クレープは、フランス発祥の薄焼きパンケーキ。そのルーツは、蕎麦粉を使ったブルターニュ地方の郷土料理、ガレットにあります。小麦粉、卵、牛乳などを加えて作られるクレープは、フランスでは日常的な軽食やおやつとして愛され、世界中で様々なアレンジが楽しまれています。シンプルながらも奥深い、魅惑のクレープの世界へご案内します。
クレープとは何か?その定義と概要
クレープは、フランス北西部のブルターニュ地方が発祥とされる、薄く焼き上げられたパンケーキの一種です。そのルーツは、もともとガレットと呼ばれていた蕎麦粉を使った料理にあります。それが時代とともに、小麦粉、砂糖、卵、牛乳などの材料が加えられ、現在のような甘いクレープへと変化しました。フランスでは、日常的な軽食やおやつとして広く愛されており、日本を含め世界中で独自のバリエーションが生まれています。
クレープの歴史:ガレットから進化した背景
ブルターニュ地方は、土地が肥沃でなく小麦の栽培に適していなかったため、蕎麦が主要な穀物として用いられていました。ガレットの起源は、偶然にも熱い石の上に落ちた蕎麦粥が薄いパン状になったことだと言われています。石の上で焼いたことから、小石を意味するフランス語の「galet(ガレ)」にちなんでガレットと名付けられました。その後、ルイ14世の妃がガレットを気に入り、宮廷料理に取り入れた際に、小麦粉をベースとするようになり、牛乳やバターなどが加えられ、現在のクレープへと発展しました。焼き上がりの焦げ目が縮緬の模様に似ていることから、フランス語で縮緬を意味する「crêpe」という名前が付けられました。
クレープの種類:甘味と塩味のバリエーション
現代では、フランス風の薄焼きパンケーキ全般をクレープと呼ぶことが一般的ですが、蕎麦粉を使ったものは依然としてガレットとして区別されています。小麦粉で作られたクレープは、甘く味付けされることがほとんどである一方、蕎麦粉のガレットは通常塩味が付けられています。ブルターニュ地方では、ガレットをシードル(リンゴの発泡酒)と共に楽しむのが伝統的なスタイルです。甘いクレープは「クレープ・シュクレ(crêpe sucrée)」、塩味のクレープは「クレープ・サレ(crêpe salée)」と呼ばれています。
フランスの食文化におけるクレープ
フランスでは、2月2日の聖燭祭(Chandeleur)にクレープを食べる習慣があります。これは、かつて教会の聖堂に詣でた巡礼者にパンが配られたことに由来するとされています。この日、コインを手に持ちながらクレープをフライパンで上手にひっくり返すことができれば、願いが叶うという言い伝えも存在します。
クレープのレシピ:基本をマスター
クレープの生地は、主に小麦粉、鶏卵、牛乳、砂糖、そして風味付けのバターといったシンプルな材料で構成されています。手軽に作れる点が魅力で、材料を混ぜて薄く焼き上げるだけです。焼き上げる際には、専用のクレープパンやフライパンを使用します。業務用途向けには、電気式やガス式のクレープ焼き機も存在します。ここでは、基本となるクレープ生地の作り方をご紹介します。
基本のクレープ生地の作り方(約13枚分、直径25cmのフライパンを使用した場合)
材料:
- 薄力粉: 100g
- 砂糖: 20g
- 塩: ひとつまみ
- 卵: 2個
- 牛乳: 200ml
- 水: 100ml
- 溶かしバター: 20g
- 発酵バター(焼成用): 適宜
作り方:
- 薄力粉と塩をボウルに入れ、ふるっておきます。
- 別のボウルに卵を割り入れ、砂糖を加えてよく混ぜ合わせます。
- 牛乳と水を少しずつ加え、混ぜ合わせます。
- ふるっておいた薄力粉のボウルに、卵液を少量ずつ加えながら泡立て器で丁寧に混ぜます。
- 溶かしバターを加え、均一になるまで混ぜます。
- 生地をラップで覆い、冷蔵庫で30分程度寝かせます。
- フライパンを弱火で温め、発酵バターを薄く溶かし、生地を薄く流し込みます。
- 両面に焼き色がつくまで丁寧に焼き上げます。
お好みで粉砂糖やレモン果汁などをかけてお楽しみください。
クレープの多様性:甘いデザートから軽食まで
クレープは、色々な食材を包んで味わうのが醍醐味です。バターと砂糖といったシンプルな組み合わせから、ジャムやチョコレートソース、様々なフルーツ、ホイップクリームなどをトッピングしたデザートクレープ、ハムやチーズ、卵などを包んだ食事クレープまで、そのバリエーションは多岐にわたります。砂糖をまぶしたクレープにブランデーなどをかけ、炎を灯して仕上げる「クレープ・シュゼット」も人気です。また、薄いクレープ生地を何層にも重ね、間にクリームやフルーツを挟んだ「ミルクレープ」も広く知られています。
世界のクレープ事情:日本、台湾、香港など
フランス発祥のクレープは、世界中で独自の進化を遂げています。日本では、1970年代に原宿で誕生した、生クリームやアイスクリームなどを贅沢に盛り付けたクレープが広く親しまれています。台湾では、マンゴーやパッションフルーツといったトロピカルフルーツを挟んだクレープが人気を集めています。香港のクレープは、米粉をベースにした生地が特徴で、甘いものだけでなく、塩味のクレープも存在します。インドネシアには、クレープ生地に砂糖、砕いたピーナッツ、チョコレートなどをトッピングした「クエマラヤ」というお菓子があります。
日本のクレープ:原宿発祥の独自進化
1970年代、東京の原宿でクレープは一大ムーブメントを巻き起こしました。特徴的なのは、片手で食べられるよう巻紙に包んで提供するスタイル。生クリーム、アイス、色とりどりのフルーツなどを贅沢にトッピングした日本独自のクレープは、若者の街・竹下通りを中心に瞬く間に広がり、今では原宿を代表する観光名物となっています。さらに、家庭で手軽にクレープ作りを楽しめるよう、クレープミックス粉や専用のクレープメーカーも広く普及しています。
グルテンフリークレープ:米粉で作るヘルシーレシピ
近年、小麦粉アレルギーを持つ方や、健康志向でグルテンフリーの食生活を送る方々の間で、米粉を使用したクレープのレシピが注目を集めています。米粉を使用することで、従来のクレープとは一味違う、もちもちとした独特の食感を楽しむことができます。
米粉クレープの簡単レシピ
材料:
- 米粉: 100グラム
- 砂糖: 20グラム
- 塩: ひとつまみ
- 卵: 1個
- 牛乳: 250ミリリットル
- 溶かしバター: 10グラム
作り方:
- ボウルに米粉、砂糖、塩を入れ、ダマにならないようによく混ぜ合わせます。
- 別のボウルに卵を割り入れ、泡立て器でよく溶きほぐし、牛乳を少しずつ加えながら混ぜていきます。
- 米粉のボウルに、卵と牛乳を混ぜた液を少しずつ加えながら、泡立て器で丁寧に混ぜ合わせます。
- 溶かしバターを加え、生地全体になじむように混ぜ合わせます。
- 混ぜ合わせた生地をラップで包み、冷蔵庫で30分程度寝かせます。
- フライパンを弱火で熱し、薄く油をひき、生地を薄く流し込みます。
- 両面に焼き色がつくまで焼き上げれば完成です。
お好みのフルーツやクリームなどをトッピングしてお召し上がりください。
まとめ
クレープは、その誕生から今日に至るまで、世界中の様々な文化や人々に愛され続けている、非常に魅力的な食べ物です。シンプルな材料で手軽に作れるだけでなく、トッピングやアレンジ次第で無限の可能性が広がる点が、クレープの魅力をさらに高めています。ぜひ、あなただけのオリジナルクレープ作りに挑戦し、その奥深さを体験してみてください。
クレープとガレット、どう違うの?
クレープは、一般的に小麦粉をベースにした甘いパンケーキとして知られています。一方、ガレットは蕎麦粉を主原料とする、風味豊かな塩味のパンケーキです。ガレットはクレープのルーツとも言える料理で、フランスのブルターニュ地方では定番の郷土料理として愛されています。
クレープを格段に美味しく仕上げる秘訣は?
美味しく焼き上げるには、生地を冷蔵庫で少し寝かせるのが重要です。フライパンは十分に温めてから焼き始め、生地をできるだけ薄く、均一に広げてください。焦げ付きを防ぐために、フライパンに薄くバターを塗るのも効果的です。
クレープのアレンジ、どんなものがある?
デザートクレープなら、チョコレートソース、フレッシュなフルーツ、ふわふわの生クリーム、冷たいアイスクリームなどが定番です。ランチや軽食には、ハム、とろけるチーズ、卵、シャキシャキの野菜などを包んだクレープがおすすめです。近年では、米粉やオートミールを使った、グルテンフリーのヘルシーなクレープも注目を集めています。