一般的に流通しているズッキーニは緑色で細長い形状をしていますが、実際には鮮やかな黄色のものや、可愛らしい丸いズッキーニ、さらには食用花として楽しまれる花ズッキーニも存在します。それぞれの色合い、形状、そして味わいには独自の特徴があり、料理に合わせて使い分けることで、ズッキーニの奥深い魅力をより一層堪能することができます。ここでは、多種多様なズッキーニの種類について詳しくご紹介していきましょう。
定番の緑色のズッキーニ(グリーンズッキーニ)
グリーンズッキーニは、多くの方がスーパーマーケットなどで目にすることの多い、最もポピュラーな品種です。明るい黄緑色から、深緑色に近いものまで、色の濃淡には幅があります。このタイプのズッキーニは、わずかに青臭さや苦味を感じることがあるため、加熱調理して食べるのがおすすめです。特に油との相性が抜群で、オリーブオイルで軽くソテーしたり、炒め物に加えたりすることで、ズッキーニ特有の旨味が引き出され、しっとりとした食感を楽しむことができます。また、薄くスライスしてサラダや和え物として生で食べることも可能ですが、気になる場合は塩もみをしてアク抜きをすると、より美味しくいただけます。
目を引く黄色のズッキーニ(イエローズッキーニ)
イエローズッキーニは、グリーンズッキーニと形状は似ていますが、鮮やかな黄色い外観が特徴です。グリーンズッキーニと比較して、青臭さやクセが少なく、あっさりとしていてマイルドな味わいです。また、皮が薄くて果肉が柔らかいため、生食にも適しています。薄切りにしてサラダに添えたり、カルパッチョに利用したりすることで、料理に美しい彩りを添え、食卓を華やかに演出します。
個性的な丸ズッキーニ
ズッキーニの中には、まるでカボチャのような丸い形をした品種も存在します。直径は約6~10cm程度で、大きいものでは15cmほどになるものもあり、手のひらに乗るくらいのサイズ感が特徴です。細長いズッキーニと同様に、内部にはみずみずしい白い果肉がたっぷりと詰まっており、味も一般的なズッキーニとほとんど変わりません。このユニークな形状を活かして、中身をくり抜いて器のように使用したり、ひき肉やチーズなどを詰めてオーブンで焼き上げたりと、見た目も楽しい料理にアレンジするのがおすすめです。水分を多く含んでいるため、煮込み料理にも適しています。
花を添えた希少なズッキーニ
花ズッキーニとは、実が熟す前に収穫される、花がついた状態のズッキーニのことです。ズッキーニには雄花と雌花が存在し、通常は実をつける側の雌花が食用とされますが、雄花も雌花もどちらも美味しくいただけます。ヨーロッパ、とりわけイタリアやフランスではポピュラーな高級食材として知られていますが、非常にデリケートで傷みやすいため、日本では一般の市場にはあまり出回りません。かすかにカボチャを思わせる香りと、ほのかな甘みが特徴です。花も丸ごと食べられるため、花の中にチーズやハーブを詰めて揚げたり、まるごと焼いたりと、その繊細な風味を堪能できます。
ズッキーニの主要栄養成分と期待される効果

ズッキーニは、その見た目の瑞々しさからは想像できないほど、多彩な栄養成分を含んでいます。特に水分が豊富で、カリウムやβ-カロテン、ビタミンK、食物繊維などが豊富に含まれています。一般的に、ズッキーニ100gに含まれる主な栄養成分は以下の通りです。 ・エネルギー 16kcal ・水分 94.9g ・たんぱく質 1.3g ・脂質 0.1g ・炭水化物 2.8g ・食物繊維 1.3g ・カリウム 320mg ・β-カロテン当量 320μg ・ビタミンK 35μg これらの栄養成分が、私たちの体の中でどのような働きをするのか、詳しく見ていきましょう。
カリウム:塩分濃度の調整と筋肉の機能維持に貢献
カリウムは、人が生きていく上で欠かせないミネラルの一種で、体液の浸透圧を調整する役割を担っています。特に、体内の過剰なナトリウム(塩分)を排出するのを助ける働きがあるため、塩分の摂りすぎを調整し、むくみの軽減や血圧の安定に貢献すると言われています。さらに、カリウムは筋肉の収縮や神経の伝達にも深く関わる重要なミネラルであり、健康な身体を維持するためには不可欠な栄養素の一つです。
β-カロテン:強力な抗酸化作用と効果的な摂取方法
β-カロテンは、優れた抗酸化作用を持つことで知られています。体内で必要に応じてビタミンAに変換されるプロビタミンAとしての役割も持ち、皮膚や粘膜の健康維持に貢献します。また、活性酸素の生成を抑制し、除去する働きがあるため、体の酸化を防ぎ、生活習慣病の予防にも役立つと期待されています。β-カロテンは脂溶性ビタミンであるため、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。油を使った調理法を取り入れることをおすすめします。さらに、加熱による栄養素の損失が少ないという特性も持っています。
ビタミンK:骨の健康維持と血液凝固を助ける脂溶性ビタミン
ビタミンKは、油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンの一種です。その主な役割として、肝臓における血液凝固因子の活性化を促し、血液が固まるのを助ける働きがあります。これにより、怪我などで出血した際の止血をサポートします。さらに、骨にカルシウムが取り込まれるのを助け、排出を抑制するなど、丈夫な骨を作る上で欠かせない栄養素です。骨折リスクの軽減や、高齢者の健康維持に重要な役割を果たしますが、通常の食生活を送っていれば、ビタミンKが不足する心配は少ないと考えられています。
食物繊維:「第6の栄養素」として腸内環境を改善
食物繊維とは、食品中に含まれる、人の消化酵素では分解できない栄養成分です。消化されずに大腸まで到達し、便の量を増やしたり、腸内の細菌バランスを整えることで、腸の働きを活発にします。また、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロールの吸収を抑えるなど、健康をサポートする様々な効果が期待できるため、「第6の栄養素」として重要視されています。ズッキーニには比較的多くの食物繊維が含まれており、日々の健康管理に役立つ食材と言えるでしょう。
まとめ:ズッキーニは様々な料理に使える万能な野菜
近年、食卓でおなじみになってきたズッキーニは、見た目はきゅうりに似ていますが、実はカボチャの仲間という意外な一面を持つ野菜です。日本での栽培の歴史は比較的短いものの、そのクセの少なさから様々な料理に合わせやすく、夏の食卓に欠かせない存在となりつつあります。特に油を使った調理法で、ズッキーニ本来の旨味が引き出され、より美味しく味わえます。また、生でサラダにしたり、煮込み料理に加えたりと、調理方法も多岐に渡ります。水分が豊富で、カリウムやβ-カロテン、ビタミンKといった栄養素も含まれており、健康維持にも役立ちます。今回ご紹介したズッキーニの種類ごとの特徴や選び方、多彩な調理法、そして様々なレシピを参考に、ぜひこの機会に新鮮なズッキーニを食卓に取り入れ、その美味しさを堪能してみてはいかがでしょうか。
ズッキーニはきゅうりの仲間ですか?
ズッキーニは外見がキュウリに似ていますが、実はウリ科カボチャ属に分類される「カボチャ」の一種です。一般的なカボチャとは異なり、開花後5~7日程度の若い果実を食用とします。イタリア料理やフランス料理では油との相性が良いため、ソテーや揚げ物によく使用される食材です。
ズッキーニが最も美味しい時期は?
国産ズッキーニは、おおむね6月から8月にかけて、初夏から夏にかけて旬を迎えます。収穫して間もないものが最も美味しく、カボチャのように時間を置いて熟成させる野菜ではないため、鮮度が良い状態で食べきるのが一番です。
ズッキーニは生のまま食べられますか?
はい、ズッキーニは生のままでも美味しく食べられます。特に、黄色のズッキーニは特有の青臭さやクセが少ないため、生で食べるのがおすすめです。緑色のズッキーニもアクはそれほど強くありませんが、えぐみや苦味が気になるようであれば、水にさらしたり、軽く塩もみをしたりしてアク抜きをすると、より美味しくいただけます。薄くスライスしてサラダに入れたり、ピクルスにするなど、様々な調理法で楽しめます。













