収穫3年ごとを目安に行うと良いでしょう。
株分けに適した時期と準備
ニラの株分けに適した時期は、冬の休眠が終わって新しい芽が出始める直前の2月~3月頃、特に春先(3月頃)が最適です。この時期に株分けをすることで、ニラが新しい環境に馴染みやすく、春からの成長期にスムーズに入ることができます。株分けをする際には、まず枯れ葉があればきれいに取り除くか、地面から5cmくらいの高さで葉を刈り取って、作業しやすい状態にしておきましょう。
具体的な株分けの手順と植えつけ
ニラの株を掘り起こす際、細い根が切れてしまうことがありますが、その後の生育に大きな影響はないのでご安心ください。掘り上げた株は、根についた土を丁寧に払い落とし、手で3~5株程度に分けます。この時、自然に分かれる部分を見つけて、無理に引っ張らないように注意しましょう。分けた株は、あらかじめ準備しておいた畑やプランターに、適切な間隔を空けて植え付けます。植え付けの深さは、元の株の成長点が見える程度に浅く土をかぶせるのがポイントです。植え付け後、新葉が伸びてきたら土寄せを行い、葉が十分に成長したら収穫できます。また、ニラは連作障害を起こしやすいので、植え替え先は以前ニラを栽培した場所とは別の場所を選んでください。そうすることで、土壌の栄養バランスの偏りや病害虫のリスクを減らし、健康な生育を促せます。
株分け後の収穫までの期間
株分けしたニラは、新しい場所で根を張り、再び成長を始めます。適切な管理を行うことで、株分けから約2ヶ月で収穫できるようになります。株分けは、ニラを健康に保ち、長期間にわたって収穫するための大切な作業です。定期的に株分けを行うことで、株を若返らせ、元気なニラを育て続けることができます。
連作障害とその対策
同じ種類の野菜を同じ場所で繰り返し栽培すると、土の中の栄養バランスが崩れ、病気になったり生育が悪くなったりする「連作障害」が起こることがあります。ニラは連作障害を避けるため、同じ場所での栽培間隔を1~2年空けるようにしましょう。株分けをする際も、植え替え先は以前ニラを育てていた場所とは違う場所を選ぶことが大切です。これにより、土壌の健康を維持し、ニラを元気に育てることができます。
コンパニオンプランツの活用
異なる種類の野菜を一緒に植えることで、害虫を防いだり、互いの成長を助け合ったりする効果が期待できる「コンパニオンプランツ」を活用するのもおすすめです。ニラと相性の良い野菜を近くに植えることで、病害虫の被害を減らし、より健康なニラの生育を促進することが期待できます。
まとめ
ニラは、一度植えると長年にわたり収穫できる多年草で、家庭菜園に最適な野菜の一つです。丈夫で育てやすく、適切な手入れをすれば長期間栽培できるため、初心者にもおすすめです。特有の香りと豊富な栄養価で、さまざまな料理に活用できます。今回ご紹介した栽培環境の選び方、土づくり、種まきと植え付け、水やり、追肥、土寄せなどの管理方法、収穫と株分け、連作障害対策、コンパニオンプランツの活用などを参考に、ご自宅の菜園でニラを育ててみてください。丹精込めて育てたニラは、きっと食卓を豊かに彩ってくれるでしょう。
ニラは一年で何回くらい収穫できますか?
ニラは、真夏や真冬を除き、一年を通して何度も収穫できます。通常、一度植え付ければ、年間3~6回程度収穫でき、長期間にわたって楽しむことが可能です。
食用ニラと観賞用のハナニラは同じものですか?
食用ニラは葉や花茎を食べられますが、観賞用の「ハナニラ(イフェイオン)」は食用ニラとは異なる植物です。ハナニラには毒性を持つ種類もあるため、誤って食べると体調を崩す恐れがあります。絶対に食べないように注意してください。
ニラの種まきと植えつけの時期はいつが最適ですか?
ニラの種まきは、春の3~4月、または秋の9月が適しています。特に初心者には、管理しやすい春まきがおすすめです。植え付けは、種まきから80~90日ほど経過し、草丈が20cm程度に育った頃に行うのが理想的です。
ニラの収穫で気をつけることは?
ニラを収穫する際は、根元から少し(2~3cm程度)上の部分をハサミでカットします。残った部分から新しい芽が出てくるので、大切にしてください。収穫後には、忘れずに肥料を与えましょう。そうすることで、およそ1ヶ月後には再び収穫できるようになります。
ニラの株分けはなぜ必要なのでしょうか?また、いつ行うのがベストですか?
ニラを長期間育てていると、株が密集して成長が悪くなったり、葉が細くなることがあります。これを避けるために、栽培を始めてから3~4年後、または収穫を3年ほど繰り返した後を目安に株分けをすると良いでしょう。株分けに最適な時期は、冬の休眠期が終わって新芽が出始める前の2~3月頃、特に春先(3月頃)がおすすめです。
ニラの葉が硬くなるのはなぜですか?
ニラの葉が硬くなる主な原因は、収穫時期が遅れたり、肥料や水分が不足したりすることです。収穫が遅れると葉が過剰に成長して硬くなるため、草丈が20~25cmになったらタイミングを逃さずに収穫しましょう。また、収穫ごとに肥料を与えることで肥料不足を防ぎ、柔らかい葉を継続的に収穫できます。水不足も葉を硬くする原因になるため、土の表面が乾いたらしっかりと水を与えてください。
冬にニラの葉が枯れてしまったら、どうすれば良いですか?
冬になってニラの葉が枯れてしまっても、そのままにしておいても大丈夫です。しかし、見た目が気になる場合や、病害虫が潜む場所になる可能性を考えると、地上に出ている茎や葉を根元から刈り取っておくと良いでしょう。刈り取った後には、来年の成長を促すために、堆肥などを肥料として与えるのがおすすめです。













