クレームブリュレとは?プリン・カタラーナとの違いから、レシピ、砂糖の選び方まで徹底解説

表面のパリパリとしたキャラメリゼと、とろけるようなクリームのハーモニーが魅力のクレームブリュレ。カフェやレストランで目にする機会も多い、人気のデザートです。しかし、プリンやカタラーナとの違いは? 美味しさの秘密は? 本記事では、クレームブリュレの基本から、混同されがちなスイーツとの違い、歴史、そしてあの食感を生み出す砂糖の選び方までを徹底解説。さらに、ご家庭で手軽に作れる基本のレシピから、アレンジレシピまでご紹介します。クレームブリュレの魅力を余すことなくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

クレームブリュレとは?定義と奥深い魅力

クレームブリュレ(Crème brûlée)は、フランス語で「焦げたクリーム」という意味。その名の通り、カスタードクリームの表面に砂糖をまぶし、バーナーなどで焼き付けてパリパリのカラメル層を作る、フランス生まれのデザートです。「クリームブリュレ」と呼ばれることもありますが、より正確な発音は「クレームブリュレ」です。プリンとは異なり、ココット皿などの容器に入ったまま提供されるのが特徴。卵黄と生クリームを贅沢に使用することで、プリンのような「ぷるん」とした食感ではなく、とろけるようななめらかさを実現しています。濃厚でリッチな味わいと、パリパリのカラメル層とのコントラストが、忘れられない食感を生み出します。バニラ味が定番ですが、チョコレートやフルーツ、リキュールなどで風味をつけたアレンジも楽しめます。

プリン、カタラーナとの違いを徹底比較

クレームブリュレと似たスイーツとして、「プリン」やスペインの「カタラーナ」が挙げられますが、それぞれに明確な違いがあります。まず「プリン」は、全卵、牛乳、砂糖、バニラなどを混ぜて蒸し焼きにしたもの。カラメルソースを敷いた型で作り、型から出して提供されるのが一般的です。全卵を使うため、卵白が凝固して「ぷるん」とした食感が生まれます。一方「クレームブリュレ」は、生クリーム、牛乳、卵黄、砂糖を使い、蒸し焼きにした後に表面をキャラメリゼするのが特徴。卵黄のみを使用することで、なめらかでとろけるような食感を実現しています。生クリームをたっぷり使うことで、より濃厚でリッチな味わいになります。スペインの「カタラーナ(Crema catalana)」は、クレームブリュレの原型とも言われるデザート。クレームブリュレが一人用の器で作られるのに対し、カタラーナは大きめの型で作って切り分けて提供されるのが一般的です。そのため、クレームブリュレよりも固めでしっかりとした食感があります。このように、材料の配合、調理法、食感、提供方法など、それぞれのデザートは独自の個性を持ち合わせています。

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クレームブリュレの歴史と文化を紐解く

クレームブリュレの起源は謎に包まれていますが、最も古い記録は、17世紀のフランスの料理人フランソワ・マシアロが1691年に出版した料理書に掲載されたレシピです。ただし、初期のレシピは単にクリームを焦がしただけのものだったと考えられています。興味深いことに、1731年の改訂版では、同じレシピの名称が「クレーム・アングレーズ」に変更されています。これは現代のカスタードソースとは異なる意味合いです。イギリスでは、フランス語の名称を直訳した「バーント・クリーム」と呼ばれていました。ケンブリッジ大学では「トリニティ・クリーム」や「ケンブリッジ・バーント・クリーム」と呼ばれていたという記録もあります。これらのことから、クレームブリュレはヨーロッパ各地で独自に発展し、それぞれの文化に根ざした形で親しまれてきたと考えられます。日本においては、1991年頃にブームとなり、その人気を確立。2001年に公開されたフランス映画「アメリ」でヒロインの好物として登場したことで、再び世界的な注目を集めました。映画の舞台となったパリ・モンマルトルのカフェ「カフェ・デ・ドゥ・ムーラン」では、映画に登場するクレームブリュレを実際に味わうことができます。日本のクレームブリュレは、深めのココットに薄いカラメル層が乗っていることが多いですが、「カフェ・デ・ドゥ・ムーラン」のブリュレは、大きくて平たい器に入っているのが特徴。濃厚なクリームの上に厚みのあるカラメル層が形成されており、パリパリとした食感が楽しめます。このように、クレームブリュレはその歴史の中で形を変えながらも、普遍的な美味しさで世界中の人々を魅了し続けているのです。

パリパリ食感を生む、クレームブリュレの砂糖選び

クレームブリュレの醍醐味とも言える、あの香ばしいキャラメル層。その仕上がりを左右するのが、使用する砂糖の種類です。とりわけ推奨されるのは、フランス生まれの「カソナード」と呼ばれる茶色い砂糖。サトウキビ由来のこの砂糖は、グラニュー糖にはない奥深い甘さと風味が特徴で、濃厚なカスタードの風味を格段に引き上げます。カソナードが選ばれる理由は、その味だけではありません。特筆すべきは、均一な加熱特性です。他の砂糖に比べて融点が低いため、バーナーで炙った際に焦げ付きにくく、ムラのない美しいキャラメル層を簡単に作ることができます。これにより、一口ごとに理想的なパリパリ感と香ばしさが堪能できるのです。もちろん、カソナードが手に入らない場合でも、グラニュー糖や上白糖で代用可能です。ただし、これらの砂糖は溶けにくい性質があるため、焦げ付きやムラを防ぐためには、バーナーの扱い方に細心の注意を払う必要があります。最高の食感と見た目を追求するなら、カソナードの使用が断然おすすめです。

お家で挑戦!極上クレームブリュレのレシピとコツ

【材料】

  • 生クリーム 200ml
  • 牛乳 100ml
  • 卵黄 3個
  • グラニュー糖 40g
  • バニラビーンズ(またはバニラエッセンス) 適量
  • グラニュー糖(仕上げ用) 適量

【作り方】

  1. 小鍋に生クリームと牛乳、バニラを入れ、弱火で温めます。沸騰直前で火を止めます。
  2. 別のボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、泡立て器でよく混ぜます。温めた牛乳と生クリームを少しずつ加えながら混ぜ合わせます。
  3. 混ぜ合わせた卵液を、目の細かいザルで濾し、耐熱容器に均等に注ぎ分けます。
  4. 天板に湯を張り、160℃に予熱したオーブンで約40分、湯煎焼きにします。
  5. 粗熱を取ってから冷蔵庫で十分に冷やします。食べる直前に表面にグラニュー糖を薄く振りかけ、バーナーで焼き色がつくまでキャラメリゼします。

成功させるためのポイント

  • 卵液を濾すことで、口当たりのなめらかさが際立ちます。
  • 湯煎焼きでじっくりと火を通すことで、きめ細かいなめらかな仕上がりになります。
  • 表面の砂糖は均一に薄くかけること、焦がしすぎないことが重要です。キャラメルの香ばしさと、とろけるクリームのハーモニーを楽しみましょう。

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まとめ

クレームブリュレは、フランス語で「焦げたクリーム」を意味する、魅惑的なデザートです。特長は、濃厚でなめらかなカスタードクリームと、表面のパリパリとしたキャラメル層とのコントラストが生み出す、絶妙な食感のハーモニーにあります。プリンが全卵を使用することで生まれる「プルプル」とした食感、スペインのカタラーナが大きく切り分けて提供される「しっかり」とした食感に対し、クレームブリュレは卵黄のみを使用することで、極上の「なめらかさ」を追求します。その起源には様々な説がありますが、17世紀のフランスの料理書にその記述が見られ、2001年の映画『アメリ』で再注目されるなど、長きにわたり多くの人々に愛されてきました。理想的なパリパリ感を実現するには、サトウキビ100%のフランス産ブラウンシュガーである「カソナード」が最適であり、食べる直前にキャラメリゼすることが大切です。この記事でご紹介した基本レシピをマスターすれば、ご自宅でも本格的なクレームブリュレを堪能できます。さらに、チョコレート、マンゴー、低糖質カタラーナ、イタリアンプリンなど、アレンジ次第でその可能性は無限に広がります。この奥深いデザートを通じて、至福のひとときをお過ごしください。

クレームブリュレとプリン、一番の違いは何?

クレームブリュレとプリンを区別する大きなポイントは、材料となる卵の使い分け、生クリームの有無、そして表面の仕上げ方です。クレームブリュレは、主に卵黄と濃厚な生クリームを使い、オーブンでじっくりと焼き上げます。そして、食べる直前に表面を砂糖で香ばしくキャラメリゼするのが特徴です。この工程によって、口の中でとろけるような滑らかな舌触りと、パリッとした食感のコントラストが生まれます。一方、プリンは卵全体と牛乳をベースにして作られ、焼き上がりは「プルプル」とした独特の弾力があります。通常、底に甘いキャラメルソースが敷かれており、クレームブリュレのように表面をカリカリにキャラメリゼすることはありません。

クレームブリュレはなぜ直前にキャラメリゼするの?

クレームブリュレの醍醐味である、あのパリパリとしたキャラメル層を最高の状態で味わうためには、食べる直前にキャラメリゼするのが鉄則です。なぜなら、キャラメリゼした後に時間が経つと、砂糖がクリームの水分を吸収して溶け出し、せっかくのパリパリ感が失われてしまうからです。まるでキャラメルソースのように、しっとりとした状態になってしまいます。焼きたての香ばしさと、あの最高の食感を楽しむためには、提供する直前にキャラメリゼするのがベストです。

クレームブリュレのルーツは明確なの?

クレームブリュレの正確な起源については、実は謎に包まれています。最も古い記録としては、17世紀のフランス料理書にその記述が見られますが、正確な誕生時期、場所、そして考案者については、様々な説が存在しています。また、イギリスの伝統的な「プディング」に砂糖をかけて焦がすという調理法が、いつ、誰によって始まったのかも定かではありません。しかし、2001年に公開されたフランス映画「アメリ」に登場したことで、クレームブリュレの人気は世界中で再び高まりました。

クレームブリュレに合う砂糖ってある?

クレームブリュレの表面をキャラメリゼするのに最適な砂糖は、フランス産の「カソナード」と呼ばれる茶色い砂糖です。カソナードは、サトウキビを100%使用して作られており、一般的なグラニュー糖に比べて、より深みのある甘さとコクが感じられるのが特徴です。また、熱を加えると溶けやすい性質を持っているため、ガスバーナーで炙った際にムラになりにくく、均一で美しい、理想的なパリパリのキャラメル層を作り出すことができます。

糖質を抑えたクレームブリュレは可能?

もちろんです。糖質制限中でも、クレームブリュレを楽しむことはできます。ポイントは、通常の砂糖の代わりに、糖質オフの甘味料を選ぶこと。例えば、羅漢果由来の甘味料などを活用すれば、糖質量を大幅に減らせます。実際に、あるレシピでは、型を使って作るアイスカタラーナを、砂糖の代わりに低糖質甘味料で作ることで、糖質を半分以上カットすることに成功しています。甘味料の種類によって甘さの質感が変わるので、それぞれの特性に合わせてレシピを調整すれば、ヘルシーでありながら満足感のあるクレームブリュレが作れます。

クレームブリュレ