ニラが含む栄養素を解説! 効能やおすすめのレシピも紹介

滋養強壮に良いとされるニラは、独特の風味と鮮やかな緑色が食欲をそそり、中華料理や鍋物など、幅広い料理で活躍する栄養満点の野菜です。では、ニラには具体的にどのような栄養素が含まれているのでしょうか?

この記事では、ニラの代表的な栄養素をはじめ、上手な保存方法や栄養を最大限に活かす調理のコツ、おすすめのレシピをご紹介します。ニラは比較的鮮度が落ちやすい野菜なので、長持ちさせるための保存方法を知っておくことは大切です。ニラを日々の食卓に取り入れたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ニラの主な栄養素

まず、ニラに豊富に含まれる主要な栄養素を見ていきましょう。ニラには、ビタミン類をはじめ、私たちの健康をサポートする様々な栄養素がバランス良く含まれています。多様な調理法で美味しく食べることで、免疫力向上、疲労回復、冷え性改善といった、健康や美容に嬉しい効果が期待できます。ここでは、各栄養素の効能と、厚生労働省が推奨する一日の摂取推奨量・目標量・目安量も合わせて解説します。

ビタミンA(β-カロテン)

ニラにはβ-カロテンが豊富に含まれており、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは視力の維持、皮膚や粘膜の健康保持、免疫機能の強化に欠かせません。特に粘膜を健やかに保つことで、風邪や感染症予防にもつながります。

成人の推奨量(ビタミンA換算):男性850〜900μgRAE、女性650〜700μgRAE/日(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」より)

ビタミンC

抗酸化作用を持ち、免疫力向上やコラーゲン生成を助け、肌の健康維持に役立ちます。加熱で減少しやすい栄養素ですが、ニラはさっと加熱する調理法で摂取量を保ちやすいのが特徴です。

成人の推奨量:男性100mg、女性100mg/日

ビタミンK

血液の正常な凝固や骨の健康維持に関わる重要な栄養素です。特に骨粗しょう症予防の観点からも注目されています。

成人の目安量:男性150μg、女性150μg/日

葉酸

赤血球の生成やDNA合成に必要で、特に妊娠中の女性に重要な栄養素です。ニラは葉酸を比較的多く含み、日常的に摂取しやすい食材といえます。

成人の推奨量:男女とも240μg/日、妊婦は+240μg

カルシウム

骨や歯の形成に欠かせないミネラルで、筋肉や神経の働きにも関わります。ニラは野菜の中では比較的カルシウムが豊富です。

成人の推奨量:男性700〜800mg、女性650mg/日

アリシン

ニラ特有の香り成分で、強い殺菌作用や疲労回復効果を持ちます。ビタミンB1と結合して吸収を助けることで、エネルギー代謝を活発にします。推奨量は設定されていませんが、日常的に摂取することで健康維持に役立ちます。

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ニラの保存方法は?

ニラは比較的傷みやすい野菜であるため、長期保存にはあまり適していません。しかし、保存方法を工夫することで、シャキシャキとした食感とみずみずしさをある程度維持することが可能です。ここでは、ニラを使うタイミングや保存方法別に、おいしさを長持ちさせるための秘訣をご紹介します。

すぐ使う場合(2~3日以内):冷蔵保存

購入したニラを2~3日以内に使い切る予定であれば、特に手間をかけることなく、そのまま冷蔵庫の野菜室に保存するだけで問題ありません。保存する際には、可能な限り立てた状態で保存するのが理想的です。ニラの旬は一般的に3~4月の春ですが、近年ではハウス栽培が普及しているため、季節を問わず一年中おいしいニラを手に入れることができます。購入する際には、葉にハリがあり、根元を持った際に葉先までしっかりと立つものを選ぶのが、新鮮さを見極めるポイントです。葉が緑色から黄色っぽく変色していたり、表面が乾燥しているものは、鮮度が低下しているサインです。新鮮なニラを選び、すぐに使う場合は鮮度をしっかりと確認し、冷蔵保存しましょう。

長期保存する場合:冷蔵・冷凍保存

ニラを使い切るまでに数日かかる場合や、たくさん購入した際は、カットして水に浸けたり、冷凍保存をすることで、より長く保存できます。

冷蔵で約10日間保存するには、ニラを3~5cmほどの食べやすい長さに切り、タッパーなどの容器に入れた清潔な水に浸します。野菜室で保存することで乾燥を防ぎ、シャキシャキとした食感を保てます。より安全に保存するためには、毎日水を取り替えて、雑菌の繁殖を防ぐことが大切です。

すぐに使い切れない場合や、さらに長期間保存したい場合は、ニラを使いやすい大きさにカットし、冷凍保存に適した密閉袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。使う際は、冷凍のまま必要な分だけを取り出して調理できます。冷凍保存は約1ヶ月可能ですが、カットすることで風味が落ちやすいため、2週間を目安に使い切るのがおすすめです。

栄養素を効率的に摂取する方法

ニラに含まれる栄養成分を無駄なく摂取するためのおすすめの食べ方をご紹介します。ニラに含まれるアリシンは疲労回復に効果的ですが、熱に弱い性質があります。栄養をできるだけ損なわずに食べるための3つの方法を見ていきましょう。

生のままで食べる

ニラの栄養を最大限に活かすには、生のまま食べるのが最適です。生のニラは噛みごたえがあり、低カロリーなため、満腹感を得やすく、ダイエットにも適しています。また、血糖値の上昇を示すGI値も低く、糖質の多いご飯などの炭水化物を食べる前に摂取することで、血糖値の急上昇を抑制できます。ニラ特有の香り成分であるアリシンは、熱によって分解されやすいため、サラダなどに加えて生で食べることで、より効果的に摂取できます。さらに、水溶性のビタミンCやカリウムも熱に弱いため、生食はこれらの栄養素を効率よく摂取できる方法です。アリシンは細胞が破壊されることで生成されるため、細かく刻むことでより効果が高まります。生のままタレに混ぜて使うのも良いでしょう。ただし、不溶性食物繊維が豊富なので、一度に大量に摂取するのは控えましょう。消化不良や便秘の原因となる可能性があります。ニラを少量加えたサラダや薬味として生で食べるのがおすすめです。

油を活かした調理

ニラを美味しく食べるには、油を使った調理が最適です。特に炒め物は、脂溶性ビタミンであるβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンEの吸収を高めます。これらの栄養素は、油と共に摂取することでより効率的に吸収されます。例えば、ニラを肉や卵と一緒に油で炒めることで、これらの栄養素を効果的に摂取できます。また、アリシンは油と組み合わせることで分解を抑えられるため、ラー油やごま油を使用した中華風のソースや炒め物に活用すると良いでしょう。ただし、ビタミンCやアリシンは熱に弱い性質があるため、加熱時間は短く抑えることがポイントです。

自家製ニラだれ

ニラを細かく刻んで自家製だれを作るのも、栄養を無駄なく摂取できる効果的な方法です。例えば、醤油やラー油などの調味料に刻んだニラを加え、一日漬け込むだけで、様々な料理に使える万能だれが完成します。ニラは、しょうがやにんにくといった他の薬味との相性も抜群で、組み合わせることで冷え性対策にも役立ちます。特に、油と一緒に摂取することでアリシンの損失を抑えられるため、ラー油やごま油ベースの中華風だれがおすすめです。

鍋料理や炒め物との相性

ニラを加熱調理する際は、油を効果的に利用した鍋料理や炒め物がおすすめです。中でも、貧血予防の定番メニューであるレバニラは、ニラの栄養価とレバーに含まれる豊富な鉄分を同時に摂取できる、女性にとって嬉しい一品です。ニラに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収を促進する効果があるため、ビタミンB1が豊富な豚肉と一緒に炒めることで、糖質の代謝を助ける効果が期待できます。さらに、鍋料理に香り付けとしてごま油やオリーブオイルを加えたり、ラー油をつけだれに使用することで、栄養素の損失を最小限に抑え、美味しくいただけます。

ニラを使ったおすすめレシピ

最後に、ニラを最大限に活用できるおすすめレシピをご紹介します。

1. ニラ玉炒め(2人分)
【材料】

ニラ…1束

卵…2個

サラダ油…大さじ1

塩…少々

醤油…小さじ1

【作り方】

ニラは4〜5cm幅に切る。卵はボウルに割り入れ、塩を加えて溶きほぐす。

フライパンに油を熱し、卵を流し入れて大きくかき混ぜ、半熟になったら一旦取り出す。

同じフライパンにニラを入れ、さっと炒めたら卵を戻し、醤油を加えて軽く混ぜ合わせる。

2. ニラ餃子(約20個分)
【材料】

ニラ…1束

豚ひき肉…200g

キャベツ…100g

餃子の皮…20枚

醤油…小さじ2

ごま油…小さじ1

塩…小さじ1/3

こしょう…少々

【作り方】

ニラとキャベツは細かく刻む。

ボウルにひき肉、刻んだ野菜、調味料を入れ、よく混ぜる。

餃子の皮で包み、フライパンで両面をこんがり焼き、最後に水を加えて蒸し焼きにする。

3. ニラと豆腐の中華スープ(2人分)
【材料】

ニラ…1/2束

木綿豆腐…150g

鶏ガラスープの素…小さじ2

水…400ml

塩・こしょう…各少々

【作り方】

ニラは3〜4cm幅に切る。豆腐はさいの目切りにする。

鍋に水と鶏ガラスープの素を入れ、沸騰したら豆腐を加える。

最後にニラを入れてひと煮立ちさせ、塩・こしょうで味を整える。

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まとめ

ニラは、健康維持に不可欠な栄養素を豊富に含んでいます。また、ニラ特有の香り成分である「アリシン」は、スタミナ増強や疲労回復に役立つとされています。ニラには、β-カロテン、葉酸、食物繊維、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンE、カリウムなど、多様な栄養素が含まれており、これらは視力や皮膚の健康維持、貧血予防、腸内環境改善、抗酸化作用など、様々な健康効果をもたらします。これらの栄養素を効果的に摂取するためには、生のままサラダやタレとして利用したり、脂溶性ビタミンの吸収を高めるために油を使った炒め物や鍋料理に加えるのがおすすめです。また、適切な保存方法を実践することで、ニラを新鮮な状態でより長く保存でき、日々の料理に活用しやすくなります。

より手軽にニラを食生活に取り入れたい場合は、フリーズドライニラを常備しておくのも便利です。

ニラは生のままでも食べられますか?

はい、ニラは生の状態で食することが可能です。ニラ独特の香りのもとであるアリシンは、加熱によって効果が失われやすいため、生のままサラダに加えたり、タレに混ぜて利用することで、滋養強壮や疲労回復といった効果を効率的に得られます。また、水溶性のビタミンであるビタミンCやカリウムも熱に弱い性質を持つため、生のまま食べることは、これらの栄養成分を無駄なく摂取する賢明な方法と言えるでしょう。細かく刻むことでアリシンの生成が促進され、より効果が期待できます。ただし、ニラは不溶性食物繊維を豊富に含むため、一度に大量に摂取すると、便秘を引き起こしたり、消化不良の原因となる可能性があるため、適量を守ることが大切です。

ニラの栄養を効果的に摂るには?

ニラの栄養素を最大限に引き出すためには、生食と油を使った調理法を組み合わせることが推奨されます。生のまま食べることで、アリシン、ビタミンC、カリウムといった栄養素を効率的に摂取できます。さらに、生のニラは低カロリーであり、GI値も低いことから、ダイエットに取り組んでいる方にも適しています。一方で、β-カロテン、ビタミンK、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。したがって、炒め物にする際は、肉類や卵などと一緒に調理すると良いでしょう。特に、豚肉との組み合わせは、アリシンが豚肉に含まれるビタミンB1の吸収を助け、疲労回復や糖質代謝の促進に効果を発揮します。ニラを細かく刻んでタレとして利用する方法も、冷え性の改善や栄養補給に役立ちます。ただし、熱に弱い栄養素も含まれているため、加熱調理する際は短時間で済ませるように心がけてください。

ニラの保存方法で注意すべき点は?

ニラは比較的鮮度が落ちやすい野菜であるため、購入後はなるべく早く食べることが大切です。1〜3日程度で消費する場合は、葉がピンとしていて、葉先までまっすぐ伸びている新鮮なニラを選び、冷蔵庫の野菜室に立てて保存するのが理想的です。3日以上保存したい場合は、3~5cm程度の長さにカットし、密閉容器に入れた水に浸して冷蔵庫で保存することで、約10日間シャキシャキとした食感を保つことができます(毎日水を交換することが重要です)。さらに長期保存を目指す場合は、カットしたニラを冷凍保存用バッグに入れ、冷凍庫で保存すると約1ヶ月保存できますが、風味が損なわれやすいため、2週間を目安に使い切ることをおすすめします。冷凍したニラは、凍ったまま必要な量を取り出して調理に利用できます。

ニラを使ったおすすめのレシピは?

ニラを手軽に、そして美味しく味わえるおすすめのレシピとしては、「スープ」「炒め物」「タレ」が挙げられます。スープは、水溶性の栄養素が溶け出したスープごと摂取できるため、ニラの栄養を余すところなく堪能できます。特にフリーズドライのニラを使用すれば、手軽に調理できます。炒め物は、脂溶性ビタミンを油と一緒に効率的に摂取できるためおすすめです。中でも豚肉と一緒に炒めることで、ニラのアリシンが豚肉のビタミンB1の吸収を促進し、疲労回復や糖質代謝の促進効果が期待できます。また、ニラを細かく刻み、醤油やラー油などの調味料と混ぜ合わせて作る自家製タレは、野菜や肉にかけるだけで手軽にニラの栄養を摂取できるだけでなく、生姜やニンニクとの組み合わせによって冷え性予防にも役立ちます。

妊娠中にニラを摂取する際の注意点は?

妊娠を考えている女性や妊娠中の女性にとって、ニラに含まれる葉酸は、お腹の中の赤ちゃんの健やかな発育をサポートする上で非常に大切な栄養成分です。葉酸が不足すると、「巨赤芽球性貧血」を引き起こす可能性があるため、意識して摂取することが大切です。ただし、サプリメントで葉酸を補給する場合は、過剰摂取にならないように注意が必要です。葉酸の一日の摂取上限量は5mgと定められています。通常の食事から摂取する分には過剰摂取の心配はほとんどありませんが、サプリメントなどを利用する場合は、摂取量をきちんと確認するようにしましょう。ニラは栄養価が高く、妊娠中の健康維持をサポートする食材として役立ちます。

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