着色料

私たちの生活の中で、食品や飲料、化粧品など、様々な製品に着色料が使われています。着色料は製品の見た目を美しく魅力的にするだけでなく、製品の品質や安全性を示す重要な役割も担っています。この小さな添加物について、その種類や機能、安全性などについて理解を深めましょう。

着色料とは

着色料は、食品や化粧品、工業製品に色彩を付与する重要な役割を担っています。日本人は"目で見て食欲をそそられる"ことが多く、食品の外観を美しく演出する着色料は、製品の魅力を高める働きがあります。 その一方で、鮮度が低下した食材に着色料を使用すると、本来の品質を偽装してしまう危険性があります。そのため、鮮魚介類や食肉、野菜類への使用は禁止されており、安全性と適切な使用が重視されています。 着色料には合成着色料と天然着色料の2種類があり、それぞれ長所短所があります。合成着色料は発色が鮮やかで安価ですが、天然着色料は安全性が高い反面、発色が弱く変色しやすいデメリットがあります。 食品や化粧品への使用は法規制されており、着色料の選択と使用方法が製品の品質と安全性を左右します。着色料は外観の向上だけでなく、原材料の色調整など、様々な役割を担う重要な添加物なのです。

着色料の使用目的

着色料の使用は、製品の魅力的で均一な色合いを付与することが主な目的です。また、異なる色合いを用いることで製品の識別性を高め、医薬品の場合は誤飲防止にもつながります。加工食品では、本来の食材と同じ色合いを再現したり、加熱や長期保存による変色を防ぐためにも使用されます。さらに、着色料は法的規制に基づき、安全性が確認された上で適切に管理されています。食品の鮮やかな外観維持や食欲増進、変色防止など、着色料は様々な役割を担っているのです。

合成着色料と天然着色料の違い

着色料には合成着色料と天然着色料の2種類があり、その主な違いは原料と価格にあります。合成着色料は化学的に合成された人工的な着色料で、石油製品を原料とし、鮮やかな発色と安定した色調が特徴です。一方、天然着色料は植物や動物由来の天然素材を原料としており、自然な発色ながら熱や光に弱く、発色が不安定で加工が難しいデメリットがあります。 合成着色料は食品添加物として認可されていますが、過剰摂取による健康被害が指摘されています。アレルギー反応のリスクもあり、注意が必要です。天然着色料は安全性が高いものの、価格が高く、供給が不安定という課題があります。近年、健康志向の高まりから天然着色料の需要が増加していますが、鮮やかな発色を求める業務用途では合成着色料を使わざるを得ない面もあり、今後の動向が注目されています。

着色料の種類と含まれる食品例

では、代表的な着色料の種類を紹介します。 合成着色料:タール系色素 タール系色素は石油製品から化学的に合成された着色料で、着色性や色もちが良く、少量で効果的です。日本で認可されているタール系色素には、食用赤色2号、3号、40号など12種類があります。お菓子、アイスクリーム、明太子、漬け物などに含まれています。 天然着色料:カラメル色素 カラメル色素は砂糖やでんぷんを原料とし、日本で最も使用されている着色料です。褐色で香りや風味付けの役割もあります。製法により「カラメルⅠ〜Ⅳ」に分類され、現在は亜硫酸などを使う「Ⅲ・Ⅳ」が主流です。お菓子、醤油、ビール、清涼飲料水などに利用されています。 天然着色料:クチナシ色素 クチナシの果実から抽出した着色料で、黄色素、青色素、赤色素の3種類があります。pHに左右されず安定しており、食品に合わせて色を調整できます。お菓子、アイスクリーム、中華麺、漬け物などで使われています。

着色料のよくあるQ&A

ここからは、着色料のよくあるQ&Aを見てみましょう。 タール系色素やカラメル色素に発がん性があると聞きましたが、大丈夫でしょうか? これらの添加物は、食品安全委員会が安全性を確認したうえで認可されており、明確な使用基準が設けられています。タール系色素は登録検査機関による製品検査が義務づけられ、カラメル色素も様々な試験が行われています。実際の摂取量は安全とされる量をはるかに下回っているため、普段の食生活で心配する必要はありません。 着色料に使われる虫は何ですか? サボテンに寄生するエンジムシから抽出された「コチニール色素」が使われています。鮮明で安定性の高い橙?赤紫色の天然着色料として、清涼飲料水やお菓子、ハムなど幅広い食品に使用されています。 着色料はどのように表示されますか? 着色料は、物質名の前に用途名「着色料」と記載されます。物質名に「色」が含まれる場合は用途名を省略できます。例えば、タール系色素は「着色料(赤102、黄4)」や「赤色2号」、カラメル色素は「着色料(カラメル)」や「カラメル色素」、クチナシ色素は「着色料(クチナシ)」や「クチナシ色素」「カロチノイド色素」と表示されます。

着色料が含まれているかは原材料表示で確認を

食品の彩りと安全性を両立する上で、着色料の適切な使用は重要な課題となっています。着色料には合成着色料と天然着色料の2種類があり、それぞれ長所と短所があります。合成着色料は鮮やかな発色力と低コストが魅力ですが、一部に健康への影響が懸念されています。一方、天然着色料は安全性が高い半面、発色が淡く価格も高めです。 原材料表示はこの判断の一助となります。食品衛生法により、使用された着色料の種類を表示することが義務付けられているのです。「着色料(合成)」「着色料(植物色素)」などの表記で、使用されている着色料を確認できます。健康面を重視する方は天然着色料製品を、彩りを大切にする方は合成着色料製品を選ぶなど、ニーズに合わせた選択が可能になるのです。 着色料には食品の品質保持や食欲増進など一定の役割があり、国の基準に沿って適切に使用されています。それでも気になる方は、原材料表示を活用し、自分に合った製品を賢く選ぶことをおすすめします。

まとめ

着色料は製品の外観を整えるだけでなく、品質管理や安全性確保にも貢献しています。食品衛生法や化粧品衛生規則などの規制により、安全性が確認された着色料のみが使用されています。一方で、一部の人工着色料については、過剰摂取による健康被害が指摘されており、適切な使用が求められます。着色料は私たちの生活に欠かせない存在ですが、その使い道には十分注意を払う必要があります。

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