柑橘類は、その爽やかな香りとジューシーな果肉で、世界中の人々に愛されています。しかし、その多様性や個性に驚かされたことはありませんか?柑橘類は、レモンやオレンジといったお馴染みの果物だけでなく、ユズやカリンなど日本独特の品種も含む、実に多彩な魅力を持っています。本記事では、そんな柑橘類の種類とその特徴を詳しく解説し、あなたを柑橘の奥深い世界へとご案内します。
柑橘類の種類とは?
柑橘類、例えばみかんは、爽やかな香りとジューシーな甘さで多くの人に親しまれています。食べるだけでなく、ゆずやすだちのように料理に酸味を加えてくれる香酸柑橘もありますよね。しかし、一体どれくらいの種類が存在するのか、混乱してしまうこともあります。実は、世界中で数百種以上もあると言われています。そして日本を含む多くの国で新しい品種が次々と作られています。この記事では、そんな多様な柑橘類をより詳しく分類し、その構造や特徴をご紹介します。この情報で、柑橘類についての知識がさらに深まります。
1.柑橘類は3つの要素で形成される(カンキツ属は7種類存在する)
「柑橘類」は、ミカン年科ミカン亜科の植物からなる果物の集合体を指します。「柑橘系」という呼び方も一般的ですが、実際には「柑橘類」が正しい呼称です。これらの果物が健康に良い影響をもたらすことは広く知られており、多様な種類が世界中で親しまれています。3つの主要なグループに分けられる柑橘類には、カンキツ属、キンカン属、カラタチ属があり、交配を通じて多くの変種が存在します。以下で、異なる柑橘類の種類とその特徴について詳しく説明します。
親しまれている食用の柑橘類は、7つの主要なグループに分類されます。これらのグループには、ミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、そしてブンタン類が含まれています。以下で、それぞれの特徴と代表的な品種をご紹介します♪
【ミカン類】
日本で非常に親しまれている柑橘類がミカンです。和歌山県、愛媛県、静岡県などが有名な生産地で、特に「温州みかん」という品種が広く知られています。この品種は鹿児島県の長島を原産とし、中国の浙江省の地名である「温州」から名付けられました。温州みかんは、成熟期に応じて「極早生」「早生」「中生」「晩生」に分かれます。その他のミカン類には、紀州みかん、ポンカン、カーブチー、愛愛柑、太田ぽんかんなど多様な品種があり、好みの味を探す楽しみがあります。

【オレンジ類】
オレンジ類は世界各地で親しまれる果物です。日本では広島県や静岡県で栽培されていますが、消費される多くは輸入されたものです。この果物は大きく二つのタイプに分かれます。「スイートオレンジ」は甘味が強く、直接食べるのに適しています。一方、「サワーオレンジ」は酸味を活かして酢やジャムなどに加工されることが多いです。みかんと比較すると、オレンジは皮が厚く、手で剥くのが難しいです。スイートオレンジは、世界の柑橘類生産量の約70%を占めており、その代表例には、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジがあります。サワーオレンジは別名ダイダイ類と呼ばれ、ダイダイやベルガモットが含まれます。特にダイダイは、日本の伝統行事で縁起物として飾られることがあります。
【グレープフルーツ類】
グレープフルーツ類は、その特有の酸味が魅力で、甘みより酸味が強いことで知られています。オレンジと同じように、多くが輸入されているため、1年を通して手に入れやすい果物です。「グレープ」とは、ブドウのように多くの果実を一つの枝につける姿から名付けられました。果肉の色によって、ホワイト系の「マーシュ」とピンク系の「ルビー」に分類され、以下の品種が挙げられます。・ダンカン・マーシュ・オロブロンコ(スウィーティー)・スタールビー・ルビーレッド(レッドブラッシュ)
【タンゴール類】
「タンゴール」とは、ミカンとオレンジの異なる種を掛け合わせた果物です。この名前は「タンジェリン(tangerine)」の「tang」と「オレンジ(orange)」の「or」を組み合わせて生まれました。タンゴールは、ミカンのように簡単に皮が剥け、オレンジの甘さを持ち、豊かな香りとみずみずしさが特徴です。例えば、伊予柑、清見、はるみ、不知火(シラヌイ)、せとか、タンカン、天草(アマクサ)、麗紅(レイコウ)など、多くの人に知られた品種があります。
【タンゼロ類】
豊かな果汁でみずみずしく、オレンジやデコポンのような甘さが特徴的な品種には、セミノール、カクテルフルーツ、スイートスプリング、メロゴールド、タンジェリン、ミネオラなどがあります。
【香酸柑橘類】
「香酸」とは、その名の通り、酸味と香りが豊かで強いことが魅力の果物です。ジュースやお酒に絞って入れたり、料理のアクセントとして添えたりすることが一般的です。かぼす、すだち、レモン、ライム、ゆず、へべす、シークワーサー、ジャバラなどの種類があり、日本の家庭でよく親しまれています。特に柚子は、その生産量と消費量の両方で日本が世界一です。
【ブンタン類】
東南アジアを起源とするブンタン類は、鮮やかな黄色と厚い皮が特徴です。柑橘類の中では大きく、内側には分厚い白い綿があります。酸味が控えめで爽やか、果汁が多いのが特徴です。日本では高知県産の土佐文旦が特に有名で、他に晩白柚やアンセイカン、新女王、水晶文旦、紅まどかといった品種があります。晩白柚は特に大きく、直径約25センチ、重さは2.5キロに達します。

【雑柑類】
このカテゴリに当てはまらない天然のハイブリッドフルーツを指します。多くの場合、皮が厚くて硬い特性を持ち、独特の甘味と酸味、しっかりとした肉質が魅力です。主な品種には以下のものがあります。・夏みかん・甘夏・八朔・伊予柑・日向夏・三宝柑・河内晩柑
キンカン属
キンカン属は中国を原産とする植物で、主にキンカン類が含まれます。いくつかの品種がありますが、丸ごと食べられるものにはネイハキンカン、ナガキンカン、そしてマルキンカンの3種類があります。これらは、ジャムなどに加工すると非常に美味しく楽しむことができ、特にネイハキンカンは果実が大きく品質が高いため、生で食べるのにもぴったりです。
カラタチ属
カラタチ属に分類されるカラタチは、中国中部から北部にかけて栽培される果物として知られています。この果実は非常に酸味と苦味が強く、一般的には食用にされることは稀です。そのため、長いトゲを持つ木の枝は生垣として利用され、人や動物の侵入防止として重宝されています。また、カラタチの根元近くの部分は「台木」としての利用価値もあり、その頑丈さと病気に対する強さを生かして、他の柑橘類の枝を接木し、病害に強い新品種の育成を支援します。
2.新たな柑橘類品種の誕生のプロセス
冒頭で柑橘類の種類は数百種類あるとお伝えしましたが、
どのようにして品種が増やされるのでしょうか。
ここでは「交雑」による品種改良と、
接ぎ木で増やす「枝変わり」という方法を解説します。

「異なる品種の交配」による作物の品質向上
果樹試験場では、多様な品種を交配し、新しい品種を人工的に生み出す手法が取られています。親の優れた特徴を組み合わせることで、より良い特性を持つ品種が誕生します。例として、不知火(デコポン)、せとか、甘平などが交配による品種改良の成果として挙げられます。
「枝変わり」を利用した接ぎ木による増殖技術
接ぎ木を用いて、優れた特性を持つ枝を増やす技術があります。果樹栽培では、果実のサイズが大きくなったり、収穫までの期間が短縮されたり、病気に対する耐性が高まるといった突然変異が起こります。これにより、品種の一部特性が改良され、進化した品種が生まれます。たとえば、宮川早生や上野早生、宮内伊予柑といった品種がこうした方法で誕生しました。未来には、まだ見ぬ柑橘類との出会いが待っているかもしれません。