知覧茶とは
知覧茶とは

日本の茶文化は、四季折々の風情を楽しみながらお茶を味わう独特の美意識を育み、多種多様な地元土壌や風土に適した茶の品種を生み出してきました。その中でも、今回はあまり知られていないかもしれませんが、その風味と品質で徐々にその名を広げつつある「知覧茶」に焦点を当ててみたいと思います。これから、知覧茶の起源からその独特な製法、風味の特徴、そして最後にはその楽しみ方までを詳しく解説していきます。どういうお茶で、どのように楽しむのか、一緒に知覧茶の世界を旅してみませんか?

知覧茶とは

「知覧茶」は鹿児島県南さつま市の知覧地区という日本最南端の茶の名産地から生まれたブランド日本茶です。
知覧地区は長い日照時間、適度な降雨量、そして土壌が豊かな気候という、お茶を生産するための最善の環境条件が揃っている地域です。
300年以上もの時間をかけて丹精込めて栽培されつづけた知覧茶は、その特有の甘さとこころ地よさ、そして高雅な香りから長い間愛されています。その新茶は日本一早い新茶とも認識されています。また全国茶品評会で農林水産大臣賞を多数受賞しており、その品質についても全く問題なく評価されています。
知覧茶はその名の通り主に煎茶として消費されますが、玉露や抹茶などの形でも楽しむことができます。深い緑色の茶葉から抽出される濃厚な風味と、口に含むとじんわり広がる中押しの上がる甘味が特徴的なこの茶は、日本の風土と歴史を感じることができる、国内でも屈指の一杯と言っても過言ではありません。
いつしか知覧茶は、その他のエリアで生産される「えい茶」や「川辺茶」と共に「知覧茶」の名で統一され、日本の伝統的な茶の文化を更に高めています。

知覧茶の栽培方法

知覧茶は、南九州・鹿児島県知覧町が誇る絶品の緑茶で、その豊かな風味は独特の育て方に由来します。

 

この地域で育てられる茶樹は、剪定からおよそ一年後、新たな芽が現れるまでの時間を丁寧に育成されます。一芽二葉が摘み取られ、その豊かな香りと旨味を全うに残すために、寒さや病害虫からの保護という手間ひまを惜しまない作業が行われます。

 

さらに、知覧茶の栽培には、独特な「覆い被せ茶」の製法も用いられます。これは、茶畑を黒いシートで覆い、日陰状態にして成長させるという手法です。この方法によって日光が直接当たらず、クロロフィルやアミノ酸の生成が促進され、茶葉の風味が高まるのです。

 

そんな知覧茶では、新芽が摘まれる一週間前には、一定期間日光を遮って育てるため、茶葉内の旨味成分(L-テアニン)が増え、渋み成分(カテキン)を抑えることが可能となります。これが「かぶせ茶」の手法であり、

知覧茶の一番茶の大部分がこの方法で生産されます。

 

入念に育てられた知覧茶は、その一杯一杯に、生産者の熱情が詰まっており、美味な味わいと共に美しい田園風景も思い浮かべることができます。その香りと味を楽しむことで、鹿児島の風土を全身で感じ取ることができます。

知覧茶とは

知覧茶の特徴

知覧茶は、鹿児島県南部の知覧町という温暖な気候と豊かな大地で栽培される日本茶の一種です。その名のごとく、鮮やかな緑色が特徴のこの茶葉は、独特の甘さと優しい香りが魅力です。

 

春を感じさせる華やかな香りを放つ一番茶、そして爽やかな味わいの二番茶は、それぞれの特徴を豊かな大地から引き出しています。特に一番茶は春の美しい風情を閉じ込めているかのようで、それを味わえるのは知覧茶ならではの楽しみといえます。

 

また、知覧茶は地域独自の伝統手法を用い、丁寧な手作業で育てられた茶葉だけを使用しています。そのため、一杯のお茶にはその土地の恵みや職人の情熱が存分に感じられ、どの日本茶とも異なる、深みと風格を兼ね備えています。

 

マイルドで飲みやすい知覧茶は、どんなタイミングでも欠かせない一杯です。その製造過程から伝わる思いやる心が詰まった、この独自の風味と風格を持つ知覧茶を、ぜひ一度味わってみてください。

まとめ

知覧茶はその起源、独自の製法、風味が、日本茶の新たな風情を示しています。季節ごとの透明感ある味わいが特長で、その飲み方によりますます深みを増します。知覧茶の魅力を胸に、新たな日本茶体験を行なってみてはいかがでしょうか。

知覧茶