クレープとは?歴史から基本レシピ、世界のクレープまで徹底解説

街角で見かけるおしゃれなスイーツ、クレープ。もちもちの生地に包まれた、フルーツやクリームの甘い誘惑には抗えない!そんなクレープは、一体どのようにして生まれたのでしょうか?この記事では、クレープの歴史を紐解き、基本のレシピから、米粉やそば粉を使ったアレンジレシピまでご紹介します。さらに、世界各地で独自の進化を遂げた、珍しいクレープもご紹介。クレープの魅力を余すところなくお届けします!

クレープの歴史と概要

クレープ(crêpe)は、フランス北西部に位置するブルターニュ地方で生まれた、薄焼きパンケーキの一種です。その名前は、焼いた生地の表面に現れる模様が、フランス語で「縮緬(ちりめん)」を意味する「crêpe」に似ていることに由来すると言われています。ブルターニュ地方は、痩せた土地と冷涼な気候のため小麦の栽培に適していませんでした。そのため、古くからそばが主要な食材であり、そばの実を粥にして食べるのが一般的でした。ある時、そのそば粥が偶然熱した石の上に落ち、薄いパン状に焼きあがったことが、焼いた生地を主食とする食文化の始まりとされています。石の上で焼いたことから、ブルトン語で小石を意味する「ガレ(galet)」にちなんで「ガレット(galette)」と名付けられたという説が有力です。そば粉と塩、水のみで作られたシンプルなガレットは、クレープの原点であり、ブルターニュ地方の食文化を支える存在となりました。

クレープは、その後、歴史の中で華麗な変貌を遂げます。フランス国王ルイ13世の王女であり、その妻であるアンヌ・ドートリッシュ(Anne d'Autriche)が、ルイ13世と共にブルターニュ地方へ狩猟に訪れた際、地元の住民が食べていたガレットを口にし、その美味しさに感動して宮廷料理に取り入れたと伝えられています。宮廷で採用されたことをきっかけに、ガレットの生地はそば粉から小麦粉へと変わり、当初は粉と水だけであった生地に牛乳や砂糖、卵、バターなどが加えられるようになりました。これにより、今日私たちがよく知る、甘くて風味豊かなクレープが誕生したのです。名称も、前述のように焼いた際にできる焦げ模様が「縮緬(ちりめん)」を連想させることから、「絹のような」という意味合いも持つ「クレープ」と呼ばれるようになりました。現在では、フランス風の薄焼きパンケーキの総称としてクレープという言葉が使われていますが、そば粉を使ったクレープは、依然としてガレットという名前で区別されることが一般的です。小麦粉のクレープは通常甘く味付けされますが、そば粉のガレットは塩味が基本で、ブルターニュ地方の伝統的な食事では、ガレットをシードル(リンゴの発泡酒)と共に楽しむのが定番です。

フランスでは、毎年2月2日の「聖燭祭(La Chandeleur)」に、家族でクレープを焼いて食べるという伝統的な習慣があります。これは、聖地を訪れた巡礼者にパンが配られたという故事に由来すると言われています。また、この日にクレープを焼く際には、特別な言い伝えがあります。片手にコインを握りながら願い事を唱え、フライパンでクレープを完璧にひっくり返すことができれば、その願いが叶うというものです。このような伝統は、クレープが単なる食べ物ではなく、人々の生活や信仰に深く結びついた存在であることを示しています。さらに、クレープはフランス軍で軍帽を指すスラングとして使われることもあります。かつてフランスの植民地であった国々でもクレープは広く食べられており、特にアフリカやアジアの旧植民地では、屋台などで手軽に購入できる軽食として人気を集めています。現在、ブルターニュ地方には多くのクレープ店が立ち並び、クレープ専門の料理学校も存在します。フランス全土でも同様で、特にブルターニュ地方への玄関口であるパリのモンパルナス駅周辺にはクレープ店が集中しており、この地域の食文化を象徴する場所となっています。

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自宅で作る基本のクレープレシピ

【材料(約8枚分)】

  • 薄力粉 100g
  • 卵 2個
  • 牛乳 250ml
  • 砂糖 大さじ2
  • 溶かしバター 大さじ1
  • 塩 ひとつまみ

【作り方】

  1. ボウルに卵、砂糖、塩を入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせます。
  2. 薄力粉をふるいながら加え、ダマにならないように丁寧に混ぜます。
  3. 牛乳を少しずつ加えながら、生地がなめらかになるまで混ぜ合わせます。
  4. 溶かしバターを加え、混ぜ合わせたら、冷蔵庫で30分程度寝かせます。
  5. フライパンを熱して薄く油をひき、生地をお玉一杯分流し込み、フライパンを回しながら薄く広げます。両面に焼き色がつくまで焼けば完成です。

おいしく仕上げるためのコツ

クレープを美しく焼き上げるためには、生地をできるだけ薄く広げることが重要です。フライパンを傾けながら手早く広げることで、均一な仕上がりになります。また、生地を冷蔵庫で休ませることで、粉が水分を吸収し、焼いた時にモチモチとした食感が生まれます。焦げ付かないように、中火よりも少し弱火でじっくりと焼き上げると、きれいな焼き色になります。

アレンジを楽しもう

基本的なクレープ生地は甘さが控えめなので、トッピング次第で様々なバリエーションを楽しめます。ホイップクリームや色とりどりのフルーツを添えればデザートクレープとして、ハムやチーズ、たまごなどを挟めば軽食クレープとして楽しめます。冷たいアイスクリームや甘いチョコレートソースなどをかければ、お子様も大喜び。ご家庭だからこそできる、自由なアレンジを試してみましょう。

クレープの多様な楽しみ方:具材とアレンジ

クレープは、その薄い生地で色々な具材を包み込むことで、無限の可能性が広がる魅力的な食べ物です。シンプルに、焼いた生地にバターと砂糖をかけただけでも、生地の美味しさを堪能できます。しかし、クレープの真髄は、具材のバリエーションにあります。大きく分けて、甘いお菓子として食される「クレープ・シュクレ」と、軽食として親しまれる「クレープ・サレ」の2種類があります。

クレープ・シュクレの代表的な具材は、いちごやバナナなどの新鮮なフルーツ、ホイップクリーム、チョコレートソース、ジャム、アイスクリーム、カスタードクリームなどです。これらの甘い具材を組み合わせることで、見た目も美しく、色々な食感と風味を堪能できるデザートクレープが完成します。例えば、砂糖をまぶしたクレープにオレンジリキュールをかけ、フランベしたものは「クレープ・シュゼット」と呼ばれ、芳醇な香りが特徴的な大人のデザートとして知られています。また、何枚ものクレープ生地の間にクリームやフルーツを挟んで重ねた「ミルクレープ」は、美しい層と滑らかな口当たりが特徴で、ケーキのような満足感を得られます。一方、クレープ・サレは、チーズ、ハム、卵、ツナ、レタス、トマト、きのこ、お肉などを包み込み、軽食やお食事として楽しまれています。フランスの伝統的なガレットに似た味わいで、ブランチやランチにもぴったりです。

さらに、食文化の多様化に伴い、クレープの生地自体にも様々な工夫が凝らされています。健康志向の高まりから注目を集めているのが「グルテンフリークレープ」です。小麦粉の代わりに米粉を使用したクレープは、もちもちとした食感が特徴で、小麦アレルギーの方やグルテンを控えている方でも楽しめます。米粉は、その性質からもっちりとした生地になりやすく、クレープに最適な素材と言えるでしょう。また、雑穀粉を細かくして作られた粉を使えば、食物繊維も豊富に摂取できるヘルシースイーツとして、健康を意識している方にもおすすめです。オートミールを使ったクレープも人気を集めており、食物繊維やミネラルが豊富で、朝食や軽食に最適です。このように、生地の材料を変えるだけでも、クレープの風味や食感、栄養価が大きく変化し、より多くのニーズに対応できます。基本のクレープ作りをマスターしたら、ぜひ色々な具材や生地のアレンジに挑戦して、自分だけのおいしいクレープ作りを楽しんでみてください。

世界に広がるクレープ:各国の特徴と文化

フランスで生まれたクレープは、長い年月を経て世界各地に伝わり、それぞれの地域の食文化や気候に合わせて独自の進化を遂げてきました。その様々な姿は、クレープが世界中で愛される魅力的な食べ物であることを示しています。

日本におけるクレープの発展

日本において、クレープは当初、フランス料理のデザートとして紹介されました。記録によると、1937年(昭和12年)には帝国ホテルのレストランのメニューに既に記載されていたようです。その後、1960年代には大阪のデパートでも販売されるようになりました。日本でクレープが広く親しまれるようになったきっかけは、1962年(昭和37年)にコトブキの創業者がフランスを訪れた際、街角で見かけたクレープに感銘を受け、その製法を学び、帰国後にお店を出したことだと言われています。そして、日本のクレープ文化を確立したのが、1976年に東京・渋谷にオープンした「マリオンクレープ」です。マリオンクレープは、クレープを専用の紙で包んで提供し、片手で持って食べ歩くスタイルを定着させました。これにより、クレープは気軽に楽しめるカジュアルなスイーツとして、若者を中心に人気を集めました。

特に、フルーツや生クリーム、アイスクリームなどをたっぷりと包んだ日本独自のクレープ、いわゆる「原宿スタイル」は、その後の日本のクレープの主流となりました。1977年、原宿の竹下通りに「カフェクレープ」1号店がオープンし、そこで提供されたメニューがこのスタイルの始まりとされています。当初はすぐに受け入れられたわけではありませんでしたが、雑誌などのメディアに掲載されることで人気となり、やがて「原宿風」または「日本風」と呼ばれるクレープとして広く知られるようになりました。竹下通りはクレープ店が多いことで有名になり、そこで買ってお店の前で食べる、または食べ歩くという行為自体が、一種の文化的な要素となっています。この日本独自のクレープ文化は、さらに中国やカンボジアなどアジアの国々にも広がり、現地で独自の発展を遂げています。家庭向けの商品としては、日清製粉が1976年頃から業務用クレープミックスを製造販売し、1983年12月からは家庭向けにも販売を開始しました。1986年には明治が「明治プチクレープ」を発売し、お菓子としても一般的になりました。1988年にはタイガー魔法瓶が家庭用クレープメーカーを発売するなど、自宅で手軽に作れる環境も整っていきました。さらに、イトーヨーカドーの「senaのクレープ屋さん」やサッポロライオンの「キタキツネの大好物」、SWEET'S KISS(サービスエリアを含む)、東京都青梅市の「おうめクレープ」など、ユニークなクレープの自動販売機を設置する店舗もあり、日本のクレープ文化の多様性を示しています。専門店などでは、業務用の円形プレートである「クレープ焼器」が使われていることが多く、中には自動式の機器もあり、効率的でおいしいクレープの提供に貢献しています。

台湾のクレープ

台湾では、クレープは「可麗餅」と書き表されます。日本からの影響を受けているため、台湾のクレープは、作り方や味において日本のものと非常によく似ています。ただし、台湾の温暖な気候に合わせて、マンゴー、バナナ、パパイヤといったトロピカルフルーツが具材としてよく用いられます。クリームに関しては、一般的な生クリームよりも、イチゴクリームとカスタードクリームを混ぜて冷やしたものが人気です。また、爽やかな風味から、ミントアイスを加えたクレープも好まれています。台湾では、小麦粉で作った生地で卵焼きを包んだ「葱油餅」が、見た目の類似性から「台湾風クレープ」と呼ばれることもあります。

香港のクレープ

香港のクレープは、生地に卵をふんだんに使用している点が特徴的です。見た目はフランスの伝統的なクレープとは大きく異なりますが、味の点では、日本の甘いクレープよりも本格的だと評されることもあります。香港のクレープ生地は独自の進化を遂げましたが、生地にかけるソースや具材には、フルーツ、肉類、海鮮、野菜など、フランスのクレープに近い多様性が見られます。そのため、日本では一般的な甘いクレープだけでなく、塩味のクレープも広く受け入れられており、さまざまな味のニーズに応えています。

その他の国

フランスやアジア以外の国々でも、クレープは独自のスタイルで愛されています。たとえば、マレーシアには「クエマラヤ」というクレープが存在します。これは、クレープ生地に砂糖、砕いたピーナッツ、コーン、そしてココナッツをたっぷりとかけて仕上げるもので、シンプルながらも豊かな風味が特徴です。このように、クレープは各国の食材や食文化と結びつき、独自の進化を遂げることで、世界中で多様な姿を見せています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。クレープは、フランスのブルターニュ地方で生まれたシンプルなそば粉のガレットから、宮廷料理を経て現在の小麦粉を使った甘いクレープへと変化し、さらに世界中でそれぞれの文化と融合しながら、様々な発展を遂げてきました。日本では、原宿スタイルと呼ばれる独自の甘いクレープが確立され、気軽に楽しめる食べ歩きスイーツとして広く親しまれています。ご家庭でも、基本的なレシピを覚えれば、もちもちとした美味しいクレープを簡単に作ることができ、さらに米粉や雑穀粉を使ったグルテンフリーのクレープや、様々なフィリングを組み合わせた甘いクレープ(クレープ・シュクレ)や塩味のクレープ(クレープ・サレ)など、無限のバリエーションを楽しむことができます。生地の材料を変えてみたり、フィリングや具材を自分好みにアレンジして、奥深いクレープ作りの世界を堪能してください。この記事が、皆様のクレープへの愛情をさらに深める一助となれば幸いです。

クレープはどこ生まれ?名前の秘密を解き明かす

クレープは、フランスの北西部、ブルターニュ地方で生まれた料理です。その名前は、フランス語の「crêpe(クレープ)」から来ており、これは「ちりめん」という意味を持っています。生地を焼いた時の表面の模様が、ちりめん織りのように見えることが名前の由来とされています。また、その滑らかな食感から「絹のような」という意味合いも含まれています。

クレープとガレット、どう違う?それぞれの特徴

クレープのルーツは、「ガレット」と呼ばれるそば粉を使った料理にあります。今日では、小麦粉で作られ、甘く味付けされたものを「クレープ」、そば粉を使用し、塩味で提供されるものを「ガレット」として区別するのが一般的です。ブルターニュ地方では、ガレットは伝統的にシードル、つまりリンゴの発泡酒と共に楽しまれています。

フランス人はどんな時にクレープを食べるの?

フランスでは、毎年2月2日の「聖燭祭(ラ・シャンドルール)」に、家庭でクレープを焼いて食べる習慣があります。これは、かつて巡礼者にお菓子を配った風習が起源とされており、クレープを焼く際に、片手にコインを持ちながらフライパンで上手にひっくり返すことができれば、願い事が叶うという言い伝えもあります。

甘い?しょっぱい?クレープのバラエティ

クレープには大きく分けて二つのタイプがあります。一つは、フルーツや生クリーム、チョコレートソースなどを包んだ「クレープ・シュクレ」と呼ばれる甘いデザートクレープです。もう一つは、チーズやハム、卵、野菜、お肉などを包んだ「クレープ・サレ」と呼ばれる塩味の食事クレープです。

日本のクレープ、その独自の歩みとは?

日本におけるクレープの歴史は、1930年代後半にフランス料理のデザートとして紹介されたことに始まります。1962年頃には、路上での販売がスタートしました。特に、1976年に渋谷にオープンした「マリオンクレープ」が、クレープを巻紙で包み、手軽に食べ歩けるスタイルを確立したことは特筆されます。その後、原宿の竹下通りに現れた「カフェクレープ」が、フルーツや生クリーム、アイスクリームをふんだんに使用した「原宿スタイル」のクレープを生み出し、一大ブームを巻き起こしました。この原宿スタイルこそが、日本のクレープ文化を確立したと言えるでしょう。現在では、このスタイルが中国やカンボジアなど、海外にも広がりを見せています。

クレープ作りに特別な道具は必須?

ご家庭でクレープを作る場合、必ずしも特別な道具が必要というわけではありません。普段お使いのフライパンでも、十分に美味しいクレープを作ることが可能です。しかし、より本格的なクレープを目指すのであれば、電気式またはガス式の円形プレートを備えた「業務用クレープ焼き器」や、専用の「クレープパン」を使用するのも良いでしょう。これらの道具を使うことで、生地を均一な厚さに、そして美しい焼き色で効率的に焼き上げることができます。

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