柑橘図鑑:品種、歴史、特徴を徹底解説!

食卓に彩りを与える柑橘類。みかんの甘酸っぱさ、ゆずの芳醇な香り、すだちの爽やかな酸味…。その種類は数百にも及び、世界中で新品種が生まれています。本記事では、柑橘類の基本情報から品種ごとの特徴を徹底解説。あなたにとって特別な柑橘を見つけてみませんか?

柑橘類の全体像:定義、種類、健康効果

柑橘類とは、ミカン科ミカン亜科ミカン連に分類される果物の総称です。「柑橘系」と呼ばれることもありますが、「柑橘類」というのが正しい名称です。柑橘類の起源は、今から3000万年も前のインド東北部に遡ると考えられており、約4200年前には中国で栽培されていたという記録もあるほど、人類とは長い付き合いがあります。世界中で数百種類もの品種があり、現在も日本を含め、各地で新しい品種が開発されています。柑橘類は美味しいだけでなく、健康に良い効果があることも広く知られており、世界中で様々な種類の柑橘類が食べられています。

柑橘類は大きく「カンキツ属」「キンカン属」「カラタチ属」の3つに分けられます。これらのグループの中で、自然に交雑したり、人工的に交配したり、突然変異が起きたりすることで、私たちが普段目にしたり、味わったりしている多種多様な柑橘類が誕生しました。例えば、私たちがよく食べる、いよかんやデコポン、清見などは、みかんとオレンジを掛け合わせてできた「タンゴール」というグループに属します。セミノールやミネオラは、みかんとブンタン、またはみかんとグレープフルーツといった組み合わせから生まれた「タンゼロ(タンジェロ)」に分類されます。その他、水晶ブンタンや晩白柚は「ブンタン類」、ハッサクや甘夏などは「雑柑類」、オレンジやネーブルは「オレンジ類」、ポンカンや温州みかんは「ミカン類」、グレープフルーツやオロブランコは「グレープフルーツ類」、ゆずやスダチ、ライムなどは「香酸柑橘類」に分けられます。これらの分類と特徴を知ることで、柑橘類の世界をより深く楽しめるはずです。

カンキツ属の多様性:主な種類と特徴

カンキツ属は、私たちが食用として最もよく口にする柑橘類が多く、スーパーや八百屋さんでよく見かけるものがたくさんあります。カンキツ属はさらに細かく分類され、ミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、ブンタン類、雑柑類の8つの種類に分けられます。これらの分類は、果実の形、皮の剥きやすさ、果肉の味、酸味の強さ、交配の経緯など、色々な特徴を元に分けられています。

特に、新しい品種の誕生に大きく関わっているのが「タンゴール類」と「タンゼロ類」です。タンゴール類は、みかん類とオレンジ類を交配させたグループを指し、みかんのような剥きやすさとオレンジのような甘い香りを持ちます。代表的な品種としては、いよかん、清見、はるみ、不知火(デコポン)、せとか、たんかん、天草、麗紅などがあります。

一方、タンゼロ類は、みかんとブンタン、またはみかんとグレープフルーツなど、色々な種類の柑橘を掛け合わせてできたグループです。果汁がとても多く、みずみずしい食感が特徴で、オレンジやデコポンのように甘い品種が多いです。セミノール、カクテルフルーツ、スイートスプリング、メロゴールド、タンジェリン、ミネオラなどがこのグループに属しています。このように、カンキツ属はそれぞれの種類が独自の個性と魅力を持っており、私たちの食卓を豊かにしてくれます。

【ミカン類】日本の食卓に欠かせない温州みかんとその仲間

ミカン類は、日本人に一番馴染みのある柑橘類で、日本の食卓にはなくてはならない存在です。主な産地は、和歌山県、愛媛県、静岡県などです。このグループの代表的な品種は「温州(うんしゅう)みかん」で、収穫量は他の柑橘類よりも圧倒的に多いため、単に「みかん」と言うと温州みかんのことを指すことがほとんどです。ちなみに、「温州」という名前は中国浙江省の地名からきていますが、温州みかんが生まれたのは鹿児島県の長島です。温州みかんは、熟す時期によって「極早生みかん」「早生みかん」「中生みかん」「晩生みかん」のように分けられ、秋から冬にかけて長い期間、色々な味を楽しむことができます。

南津海(なつみ)

南津海は、カラマンダリンとポンカンを掛け合わせた品種で、山口県で誕生しました。旬は4月から5月にかけてで、濃厚な甘さとたっぷりの果汁が魅力。薄皮ごと食べられる手軽さも人気の理由です。主に山口県、愛媛県、広島県で栽培されています。

ひめのつき

ひめのつきは、アンコールと日向夏を交配して生まれた柑橘で、2006年に品種登録されました。重さは150~200g程度で、豊かな香りが特徴です。酸味は穏やかで、際立つ甘さを楽しめます。手で皮がむきやすく、薄皮も気にならないため、袋ごと食べられます。旬は2月~3月頃で、愛媛県が主な産地です。

カラ(カラマンダリン)

カラ(カラマンダリン)は、温州みかんとキングマンダリンを掛け合わせ、カリフォルニアで生まれました。1935年に命名され、日本には1955年に導入されましたが、当初はあまり生産されませんでした。近年になって栽培が増加しています。旬は4~5月頃で、深みのある甘酸っぱさが特徴。三重県、愛媛県、和歌山県などで栽培されています。

このように、柑橘類は伝統的な品種から革新的な品種まで、多彩な種類が存在し、それぞれの季節に合わせた異なる風味を提供してくれます。

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【オレンジ類】世界で愛される、甘く芳醇な柑橘

オレンジ類は、世界中で広く愛されている柑橘の一つです。日本で流通しているオレンジの多くは輸入品ですが、広島県や静岡県など、国内でも栽培されています。みかんとの大きな違いは、一般的に皮が厚く、剥きにくい点です。オレンジ類は大きく「スイートオレンジ」と「サワーオレンジ(ダイダイ類)」の2種類に分類され、それぞれ特徴と用途が異なります。

「スイートオレンジ」は、名前の通り、強い甘みと穏やかな酸味が特徴で、生で食べるのに適しています。オレンジは世界の柑橘類生産の大部分に大きく貢献しており、世界の柑橘類生産量の50%以上を占め、バナナやリンゴに次いでほとんどの国で栽培されているトップの柑橘類の1つです。代表的な品種としては、豊富な果汁と爽やかな甘さが魅力の「バレンシアオレンジ」、種が少なく剥きやすい「ネーブルオレンジ」、そして、独特の赤みがかった果肉と甘酸っぱい風味が楽しめる「ブラッドオレンジ」などがあります。

一方、「サワーオレンジ(ダイダイ類)」は、強い酸味が特徴で、その酸味を活かして、お酢やジャムなどの加工品に利用されることが多いです。代表的な品種としては、「ダイダイ」や「ベルガモット」などが挙げられます。特にダイダイは、日本ではお正月の飾りとして用いられるなど、古くから縁起物として親しまれてきました。その独特な香りは、アロマオイルや香料としても利用され、様々な用途でその価値を発揮しています。

【グレープフルーツ類】さわやかな風味と特徴的な香りが織りなす魅力

グレープフルーツ類は、際立つ酸味が特徴の柑橘系の果物です。オレンジ類と同様に、日本で消費されるグレープフルーツの大部分は輸入に頼っており、そのため一年を通じて市場に出回っています。「グレープ」という名前は、果実がブドウの房のように、一つの枝にたくさん実る様子から付けられたと言われています。グレープフルーツは、果肉の色によって大きく二つの種類に分けられます。

一つは、果肉が薄い黄色のホワイト系の品種で、代表的なものとして「マーシュ」が挙げられます。マーシュは、さっぱりとした酸味とわずかな苦味が調和した味わいが特徴です。もう一つは、ピンク色の果肉を持つピンク系の品種で、代表的なものには「ルビー」があります。ルビーは、ホワイト系に比べて甘味が強く、酸味と苦味が穏やかなため、幅広い世代に好まれています。

これらの他にも、グレープフルーツ類にはさまざまな品種が存在します。たとえば、「ダンカン」は伝統的なホワイト系品種で、強い酸味と苦味が特徴です。近年では、イスラエルとアメリカで開発された「オロブロンコ(スウィーティー)」や、「スタールビー」、「ルビーレッド(レッドブラッシュ)」など、より甘くて食べやすい品種も人気です。これらの品種は、サラダの色どりはもちろん、ジュースやデザートなど、さまざまな用途で楽しまれています。

【タンゴール類】みかんとオレンジの良いとこどり

タンゴール類とは、ミカン類とオレンジ類を交配して生まれた柑橘類のグループを指します。名前は「tangerine」の「tang」と「orange」の「or」を組み合わせたものです。みかんのように皮がむきやすく、オレンジのような甘さと豊かな香りを持つ、ジューシーで人気の高い品種が多く存在します。

タンゴール類の代表的な品種には、以下のようなものがあります。

いよかん(伊予柑)

いよかんの詳しい起源ははっきりしていませんが、ミカン類とオレンジ類の自然交雑種ではないかと考えられており、明治時代に山口県萩市で発見されました。その後、愛媛県で本格的な栽培が始まり、その土地の名前にちなんで「いよかん」と名付けられました。現在では愛媛県を中心に、山口県や和歌山県などで栽培されています。皮は少し厚めですが手でむきやすく、果肉はジューシーで、甘味と酸味のバランスが絶妙です。旬は1月から3月頃です。現在生産されているいよかんの大部分は「宮内いよかん」という品種で、この宮内いよかんを3月までじっくりと熟成させた特に高品質なものは「弥生紅(やよいべに)」というブランド名で販売されています。

清見(きよみ)

清見は、温州みかんの代表的な品種である「宮川早生」と「トロビタオレンジ」を掛け合わせて作られた品種で、1979年に品種登録されました。果実の重さは200~250gほどで、果肉はやわらかく、果汁も豊富で、みかんのような甘さとオレンジの華やかな香りを同時に味わうことができます。皮は温州みかんに比べると少し厚めですが、薄皮(じょうのう膜)が薄いため、果肉を袋ごと食べられます。店頭に並ぶのは2月から4月頃です。また、清見の枝変わり品種として「サマー清見(別名かがやき)」があり、こちらは清見よりも少し糖度が高く、やや黄色みがかった色合いをしています。

不知火(デコポン)

デコポンは、「清見」と「ポンカン(中野3号)」という品種を掛け合わせて生まれた柑橘です。その特徴は、頭部に突出した部分がある独特な外観。重さは一個あたり約230gで、丸みを帯びた形をしています。際立った甘さと、薄皮ごと手軽に食べられる点が人気の理由です。ちなみに「デコポン」という名前は熊本果実農業協同組合連合会の登録商標で、品種としての正式名称は「不知火(しらぬい)」です。不知火の中でも、糖度が13度以上、クエン酸含有率が1%以下という厳しい基準を満たしたものだけが「デコポン」として販売されます。市場に出回るのは12月から4月頃です。

せとか

せとかは、「清見」と「アンコール」の交配種に、さらに「マーコット」を交配して生まれた、2001年(平成13年)に品種登録された新しい柑橘です。一個あたり200~270gと比較的大ぶりで、収穫時期は2月頃。果肉は柔らかく、果汁が豊富で、濃厚な甘みが特徴です。温州みかんのように薄皮ごと食べられる手軽さも人気の理由で、近年需要が高まっています。姉妹品種には「麗紅」があります。最も美味しい旬の時期は、2月から3月頃です。

はるみ

はるみは、「清見」と「ポンカン(F2432)」を交配して誕生した柑橘で、1999年(平成11年)に品種登録されました。一個あたり約200gで、果肉は柔らかく、平均糖度は13度と、非常に優れた食味を持っています。皮がむきやすく、薄皮も薄いため、袋ごと食べられるのが大きな魅力です。収穫は1月頃から始まります。

たんかん(桶柑)

たんかんは中国原産の柑橘で、「ポンカン」と「オレンジ類」が自然交配して生まれたと考えられています。一個あたり約150gで、主に中国南部や台湾で多く栽培されており、日本では鹿児島県や沖縄県などの温暖な地域で栽培されています。果汁が多く、甘みが強く、ほのかな酸味があり、風味豊かな味わいが特徴です。皮は少しむきにくいものの、薄皮が薄いため袋ごと食べられます。旬は2月から4月頃です。

天草(あまくさ)

天草は、「清見」と「興津早生」に「ページオレンジ」を交配して生まれた柑橘で、1995年に品種登録されました。外皮は鮮やかなオレンジ色で、果肉は非常に柔らかく、果汁が豊富で、甘みが際立っています。重さは約200gで、市場に出回るのは12月下旬から2月頃です。主な産地としては、愛媛県、大分県、沖縄県などが挙げられます。

マーコット

マーコットの起源は明確ではありませんが、大正時代にアメリカで生まれた品種で、柑橘類と「スイートオレンジ」を掛け合わせたものと考えられています。日本には昭和の中頃に導入されました。果実の重さは150g程度で、高い糖度と濃厚な甘さ、そしてほどよい酸味が特徴です。皮は薄いものの少し剥きにくく、種もやや多い傾向があります。国産のものは2月から4月頃に出回りますが、秋にはオーストラリアからの輸入品も見られます。主な産地は長崎県、熊本県、佐賀県などです。

アンコール

アンコールは、「キングマンダリン」と「地中海マンダリン」の交配種として、1954年にアメリカのカリフォルニアで開発されました。日本へは1969年頃に導入されています。果実は100~150gと小ぶりながら、濃いオレンジ色の果肉は糖度が13~15度と非常に高く、豊かな風味が楽しめます。種はやや多いですが、皮は剥きやすく、薄皮ごと食べられます。出荷時期は2月から4月頃です。「アンコール」という名前は、「一度食べたら、もう一度食べたくなる」という意味合いから名付けられたと言われています。愛媛県や大分県が主な産地です。

はれひめ

はれひめは、「清見」と「オセオラオレンジ」の交配種に「宮川早生」を掛け合わせたもので、2004年に品種登録されました。果汁がたっぷりで、酸味が少なく、さわやかな甘さが特徴的な柑橘です。大きさは約200gで、薄皮ごと食べることができます。旬は12月から1月で、主に愛媛県や佐賀県などで栽培されています。

まりひめ

愛媛県生まれの「まりひめ」は、「クレメンタイン」と「南柑20号」を親に持つ柑橘で、平成17年(2005年)に品種登録されました。一つあたり200~250g程度の大きさで、比較的簡単に手で皮をむくことが可能です。際立つ甘さと、薄い皮ごと食べられる手軽さが魅力。12月下旬頃から収穫期を迎え、主に愛媛県で栽培されています。

紅まどんな

「紅まどんな」は、「愛媛果試28号」という名前で品種登録されており、「南香」と「天草」を交配して育成されました。登録年はまりひめと同じく平成17年(2005年)です。鮮やかな紅色が目を引く果皮を持ち、重さは約250g。酸味が少なく、甘みが際立つ柑橘です。皮は少しむきにくいものの、薄皮が非常に薄いため、袋ごと食べられます。旬は11月下旬から1月頃で、愛媛県が主な産地です。

甘平(かんぺい)

愛媛県オリジナルの柑橘「甘平」は、平成19年(2007年)に品種登録されました。「西之香」と「ポンカン」を掛け合わせた品種です。扁平な形が特徴で、温州みかんのように手で簡単に皮をむくことができます。重さは220~250g程度で、強い甘味と穏やかな酸味が調和し、柔らかい果肉と薄い薄皮からあふれる果汁が魅力です。旬は1月下旬から3月頃。特に高品質なものは、2016年から「愛媛Queenスプラッシュ(クイーンスプラッシュ)」としてブランド化されています。

麗紅(れいこう)

麗紅(れいこう)」は、「清見×アンコール」と「マーコット」の交配によって誕生し、2005年に品種登録されました。「せとか」とは姉妹品種にあたります。強い甘さと程よい酸味、豊かな香りが特徴で、薄皮ごと食べられます。収穫時期は1月中旬頃から3月頃で、佐賀県産のものは「はまさき」というブランド名で販売されています。

【タンゼロ類】豊かな果汁と濃厚な甘さが魅力

タンゼロ類は、ミカンとブンタン、あるいはミカンとグレープフルーツなど、複数の柑橘を交配して生まれたバラエティ豊かな品種群です。これらの柑橘は、特に果汁が豊富で、みずみずしい食感が際立っています。オレンジやデコポンのように、強い甘味を持つものが多いのが特徴です。

タンゼロ類を代表する品種としては、以下のものが挙げられます。

セミノール

セミノールは、つやのある赤褐色の薄い果皮を持つ品種で、「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンジェリン」を交配し、アメリカで開発されました。日本へは1955年(昭和30年)に導入されています。甘みと酸味のバランスが絶妙で、果汁もたっぷり。種はやや多めですが、温州ミカンのように薄皮ごと食べられます。サイズは150~200g程度で、旬は4月~5月頃。地域によっては「サンクイーン」とも呼ばれます。

スイートスプリング

スイートスプリングは、1982年(昭和57年)に品種登録された柑橘で、その親は「上田温州」と「ハッサク」です。果皮は黄色ですが、まだ緑色が残っていても美味しく食べられる点が特徴です。サイズは約250gで、皮はやや厚め。果汁が非常に多く、酸味は控えめで、さっぱりとした甘さが楽しめます。旬は1月~2月頃で、主に熊本県、香川県、宮崎県、鹿児島県、長崎県などで栽培されています。

ミネオラ

ミネオラは、「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンジェリン」を親に持つ品種で、セミノールと同様に「タンゼロ」に分類されます。「デコポン」のように果実の上部が突出しているのが特徴ですが、デコポンとは異なる品種です。サイズは100~150g程度で、セミノールと同様にジューシーで、香りが良く濃厚な味わいが楽しめます。果皮は濃いオレンジ色をしており、種は少なめです。主にカリフォルニアから輸入され、2月~5月頃に市場に出回ります。

カクテルフルーツ

カクテルフルーツは、「スウィーティー」という別名でも知られる、アメリカ生まれの柑橘類です。これは、ポメロとマンダリンオレンジを交配させて生まれた品種で、酸味が穏やかで、みずみずしく、バランスの取れた甘さが特徴です。主にカリフォルニアで栽培されており、日本へは12月から2月頃に輸入されます。

クレメンタイン

クレメンタインは、親しみやすい甘さと爽やかな香りが魅力の柑橘です。外観は温州みかんに似ており、手で簡単に皮を剥くことができ、薄皮ごと食べられます。その起源についてはいくつかの説があり、アルジェリアで生まれたという説や、古くから中国で栽培されていたマンダリンオレンジの一種であるという説があります。日本では主にチリからの輸入品が6月から7月頃に出回りますが、少量ながらも12月から1月頃には国産のクレメンタインも市場に出荷されます。

【香酸柑橘類】料理を格上げする、酸味と香りの名脇役

香酸柑橘類は、その名前が示すように、際立った酸味と豊かな香りが持ち味の柑橘類です。生のまま食べるよりも、料理の風味づけ、ジュースやお酒の材料、ドレッシングの風味付け、あるいは料理の彩りとして、様々な形で利用されることが一般的です。

香酸柑橘類の代表的な品種としては、以下のようなものがあげられます。たとえば、「かぼす」や「すだち」は、日本料理に欠かせない上品な香りと酸味を添え、焼き魚や鍋料理との相性は抜群です。「レモン」や「ライム」は、洋食やカクテルに幅広く利用され、そのフレッシュな香りは世界中で親しまれています。「ゆず」は、独特の芳醇な香りと酸味が特徴で、ポン酢や七味唐辛子、和菓子など、日本の食文化に深く根ざしています。特に、ゆずの生産量と消費量においては、日本が世界一を誇ります。

その他にも、「へべす」は宮崎県を代表する香酸柑橘で、まろやかな酸味と上品な香りが特徴です。「シークワーサー」は沖縄県を中心に栽培されている小ぶりな柑橘で、強い酸味とほのかな苦味が特徴で、ジュースやポン酢などの加工品として利用されます。「ジャバラ」は、和歌山県北山村が原産の柑橘で、強い酸味の中にほんのりとした甘さと爽やかな香りが感じられ、近年ではアレルギー抑制効果が期待される成分が含まれていることが注目されています。これらの香酸柑橘類は、それぞれが持つ個性的な風味で、日々の食卓に豊かな彩りと奥深さをもたらしてくれます。

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【ブンタン類】大玉で爽快な味わい、その姿も美しい品種

ブンタン類は、鮮やかな黄色の果皮が目を引く、東南アジア原産の柑橘類です。このグループに属する果物は、柑橘類の中でも特に大きく、果皮が非常に厚い点が特徴です。果皮の内側には、厚みのある白い綿状の部分(アルベド)があります。爽やかな風味があり、酸味が控えめで果汁が豊富なため、独特の食感を楽しむことができます。

ブンタン類の代表的な品種には、以下のようなものがあります。

文旦(ブンタン)

文旦は、ザボンやボンタンの名でも親しまれる大型の柑橘類で、そのルーツはインド東部から中国南部にかけての地域にあります。特徴的なのは、その芳醇な香りと、甘さと酸味が絶妙に調和した上品な味わいです。一つあたり約400gの重さがあり、厚みのある黄色の果皮に包まれています。果肉の色は通常淡い黄色ですが、中には赤みを帯びた品種も存在します。国内では、シャキシャキとした食感と爽やかな風味が魅力の「土佐文旦」が、高知県の特産品として広く知られています。また、果肉が柔らかく、ジューシーな「水晶文旦」も高知を代表する人気品種です。収穫シーズンは10月から12月にかけてですが、収穫後、酸味をまろやかにするために一定期間貯蔵されるため、実際に店頭で見かけるのは2月から5月頃となります。厚い皮の白い部分を砂糖で煮詰めた「ザボン漬け」も、美味な加工品として親しまれています。ちなみに、文旦は英語で「ポメロ」と呼ばれ、果実が非常に大きく、果肉が鮮やかなピンク色の「チャンドラポメロ」という品種も存在します。

晩白柚(ばんぺいゆ)

晩白柚は、重さが2kgにも達する巨大なブンタンの一種で、「オクテシロザボン」という別名も持っています。原産地はマレー半島と考えられており、日本へは昭和初期に導入されました。現在では、熊本県八代市の名産品として、全国的な人気を集めています。目を引くのは、その鮮やかな黄色の果皮と、1~2cmもの厚さがある白いアルベド(内果皮)です。このアルベドは、文旦と同様に砂糖で煮て「晩白柚漬け」として美味しくいただけます。果肉は柔らかく、果汁も豊富で、爽やかな甘さとほどよい酸味が特徴です。また、その芳醇な香りと、常温で約1ヶ月という日持ちの良さも魅力で、購入後しばらくは観賞用として楽しむ方も多いようです。市場に出回る時期は、主に2月から4月頃です。

その他、ブンタンの仲間には、「アンセイカン」や「新女王」など、さまざまな品種が存在し、それぞれが独自の風味や食感を持っています。

【雑柑類】自然が生み出した、バラエティ豊かな交雑種

雑柑類とは、ミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、ブンタン類といった主要な柑橘類の分類に当てはまらない、自然交雑によって生まれた多様な柑橘の総称です。これらの品種は、その起源がはっきりしないものや、複数の親の特性を複雑に受け継いでいるものが多く、非常に個性的な特徴を持っています。一般的に、皮が厚く硬いものが多い傾向にありますが、それぞれが独特の甘味と酸味、そしてしっかりとした果肉の食感で多くの人々を魅了しています。

雑柑類を代表する品種としては、以下のようなものが挙げられます。

夏みかん

夏みかんは、「夏橙(ナツダイダイ)」とも呼ばれ、ブンタンの自然交雑種として江戸時代に山口県で誕生しました。明治時代から栽培が盛んに行われていましたが、より甘みの強い「甘夏」や「グレープフルーツ」が登場したことで、その人気は徐々に衰え、昭和40年代頃から生産量が減少しました。現在では、山口県や和歌山県などで細々と生産が続けられています。酸味が強いため、生食用としてはほとんど市場に出回らず、ゼリーやマーマレード、お菓子などの加工品として利用されることが一般的です。実がなるのは冬ですが、食べ頃を迎えるのは4月から6月頃です。「夏みかん」という名前の由来については、「夏まで実が木に残っているから」「夏になると酸味が和らぎ、美味しく食べられるようになるから」など、さまざまな説が存在します。

甘夏(甘夏みかん)

甘夏は、「夏みかん」から生まれた枝変わり品種で、夏みかんと比較して酸味が穏やかで、より甘い味わいが際立つのが特徴です。いくつかの品種が存在しますが、特に1935年頃に大分県の川野氏の邸宅で発見され、品種登録された「川野なつだいだい(夏橙)」が、甘夏全体の過半数を占めています。川野夏橙の重さは300~400g程度で、市場に出回るのは2月から5月頃です。その他にも、甘夏の枝変わりである「新甘夏(サンフルーツ)」や、果皮が鮮やかなオレンジ色の「紅甘夏」、甘夏と文旦を掛け合わせた「スルガエレガント」などの品種が存在します。

八朔(はっさく)

八朔は、江戸時代に広島県で発見されたブンタンの自然交雑種です。甘みと酸味のバランスが良く、かすかな苦味を感じるものもあります。果肉はややしっかりとした食感で、独特の香りと風味が楽しめます。果皮は厚めですが、内側の薄皮が剥がれやすいため比較的食べやすいでしょう。大きさは300~400g程度で、1月から4月頃にかけて出荷されます。「八朔」という名前は、旧暦8月1日(現在の9月頃)に食べられることに由来すると言われていますが、実際にはまだ酸味が強く、美味しく味わうには冬まで待つのが一般的です。

日向夏(ひゅうがなつ)

日向夏は、「ニューサマーオレンジ」や「小夏みかん」「土佐小夏」といった別名を持つ柑橘類で、1820年代に宮崎県で偶然発見されました。詳しい由来は不明ですが、「ゆず」の系統と考えられています。鮮やかな黄色の果皮はやや厚めで、ナイフで白い部分(アルベド)を残すように丁寧に皮をむき、カットして食べるのが一般的です。果肉はジューシーで、さっぱりとした甘酸っぱさを堪能できます。重さは120~200g程度で、旬は3月から5月頃です。

三宝柑

三宝柑は、江戸時代に和歌山県で発見されたとされる品種で、その上品な香りと爽やかな酸味が魅力です。厚い果皮を持ち、加工品としても重宝されています。

河内晩柑(美生柑)

河内晩柑は、大正時代に熊本県河内町で発見された柑橘類です。文旦系の自然交雑種と考えられており、地域によっては「美生柑(みしょうかん)」、「宇和ゴールド」、「ジューシーフルーツ」といった異なる名前で親しまれています。豊富な果汁と柔らかな果肉が特徴で、さっぱりとした甘さが楽しめます。「和製グレープフルーツ」とも呼ばれますが、グレープフルーツ特有の強い苦味や酸味はありません。大きさは250~450g程度で、3月下旬から6月頃に市場に出回ります。

黄金柑

黄金柑は「ゴールデンオレンジ」とも呼ばれ、明治時代に鹿児島県で発見された品種です。親品種は不明です。鮮やかな黄色の果皮が特徴で、サイズは70g前後と小ぶりです。香りが非常に良く、甘味と爽やかな酸味のバランスが絶妙です。旬は3月から5月頃で、神奈川県や静岡県などで多く栽培されています。

はるか

はるかは、「日向夏」の自然交雑によって生まれた品種で、1996年に品種登録されました。2月から3月頃に出回り、大きさは200g前後の中サイズです。果頂部が環状に凹んでいるのが特徴ですが、凹みがないものもあります。黄色い果皮は厚めで、薄皮もやや硬めです。酸味は控えめで、爽やかな甘さが楽しめます。愛媛県や広島県などが主な産地です。

キンカン属:丸ごと味わう、小さな柑橘

キンカン属は、「キンカン」のみで構成される比較的小さなグループです。原産地は中国で、非常に古い歴史を持っています。キンカンは、他の柑橘類とは異なり、皮ごと食べられる点が大きな特徴であり、魅力です。皮のほのかな苦味と果肉の甘酸っぱさが絶妙なバランスを生み出し、その独特の風味と手軽さで古くから愛されています。

生食はもちろん、ジャム、甘露煮、マーマレードなど、様々な用途に利用できます。特に、皮ごと食べることで、皮に含まれる豊富な栄養素(ビタミンCやポリフェノールなど)を効率的に摂取できるという健康上のメリットもあります。

キンカンにはいくつかの品種があります。代表的なものとしては、果実が大きく品質が良い「ネイハキンカン」、細長い形が特徴の「ナガキンカン」、一般的な丸い形の「マルキンカン」などがあります。これらの品種は、小さな果実の中に豊かな風味と栄養が詰まっており、まさに小さな宝石のような存在と言えるでしょう。

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カラタチ属:食用には不向きながらも、その用途は多彩

カラタチ属は、その名が示す通り「カラタチ」のみで構成されるグループで、その原産地は中国の中部から北部にかけて広がっています。この属に属する柑橘類は、際立った酸味と苦味を持つ果実をつけるため、一般的には食用としては適していません。しかし、食用以外の分野で、その独特な特性を活かした様々な用途が存在します。

カラタチが最もよく利用されるのは、生垣としての役割です。カラタチの枝には、長くて鋭いトゲが密集して生えており、この特徴が、人や動物の侵入を阻む効果的な防御壁となるため、昔から生垣として利用されてきました。その堅牢さとトゲの多さから、天然のフェンスとして重宝されています。

また、カラタチは農業、特に柑橘栽培において重要な役割を担っています。その根は非常に強靭で、病気への抵抗力も高いため、他の柑橘類の枝を接ぎ木する際の「台木」として広く用いられています。カラタチを台木として使用することで、接ぎ木された柑橘品種は、カラタチの持つ強健な根系と病害抵抗性を引き継ぎ、より健康で丈夫に育つことが期待できます。このように、カラタチは直接食されることは少ないものの、その特異な性質を活かして、人々の生活や農業に不可欠な存在となっています。

柑橘類の選び方と保存方法

美味しい柑橘類を選ぶポイントは、色つやが良く、皮に張りがあり、手に持った時にずっしりと重みを感じるものを選ぶことです。また、品種によっては特有の香りの強さや、果皮の模様なども判断材料となります。保存方法については、多くの柑橘類は風通しの良い冷暗所での保存が適していますが、品種や季節によっては冷蔵庫での保存が推奨されることもあります。適切な選び方と保存方法を実践することで、柑橘類をより長く、美味しく楽しむことができるでしょう。

まとめ

みかんを始めとする柑橘類は、その種類の豊富さと奥深さにおいて、まさに果物の王様と呼ぶに相応しい存在です。世界中には数百種類もの柑橘類が存在し、カンキツ属、キンカン属、カラタチ属という3つの大きなグループに分類されるそれぞれの柑橘類は、独自の歴史、特徴、そして魅力を持っています。中でもカンキツ属に属するミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、ブンタン類、雑柑類は、私たちの食生活を豊かに彩る様々な品種を抱えています。デコポンやせとかのように交配によって生まれた革新的な品種から、枝変わりによって偶然生まれた優れた品種まで、その進化の歴史は尽きることがありません。。この情報が、あなたの食卓に新たな柑橘類との出会いをもたらし、季節ごとの旬の味覚を心ゆくまで堪能するきっかけとなることを願っています。

柑橘類はどのように分類されるのですか?

柑橘類は、大きく「カンキツ属」「キンカン属」「カラタチ属」という3つのグループに分けられます。さらに、最も種類が多い「カンキツ属」は、ミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、ブンタン類、雑柑類という8つの主要なグループに分類されます。

食用に適さない柑橘類も存在するのですか?

はい、食用には向かない柑橘類も存在します。特に、「カラタチ属」に分類されるカラタチは、非常に強い酸味と苦味があるため、一般的には食用として利用されることはありません。カラタチは主に、庭の生垣として利用されたり、他の柑橘類を栽培する際の台木として活用されています。

デコポンやせとかは、どのグループに属するのでしょうか?

デコポン(正式名称は不知火)は、「清見」と「ポンカン」を掛け合わせて生まれた品種で、「タンゴール類」に分類されます。また、せとかは、「清見」と「アンコール」の交配種に、さらに「マーコット」を交配させて生まれた品種であり、こちらも同じく「タンゴール類」に属しています。これらの品種は、みかんとオレンジの良いところを兼ね備えており、非常に人気があります。

グレープフルーツ、その名の由来「グレープ」とは?

グレープフルーツの名前にある「グレープ」は、その実の付き方に由来します。まるでブドウのように、一つの枝にたくさんの実が密集して実る様子から、この名が付けられたと言われています。

柑橘